587 :新入り 1/4:2007/05/17(木) 12:54:26 ID:0gdZkWD/
あ〜イライラしやがる。なんだぁ?新入りの分際でダッチもベニーも、買いかぶり過ぎにも限度があるってもんだろうが?
確かに誘った…つーか連れて来たのはアタシだよ。金になると思ってたら…予想外の散財。ダッチの所の食い扶持が増えたんだからな。アタシらしくない誤算だぜ…

「あれ、レヴィ?お出掛け?こんな時間に?」
「うるせっ!テメーには関係ねーだろ!」
「い…いきなりそんなに言わなくたって…なぁダッチ?」
「…レヴィ」
「ああ?」
「…ロックは仕事仲間だからな」
「…ああ」

ダッチの言いてぇ事はわかる。「仕事仲間」だろ?
そこそこの人付き合いはちゃんとしてやるが、それ以上の私情は挟むな…ってな。
…アタシが私情を挟んでるように見えんのか?バカバカしい!あんな情けないツラばっかしてるヤローに、誰が情けなんか掛けてるかよ!
ちょっと商才っぽいのがあるだけだろーが!
イライラするぜ…

「ダッチ…」
「うん?」
「最近レヴィ…前より俺に厳しくないか?」
「…そうかもな」
「どうしたら良いんだろ?仕事の時に支障があるって程じゃないんだけど…」
「じゃあ問題無しだ」
「そんな…」
「後でも追ったらどうだ。どうせ暇だろ?」
「…わかった」
全く…若い奴らってのは、どうしてこうも暴走するかね。まさかロックよりレヴィの方が重傷だとは思わなかったが…つーか、ロックが鈍感なだけか。トゥーハンドの名前から一番かけ離れたレヴィだからな。
あーいう感情はその内支障を来す…って解ってるのに、なんで俺は止めないかね。…ま、それでラグーン商会を潰すってのもアリか。少なくともあの二人は思い残す事は無いだろ。
ベニーボーイには悪いが…

「レヴィらしくないね。全く、ロックもレヴィも子供だなぁ」
「ベニーボーイ、経験があるのか?」
「いーや。ただ、あの二人に限れば興味がある」
「…ふん」

588 :新入り 2/4:2007/05/17(木) 12:55:24 ID:0gdZkWD/
ダッチまでおかしくなるとは…やれやれ。ロックには魅力があるんだろうな。こっからはるか北の国でロックは…
結果としちゃあロックはそこで生まれて正解だ。アイツは皆に影響してる。ダッチには悪いけど、ボクが好きな雰囲気になるようにね。
多分ここが二人との違いなんだろうな…人を殺す人間と、サポートのみの人間。でも前より居心地が良くなったのは本当だ。
あの二人に関しちゃ傍観かな。ボクの嗜好としちゃ。後はお好きに…って。

「ダッチ」
「どうした?」
「ボクらも行こう。どうせ暇だろ?」
「…わざわざ探してまでか?」
「レヴィの居場所はバーに近い。次いでに飲もう」
「どうしてわかる?」
「発信…」
「…ストーカーにあってる気分だな」
「どうも」

「レヴィ…レヴィ」
なかなか見つからないな。この辺に来たと思ったんだけど…
最近のレヴィ、絶対俺に怒ってる。理由はわかんねーけど、俺にだけあたり方が違う。そんなに嫌われる事はしてないと思うけど…何かあったのかな。
最近は前より物を言わなくなった。話しかけて来たと思ったらいきなり「なんでもねーよ」とか「お前に話すのは止めた」とか。
俺に不満があるならはっきり言って欲しい。なんだかんだでレヴィは…恩人だ。
俺はもしかして、変な意味じゃなくってレヴィに尽くしたいのかも知れないな。

銃声が聞こえた。

「レヴィかな…」

武器ばっかり振り回してるけど…本当にレヴィは銃に頼らないといけないのかな…

589 :新入り 3/4:2007/05/17(木) 12:57:33 ID:0gdZkWD/
「レヴィ!」
「なんだ。来たのかよ」
やっぱり、レヴィだ。こんな所で弾遊びかよ。人じゃなくて物打ちなのは助かるけど。
「なあ?レヴ…」
ドン!
「レヴ…」
ドン!
わざと…撃ってやがる。
「レヴィ!」
「!」
銃身を…掴んだ。
こっちを睨む目の方が、銃口みたいだ。
「なんでそんなに不機嫌なんだよ!」
「離せ!」
俺の手を弾く。思い切って両肩を掴んで振り向かせた。レヴィの目は、怖い。

