じっくりコトコト

大事な人のために


スペシアル クッキング

「はい! 今日の晩ご飯は、私が作らせていただきます!」

買い物篭をさげて帰ってきたアスカが言った

「あぁ、今日、介さん出かけるって言ってましたもんね
 俺も手伝いますよ」

凌駕は笑ってそういうが、

「大丈夫です
 まかせてください、料理は得意なんですよ」

アスカはそれを丁寧に断る

「本当か・・・?
 全く持って、疑わしいな」

自分でいれたコーヒーに口を付けながら、幸人は冷たい言葉を投げる

「皆さんに、ダイノアースの味を食べさせてあげますから楽しみにしていて下さい」

幸人の言葉にもめげず、アスカは笑顔で台所に入っていった

「アスカー、材料はちゃんと買えたの?」

らんるが心配そうにその後ろ姿を見る

「あ、やっぱり、ダイノアースと同じ食材はあまり見つからなかったんですが、
 らんるさんが教えて下さったお店で似たような物を買えました
 本当にありがとうございます」

「あぁ、いいの、いいの
 じゃ、がんばってね」

その背中に軽くを振って、らんるも座敷の方へ戻った




「・・・本当に料理なんてできるのか、あいつ・・・」

不安げに幸人が呟く

「だいじょーぶじゃない?
 結構、いい手つきで包丁構えてたし」

「・・・あれは、明らかにの握り方だったぞ・・・」

「・・・そう?」

『・・・・・・・・・・・・・』

嫌な沈黙が座敷に降りる

「まぁ、大丈夫ですって!
 あんなかんじの人って、案外、料理上手が多いですし!」

「お前も、そんな事言いながら不安なんじゃないのか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そんな事ないですよ〜」

「間が長すぎるわ、馬鹿!! やっぱり、手伝ってくる!!」

ちゃぶ台にコーヒーカップを叩き付けて、幸人が立ちあがろうとする・・・・・・・・が、

「駄目です! ここは、アスカさんに任せてあげて下さい!!!」

ガシッ!と止めに入るカタチで、幸人の腰に凌駕がしがみ付く

「なっ・・・! バカ、放せ!!!」

「放しません!!
 アスカさんがせっかく、ダイノアースの味を作ってくれてるんですよ!?」

「それが不安なんだ!!
 大体、ダイノアースの味ってどんなのなのか解らんだろう?!」

「とにかく駄目ですよーッ!!」

どさくさ紛れに腰を撫でるなーッ!!!!!!!



そして、幸人が凌駕をボコしている間に・・・



「皆さーん、出来ました〜!!」



料理は完成してしまったようである



アスカが作ったのは、どうやら鍋料理らしい

鍋掴みを付けた手で、ちゃぶ台に土鍋を置く

「あけまーす」

掛け声と共に、土鍋の蓋が開けられる

「・・・・・色は普通だな」

「あ〜、何だか良い匂いもしますよ」

「なんだ、普通に美味しそうじゃない」

半透明の汁はまだ少しだけ煮立っており、葉ものの具をひらひらとかき混ぜている

「他にはどんな具が入ってるのかなー」

そういって、凌駕がおたまで鍋をかき混ぜる


ガチャガチャカチャキチ(鍋より、金属音)


『・・・・・・・・・・・・・・・』

凌駕は思わず、そのままの姿勢で固まる

「・・・・・・明らかに金属音だな・・・」

「・・・・・・・・えぇ、金属音ね・・・」


『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』


♪ポイント整理♪
1・アスカはダイノアースから来た竜人
2・ダイノアースには進化した爆竜が居る
3・爆竜は生物でありながら、機械の特性も持つ特別な生命体
4・アスカは足りなかった食材をらんる(機械オタク)に教えてもらった店それに近いものを買ったらしい
5・なべ底から聞こえた金属音


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「・・・ほぼネタは読めたな・・・」

「そうね・・・生肉ぐらいならちょっとは予想してたけど、コレは予想外だったわ・・・」

「・・・とっ、とにかく食べてみましょう!!

凌駕が器を片手に構える

食べるのか!?

マジで?!

「だって、折角アスカさんが作った料理ですから!!」

凌駕はおたまで鍋をすくって、器に移す

カチャカチャカチャカチャ・・・・・・・(何かと器が当った音)

「・・・・・・いっ、頂きます!!!」

意を決した凌駕は思い切って、器を傾けて、一気に飲み込む

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・パタッ(倒)

「おい、馬鹿!!! ほんとに食ったぞ!!!」

「凌駕ーッッ!!!」

「普通に美味しいと思うんですけど・・・口に合いませんでした・・・?」

お前は食えるのか、ソレ!!!

「しっかりして、凌駕ー!!! 傷は浅いよ!!!」

「いや、浅くないだろ、コレは!!!」

「っていうか、アンタ医者でしょ?! 早く治してよ!!!」

「違うッ!! 俺は整体師であって、医者じゃない!!」

「おかしいな〜・・・調味料は間違ってなかったと思うんですけど・・・」

「この天然ボケ!!
 味付けじゃなくて、根本的なところの反省をしろ!!!」

「ヤバ!! 凌駕、息してないよ!?」

「なにーッ?!」







慌ただしく、どたばたとした数分後にようやく救急車を呼び、凌駕は奇跡的に命を取り止めた・・・・









「今後、お前には一切、食事は作らせん」

「え?! 不味かったですか!?」

「不味い美味いより、もっと根本的なコトだ!!」

「・・・・・・・・・・・・つまり、美味しい食事は水からって事ですね!!!

違うッッ!!!!!!!




転居して数日

早くも、不安が山積みになっているカリスマであった






ふっと・・・
爆竜がロボなんだから、植物もロボだったりするんだろうか・・・と思いました
つーか、人間以外の生き物はあなのだから、タンパク質はどうやって摂取してるんだろう・・・?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・人食い?(やめて)

そして、鍋底に沈んでいたのは・・・ネジです!!
気持ちはゾイドですが、鉄ネジ使わないし・・・
闇鍋もビックリ?

今後のアスカのボケっぷりに期待してます
そして、幸人の名ツッコミっぷりにも期待

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