胸の奥で思い出がこだまするよ

なんども、なんども

まるで

今の俺を責めるように


サイレントビート



身体の芯からギシギシと音がする

「・・・クスリが・・・切れてきたな・・・」

ヒトリきりの部屋、ソファに座り込んだ姿勢でそう呟きながらも、動くことが酷く億劫で、行動は起こさない

ギシリギシリと、俺の耳にだけ響く音

限度を超えた身体の改造に、あらゆる箇所が悲鳴を上げている

「・・・クソ・・・」

こんなところで耐え切れずに変身して暴れるわけにもいかない

気だるい身体を鞭打って、ソファから立ち上がり、クスリに手を伸ばす

そして、不意に左手首にはめられたブレスレットに視線が動く

SPDと、ただそれだけ書かれた簡素なブレスレット

「・・・こんなもの・・・まだ、つけてたのか・・・」

自嘲気味に笑って、それに触れる

「・・・元気にしてるか・・・?」

一瞬よぎった笑顔と、懐かしさに、思わず声をかける

しかし、すぐにソレを否定するように声を上げて嘲う

ナニを考えた? 俺は今、ナニを思った?


-------先に裏切ったのは俺のくせに----------


ギシギシと芯がうずく

机の上のクスリを乱暴に掴み取り、口内へ流し込む

「俺を哂うか? 貶すか? 裏切り者と罵るか?
 今でも、お前は甘っちょろい正義を信じてるのか?
 ・・・・・・・なぁ、ホージー?」

それは、耳鳴りか? 幻聴か?

ギシギシと音は止まない

ただ、クスリの効果でぼんやりする頭は、狂ってしまったかのように、

旧友の笑みだけを繰り返していた




ヴィーノサンの独白散文短文
結構というか、かなり好きです。 おかげでついつい書いてしまいました・・・
ヴィノ青でも、青ヴィノでもどっちでも好きだ

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