クレームドカシス

闇に生きる者(薔薇ノ木ニ薔薇ノ花咲ク/月)

そう、あれは確か私がまだこの学園の生徒だった頃です。
色白で金髪、この国では珍しい容姿をした少年との出会いが全ての始まりでした。
当時私は他人と関わらないようにしていたのですが、寮も同室だった彼は、そんな私を何故か気に入ったらしく、親しげに話をしてきました。
私はそんな彼を拒む事すら面倒に思っていたのかもしれません。
だから彼に逆らうことなく、人形のように全てを任せていました。
ある晩、私が眠りに落ちようとした時、彼は私の寝台へとやってきて、耳元でこう言いました。
「ねえ、闇に生きてみない?」
その当時の私はとても生きているとは言い難い状態で、彼が新たな世界で生を与えてくれるというのなら、試してみるのも悪くないと、そう思いました。


彼は私の上に覆いかぶさると、首筋に顔を近づけてきました。
唇が落とされ軽く吸われると、不思議と麻酔をかけられたように痺れ、そして次の瞬間、皮膚に何かがめり込む感覚がありました。
しかし、痛みは無くむしろ快楽に近い心地を得て、私は意識を失いました。


もうお解かりでしょうが、何かとは、彼の人間の物とは少し異なる歯です。
彼は月に一度、吸血衝動の起こる人種なのです。
そして、私も彼によってその人種に変えられました。
何度か吸血されると、彼らと同種の血液になり、犬歯が伸びはじめ吸血衝動が出るようになるのです。
そうなった者の血液は、飲むことができなくなり、また新たな提供者を探さなくてはなりません。
もし、吸血ぜずに過ごせば命を削る事になります。


私も少し前までは衝動に耐えることができず、血を啜っていました。
衝動が出ても三日ほど苦しみに耐えれば、次の月まで衝動は襲ってこないのですが。
以前いた病院では、眠っている患者からこっそりと吸血していました。
この学園に赴任してからは、言い寄ってきた硬派な生徒から吸血しました。


そういえば、1人変わった生徒がいましたね。
確か、天野君といいましたか。
彼は噂を信じて私のところへ来ました。
私が闇に生きる者で、時としてその力を人に与えるという、事実ですが普通に考えれば嘘とわかりそうなことを信じて。
彼は結核で、私に闇の力で結核を治してほしいと言ってきたのです。
確かに吸血種族になれば病気はしませんし、わずらっている病気も治ります。
今まで特定の1人から吸血し続けることを避け、吸血種族を増やさないようにしていたのですが、何度も頼まれた末に私は折れて彼を『闇に生きる者』に変えました。
しかし、彼はいざなってみると、吸血行為を嫌い、誰からも血を吸おうとしません。
私は何度か吸血をするように勧めたのですが、彼は頑として聞き入れず、もし自分が死んだら薔薇の木の下に死体を埋めてくれとばかり言っていました。
そして、元々体の弱い性質があった為か、数ヶ月で命を落としてしまいました。
私は彼に頼まれたように、彼の死体を薔薇の木の下に埋めました。
その時、要君、君と出会ったのです。


私は要君と出会い交わったことで変わりました。
要君の血を吸いたいという衝動と、やはり心の奥底では吸血行為を忌み嫌っていたのか、要君を『闇に生きる者』にしてはならないという葛藤が生まれたのです。
一度や二度、吸血したからといってすぐに吸血種族に変えてしまうことは無いのですが、一度吸ってしまった後の欲望を抑える自信はありません。
月に一度あの衝動が起こる度に、要君、あなたのことばかり考え、それをやり過ごしてきました。
今こうして、要君の腕の中に居れるということは、その選択は間違っていなかったのでしょう。
長々と話をしてしまいましたが...そろそろ......終わりの時が来たみたいです......





月村先生の誕生日記念SSです。
むちゃくちゃな設定ですみません。ヴァンパイアにはまっていたもので、つい。
その上ダークで...(暗いのは月村先生だからしょうがないかなとも思ったり。)
でも、一生懸命悩みました。って悩んだのにこんなので...まったくもって申し訳ないです。
月村ファン&天野ファン&本文中に明記はしていないけどぶっちゃけ水川ファンの皆様の心が広い事を祈って......書き逃げっ!


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