230 :名無しさん@ピンキー:2013/11/11(月) 22:13:00.01 ID:S+fHl7Kp
薄暗い外、雨音、温い空調。全身の疲労と不自由な感覚に目を開ける。
今この瞬間が昼なのか夜なのかわからない。夜と言われても信じるし、昼と言われれば納得する。それくらい意識は朦朧としている。

「…ん」

身を捩り、開けっ放しの部屋の扉に目を移す。人気が無い。この家の主は外出しているのだろう。
確認をしようと思えば出来る。足は動く、ただ腕は動かない。後ろ手に縛られているからだ。
ここが何処とも見当の付かない場所であれば、チャンスは逃すまいと持ち前の運動神経を活用し部屋から飛び出し
家主が居ないことを確認したら刃物かライターでも探すところだ。けれどここは愛しい男の部屋。

「…何処行ったんだ。あのバカ」

ベッドの上で身体を仰向けに持ち直し、天井をぼんやりと眺めながら呟く。

「…早く…帰って来い…ロック」

目を瞑り部屋の主の名を呟く。切なく艶のある声は雨音に紛れて消える。

――――――――

この異常な光景の始まりは半日前と言えばいいのだろうか。
先日起きたロアナプラ全体を巻き込んだ殺人メイドVS合衆国の後遺症が未だに残り、仕事がやり難くなっている中
止めに大型の台風やらなんやらで仕事のほとんどが流れていった。機材、銃器等の在庫確認、或いはメンテナンス。
流れたスケジュールの調整や雑務と言われるものまで全てやりつくし
本格的に仕事と名の付くものが無くなった末、事務所のボスから自宅待機を言い渡されたのだ。
有り余った突然の休暇に事務所の用心棒レヴィと、水夫兼経理事務担当のロックは困惑しながら
いつもの一杯をやりに酒場へ出向くが外はかなりの暴風雨。酒場のマスターも何で来たんだ、と言わんばかりの顔をするが
そもそもこんなときに店開けている方もどうなのかと雑談を交わす。
雨音の激しさと、風と言うべきなのか凄まじい轟音にそろそろお開きになるはずだったが呑み足りない、付き合え!と絡む女。
困惑しつつも満更ではない男。その場でいくつかのボトルを購入して全身濡らしながら男の家へと向かう。
二次会でも変わらず呑み耽るレヴィにその辺にしとけと忠告をするロック。
そんなことで呑む勢いが変わるはずも無く、一緒に呑み明かす。

231 :名無しさん@ピンキー:2013/11/11(月) 22:15:43.78 ID:S+fHl7Kp
ロックは御手洗いにとリビングを離れ、用を足し戻るとレヴィが邪悪な笑顔を向けてきた。
只ならぬその笑顔に若干引きつつも、どうしたの?と問う。レヴィはリビングの隅に放置してあった紙袋の中身をテーブルにぶちまけていた。
勝手に人様の家のもの漁るなよ、と言いたい所だがそこはもうどうでもいい。
そんな野暮なことを言う時期はとっくに過ぎた。ぶちまけたそれらを指差しへらへらと詰りだす。

「おいおいロック!何だぁこれ!?お前こんな趣味あったのかよ~レベッカ姉さんに隠し事なんて無しだぜ?」
「こんなって…あ。あー…やっぱそういう中身だったか…。ハァ」
「?どういうことだよ」

ぶちまけられたものは乗馬用の鞭、蝋燭、縄、ギャグボール、対人用の首輪、クリップ。そして何故か日本のSMビデオ。
レヴィから見たらそれは過去に仕事で関わった商売道具たちだが、それらを相棒の男が持っているとなったらからかわずには居られなかったようだ。
だが相棒、ロックの反応がイマイチというかどうにも微妙だ。

「ローワンに押し付けられたんだよ。先日のお礼だよ!受け取ってくれ!!ってさ。まだ紫の煙草1カートン貰った方がマシだよ…もうー」
「お礼って、お前何やったんだ?」
「発注の数字、間違えたって言ってさ。何とかしてくれって泣き付かれちゃって。
前回同じことやらかしてダッチにきつく言われたみたいで…。あの時俺が電話に出なかったどうなっていたんだが」
「成程。あんときのミスはお前がアホだったから、じゃなくてローワンを庇ったからってわけか。このお人好しめ」
「…まぁそんな流れでこんなもの貰ってきたってわけさ。どうせそっち系のグッズか何かだと思って放置していたんだ。想像通り過ぎてため息しか出ない」