「なんなんだよ!俺になんかあるんじゃねーのか?」
「はっ、自惚れんなタコ。おめーなんぞに用はねぇ…」
「なら何で俺にそんなにあたるんだ!?」
「別にあたっちゃ…」
「当たってるだろ?」
「…」
「何か…あるのかよ。言えよ」
「…わかんねーんだよ」

「テメー見てるとダメなんだよ…」
「…っ、俺が目障りって事か?」
「ちげぇよ。ただ…」
「…何だ」
「…ロック、試してみたい」

もうちょいだな。ったく、ベニーボーイが何を買ってるかもうちょいチェックすべきだったぜ。
「ダッチ」
「ん?」
「この路地からが近い。車を置いて歩いていこう。バーも次いでにある」
「ああ」
「途中でロック達の前を通るから、気をつけて」
「アイツらに限って其処まではねぇだろ」
全く…ラグーン商会はガキの集まりか。俺も、アイツらも。

590 :新入り 4/5:2007/05/17(木) 13:01:11 ID:0gdZkWD/
「アタシを…抱いてみな」
「は…?」
「な、何も襲えっていってんじゃねぇ。こう、軽くギュッと」
「な、何で?」
「良いからやれよ!…ほら」
わざわざロックの前で何してるんだアタシは。でもアタシはこういう気分を…知らない。
「それとも?アタシが汚れた女だとでも思って触れたくもないか」
「…レヴィ」
「あ?」

「そういう事だけは」

…な…

「言うな」

な、なんだよいきなり。お前のノリじゃねぇだろ。こんなタイミングでアタシを抱くとか…でも…
「…どんな気分なんだよ」
「あ…あ。悪くは…ねぇ」
「もう良いのか」
「せ、せっかくだからもうちょいこうしてろ」
何だ。ロックが居る。ロックに包まれてる。コイツ結構胸板とか…腕とか…アタシじゃ…なくなる。
「ろ、ロック」
「…ん?」
「お、お前から見てアタシは何なんだよ」
何を聞いてるんだ…
「恩人だよ。だから…」
「そ、それだけか?」
こんな近い距離でロックと目を合わせたの初めてだ…

「ち、ちょっと違うかも知れない」
「な、なんだ?」
「わからない。わからないけど…レヴィ」
ア、アタシの名前を呼ぶな…もう声も出ねぇよ。
なんでアタシは目を閉じてるんだよ。ロックに誤解されちまう。

いや、誤解じゃない…
アタシは、本気なんだ。

「ロック…」
「レヴィ…」

ちゃんと…外すなよ。待っててやるから、ちゃんと…


591 :新入り 5/5:2007/05/17(木) 13:02:14 ID:0gdZkWD/

「えーと、ベニーボーイ、この辺か?」
「ダッチ!」
「ん?おぉ!」
ん…外野?こんな時にダッチが…

は?
「ダッチ!!」
「ゴエっ!」
し、しまった。頭でロックの顎に一撃やっちまった…
「す、すまねぇ!」
「ごめんレヴィ。続けて続けて」
「てめぇらあぁぁぁぁっ!」
本気で蜂の巣にしてやらぁ!


結局。俺はくたびれ損。残ったのは顎の痛みと…
「すまなかったなぁ」
「ごめん!ロック」
冷やかしまがいの謝罪と。
「…!」
前より目をあわせにくくなったレヴィ。俺からも合わせられなくなった。あんなチャンスはもう二度と無いだろう。レヴィとキスなんて、もう俺にあんな勇気は無いだろうから。
たまたまレヴィが誘ってくれただけだったんだ。
とりあえず俺は煙草をふかしながら、最近長く続く休暇を送っている。



609 :592:2007/05/19(土) 00:39:00 ID:Aorbonoi
「ロック…」
「レヴィ…」
おい…今度こそ外すなよ…邪魔が入ったとしてもテメェのやりたいことは、きっちりやるんだぜ…
大人ってのは…そういうモン…


