ヒコウキ雲
「蓮のせいだからなー! 絶ッッ対、蓮のせいだー!!」
「馬鹿を言うな! お前が下らない事で喚くからだろう?! 俺のせいにするな!!」
「・・・2人とも、そんなに騒いでもしょうがないだろう・・・?」
少し後ろを歩く海之が静かにそう言うと、蓮と真司は同時に彼を睨みつけた
雲一つ無いいい天気で
確かに散歩日和な日ではあるのだけれど
男三人
こんな大騒ぎで散歩に進んで出かける訳も無く・・・
「大体、手塚だって無関係じゃないんだぞ!!」
「そうだな、8割はお前の所為だな」
「すっ・・・すまない・・・」
本気で睨んでくる2人分の視線に耐え切れず、思わず後ずさる
ことの切っ掛けは、いつもと同じ、蓮と真司のケンカで
花鶏開店前の
非常に些細な口論だったと思う
しかし、海之がそれを止めに入ったのがまずかった
まさかと思うだろうが、
2人の間に入ろうとした瞬間
海之は机に足を引っかけて転んだのだ
「それで店内はぐちゃぐちゃ・・・優衣ちゃんマジ切れ・・・俺達、勘当・・・」
「床にコケれば良いものを・・・なぜわざわざ、近くの机まで巻き込む・・・」
「・・・・・・すまない・・・」
ため息交じりの2人の声に、海之はさらに小さくなる
今日は
雲一つ無いいい天気で
確かに散歩日和な日ではあるのだけれど
男三人
もめながら、あても無く歩くには
あまり適さない日のようで
「あ〜・・・優衣ちゃんの機嫌、そろそろ治ってるかな・・・?」
「・・・微妙だな・・・」
「だからといって、あの片づけを彼女とおばさんに任せる訳には行かないだろう・・・?」
「それはそうだよなー」
「・・・戻って謝るしかないだろう・・・」
「そうだな、それしかないな」
雲一つ無い青空の下で
三人そろって
進行方向を180度変える
「・・・あ〜! ヒコーキ雲だー」
「そんなガキみたいに喜ぶな」
「・・・キレイだな・・・」
「でしょ! やっぱり、手塚はわかってくれるよねー」
「・・・随分、長いな」
「そうだな・・・空を分けているようだ」
どこまでも広がる青空を、両断するように一筋に走る白い雲
まだ伸びる、まだ伸びる
空の、端から端まで続く
白い雲
「・・・なんか、手塚がそう言うと縁起悪く聞こえるのはなんでだろうね・・・」
「いつも不吉な事ばっかり言ってるからだろう」
「・・・そうか?」
「・・・とにかく、帰って優衣ちゃんに謝ろう! それしかない!! 全国第28回平謝り大会だ!!」
「意味の解らんとを叫ぶな!」
「がんばって謝るぞー」
「お前も乗るな!!」
空の端から端まで続く白い雲
空を分ける雲?
違うよ、あれは
青空の端と端を繋いでる白い雲
それは、手を繋ぐように
「よっしゃ! そうと決まれば、急いで帰ろう!!」
「あぁ、そうだな。 急いだ方がいいだろうな」
「・・・走るのか・・・?」
「そりゃそうでしょ?」
「・・・そうか、自信がないんだな。 まぁ、そんなカラダ付きじゃろくに走れないだろうが」
「そんな事はない・・・・・・・ただ・・・」
「ただ?」
「なんだ、言ってみろ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「じゃぁ、花鶏まで競争ってコトで!」
「負けた奴が今日の皿洗いだな」
「・・・む」
三人一列に並ぶ
花鶏まで、約500m
道は、なだらかな下り坂
「位置について」
「よーい・・・」
『スタート!!!』
両端を繋いだ、永遠の青空の下に
あの時
僕らは居たんだ
笑いながら走って
その永遠に気づかずに
その空を駆け抜けた
それはまるで
一面の青空に栄える
一筋の
白いヒコウキ雲
霞んで青に融けていく
ヒコウキ雲
5000ヒット記念小説
いや、別に記念とかでなく・・・ただ書いてたヤツがちょうど5000ヒットの時期に書きあがっただけなんですが、
花鶏3人、仲良くでてるし、幸せ風だったので、記念小説にしてみました
いつもと、書き方を変えたつもりなんですが、どうでしょうか・・・?
読みにくいのは、いつも通りだと思います・・・
花鶏レースは多分、真司が勝ったと思います
次が蓮で、やっぱりラストで海之
むしろ、海之はゴール出来ずに、花鶏直前ぐらいで倒れてる
で、花鶏に着いてからそれに気づいて、真司と蓮が慌てて救助に向かいます
優衣ちゃんは、優しいからきっと許してくれると思います、多分
この小説はフリー小説なので、他サイトへ転載を許可しています
お気に召しましたらお持ち帰りください
その際には、私の名前をお忘れないようによろしくお願いします
あと、『貰ったよ』と連絡を頂けると、非常に嬉しいです