そう言ってテーブルに錯乱された縄の束を手に取り、飽きれた顔をする。そんな彼を余所にレヴィはビデオを手に取りまじまじと見つめていた。

「興味あるなら持って帰って良いよ」
「いらねーよバカ。それに日本語じゃねーか、これ」
「俺が訳してあげるよ」

酔っ払いの戯言のつもりだったがレヴィは何故か納得したような顔をして

「あー、だったら今ここで見ながら訳してくれよ」
「え!?…じょ、冗談だったんだけど」
「何でそんな顔赤くしてんだよ。暇つぶしにはもってこいだ」
「…」

もしかして誘っているのでは?とロックは思うもレヴィの顔を見ていると、その昔友達のお兄ちゃんが持っている
怪しい本やらビデオやらをこっそり見ようと集まったときの学友達の顔を彷彿とさせた。
何だか妙に悲しいような空しい感覚になった。しかし…特殊な性癖とは言え中身はれっきとしたアダルトビデオである。
内容は拉致監禁から始まり、ご丁寧に縛り上げる工程までしっかりと映されていた。鞭で叩かれ、溶けた蝋に咽び泣く声が響き渡る。
成人向け雑誌のグラビア等でこういった女性の姿は見たことあるものの、実際映像で見るのは初めてだった。
痛々しいなぁ、とロックがぼんやり眺めるてる横でレヴィは袖を引っ張り興味津々に問う。

「なぁ、今の何て言ったんだ?」
「え、っと…あれは…」

何でこんなことしてるんだろう…と途方に暮れる。
その一方でますます過激になっていく内容にいくら興味の無い世界であっても無反応というわけには行かなかった。
ビデオの映像を見つつも視線はレヴィの身体にも向けられる。
…レヴィもこんなことをした?された?
男を嬲り罵ったのか。男に嬲られ、罵られたのか。吊るして玩具で攻め抜いた?吊るされて玩具で攻め抜かれた?
映る女優の顔が、レヴィの顔へと頭の中で変換されていることに気付く。
今俺はどんな顔しているのだろう、とロックは手で口元を覆い隠す。
酷く身体が熱く感じる。それは酒のせいなのかそれとも今眺めてるビデオのせいなのか。
レヴィはどんな顔しているのだろう、と躊躇いつつ目を移す。

232 :名無しさん@ピンキー:2013/11/11(月) 22:17:23.88 ID:S+fHl7Kp
「どうした?…中学生みたいな顔しやがって」
「……レヴィ。人のこと…言えないんじゃないか?」

一見、何も動じてないように見えた。レヴィはたまにこういう顔を、目の色を見せる。
普段は皮肉を込めた笑みばかりだが、稀に見せる穏やかで艶やかな微笑
視線は逸らさずに真っ直ぐ見つめるのに、今にも消えてしまいそうな潤んだ瞳。
その瞳を初めて見たのは警察に連行されたPCの中だったな、と思い出す。
身体を重ねる夜に一瞬そんな顔をする。愛くるしい顔。

「ロック、どっちがいい」
「どっち?」
「しばくか、しばかれるか」

レヴィはソファから立ち上がり、机に置かれた縄を手に持ち問う。先程の潤んだ目から挑発的な目の色へと変化する。
返答に一瞬詰ったが、BGMとしてテレビから流れる女の悲鳴と肌が打たれる音に迷いは消え、答えを出した。

「レヴィを縛りたい」
「…ハハッ!しばくかしばかれたいか聞いたってのに、縛りたいって!!意外だな!」
「あ、そっか…。でも叩いたりするよりかは身動き取れない状態のレヴィを眺める方が楽しそうだなって。」
「…ふん、お前結構向いてそうだな」
「そう?でも眺めてるだけじゃ、レヴィはつまらないか」
「さぁ?どうだろうね、やってみなきゃあわからねぇ」

