好きです
好きです。
好きです。
あなたが好きです。
くやしいぐらいにあなたが好きです。
でも愛してはいないんです。
ただ、あなたが好きなんです。
なのにその言葉は口から出てはこないんです。
天邪鬼だと、意地っ張りだといろんな人に笑われるけれど、あなたには絶対に伝えたくないんです。
だって、この気持ちは実らないでしょう?
「はさ・・・・・・」
「なによ」
前の席に座る光が、振り向きながら呟いた。
「鏡夜先輩に告白しないの?」
「・・・・光、読んでるんだけど」
光は振り向きながら私が読んでいた本に手を添えて、自分に集中しろと言わんばかりに読書タイムの邪魔をする。
邪魔をされるのはいつものことだとしても、先に言われた質問には答えたくなかった。
「読書よりボクの質問のが大事だと思うんだけど?」
「大事だと思わないから本が読みたい、常陸院兄」
「だから光だっての! ・・・・・しかし久しぶりだねー」
久しぶりに前のような呼び方をしたせいか、反感よりも懐かしさの方が勝ったのかもしれない。
それにしても、意地悪な呼び方をするのは本当久しぶりだった。
「やっぱり光には、常陸院兄で充分ね」
「なんだよそれ」
「別になんでもないけど」
「・・・・・もしかして、機嫌悪い?」
読書を邪魔されて悪くないはずがない。
ましてや、いきなりの質問なのだから。
「ひか・・・・・・常陸院兄よ、いったいそれは何のバツゲームなのだい?」
「言い直すぐらいなら、素直に名前で呼べばいいのに。ていうか、何だよその芝居かかったセリフは」
「芝居などと・・・君たちのホモ芝居に比べたら、こんなもの芝居のうちにも入らなくってよ」
「、キャラが一貫してないよ」
指摘されなくても、無理やりすぎるのは当の本人が一番分かっている。
人をからかうにはまだまだスキルが足りないようだった。
「ていうか、なにさバツゲームって」
「いつものように余計なことをして、鏡夜先輩から脅されたのかと思って」
何度もそういったことがあったと思い出し言ってみたが、言ったあとから気がついた。
なんてことを私は言ってしまったんだろう。
「・・・ってさ」
「なによ・・・・・・・」
「やっぱり鏡夜先輩のこと好きなんじゃん」
「なんでそうなるのよ!」
そんなことはないと否定しても光はニヤニヤと笑うだけで、とりあってはくれない。
たしかに私と光の立場が逆ならば、私だって光をからかって弄んだりはするだろうけれど・・・。
「だってさー。鏡夜先輩が自分のことが好きかとか、告白しないのかとか、そういったことを他人に頼んで聞いてもらうなんてするわけないじゃん」
恋は盲目だねと笑う光が憎たらしい。
でもたしかにそうなのだ。
むしろ、あの質問を鏡夜先輩の代弁だと採るということは・・・・・・。
「は鏡夜先輩に好かれてる自信があるわけだ」
「っ・・・・・・・・!」
憎しみで人が殺せたら!
否、ここはそんな物騒な力などいらない。
ただコイツの口を噤むことができたならもうそれでいい。
だけれど別に鏡夜先輩に好かれている自信があるわけではないのだ。
「まあ、それは冗談にしても・・・・・・・ちょっとも重症だね」
「・・・・・・光」
からかい路線をやめたのか、ふと光はため息をつきながら目線を合わせてくる。
重症と言われれば、たしかにそうなのかもしれない。
「告白さ、しちゃえばいいんだよ」
「好きでもないのに?」
好きじゃない。
好きじゃないのだ。
好きな・・・・わけはない。
「ボクらもだけどさ、も大概天邪鬼だね」
「私は素直な正直者よ?」
「うっそくさー」
嘘だと笑う光から、頬を膨らまして目線をそらす。
光から嘘つきだ天邪鬼だと言われるのは、なんだか本当にくやしい。
本人たちは嘘つき・天邪鬼のスペシャリストだというのに。
「嘘なんかじゃ・・・・ないわよ」
「本当、強情だねー」
それ以降の会話は、授業の始まりとともに遮られてしまったが光の言葉は頭から離れそうにもなかった。
決して、勝負をしているわけではないのだ。
好きだと言ったら負けだとか、そんなことを思っているわけではない。
ただ、恐いだけなのかもしれない。
あの人に、好きだと伝えることが・・・・・・。
立つ鳥後を濁すスタンスで書いたんですが、意味不明なものになった気がします。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
正直、すごく久しぶりに書きました。
まったく更新もしてなかったのに通っていた方がいらしたら、本当に申し訳ないです。
移転先ではもうちょっとがんばって更新したいと思ったりしてますが、たぶんブログ方面でちょこちょこ書いていく予定です。
07/01/09.