「…レヴィ?レヴィ?」
「ん…ロック…やれよ…」
「何言ってるんだよ?起きろって!」
「うん…?」
ロック…?あれ、アタシ自分の部屋に居たっけ?頭が寝ぼけて…うん?寝ぼけて?
…夢?
「レヴィ!」
「うおっ!」
「そろそろ起きないと…」
「いきなり面見せんじゃねぇ!」
「ぐおっ!」
夢にまで出て来やがって!鉄拳は当然の報いだ!…ちっと理不尽だったかもな。

おーおー。ひでぇ顔だ。昨日はあんまり寝れてねぇな…洗面くらい済ますか。
にしても、夢見るお年頃じゃねぇってのに、何なんだよあの夢は。消化不良か?それともアタシが溜まってんのか?それになんでロックなんだよ。イライラさせやがるし、甘ちゃんだし。仕事場じゃお荷物みたいな新入りなんだぜ?
アタシがなんで…
「レヴィ?」
「あん?」
「タオルここに置いとくから、ちゃんと拭いてこいよ」
「へーへー…ロック」
「うん?」
「…さっきは悪かったな」
「…はいはい」
何だ。その仕方ないなあって顔は。
…ケッ。
「おはようベニー」
「おはようロック。あれ?その青あざは?」
「当然の報いなんだって…」
「は?」
「ベニー、明日からレヴィ起こすの代わってくれないか?」
「…なんか知らないけど、僕も寝坊しやすいからやっぱりロックが適任じゃないかな?」
「…はぁ」
毎度毎度殴られたんじゃたまったモンじゃないよ。ただでさえ痛い目に遭ってるのに。
「コーヒーはどうだい?」
「ああ、ありがとう」
ベニーの優しさが身にしみる…。にしてもレヴィ、俺の名前を呼んでなかったか?俺が出てくる夢なんてどうせロクなモンじゃないだろうに…俺が見るレヴィの夢はヤバいけど、健全だから仕方ないさ。
えーと、タバコタバコ…あ、あった。
「…最近暇だよね」
「んー?まぁちょっとは余裕あるし、最近海防うるさいみたいだからね」
「…ダッチは?」
「次の仕事の備品の手配。なんでも、手に入りにくい物だそうだ」
「へぇ…」
要するに…もう少ししたら仕事なんだな…。
「ああ、そうそうロック、コレコレ…」
「ん?なんだコレ?」
「いや、実はさ…」


610 :592 2/2:2007/05/19(土) 00:40:20 ID:Aorbonoi
「って事で…」
「好きにすりゃあ良いじゃねぇか!」
「だ、だからなんでそんなに怒るんだよ?」
「わざわざ話しにくんなボケ!阿呆!」
やっぱり怒るよなぁ…。
ベニーから貰ったのはソープ券だ。なんでもダッチがくれた物らしいんだけど、ベニーはあんまり興味が無くって、かと言って捨てる訳にも行かず…俺へ。
でも暇つぶしに貰う様なものなのかな?レヴィの所に来た理由は単純。道がわからないから。
聞く相手間違ってる気もするけど…

「ベニーとダッチはすぐに居なくなっちゃって…」
「また今度にすりゃ良いだろ?」
「あ、明日仕事になるかも知れないだろ?」
「…インポ野郎がソープなんざ、百年早ぇ」
「な、なんでだよ!俺は勃つぞ!」
「知るか!地図だけは書いてやるから勝手に行きやがれ…どうせテメェみたいな奴、行く勇気ないだろ?」
む…、ちょっとカチンと来たんだけど?
「なんでレヴィに其処まで言われなきゃ…」
「黙れチキン」
「…行ってくる!」


カッコつけて言うことか。フツー。ま、経験豊富なお姉さんに沢山遊んでもらって。もらって…。
ロックが他のアマに抱かれるだけだろ?ほら、ちょっと風呂に入るだけだ。肌と肌擦りあわせて…
…なんでだよ。想像すると嫌な気分になっちまう。大体下手すりゃアイツはチェリーボーイだ。キス一つ出来ねぇ男が出来るわけ…ねぇのによ。
「ロック…」

そ、そういやアタシも溜まってたよな。上手く行けば一石二鳥じゃねぇか。give-and-takeだ。アイツに経験させて、アタシも発散出来て…あ、アタシだって人間だからたまにゃどうにかしねぇと。
ただそれだけ、それだけだ。
体だけの付き合いなんてここじゃ珍しくねぇ。そうと決めりゃ…ちゃっちゃと追い掛けちまおう。