会話は不穏で怪しさ一直線なのに、何処か朗らかな雰囲気なのがまた可笑しいものだとロックは思う。
しかし、縛りたいとは言ったものの初めてすることだ。今見たとはいえきちんと出来るのかどうかと早々に悩む。
一方レヴィはタンクトップを脱ぎ捨てホットパンツもショーツも躊躇い無く剥いでいく。一瞬にして裸体を曝け出した。

「ちょ…!!レヴィ待って!なんでいきなり脱いでんだよ!」
「おいおい、まさかあのビデオと同じ事しようとしてたわけじゃねーだろ?」
「いや、そんなことしないけど!!何も言わずに淡々と脱がないでくれよ!」

先程見ていたビデオの冒頭は、帰宅途中のOLらしき女性を数人で囲み、薬品を含めた布を鼻から下に押し付け気を失わせていたように見えた。
勿論芝居であることはわかっていたし、そんなことする気はさらさら無い。第一そんな気を失わせるような薬品手元にあるわけがない。
気になったのはレヴィの口振りだった。

「…もしかして、そういうのしたことある?」
「ないことはない」
「それ…大丈夫…なわけないよね」
「死に掛けた」

無茶なことする馬鹿が相手だと大変だった、とアルバイトの体験談のように語る彼女に今からする行為を本当にしていいのかと迷う。
本当はしたくないんじゃないかと。普通にするセックスでさえ嫌悪しているんじゃないかと思う節すらあるのに。

233 :名無しさん@ピンキー:2013/11/11(月) 22:19:36.62 ID:S+fHl7Kp
「…レヴィ」
「乗り気じゃねぇ、って面してるぞロック。さっきは意気揚々と弄ぶ気満々だったのに」
「ん…」
「…そんな顔するなよ。見たくねぇ」

頬をほんのり赤く染め、強気な彼女が見せる優しい顔にいつもと明らかに違う感情が芽生える。
立ち上がりレヴィを強く抱きしめ、同時に深く口付ける。奥へ奥へと。
ロックを受け入れるように、包むように絡まっていくレヴィの舌。
唇を離しテーブルに置かれた縄の束を解きながら、ビデオで見た光景を思い出す。

「こういう時ってやっぱり命令口調のほうがいいのかな」
「あんたがやり易いようにすればいいさ」
「そっか、じゃあ…背を向けて、手を後ろにして?」

レヴィは言われるままロックに背を向け、腕を後ろに持っていく。
確か手首に布を巻いていたな、と思い出し持っていたハンカチをあてがう。
多分痕が付かないようにという処理なんだろうと、手首に縄を掛けていきながら一人理解する。
自分の記憶、映像で見た女の縛り方を照らし合わせ確実にレヴィの自由を奪っていく。
魅力的な曲線を描いていたレヴィの身体は、荒縄で妖しく卑猥な姿へと変わり果てる。
特に乳房はより一層大きさを強調され、正面から見ると思わず表情を崩してしまいそうになる程に。

「こんな感じかなぁ…レヴィ、痛くない?」
「ん…」
「違和感ある?」
「…そうだな。皮の拘束具とか手錠とかそんなんばっかだからなぁ」
「日本のSMって縄ってイメージだけど海外って違うよね」
「さっきのビデオ見てたときはさすがジャパニーズとか思った」
「さすがって?」
「面倒なことする変態だなーって。こんな縄でいちいちぐるぐる巻きつけるなんてあたしだったら頼まれてもやりたくねぇ」

会話のテンションは普段のそれと変わらないように思えたが、明らかにレヴィの顔は赤く火照っている。その様子にロックは抱きしめたくて堪らなかった。
いつもと違う夜、いつもと違う彼女の姿に最初は戸惑っていたはずなのに脈が速くなり興奮している自分が居た。
どうすればいいかわからなかったはずなのに、机にばら撒かれた淫猥な装飾品に自然と手を伸ばす。

「レヴィ、首輪付けるね」
「…ノリノリじゃねーか。やっぱ興味あったんじゃねぇの?」
「そうかもね。さぁこっちへ」

彼女に良く似合う赤色の首輪を装着し、手綱を強めに引っ張りこちらへ来るように促す。行き先は寝室。

「…っ!あ、あんま引っ張るなよ」
「ちゃんと付いてきて」
「…ああ」

レヴィは一歩一歩慎重に歩く。すぐそこのはずなのに足がふらつく。辿り着くまでに時間が掛かったように思えた。
ようやく部屋に辿り着いたかと思ったら、ベッドではなくそのまま部屋の隅にある姿見の前へと引っ張られる。

