たったヒトツの星を掴み取る
手を伸ばして、手を伸ばして
もし、届いたなら・・・
なんか、ラッキー
lucky Ster☆
雲の無い、星の綺麗な夜だった
「・・・何をしてるんだ?」
デカベースのメインルームに捜査資料を探しに来たドギーは、
明かりの付いていない部屋で、窓に引っ付いたセンの背中を見て、思ったままに問いかけた
「あ、ボス。 どうしたんですか、こんな時間に?」
振り返り、ニコっと笑って、センは自然にドギーの質問を無視する
「昨日の事件の捜査資料を探しているんだが・・・」
「あぁ、変なところにあったからボスの机に置いておきましたよ」
「そうか、すまない」
返事をして、自分の机に向かおうとしたところで、ハタっと足を止める
「・・・というか、先に質問したのは俺なんだが・・・」
思わずセンのペースに流されそうになるが、なんとか引き戻す
「あ、そーでしたっけ?」
笑うセンの顔は、いつまでたっても幼さが抜けない
「俺は、ただ星を、見てただけですよ」
「星・・・?」
センのとなりに歩み寄って、ドギーも同じようにガラス越し空を見る
いつもとなんら変わらない、星の輝く空
「・・・星は無数にあって、ドレイク方程式の1例による計算上は知的生物を持つ星は6250個
単純計算、この世界には、およそ6250×50億の意識が生きてる」
センが呟く呪文のような数字を、ドギーはただ静かに聴く
「そう思ったら・・・このソラの下で貴方に出会えたのは、
凄いコトなんじゃないかと思って---」
視線が真っ直ぐ、ドギーの瞳を見据える
「なんかラッキー」
無邪気で無垢な笑み
その笑みに思わず見惚れて、ドギーの視線は釘付けになる
「・・・ねぇ、ボス」
センはドギーの頬に触れて、顔を近づける
「・・・なんだ?」
「今のは、キスするタイミングですよ?」
イタズラが失敗したような笑み
コロコロと変わる笑みの色に惑わされて、ドギーも思わず笑みを零す
「そうか、それは失礼」
長身のわりに細身の身体を抱き寄せ、耳元で笑う
「・・・幸運なコトだ」
この星で、この星空を眺め、君をこの腕に抱けるコト
・・・奇跡と言えるほどに・・・
・・・・・・なんと、素晴らしいコトだろう・・・・・・
ボス緑・短文散文
・・・なんて、身のない話なんでショ!?
でも、センもドギーも、運命とか信じてないタイプだと思う
文中登場の『ドレイク方程式』とは、地球外の知的文明保有の星を計算で出す方程式です
興味がある方は調べてみるといいと思います
いろんな意味で面白いです