待ってろよ、チキン。


627 :592 1/3:2007/05/19(土) 22:51:58 ID:Aorbonoi
「珍しいわね」
「なぁに、近場に来ただけだ。たまには北の強い酒が欲しいしな」
「あらそう…」
「来客のもてなしは一流だな」
「ふ…あなただけは特別よ。ダッチ」
「そりゃどうも」
「泊まっていくのかしら?酒と女は紳士のたしなみよ?」
「女が一流過ぎて酒と吊りあわなくなる。そん時は女だけ戴くさ」
「そう…」
相変わらず良い女だが…触れたら火傷どこれじゃねぇ。いや、凍傷で腕ごともってかれちまう。なによりビジネスパートナーだからな。パラライカ。
「はい。ご所望の」
「ありがてぇ。ま、ゆっくりしていくさ」
旨い酒たぁ、飲む相手によって味が変わるんだよ…

「大尉!」
おっと…
「騒がしいわね。今来客中よ」
「構わねえ」
「申し訳ありません。実は応援を頼まれまして」
「わざわざ私達に?」
「はい。西の風俗街です。手の着けられない奴が銃を乱射しているとの事」
「確かにあの辺りには私達の管理下よ。でも…あそこはおかしいのが入らないようにキッツイ会員制にしたんだけど…」
…ん?
「そう言えばダッチ、あなたにもあげたじゃない?」
そ、そんな目で見るな。あんたのシマで銃をぶっ放すような奴は知ら…
「なんでも二丁拳銃…」
「ブッ!」
「…飼い主(オーナー)として躾が足りないんじゃない?」
…クソガキ共め。


628 :592 2/3:2007/05/19(土) 22:53:28 ID:Aorbonoi
「な、なんなんだレヴ…ひっ!」
な、何発か掠ってるよ…
「止まれって言ってるだろ?ロック」
「んなモン向けられて止まれるかよ!」
ひどい有り様だ。そこら中弾痕だらけだし、気絶してる人転がってるし、寄りによって店の玄関にレヴィ立ってるし。
「お、俺は何もしてないぞ!」
「あん?そのカッコで何いってやがる」
そりゃ半裸…ていうか全裸近いけど、ここはこういう店だ!
「なぁロック…アタシはお前に良いことしてやろうと思ってんだ。大人しく来いよ。な?」
…殺される。
「い、嫌だ。そんな事される位なら死んだ方が…」
「なら死ねぇぇぇっ!」
ガラスの割れる音、悲鳴、銃声。なんで俺がこんな目に…マガジンが飛んで来た!

ああ…意識が…


「もう逃がさねぇ…」
怖いよ。女の子に押し倒されるなんて本当は嬉しい筈じゃないか。なのに肩が痛い、目が怖い。

「ロッ〜ク?」
ん?この匂いは…
「レヴィ…お前、どれだけ飲んだ?」
「うっせ。いまいち踏ん切りが着かなかったから…五本は開けたかな」
なんでそんなに飲んだんだ!?
「踏ん切りって…意味がわかんねーよ!」
「酒の勢いだ。勢いで…」
「っ!」
「お前に…したい事があるんだよ…」


「む…ぅぅ」
「はぁっ…はっ」
な…なんだ。レヴィのキス?
「たまんね…ぇ。酒より旨いぜ。ロック…」
す、すげぇレヴィの唾液が…入ってきやがる。
「どうだアタシは…旨いか?」
「んく…」
「たらふく喰わしてや…る」
レヴィの酒のせいか…頭がぼんやりしてくる。酸欠になりそうだ。ああ、レヴィの後ろに人が見えるよ。パラライカさんとダッチだ。

…え?

629 :592 3/3:2007/05/19(土) 22:55:20 ID:Aorbonoi
「暴れるのはベッドの上だけにして欲しいわね。こんな所でサカるなんて」
「面目ねぇ…」
こいつら。こんな所で何してやがる。
「ぱ、パラライカさん!ダッチ!」
「ハイ、ヤポンスキー。トゥーハンドと仲が良いのは結構だけど、場所を選んでくれるかしら?」
「ち、違うんですパラライカさん!レヴィが勝手に…」
素っ裸で女に押し倒されてるのに、何が違うんだ?おまけにキスマークだらけじゃねぇか。
「はいはい。とにかくダッチにツケとくから、しっかり絞られてね」
やっぱり俺か。とにかく、こいつらをもって帰らねぇと。
「すまねぇ。パラライカ」
「残念。もっとゆっくりして欲しかったのに」
「埋め合わせはする」
「そう。じゃ、またね」
お守りもする。お迎えもしなきゃならねぇ。ケツも拭いてやるとは…とんだ災難だ。覚えてやがれ。


