22 :祝福ネタ 1/4:2007/07/16(月) 23:49:15 ID:TCangzBg
「えーと…まず出席者の方々ですが…諸用により欠席とさせて頂きますので、御祝電を持って挨拶に帰させて頂きます…と」
「案外バオさん…ちゃんとやるんだな」
「苦労人だからね…」
「テメェらのせいだろうがあ!」
あ、聞こえてた。目の前に広がるヴァージンロード。背中にあるのはロアナプラで有名な暴力教会(リップオフ・チャーチ)。俺はそのど真ん中で白いタキシードで、レヴィは…ウェディングドレス。
本来ならコレを拝めるだけでも喜ばしいんだけど、目の前にある「料理の置かれていない」テーブル。来賓者がいない筈なのに無数に泊まっている車。嫌な予感がしてならなかった。おまけに視界の端に…
「ガ…モウ少シデ…完成…シェンホア」
「はいはい。コレが必要アレアルよ?」
「ふ…どうか気にしないでくれ…」
キザなイケメンのお兄さんと、中国人と、如何にもヤバい感じのゴスの女の子が何か書いてるし。なんか妖気が見えるんですけど。
「レヴィ…」
「んー?」
こんな時まで煙草は吸わないで欲しい。ドレスがヤニで汚れるから。
「それでは新郎、岡島…」
あ、カトラス。どこから出したんだ?
「レヴィ、若しくはレヴェッカとロックで良い。バオさん?」
「…こ、これより、新婦レヴェッカと…」
あーあ、バオさん泣いちゃったよ。

「まず、ラグーン商会のダッチ様とベニー様からの祝電です」
「ま、常道だな」
「この中じゃまともなメンバーだしね」
「ダッチ様からは…展開が読めるから俺は行かない!ロック、レヴィに任せろ!だそうです!」
「解ってんじゃねえか。ダッチ」
ごめんレヴィ。俺も泣きそう。
「ベニー様からは…僕にはジェーンが居るから良いもん!だそうです」
「…」
「ベニーはラグーン商会の中で一番普通の人だって自負してたし…」
ああ、身内でさえねじ曲がってるんだな。こういう時にあっちのベニーになってるとは…爽やかキャラで行けば良いのに。

23 :祝福ネタ 2/4:2007/07/16(月) 23:51:01 ID:TCangzBg
「続きまして…ホテル・モスクワ代表、バラライカ様より」
「姉御は…」
「子を作れ!ホテル・モスクワは有能な人材を、その卵を募集している!ロック!手を抜くな!トゥーハンドも人間だ!」
…頼むから俺に銃を向けないでくれ。バラライカさんは俺とレヴィの遺伝子を狙っていたのか。
「ベッドの上では上下をぎ…」
「完読すんな!」
うーん。監視カメラとか仕掛けられてるのかな。

「三合会(トライアド)のチャン様より…」これは俺が気になるんだよな。レヴィは中国系の血が混ざってて、チャンさんは中国人。華僑かな?
俺の知らないレヴィを知ってる。おまけにレヴィと同じトゥーハンド。んー…
「おめでとうトゥーハンド。遂に此処まで来たんだな。正直、驚いている。だが俺の事は忘れるなよ?トライアドは何処かでお前たちを見てる」
「チャンさん…」
涙ぐんでるよ。大人だよチャンさん。もしかして本当はチャンさんの事を…
「ん?なんだ?嫉妬してるのか?」
「だ、誰が!」
「へっ、まあ心配すんなよ!」
「…敗北感だ」

「ヘンデルとグレーテルのグレーテル様から…」
ちょっと待ってくれ。おかしいぞ。ネタだから復活は良くても、なんでこの順番なんだ?普通なら此処は革命家の竹中さんじゃ…
チャンさんの次だし…
「こんにちはもう一人のお兄様。これだけ言えば解ると思いますわ」
「…ゴゴゴ」
効果音が会話の代わりに入ってる位反応してるよ。さっきのチャンさんの仕返しって事でココにしたのか。
うん、コレだけレヴィが燃えてるって事は心配は無いんだろうな。…なんか祝辞を止めなきゃいけない気がするけど。
「お兄様は優しかったです…今度はちゃんと最後までして下さいね。人のモノを奪うってだけでもゾクゾクするのにそれがお兄様なんて。更にあの女から奪う。神に感謝致しますわ」
「ブッコロス!」
案の定か。

