787 :名無しさん@ピンキー:2009/10/19(月) 02:01:42 ID:SO1Ol9Dy

「…あの………レヴェッカさん…ナニして…」
事務所のソファでの仮眠から醒めたロックが最初に目にしたのは、痴女よろしく剥き出しになった女の股間だった。
要するに顔の前に跨がられている。ぬらぬらと濡れてヒクついているピンク色の粘膜までばっちり見える。関係を
持ったことの無い相手にも関わらず、その割れ目をレヴィのものだと認識できたのは、目の端に床に放り投げら
れた彼女のコンバットブーツの薄汚れたカーキ色を捉えたからだ。
「溜まってんだよ」
だが、ロックの動揺など意に介する様子も無く、彼のベルトをがちゃがちゃと外しながら、レヴィは端的にこの破廉
恥な振る舞いの説明を終わらせる。
「溜まっ……っ!?ぉ…女のコがそんなこと言うモンじゃない!」
この状況を何とかしなければとは思えど、それには目の前の真っ白な尻に触れて押し返さなければならない。見
ないように目をつむりながらレヴィの言動をたしなめる。
「うるせ…っ!いいからさっさとおっ立てろっ…」
レヴィは引きずり降ろしたファスナーの隙間から、多少の反応はしているが女に侵入するにはいまだ役者不足な
ソレを引っ張り出し、待ち切れないとばかりに扱き始める。
何と言えば諦めてくれるだろうか。いくら女とご無沙汰だからと言ってもこんなのは自分のポリシーに反する。いく
ら何でもいかがなものか。

「…疲れてるんだ、性欲なんか湧くかよ」
取りあえず正直なところを話してみるが、我ながら枯れている。とは言えセックスは疲れるのだ、それよりも今は睡
眠を取りたい。いや、マジで。
「お前さぁ、前から思ってたけど、タマあんの?」
予想はしていたが、そんなことではレヴィはこの不埒な行為をやめるつもりは無いらしい、心底呆れ果てた口調で
男としてのロックを全否定。
「…あー。あなた様が破廉恥にも引っ張り出して下さってるソレとソレは何なのですか?」
「ぁ、コレそうなの?マっジかよ、使って無ぇからカビ生えちゃってるぜ?そのうち棒共々腐って落ちるんじゃ
 ねぇの?」
心底可笑しそうにゲラゲラ笑いながら、先端をぐりぐりと指で刺激してくる。不本意にも下半身に血が集まり始めて
いるのが解る。
「っ…ひ…人聞きの悪いことを!清く正しく健全な関係しか持ちたく無いだけだ!」
声を裏返しながら抗弁するロック。だがレヴィはくつくつと嗤い声を上げながら「お前バカだろ、棒持ってて目の前に
穴があるなら黙って突っ込みゃいいだけのハナシだろ?清いも正しいもあるかよ」と独自の理論を展開する。
顔にますます近づいてくる尻。陰毛を滴る淫液。淫売扱いされたくないのではなかったか…・。正直、こういう言動不
一致な女と心の準備無く寝るのは面倒臭いのではないか。現実逃避のようでやけに現実的なとりとめも無いことが
ロックの頭を駆け巡る。
次第にロックの顔の周りに満ちる女のフェロモン臭。だが、シャワーなんか浴びてないであろうソコは、同時に一日
のうちに蓄えた様々な匂いをも放っていて…興奮よりも先にげんなりしてくる。