「んで?何があった?」
「よく覚えてねぇよ…」
「じゃあ質問を変えてやる。どうして潰れる位飲んだんだ?ドギツイ酒片っ端から開けやがって」
「…」
言えるかよ。ロックと犯る踏ん切りが着かなくて飲んだなんて。一回思い切ったってのに出来ねぇなんてアタシらしくねぇじゃねぇか…
「…ロックは?」
「絞った。むしろアイツは被害者だ」
「はぁ?」
「お前、本当に覚えてないのか?」
「だから言ってるだろ?」
「チッ…ロック?」
「ふぁい…」
ん?なんだ。アイツは寝起きか。ソープなんかに入り浸ってるから…ってああ!?
「ロック!テメェ!」
「?」
「そんなモン見せながら来るんじゃねぇ!」
「え?」
その首もとに付いてる虫さされみてぇなキスマークの事だよ!
「おネェちゃん達にエラく優しくして貰ったんだな?」
「…ダッチ」
「ああ。お前が可哀相になって来た」
「コラ!ロック!」
二人して溜め息つきやがって、一体何だ?!

今は本当の事を言うべきか悩んでる。俺はどっちにしても痛い目見るだろうけど。因みに店では経験出来なかった。
レヴィが覚えてないのが惜しい気もする。例え酒の勢いでも、レヴィの意識が俺に向いてたから。
唇舐めたらアルコールの匂いがしそうだな。あのまま襲われてたら俺は…
ほんの少し後悔しながら、俺は昨日の疲れを取る事にした。


655 :592 1/2:2007/05/21(月) 23:57:37 ID:yWsLxiOe
イエローフラグと言えば、ロアナプラで名の知れた店だ。
この店の魅力とは?
正直言えば格別旨い酒が飲める訳でも無く、かと言ってめちゃくちゃつまみが旨い訳でも無い。
じゃあ何故?

この店には老若男女を通り越した個性豊かな客が集まる。と言えば聞こえが良いが、実際の所無法者の巣窟だ。要するに客を選ばない。
ギャンブルがヒートしてテーブルをたたき割るのも、勝手に広場を作り喧嘩するのも、ギャングの馬鹿騒ぎも、店主はたった一言。
「いつもの事だよ」
とポーカーフェイスを崩さず、どこを読んでいるかわからない新聞から目を離さなかった。
店主は大物であると感じさせる一言である。この大器が、イエローフラッグに繁盛をもたらしているのかも知れない。

しかし、そんな店主でさえ苦手な客が居ると言う。
彼らは大抵グループでこの店にやって来ては、チップでは無く銃弾をばらまいて帰ると言うのだ。
「俺を巻き込むな!」
店主曰く、彼らが来る日には必ず予兆があると言う。にわかには信じがたいがこのロアナプラでは、都市伝説に近い情報が流れる事があるらしい。
それは例えば、メイド服の美人が徘徊する。フランス人形のような双子が人を殺して回っているなどの到底信じられない様な物の場合。
店主は彼らの往来を察知し、無性に店を閉めたくなると言う。
「奴らがとんだ災難を持って来やがるんだ…」
幾ら無法者の集まりとは言え、店内で銃撃戦を起こす様な客はいないと思っていたが、店主はその楽観を覆す発言をした。
「奴らの中に居るんだよ。むしろ喜んでぶっ放してる様な奴が…俺の店を穴だらけにしやがって…よぉ…」
店主は涙を堪える様に言った。更に恐るべきは、これよりまだ酷い惨状があったと言うことだ。これについては後述したい。
元々防犯用としてカウンターの下に取り付けていたショットガンは、それどころではない災難の為に使っている様だ。