24 :祝福ネタ 3/4:2007/07/16(月) 23:52:37 ID:TCangzBg
「ラブレス家一同様よりも、御祝電が届いております」
「バオさん様になってきたな」
「実は天才だったりしてね」
あのメンバーで一番まともなのはガルシア君だ。純粋だし、とても側近にターミネーターがいるとは思えない。君の純粋さが惜しいよ。
「まずガルシア・ラブレス様から…僕みたいに、パパとママが居ない事が無いように、幸せな家庭を作って下さい…」
「やるな…」
「うん…」
さて、問題は…
「ガルシア家メイド一同様からは、言葉より良いものがあるでしょう…と」
本当なら感動的な一言かも知れないけど、またこの言葉が出てきたって事はもうすぐなのかな…ソードまで取り出さないで下さいレヴィさん。

「鷲峰組組長、鷲峰雪緒様と側近、松崎銀次様から」
「…」
「…」
一番後味悪かったもんなあ。
「新郎新婦のお二方に、お祝い申し上げます。手前の思いとしましては存命なら日本で式を挙げ、和風の挙式を拝みたかったのですが叶いませんでした。あの世からですが別に恨んじゃ御座いません。死合いとはああ言う物でした。どうかご気になさらず。これは松崎銀次様からです」
銀次さんは男らしかった。俺もその内は…雪緒ちゃんにとっての銀次さんみたいに…
雪緒ちゃんの方は謎だ。
「鷲峰組組長、鷲峰雪緒様より、新婦様に向けてです」
「アタシ?」
そう言えば関わり少なかった…ていうか殆ど繋がりなかったよね?日本編の主役俺っぽかったし。何を聞くのかな?
「岡島さんは言わないでしょうから聞きます!日本では何処までいったんですか?」
「…こいつエダじゃねえのか?」
「何かあったの?」
「何でもねぇ…」



「最後…シスター・エダ様より」
「さあて…喉が乾いた…」
何処からともなく取り出した酒瓶をレヴィはラッパ飲みする。もう話を聞く気は無いらしい。余程エダが嫌いみたいだ。
「アイツが何言ったって…」


「言いたくねェな」



あーあ、バーボンぶちまけちゃった。
「だから何かあったの?」
「だ、だからなんでもねェ!」

25 :祝福ネタ 4/4:2007/07/16(月) 23:54:14 ID:TCangzBg
「以上、これを皆様のご挨拶に代えさせて頂きます」
やっと終わったよ。視界の端の魔法陣っぽいのが大きくなってる。それにしてもあのゴスの子、似合うなあ。
「…シェンホア…出来タわ…」
「よくやったよソーヤー…あれ?変なの出てるね?」
今更かな。紫色のオーラっぽいの、もうどんどん出てるし。「配置に付け」とか聞こえる。バラライカさんだろう。多分トライアドの皆も。ああ、ダッチ早く。
レヴィがもうワクワクしてるよ。ドレスとか破ってる。ちょっとだけやらしいかも。
「んー…ロック」
「何?」
「ゴングは教会のベルなんだ。アレは…」
「解ってるよ。ほら、いってらっしゃいのキス」
「ん…」


皆いない筈なのに拍手。
同時に…最初は…魔法陣より。

「ではお勤めを。銀さん。双子さん」
「かしこまりやした」
「はぁい。姉様、楽しみましょう?」
「そうね兄様…」
頼む双子。今そんな目でこっちを見ないでくれ。やっぱりテーブルが障害物か。ホテル・モスクワとその他諸々の方々の配置も完了。
「こんな楽しいパーティー…乗らない手は無いだろ?」
「行ってらっしゃーい…」
「ま…一汗かいたらお前にも一汗かかせてやる。初夜だ。今夜は激しいぜ?」
「いつも最後に失神してんのはお前の方…」
「行ってくる」
あーあ。飛び出しちゃった。
瞬く間に広がる銃声、悲鳴、血しぶき、弾痕。ロアナプラの日常。
生きてる事って素晴らしいよね。




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