788 :名無しさん@ピンキー:2009/10/19(月) 02:03:07 ID:SO1Ol9Dy
「ぉ…女のコ…は、もっと…自分を大事にだな…こんなのは間違ってると思わないか?な?お…俺は今セック
スなんかしたくないぞ…」
レヴィのことは、まぁ、大切だ。だが、だからこそこんな自分を安売りするような真似は看過できない。しかも安売ら
れる先が自分。正直、こういう大切なことでこんな叩き売りの安物は買いたくない。ロックからしてみればここぞとい
うときに、心に決めた女を心をこめて愛せればそれでいいのだ。
「ああぁぁああっ!うっぜぇぇっぇ……んぐっ…」
だが、イライラと低く唸ったかと思うと、一気にレヴィの喉奥まで飲み込まれる陰茎。どうやら逆効果だったようだが
暖かな唾液に満たされたレヴィの口の中は、正直……最高に気持ちがいい。
だが、こんなのはどう考えても道理に悖る。
「って…そんなこと…っ…!やめろってば!誰にでもしてイイことじゃないだろ!?ちゃんと好きなヒトとだな…」
もう、四の五の言っていられない。尻に触ろう。この白くて柔らかそうなそれを一度押し返して、冷静に話し合おう。
今の自分たちに必要なのはまずは話し合いだ。全くもって冷静ではない頭で、そう決意する。が…。
「ふりゅへぇから、しゃびゅってりょ…」
「ふがっ…」
ビチャッと音を立てて尻…いや、レヴィの女性器が口に押し付けられた。最悪だ。尻の穴と鼻の頭がランデヴー…
最低だ。

大体、夜這いしてきた同僚と会社のソファでシックスナイン。どんな企画モノAVの超展開だ。
鼻から唇にかけて擦り付けられるレヴィの割れ目。顔が彼女から滴る体液でびっしょり。 押しのけようにも、微妙に
歯を立てられていたのでは噛み付かれかねない。いくら枯れているとは言え、さすがに食いちぎられるのはいやだ。
シックスナインが嫌なのではない。愛し合い求め合う中、自然な流れでこうなったなら素直に受け入れる気にもなる
だろう。だがどう考えても今のこれは不自然極まりない。

レヴィによって強く吸い上げられる陰茎。目視は出来ないが、すっかり硬くなっているのが自分でよく解る。身体の
欲求に抗おうと思うほどに荒くなる息。
初めは嫌で堪らなかった股間の匂いも麻痺して気にならなくなり、フェロモン臭だけがひたすらに頭を酔わせる。
それにしても、レヴィのフェラチオは上手い。的確に快感を得る場所を絶妙なタッチで責めてくる。明らかに慣れ切っ
たそれ。そのことに何故か異様に傷つく自分。レヴィにとってこの行為は特別な意味など何も無い、極ありふれたも
のだということだ。今日はたまたま自分の元に来ているが、別に誰が相手でも構いはしないのだ。

「そろそろだな」
そう満足気に呟いたと思うと、押し付けられていた尻が離れていく。
レヴィの身体がこちらを向く。そういえば目覚めてから初めて顔を見た。お互いの恥部はこれでもかと言うほど晒し
合ったというのに。はやりこんなのは間違いだ。
「レヴィ…」
名前を呼びながら起き上がろうとすると、両肩を掴まれ、そのままソファに押し付けられる。
挑発するようににやりと笑ったかと思うと近づいて来る唇。
重なりあったそこからは高濃度のアルコールの匂い。
これは相当酔っているに違いない。このままヤって明日の朝に変な言い掛かりをつけられないだろうな。まぁ、それ
は無いか、彼女は行為を感傷的に捉えてなどいない。これは数ある享楽の一つなのだから。

正直、もうどうでも良かった。枯れているとは言っても散々煽られて、身体が熱を吐き出したがっている。自分にとっ
て最も身近な女を性欲処理に使うのにはいまだに抵抗があるが、煽ったのはこいつだ。文句を言われる筋合いな
んてこれっぽっちもありやしない。
様々な言い訳を頭の中でこね回す。
ああ、恋人以外と関係するなんて初めてだ。この先、ロアナプラで恋人なんて存在が出来る気はしないけど。