「…な、何すんだよ」
「ちゃんと自分の姿を見て、レヴィ」

卑猥で美しい全身が映るように、とロックはレヴィの斜め後ろの位置に立つ。
逸らした顔を無理やり掴み、鏡の中の自分を見るように強いる。
映る自分自身の身体を認識し、鏡の中のロックと目が合う。その瞬間身体の芯が燃え上がる感覚に襲われる。凌辱的な自分の姿なんて別にどうってことない、と思っていた。
それなのに酷い羞恥心を覚え混乱した。理由なんてひとつしかない。愛する男の前だから、だ。自覚があるからこそ恥ずかしく、身体が疼く。

234 :名無しさん@ピンキー:2013/11/11(月) 22:21:27.07 ID:S+fHl7Kp
「どうしたの?やっぱり恥ずかしい?」
「……」
「質問に答えろよ」

いつもより強い口調で問うと同時に、尻を平手で叩く。
力は入れずに軽く、パチンと鳴る程度の可愛いもの。まるで小さい子供に駄目でしょう、と優しく躾けるかのように。それなのに

「ひっ…」
「答えろよ」
「あっ…はっ、恥ずかしい…」

息は荒く顔はますます赤みを帯び、潤んだ瞳は今にも涙がこぼれそう。
そんなレヴィの姿にロックは興奮を抑えられずに居た。もっと、と。

「恥ずかしいんだ?慣れてるんじゃなかったの?」
「…も、もう随分昔の話だ…。ただの…し、仕事だ」
「ふぅん、ただの仕事か。仕事でもこんな風だったのかなぁ…妬けちゃうな」
「……そんなこと…ねぇ」

その言葉に嘘はなかった。夜の仕事はいかに魅せるか、顧客を満足させられるか。
それだけだった。不本意に感じ取った快楽は、後に自己嫌悪と過去に植えつけられた性への憎しみへと変貌し苛立たせた。
けれど今は違う。自らロックを求め、貰えるものは何だって欲しいと望むくらいだ。優しい言葉、抱擁、体温、快感全て。
そして今、ロックの手で与えられる羞恥、痛みすらも欲しいと願っている。
その願いは言葉に出せない代わりに、不安定な息遣いとして漏れていく。

「可愛いねレヴィ。すごく可愛い」
「……う」

鏡に映るレヴィの目を見つめながら賛美を送る。
ロックは知っている。優しい言葉や扱いを受け入れる方法を知らなかっただけで心から喜ぶ彼女を。
そして同時に悪戯心が芽生えた。どうしたらもっと、と。
どうしたらこんな顔をもっと見れる?もっと涙で濡れ、恥ずかしそうに…苦しそうに、と。
ロックは右手をレヴィの股間に伸ばし、中指と薬指で小陰唇を割り膣口に潜り込ませた。
出し入れを繰り返し淫らな音が外の雨音と共に響きわたる。ぐちゃぐちゃとやたら耳にはっきりと届く。
そして余った左手の指先で乳首を転がす。人差し指の腹でゆっくり優しく撫で、赤黒く染まり硬くなった処を思い切り摘み上げる。

「ひぃ…!あ、ああっ……ふぅ」
「無茶苦茶濡れてるよレヴィ。縛って指で弄っただけでこんなになるんだね」

夢心地のような快感の波から、刺すような痛みへの変化にレヴィの腰は艶かしく揺れる。

235 :名無しさん@ピンキー:2013/11/11(月) 22:23:17.61 ID:S+fHl7Kp
「うぅ…ロック……」
「なぁに?」
「…もっと……滅茶苦茶に…して…」
「どうされたいんだ?」
「……」
「黙っていたらわからないだろう」

バチン!と今度は手に力を入れて尻を叩く。
待ち望んでいたかのような狂喜に近い喚声を上げるレヴィに、ロックは思わず厭らしい笑みをこぼす。
もう1発、もう1発と激しく叩きだす音とレヴィのわめき声に理性が決壊していく。真っ赤に色づいた尻をもっと、と。
ロックは赤くなった尻を優しく撫で頬にキスをした後、リビングへと向かいぶちまけられた小道具たちを袋に入れ寝室へ戻る。
姿見の前で涙目で息を荒くしながらも大人しく待つレヴィに愛しさが込み上げたが、一瞬でその愛しさは痛めつけるための糧となった。