656 :592 2/2:2007/05/21(月) 23:59:08 ID:yWsLxiOe
接客業である以上店主は、これまで様々な客を見てきたと思うが、そのどれもが信じられない物だったらしい。
「奴らは四人組でよ…言ってみりゃ中国系の破壊マニア、奇人変人の大男、パソコンオタクの白人…あとは平和ボケの東洋人」
なんともデコボコな組み合わせに思えるが、彼らの仕事は有名でロアナプラでは名の知れた存在のようだ。
「他にも娼婦みてぇな尼、それに刃物オタクのチャイニーズ、やべぇファッションのネェちゃん、優男にどっかの親父が来たときには、火炎放射器ぶっぱなされたかなぁ…」
このような状況で店が保つはずが無い。しかしこの店は掃き溜め、射撃場同然にも関わらず、何故か新築同然の新しさが漂っている。これは店主の証言で合点がいくのだ。
「スポンサーがいてね…」
驚くべきは東南アジアで屈指のギャング、ホテル・モスクワが半ばスポンサーについている事だろう。

それでも店主の悩みは尽きない。命が幾つ有っても足りないとは彼の為にあるような言葉だ。

「俺の店…」

そして半壊はおろか全壊し、店が炎に包まれた時始めて彼は涙を流す。呆然としながら膝立ちになり、ススと煙で真っ黒になった彼を見れば同情を禁じ得ない。
店主の最近の関心事。それは彼がガラにもないと自嘲しながら話してくれた事だった。そのまま書こう。

「東洋人のアンちゃんが仲間を連れずに一人でやって来るんだ。コイツが物好きで、よりによってあの破壊マニアを好いたらしい。
とは言えアンちゃんは割りと話が出来てな。いっそのことあの火薬狂いを娶るか孕ませでもして大人しくさせてくれりゃ良いんだが…無理か」
店主が知るところに拠れば相手の方もまんざらでは無く、その東洋人次第によっては風向きがよくなると言う。
ロアナプラでは珍しい話なので、機会があれば是非追いたい話である。

後付け臭いがイエローフラッグの繁盛は結局の所、店主の血と汗と涙と忍耐とホテル・モスクワの資金に拠る物で、店主の存在は微妙である。ただし、彼の神経は尋常では無い強さであり、彼以外の店主は有り得ないだろう。
これにて、紹介を終わる。


小さな情報誌がゴミ箱の中に投げ込まれた。持っていたのは破壊マニア、その人だ。
「ロック?」
「ん?」
「お前…アタシに何しようとしてるんだ?」
「え…」
「誰が火薬狂いだっ!」


670 :592 1/3:2007/05/23(水) 01:46:51 ID:ud8eDSVK
生者の国。俺とは違う世界にある故郷、日本。死者となって戻ってみればその代価と言うべきか、俺の目の前で色々な事態が起こった。
そして、後悔する程に関わってしまった。
不器用な人間。純粋な人間。忠実な人間。
そのどれにも俺は、仕事人としては失格と言って良いほど感情移入して、結局何も起こせなくて。
ただその終末を見る事しか出来なかった。

バラライカさんに楯突いた事。
暴力と金がどれほど強いものか思い知らされて、俺の激情など無力だった。
鷲組の雪緒ちゃんと銀次さん。いつの間にかどうしようも無い力の渦に巻き込まれて、その中で懸命に自分の道を見つけようとして、足掻いて、死んだ。
彼らは自分の生き方を全うしたのかも知れない。
でも俺にはそう思えなかった。仕方無しに、自分の置かれた状況で出来る限りの事しか出来なかった。それが本当じゃないだろうか。

やるせなさを抱えて俺が出来るのは、だらしない顔で酒を煽る事だけだった。


「なぁレヴィ…」
「あん?」
日本に来て本当に頼れたのはレヴィだけかも知れない。それと俺を励まそうとする健気さが、何となく見えた。
俺はまだ礼も言えていないのに。
「ありがとう」
煙草を灰皿に擦りつけながら、面白くなさそうな顔をした。
それでも俺に付き合ってくれていたのはレヴィだ。
「…けっ。ならそんなシケた面見せんじゃねーよ」
「ああ…」
飲み過ぎて気分が悪くなった頃、俺たちは店を出た。

671 :592 2/3:2007/05/23(水) 01:47:43 ID:ud8eDSVK
「アイツらの事だろ」
宿にしているホテルのベッドで、俺とレヴィは並んで座っていた。レヴィにしては饒舌だ。俺は煙草をふかす沈黙で応えた。
「まだ割り切れねぇのか?」
「…」
「まず姉御を敵に回したのが悪いな。それに要領が悪い。ま、一番悪いのは…」
レヴィの言葉が引っかかり、俺は頭の沸騰を抑えるように煙草の火を消す。