789 :名無しさん@ピンキー:2009/10/19(月) 02:08:10 ID:SO1Ol9Dy
「はっ…やっとその気になったみてぇだな」
ようやくキスに応じ始めたロックにレヴィの声がかかる。お前は俺のことを何だと思っているんだ。不能なんかでは
ない。ただ、理性というものを少しばかり知っているだけなのに。そう悪態を吐きそうになりながらも、「……本当は、
こんなのは嫌なんだ」と言うに留める。
「そんなに嫌か?あたしが」
微かに傷ついた様子のレヴィに「だって、レヴィは俺じゃなくてもいいんだろ?沢山の相手のうちの一人なんて、ま
っぴらだ。心をこめてシないならただの動物じゃないか。野良犬と変わらない」と俯きながら零す。
「こんだけ硬くしといて随分と言うじゃねぇか。けど流石のあたしも犬とはファックはしたくねぇ」
小馬鹿にしたようにロックをゴシゴシと扱き上げるレヴィの節ばった指。手を伸ばしてそれを止めると、口が勝手に
動き出す。
「…………溜まってるだけなんだろ?たまたま今日の相手が俺なんだろ?欲求不満を解消出来るなら誰だってい
 いんだろ?違うのか?」
「…………………そうだよ。解ってんなら黙って犯されてろ、チェリーくん」
言うなり隆起したロックのモノに身体を沈めてくる。
「せめてさ、ちゃんとコンドームくらい使おうよ」
奥まで埋め込み、早速腰を使い始めたレヴィを見上げて窘めると、心底面白くなさそうな顔で「病気なんざ持ってね
ぇよ」と睨まれた。これだけ奔放な性生活を送っていたのでは、その言葉は信じるに値しないが、この街で生きるこ
とを決めてから長生きなんか諦めている。そんなことよりも…。
「それだけじゃなくて!!!!俺のベビーなんか要らないだろ!!?」
一番傍にいる女を意図せず孕ませたのでは寝覚めが悪い。それがレヴィの自分勝手による自業自得でも、彼女の
ことは……大切だ、………多分。

…そうなのだ。
これから先の未来、どんなことがあっても隣にいるのはこの女以外考えられない。腐れ縁という言葉で片付けるの
もしっくり来ない。彼女が自分を粗末にするのは心が痛む。自分の矜持を曲げる云々よりも、そのことが許せない。
いつもこんなことをしているのだろうか。最低限の安全策も取らずに、享楽のまま他の男と交わっているのだろうか。

考えるだけで、苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて苦しくて…たまらない。

何故?そんなの決まっている。
レヴィが大切だからだ。
一番身近な女という理由じゃない。

好きなんだ。

レイプされて気づくとは、我ながら鈍感という他ない。

「…………テメエが…中で、出さなきゃ、いいんだよ…」
なのに、この女は最後の安全策をもこちらに丸投げする。こちらはさっきから理性をフル動員して『このメスに種を
蒔きたい』というイキモノとしての本能と戦っているというのに。
「それは…信頼されてるってことか?なら、買い被り過ぎ、だ。………お前に入れてる…ってだけで…イキそうだ」
「インポのクセに早漏たぁ…大概終わってやがる。根本にっ…ワイヤー…、巻いて…やろうか?」
「ごめん被る、よ…」
たとえ根元を押さえつけられようと、この衝動が収まるようには思えない。暖かくて、艶かしくうごめくレヴィのメス。
この中に吐き出したくてたまらない。
ロックを馬鹿にしながらもレヴィは動きを止めようとはしない。それどころか、耐えるロックを上から見下ろしながら
「ぁはっマジで、イキそうなっ…ツラして、やがる」と楽しげに口元を歪ませる。
「………溜まって…る…んだよっ…!!」
そう歯を食いしばりながら彼女に倣って苦し紛れに言い返すも、口で散々煽られた挙句に味わう生身の女のカラ
ダ。しかも、唯一無二の女と自覚してしまった相手。
息を吐き出すと同時に、身の内のものをも吐き出さんとする欲求が沸き起こる。
やばいと感じて腰に跨がる女の身体を引きはがそうとするが、彼女はどこか思い詰めた笑みを浮かべてロックの
肩にしがみつく。
「レヴィ!!!やっぱり駄目だっ!!!!!嫌だぁぁぁああ!!こんなのはっ……っ!!!」