「黙っているなら俺が思いつくことを好き勝手にやらせてもらうけど?」
「……」
「そう、わかった。何も言うことは無いんだね」

そう言うと小道具の中からギャグボールを取り出し、指でレヴィの口をこじ開け装着した。その際レヴィは一切抵抗しようとはしなかった。
…こいつの好き勝手が欲しい、と。どうなるのだろう、と与えられる快楽への期待と恐れ。
呼吸はさらに荒くなっていく。同時に下半身の疼きがより一層激しくなっていくことも感じた。
ロックは俯き掛けたレヴィの髪を鷲掴み、再び顔を鏡へと向かい合わせる。
髪を引っ張られる痛みに苦痛の声を漏らす。くぐもる呻き声にロックの背筋はぞくりと震える。
苦痛を与えているのが俺自身だ、という事実に優越感を覚えた。堪らない、と。

「んぐっ…ふぅう……ふっ」
「似合ってるよ、これ」
「ふっ……」
「…その目、すごく良いね。夜の仕事もこんな感じだったの?」
「んん……!」

レヴィは髪を引っ張られる痛みを無視し、首を大げさに横に振る。言葉の自由を奪われた今、身体を使って否定することしか出来ない。
鏡に映る自分を他の誰かに見せた事など無い、と涙を堪え必死に訴える。…或いは、あったとしても認めたくないと言わんばかりに。
信じて欲しい、と訴える切ない目とは裏腹に高揚するロックの加虐心。
小道具のひとつであるクリップを持ち出しロックは口を歪めた。ごく最近見たであろうロックの微笑み。趣味の悪い賭け事をしているときの顔。

「どっちから付けようか?右?」
「んっ…んんぅ……!」

先程責められなかった右の乳首を優しく撫でた後、口に含み強く吸い付く。
絶妙な刺激に思わず溜息を漏らす。気持ち良い、と伝えたいのに伝えられないもどかしさに頬を涙で濡らした。

236 :名無しさん@ピンキー:2013/11/11(月) 22:26:00.80 ID:S+fHl7Kp
「じゃあ右に付けてあげるね…レヴィ」

耳元で静かに低い声で囁くと躊躇い無くクリップで乳首を挟みこんだ。
いくらそれ専用に作ったものであってもある程度の激痛が走る。一瞬の痛みに悲鳴をあげた。

「っ…ふぐぅう!!…ううぅ」

痛い、と身体を使って拒否しようにも大げさに動けば動くほどに痛みと自由を奪われ、締め付けられる感触が増していく。

「もう片方も付けなきゃね」
「んん…」

にこりといつものように腑抜けた人の良い笑顔を向ける。先程見せた悪い微笑みとは違う普段どおりの、見慣れた笑顔だった。
それだけにいつもと違う夜の交わりの中で見せられると背筋に緊張が走る。

「んぅ…ふぐっ……」
「レヴィ、鏡を見るんだ」

命令、というには口調は少し弱いものの普段のロックからはあまり聞かない低くはっきりとした声に、レヴィはただただ従った。
毛羽立つ縄で縛られ、猿轡を噛まされ乳首を甚振られ、そして鏡に映る卑猥な自分を見ろと強制される。
双方が同じ感情を抱く。堪らない、と。
もっと見たいとロックは思う。もっと痛めつけてくれとレヴィは乞う。全てが欲しい。

「レヴィ……愛してるよ?」
「んっ…ううっ」

後ろから強く抱きしめ耳元で愛を囁く。普段から甘い言葉を投げかけるけど、決まってぶっきらぼうにかわされてしまう。
照れ隠しとわかるものの最初は何だか悲しく感じたし、今でもレヴィからの返答が欲しいと思っている。
今、彼女は言葉を奪われているから返答なんて出来ないのはわかっている。その代わり無理矢理こちらに顔を向けさせて反応を堪能する。
いつもはぷいっとそっぽを向かれるため中々表情を確認できずにいた。
だけど今はどうだ。顔は赤く染まって今にも涙で溢れそうな潤んだ瞳。切ない表情。
愛おしい。ずっと見ていたいと思う程に。泣いてしまいそうになる程に。