「ガキの癖にいっちょ前にリーダー気取ってた哀れなお子様と…」
それ以上は言わないで欲しい。
「ささやか過ぎる平和ボケを願ってた時代遅れの武器オタクが…」
拳を握り締めた。
「お涙頂戴の大芝居を打った事だな!いや、笑えるぜ!ハッハッハ!」


ベッドの軋んだ音がした。俺の両手はレヴィの胸元を掴んだまま、押し倒していた。代わりに浴びせられたのは冷笑の目だ。
「何だよ?無能の癖に何回も口出ししやがって!姉御の時もアタシがいなかったらどうなってたんだ?」
「うるさい!」
「アタシも黙らせられねぇのかよ?女一人止める事も出来ねえ奴が何をほざくんだ?」
「うるさいって言ってるだろ!」
「ここで本当に骨になりな。それであの世でアイツらと仲良くお話…」
「黙れぇっ!」
俺の手が服を引き裂いたのは一瞬だった。

672 :592 3/4 :2007/05/23(水) 01:49:09 ID:ud8eDSVK
眼の前にある、レヴィの体。俺はその胸を掴みにした。俺の手の爪痕が残る程、強く。
「ぐっ…」
レヴィが小さく呻く。
堪えている形の唇を貪った。無理やり俺の体液を流し込んで、嚥下させて黙らせる。
もう片方の手はスカートとストッキングを引きちぎって、下着越しにレヴィの性器に触れていた。その指に湿り気を感じるまで、胸と唇を蹂躙する。

「後ろ向けよ」
レヴィをうつ伏せに転がして、尻の方に座った。レヴィは息を整えながら、肩越しに俺を見ている。
下着を取り去ると準備は出来ていて、ソコは潤っていた。
「黙らせてやるよ」
俺はそう言ってチャックに手を掛け、さっきの愛撫の時に勃起していた自分の性器を取り出す。
レヴィのソコにあてても、レヴィは抵抗しない。むしろ挿入を待ち構えてる様だった。
「くっ!」
その柔らかい粘膜を絡めながら、俺の男はレヴィに侵入する。下半身を抱えて抽送を繰り返すと、レヴィへの支配感が増した。
「ふぅ…うっ」
「気持ち良いんだろ?レヴィ」
「なんで…だよ」
「胸も口もソコも好きにされて悦んでるじゃないか?」
「それはお前が…」
「お前もだろ?今止めたらお前が収まらないだろうが」
「ん…っ」
だんだんレヴィの声が艶を帯びて来た。その分俺の限界も近い。
「中でも問題ないだろ?」
「ば、バカ、やめろ!」
「そんないやらしい顔してて、良く言えるな」
レヴィの目は虚ろだ。こうなるとあっちの限界も近い。
「な、中だからな」
「や…やべぇ…もうアタシ…ダメだ」
「イクぞ!」
「くぅっ!」
下半身を抱えていた手に震えがあった。どうやら痙攣したらしいが…俺は止まらない。
「まだ終わらねぇ…」
「む、無理だロック!無理だって!」
俺とレヴィ。両方の意識が消えるまで、俺はレヴィが犯し続けた。



673 :592 4/4:2007/05/23(水) 01:50:31 ID:ud8eDSVK
目が覚めた時、カーテンの向こうは明るかった。朝だ。
隣には疲れの汗を滲ませた、レヴィが居た。
「起きたか」
レヴィは面白く無さそうに、煙草を取り出す。
「…落ち着いたか?」
「ああ…」

途中で気付いていた。レヴィが煽っていた事。そしてその発散を少しでも、レヴィが体でさせようとしていた事。
素知らぬ顔で言った。
「もうすぐ日本を発つんだ。寝てても良いぜ?」
「ゴメン、レヴィ…」
「全くだ。アタシはダッチワイフじゃねぇってのに」
俺にライターを投げ渡す。
「火」
「はい」
黙ってくわえた煙草に火を点けた。俺も一服して、周りを見渡す。
「…残念だったな」
「もう良いよ。レヴィの言う通りだった」
「そうか…」
俺より早めに煙草を消した後、レヴィは下着も着けずシーツを被りなおした。
「誰かさんのお陰で体が痛いからな…」
意地悪く言って、わざとらしい寝息を立てた。俺も同じようにベッドに潜った。

薄暗いシーツの中で目が合った。俺が手を触れさせると、自然に指を絡めてくれた。
日本を発つまで後少し。
俺はもう片方の手でレヴィを抱きすくめながら、眠りについた。







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