790 :名無しさん@ピンキー:2009/10/19(月) 02:11:18 ID:SO1Ol9Dy
天井に紫煙が昇る。
ソファに仰向けになったまま両腕で顔を覆うロックの傍らで、床にあぐらをかいたレヴィは2本目のタバコに火を
点けた。
ロックが懇願するように叫んで以降、二人の間に言葉は無かった。
少なくともロックには伝えたいことは両手に余るほどあるのだが、それを言葉にすることができないでいた。

「泣くほど…あたしが嫌いかよ」
…行為を終えて、初めてレヴィが口火を切る。

違う。
嫌いなのではない。
好きなのだ。
好きなのに、こんな噛みあわない行為をしてしまったことが悔しくてたまらないのだ。
こんなに好きだと気付いたのに、結果はただ彼女の自虐的な享楽に加担しただけ。
悔しくて悔しくて悔しくてたまらない。
伝えたいことは沢山あるのに、口を開こうとするたびにみっともなく嗚咽がこぼれる。
それが更に悔しい。感情が空回る…悪循環。

「病気は…無ぇから…多分…」
違う。そんなことはどうでもいい。
伝えたいのに、口から出るのは意味を成さないうめき声。先程から首を振ることで何とか意思を伝える。
レヴィは心底困り果てたように溜息をついて、ひとしきり何か考えるように「あー」とか「くそっ」とか、そんなことを
呟いた後に「真面目に考えんなよ、その…あれだ、何かあってもあんたに『責任取れ』とか、そういう染みったれた
こたぁ…言わないから」と、呆れるほどにあっけらかんと言い放つ。
何でそんなこと言うんだよ!!!何でそんなに自分を粗末にするんだ!?どうしてさっきからこんなに噛みあわ
ないんだ!!??
俺がこんな風に何も伝えられないからだ。
だが、感情の波が激しすぎる。悔恨ばかりが押し寄せてくる。

「…ごちそうさん……ま、運が悪かったんだ、あとは精々好きな女のためにテーソーってヤツを守っときなよ」
2本目を吸い終えてレヴィが立ち上がる。
今彼女を帰しては駄目だ。今帰したのでは何も変わらない。レヴィはこれからも自身を安売りし、自分は唯一の女
を永遠に失う。
床に脱ぎ捨てた下着に脚を通すレヴィの腰に力一杯しがみ付く。
「…!!?ナ…ンだよ…」
「……た…た…たまって…るなら…おれが…がんばるから…他のヤツとは…やめ……いや…だ…」
「…は?」
「……行くなよ…もっと…自…分を、だいじに…レヴィ…レ…ヴィ………俺、頑張るから……」
好きだとはどうしても言えなかった。それを伝えて鬱陶しく思われれば、きっとレヴィは彼女にとって都合のいい
オスのところへ行ってしまう。今は、いつかのように持論を押し付ける場面ではない。レヴィのプライベートに干渉
するのも、彼女を独占したいのも、自分のエゴだから。

「……………………早漏インポのくせに…」
暫しの沈黙の末、彼女の腰に回した腕が躊躇いがちにそっと撫でられた。

「病気なんざ持ってねぇって言ったろ」
ロックの興奮が落ち着いた頃、レヴィはぽつりとそう零す。意味を理解しようとするが、彼女がマメに検査している
とはどうしても思えなかったから「…いつもはちゃんとゴムつけてるのか?」と真顔で返す。
レヴィはいまだ腰に抱きついたままのロックの腕を振りほどいて一発シバき倒すと、「2年ぶりだっ!」と言って床
に残ったホットパンツとカトラスをさっさと拾い上げて身に着ける。

「…お前、さっき頑張るっつったよな?満足させねぇと、カビだらけのタマ潰して海に捨てるからな」

目を白黒させるロックに少しだけ嬉しそうに吐き捨てて、レヴィは事務所を後にした。


おわり




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