「…んんっ……ふうっ」
「可愛い……」

我慢できず零れる涙。憎まれ口ばかりでいつもかわしていたことを酷く後悔する。
優しい囁き、想いを与えてくれる彼が愛おしい。きつく縛られた身体を強い力で抱きしめられ、中毒性のある甘い言葉に
身体中が性感帯と言わんばかりに熱くなる。伝えられないもどかしさを目で訴える。
それはロックをさらに高揚させるには充分だった。
着衣を乱さずに責め続けたロックはネクタイをするりと外すとレヴィの目を覆い隠した。同時にボタンを二つほど外し、開放感を味わう。
目隠しされた途端にレヴィは首を横に振り抵抗し始めた。
先程まで大人しくされるがままを貫いていただけに不思議に感じ、抱きしめた腕に一層力を入れ耳元で囁く。
不意にきつく抱かれたせいか苦しいと言わんばかりの吐息を漏らす。

「…もしかして怖い?」
「ふぅっ……ん」
「見えないのはイヤ?」
「……んん」

子供のように弱々しく頷く。しかし確認しただけで彼女の意思を汲むかどうか別の話のようだ。ロックは力を抜きレヴィの頬を叩いた。
突然のことでレヴィは驚き肩を震えさせる。追い討ちを掛ける様に、いきり立つ男根を身体に擦り付けられる。ここにはもう二艇拳銃は居ない。居るのは哀れで可哀想で愛おしい女。

237 :名無しさん@ピンキー:2013/11/11(月) 22:27:40.08 ID:S+fHl7Kp
「……リクエストは聞いたよね?なら大人しく俺の言うこと聞けよ」
「ううっ…ふぅう…」

冷たく言い放つと首輪の手綱を予告無しで力強く引っ張りベッドへと押し倒した。
そして無理矢理レヴィの体勢を整え始める。うつぶせにし、膝を立てさせ尻を高く突き上げさせた。
日焼けした肌とは真逆の真っ白とまでは言わないが、みずみずしく淡い肌色をした桃尻。そのコントラストに改めて愛しさを覚えながら優しく撫で回した。
レヴィは息を漏らしながら腰をゆらりと動かす。誘う揺らめきは昼間に見せる美しき銃使いとはまた違った麗しさ。
時々ロックは思う。このまま時間が止まれば、と。
今までベッドの中で交わり自分の腕の中で寄り添い、眠る彼女を眺め妄想を巡らせていた。
このまま命を落とすことも無く、二人で最期まで緩やかに生きていられたらと。
口に出して伝えることも無く、お花畑満開な夢物語に自分自身を心の中で嘲笑った。
今、激しい雨の中で仕事の行方も目処もあやふやなままで尚且つ愛しの女が完全に自分の手の上で、彼女の自由も命も自分だけのものであることが堪らなく嬉しいのだ。
本当に時間が止まってふたりだけの世界なのでは、と錯覚するくらいに。
非日常、夢心地な部屋の空気にロックはもう最初の戸惑いすら忘れ鞭を取り出した。
乗馬用の鞭だ。ピンと張った皮の感触に少しだけ冷静さを取り戻しつつ、鞭の先端でレヴィの尻を撫でた。
何が自分の尻に触れているのか理解して、一瞬だけ腰がびくりと動き小刻みに震えた。

「気持ちいいかどうか聞きながら力入れて叩くよ。わかった?」
「んぅ……」

静かに縦に頷く。力を入れないようレヴィの尻に鞭を軽く叩き付けた。ペチンと軽快な音が妙にいやらしく聞こえる。

「レヴィ、痛い?」
「んん…」

躊躇も無く首を横に振る。痛くない、と。取り戻したはずの冷静さが少しずつ失われていく。
自覚しつつも手は止めるつもりなんて無かった。彼女の普段の格好から跡が残らない場所に、と慎重に考慮したはずなのに。
パチン、バチン、と音は少しずつ大きくなる。音が重く低く鋭さを含む度にレヴィの呻き声は大きくいやらしさを増していった。
ロックは叩く度に、痛い?と問いかける。レヴィは横に首を振る。
問いかけを止め気の向くままに叩きたいと一瞬だけ頭を過ぎり、そしてその一瞬を一振りに込めた。
バシッ、と一際大きな音で叩き付けるとレヴィは身体を捩らせ喚き叫んだ。大きく身体を揺らし、何か訴えようとしている痛々しい呻き声。
ロックは一瞬の欲望に負け理性を飛ばし、思う全て打ち付けたことを後悔した。痛みに呻き泣くレヴィの尻を優しく擦った。

