その感情に名前は無いよ

名前をつければ、それは記憶になり、いつか自分を傷つけるから




Nameless

「セン」

「あ、ホージー。 どーしたの?」

「ボスを探してるんだが、見かけなかったか?」

「今日は、出張で出かけるって、朝に・・・
 あ、パトロールで居なかったから、聞いてないんだね」

「そうなのか」

「帰りは夕方だって。 書類のサイン?」

「あぁ、昨日の事件の報告書のな」

「あ、ジャンケンで負けて、バンから押し付けられたヤツね」

「必要ない過去を蒸し返すなッ!」

「あはは、ごめんごめん」

「・・・それじゃ、ボスが帰ってきたら連絡してくれ」

「りょーかい」

軽く手を振ると、ホージーは背を向けて、司令室から出て行く

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ」

そして俺は、再びヒトリになった司令室でため息ヒトツ

たった6往復の会話に、こんなに緊張するなんて・・・

「どーかしてるよ・・・」

・・・ホントに、頭がどうかしてしまった様で、笑うコトだってできないよ



気がつかないうちに、脳内で出来上がっていた想い

騙し騙しで切り抜けてきた本音

減速を知らない壊れた感情

気がつけば、それは胸に刺さる鋭い棘に、首を絞める真綿の鎖に、喉に詰まる苦味に変わっていた

・・・・・・あぁ・・・苦しいな・・・

水の中に居るみたいな苦しさ

でも、俺は泳げないから、


溺れ死ぬしかない




「セン、どうした?」

不意に呼ばれて、慌てて顔を上げる

「あ、ボス・・・、え、あ、あぁ、おかえりなさい」

「また居眠りか?」

「ちょっと、ぼーっとしてただけですよ」

からかう様なボスの顔を見てから、時計を見る

・・・気づかないウチに、随分、時間は経ってしまったらしい・・・

「ホージーに連絡しなきゃ」

「書類のサインの件なら、さっき済んだぞ」

ココへ来る途中、偶然会ったとボスが言う

「じゃぁ、いいのか」

一度持ち上げた内線用の電話を下ろす

ボスは出張から持ち帰った仕事があるらしく、必要なものをそろえると慌しく自室へと下がった

そして、入れ替わりに・・・

「報告書、見直し頼んでもいいか?」

紙をペラペラと捲りながら、ホージーが入ってきた



・・・いつもは全く気にならない、自分の腕時計の針音が妙に耳につく

「ん〜、イイんじゃないかな」

「そうか」

俺の評価に、ホージーは少しほっとしたように笑みを零す

「じゃあ、コレは本庁に送っちゃってイイんだよね」

「あ、いや、自分でやるよ」

「ナニ遠慮しちゃってんの。 俺も送るものあるからついでだよ」

「・・・それなら、頼む」

まだ少し迷ったみたいだけど、ホージーは結局、報告書を俺に渡す

因みに、俺も送るものがあるっていうのは実はウソね

「・・・今日はもう休んだら?」

数瞬の沈黙すら耐えれず、俺は笑ってホージーに話しかける

時刻は7時前

定時は一応、5時だから、もう立派な残業だ

「センは?」

「俺も、やることやったら今日はもう寝るよ」

「寝るのかよ」

「寝る子は育つってね」

「・・・それ以上、デカくなるつもりか・・・?」

「目指すは鉄人28号」

その後、二人分の笑い声が響く

・・・・・・あぁ・・・なにやってんだろ・・・

こんなコトしても、苦しさが増すだけなのに

「それじゃあ、お言葉に甘えて、今日はもう休ませて貰うよ」

そういってホージーは椅子から立ち上がる

「うん、お疲れ」

「お前もあんまり頑張りすぎるなよ」

「わかってるって」

そして、彼が背を向ける

その瞬間、いつも、苦しさが激しくなる

胸が痛くて、息ができなくて、喉が焼けるようで



  -----------痛い




「ホージー」

不意に自分の口から零れた言葉に、自分が驚く

「ん? どうした」

呼び止めてられた彼は、身体ごと振り返る

「あ、・・・」

自分で呼び止めたくせに、戸惑う



  ---吐き出してしまいたいよ、この苦しさを



「何か書類に不備があったか?」

歩いた数歩を戻って、ホージーは俺の手元を見る



  ---吐き出したら、きっと楽になれる



「・・・セン?」

不思議そうに、ホージーが俺の顔を見る



  ---吐き出して、伝えて、それで・・・



・・・それで・・・





  --------------- そ れ で ?





「ココ、漢字間違えてる」

今までの戸惑いがウソのように、スルリと唇が滑る

「なに!?」

完璧主義のホージーは凄い形相で書類をひったくると俺が指摘したところを睨みつける

「・・・本当だ・・・」

「ホワイトで直しちゃって」

俺がそういって修正ペンを差し出すが、ホージーは受け取らずに、手にしていた書類を握りつぶす

「えぇ?! ホージーッ!?」

「・・・書き直してくる」

「べっ、別にちょっと直せば・・・」

「書き直してくるッ」

叫ぶ勢いで言い捨てて、ホージーは靴を踏み鳴らして司令室を出て行く

「・・・完璧主義もあそこまで行くと、むしろ面白いよね・・・」

ヒトリになった部屋に、彼の背に向けた独り言が虚しく響く

「・・・ホント・・・」

祈るように手を組んで、拳に額を当てて俯く

「・・・ホント・・・どーかしてるよ・・・」

零れた笑みは自分を傷つけていた




  名前の無い感情

  きっとすぐに忘れて、消えて、無くなる

  君の居なかった日々が、今はもう思い出せないように

  すぐに消えるよ






  今はこんなにも、苦しいけれど






頬を伝う冷たさは涙なのだと、

俺が気づいたのはいつだっただろう?





・・・だからさ・・・もうちょっと、わかりやすい文が書けるようになろうよ、ネ?

某サイト様に触発されてしまった、緑の片思い
・・・つか、私の好みは青緑のハズなのに、緑青にしか見えねぇッ!!
でも、そのテのシーンが無ければ、緑青も好きッスーvv

緑は、いろんな物をいろんな角度から見る事ができて、
賢くて、優しいから
臆病だと思った
Let'sMyDream〜☆

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