「レヴィ…ごめん、痛かったよね」
「ふぅう…ん」
「……痛くない?……気持ち良いの?」
「んっ…ふぅう」

気持ち良い、と意思表示をするがその意思とは反対を示すかのように目隠しをしたネクタイが涙で滲み隙間から雫が頬を伝い落ちていく。
口元はギャグボールの僅かな隙間と穴から唾液が溢れ垂れていた。表情はわからずとも顔色は終始真っ赤に染まったままで艶かしく動く腰。
興奮を覚えながらもそれ以上に大きな不安がロックに押し寄せた。彼女の過去を唐突に思い出し、行為の最中に詰ったことを酷く後悔した。

238 :名無しさん@ピンキー:2013/11/11(月) 22:29:37.39 ID:S+fHl7Kp
「レヴィ…もう止めよう。酷いことを、酷いことを言ってごめん……」

ギャグボールを外し、レヴィの口元を解放した。涎でベトベトになった球体は妙に艶やかに見える。荒い呼吸をゆっくり整えレヴィは弱々しく口を開く。

「はっ……はぁ、ロック……何で止めるんだよ?」
「これ以上何をするか、何を言うか俺自身判らないんだ。歯止めが利かなくなりそうなんだ」
「……そんなに楽しめてんならよ、いいじゃねーか。もっと……してくれよ、ロック…」
「レヴィ……さっき嫌って言ったでしょ?」
「そう聞こえただけだろ。大体口が塞がっててそんなこと聞こえるわけねぇだろ」
「俺には聞こえた。泣きながら嫌だって叫ぶように…」

レヴィはバツの悪い顔をした。何で、と。何故わかった、という顔。叫んだわけではない。全部嫌だったわけじゃない。
優しい言葉の後に強くなる痛みは確実に快楽へと変換されていった。それと同時に、鞭を叩く力が増すたびに過去を思い出してしまった。
血の繋がった父と呼ぶべき男に奪われたこと、言われも無い罪で嬲られたことを。
思い出してしまったからこそ、レヴィは願った。その記憶を塗りつぶしてくれ、と。

「…ロック頼む、続けてくれよ。……今だけ忘れさせてほしいんだ、這い蹲って生きたこと」
「レヴィ?」
「ロックだけがいい……ロックだけのもので居たい…」

縋る様に、喉の奥から絞り出すようにモノで居たいと乞う彼女に息苦しくなる程の愛しさを感じた。
日本で子供との戯れで見せた笑顔を眺めたときに薄らと感じ取った。彼女の叶わぬ夢、汚れすぎて真っ暗に写る現実。
ロックは目を隠していたネクタイを外してレヴィの瞼に軽く口付けを落とし、目尻から頬に流れた雫を丁寧に舐め取った。
ひとつも無駄にしたくないと。

「言ったよね。俺が弾丸でレヴィが銃だって。俺はレヴィのものだし、レヴィは俺のものだ。
誰にも触らせたくないし、俺もレヴィ以外の誰かのものになんかなりたくない」
「……」
「意地悪はお終いにする。もう充分可愛い姿を見れたし」
「…一人満足してんな、バカ」

見つめ合ったかと思うと、その偶然に堪えきれずクスクスと笑い始めるロック。
ふざけんなと言わんばかりにレヴィは上半身を必死に起こしロックの唇を軽く吸い付く。
拘束されているのに器用に身体を動かすレヴィに思わず収めたはずの加虐心が擽られる。

「この縄は解かないでおくよ」
「……そうしてくれ」
「ああ、でもこれは外そう。さっき考え無しに押し倒しちゃったから痛かったでしょ」
「…結構痛かった」
「素直でよろしい」

けっ、と照れ隠しに顔を逸らす姿がいつものレヴィらしい、と今のあられもない姿とのギャップにまた笑いが込み上げる。
ますます面白くない、と言わんばかりに睨み付けられロックは軽い謝罪を口にしながら乳首に挟んだままのクリップを外した。
鈍い痛みから解放された安堵と悦びに小さく吐息を漏らしゆるりと腰を揺らした。
魅惑的な動きに耐えられず、その足を無理矢理広げ秘所に顔を近づけ隠れていた蕾を舌で転がす。

「あ…っ、おまっ、お前……!」
「お前って言うなよ、レヴィ」
「……っ、シャワー浴びてねぇ…のにっ……ひっ」
「それは俺も一緒だよ?」

容赦なく責め立てる姿に、例え物理的に痛めつけることを止めても根本的には大して変わらないことを知るとレヴィの身体は静かに温度を上げた。
蕾から閉じた小陰唇へと移動し入り口に吸い付き、時には舌を出し入れする。
執拗に吸い付く力と出入りする舌の動きに強弱を激しくつけながら、饐えた女の匂いに高揚していった。
鏡の前に立たせた時点でロックは硬く反り起っていたため、挿れたい衝動がまだかまだかとはち切れんばかりに膨れ上がる。

239 :名無しさん@ピンキー:2013/11/11(月) 22:32:16.62 ID:S+fHl7Kp
「入れるよ?」
「……いれて、…ください……」
「レヴィ、その言い方良いね。可愛い」
「……もっと、もっとほめてくれよ……」
「いいこだね、レヴィ」

褒めてと涙目でせがむレヴィに賞賛の言葉と、愛しさから頬に口付けを与えると充分過ぎるほどに濡れきった膣へと容赦なく挿入した。
どろどろの感触にきゅうっと締め付ける膣内にロックは思わず声を上げる。

「……はぁ…レヴィっ……!」
「ふぅ…あ、ああ……ロック…もっと、おく……ついてぇえ……っ!」

普段は力強く華奢な腕でロックの背中を抱きしめ、腰を自ら打ち付けていたが下半身はいくらか自由に動いても
それを補助する腕を縛られているため力が上手く入らず、奥へと強引に誘うことが出来ずにいた。
レヴィの言葉は普段通りに戻っていたがロックも配役を忘れ、普段通りに彼女の願いに答える。
ただ身体はまだ覚えていた。もっと、と願ったあの衝動を。ロックは激しく高く突き上げていく。
寝心地を重視したその辺のものよりしっかりとした造りのベッドは、通常の行為よりさらに大きく軋んだ。

「ひぁあああああっ!あっ…ああっ、…ふぁ……んぁ…はぁ」
「はぁっ…はぁ……ああ…レヴィ……レヴィ…っ」

限界を超える瞬間、レヴィを強く抱きしめる。
ただただ荒い息遣いと愛する女の名を呟きながら、合図を送る余裕も無く静かに熱く溢れていき、奥深くに生温く流れていった。
そこから先は余り覚えていない。
ただレヴィは縄を解こうとするロックに、解かないでとせがんでそのまま彼の腕に抱かれ眠りに着いた。
―――――――――

「…暇だ」

雨音は数時間前よりは静かになったような気がする。風の音もだいぶ大人しくなった。
静けさに落ち着かずに身体をベッドの端から端へと転がしてみたり、或いは腹筋を使って起き上がってみたりした。
くだらない暇つぶしの行動だが、レヴィは少し恐れている。
一人残されたこの部屋で、縛られた状態で放置されたこの状況に身体の疼きを感じ取っているからだ。
自分から解くなと言ったものの、ロックはどんな意図でほったらかした?と考える。そうやって都合の良い、独りよがりの妄想が広がり行き着く先が怖かった。
しかし恐れと裏腹に体勢をうつぶせへと変え、神経を敏感な箇所に移す。腰が再び妖しい動きを始める。

「ん…ふ……ロック……」

数時間前の情事を思い出し、自身を慰め始めた。そして願う。この家の主が帰ってくる瞬間を、その後待ち受ける事柄を。
拘束を解いてひたすら抱き合って過ごすかもしれないし、或いは……。

雨音は徐々に静かになり、代わりに聞きなれた革靴の音が近付いた。


-おしまい




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