言葉で説明出来ないこの思いの意味を

この腕で示せたら


カイナ

佐野は小さな部屋に帰ってきて、新しく住みついた同居人にお弁当をさし出した

「ただいま、東條」

東條はもぞもぞと布団から上半身を起してお弁当をうけとろうと手を伸ばす

と、そのお弁当はヒョイっと上へあげられる

「・・・なに?」

からかわれたようで、不機嫌に佐野を見上げる

「『ただいま』って言ったら、『お帰り』でしょ?」

ニコーっと笑って佐野が言う

東條はそれを無視して再びお弁当に手を伸ばすが、お弁当は更に高く持ち上げられる

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おかえり」

渋々その言葉を言うと、佐野は非常に満足したようで、東條の隣りに座ってお弁当を手渡す

「今日は、お寿司でーす」

「・・・いただきます」

付いていた割り箸を割って、それを口に運ぶ

東條は旨いのか不味いのか全く表情に出さず黙々と食べている

「お茶、飲む?」

佐野が一旦、箸を止めて東條に尋ねる

そして、東條が小さく頷くのを見て台所に立ちあがった




「そういえばさー」

2人分の水だけ入れたやかんを火にかけながら佐野が話し掛けた

「東條がライダーになった理由・・・この前、教えてくれたじゃん?」

「・・・うん」

「なんでみんなに好きになって欲しいの?」

「・・・佐野くんは、好かれたくないの・・・?」

「ん〜、俺はどちらかといったら、『愛されるよりも愛したい』派だから〜」

火にかけたやかんを見張りながら、後ろ向きで答える

「・・・自分で思うより、誰かが思ってくれた方が・・・
 ・・・寂しくないから・・・だから・・・」

「・・・いま、寂しいの?」

佐野は振り返って、東條の顔を見る

身体はこちらを向いているが、背を丸めて俯いている顔の表情は見えない

・・・なぜだか、東條が泣きそうな顔をしている気がした

彼が泣くところなんて見たことがないから、そんな表情、想像も出来ないのに・・・

・・・泣きそうな顔をしてる気がした・・・

「大体・・・好きになるって、どうゆう感情だろう・・・」

話を変えるように、東條が呟いた

「香川先生の事、『好き』だったんじゃないの?」

「・・・わかんない・・・
 先生の事は・・・ただ・・・」

「ただ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

東條は黙り込んでしまった

俯いたまま

きっと泣きそうな顔で



佐野は彼の目の前まで行って、まだ布団に潜っている足を踏まないように正面に座る

「東條」

名前を呼んで、そして、その、小さな身体を抱きしめた

「ッ!」

これにはビックリしたようで、東條の顔が跳ねるように佐野を見上げる

「俺、東條のコト、好きだよ」

「・・・え?」

「スゲー好き、ホンキだからね
 一目ぼれだと思うよ」


「今、ホンキで東條の事好きだって言って、本当に東條の事好きだって想ってお前に触ってる」


佐野は見上げる東條の額に自分の額を当てて、明るい笑みを見せる

「伝わらない・・・? 
 『好き』ってコト」



不意に胸の奥が跳ね上った

自分の身体に回った手から、額から伝わるのは・・・

・・・あたたかさ・・・

まるで、雪で冷え切った指先を湯に浸した時のような、痛みを伴う暖かさ




おとうさん、おかあさんは、なにもくれなかったけど

先生は、僕が頑張ると頭を撫でて褒めてくれた

仲村くんは、僕が手伝いをすると視線をどこかに迷わせながらだったけど、お礼をいってくれた


佐野くんは、寂しいと言ったら、抱きしめてくれた

あったかいんだ、すごくすごく、暖かくて・・・


知らないうちに、涙が零れはじめた



「あっ、とっ、東條!?」

東條の瞳から、ハラハラと涙が零れるのを見て佐野が慌てはじめた

弁当が不味かったか? 何か怖いものでも見たのか? 傷が痛むのか? それとも・・・

「ごめん、嫌だった・・・?」

佐野はそういって、東條から腕を放そうとした・・・が、

東條が、佐野に手を伸ばして、ぎゅっと抱きしめた

「東條?!」

「・・・暖かい・・・」

「え?」

「暖かい・・・すごく、暖かい・・・」

「・・・うん、わかる?」

「・・・あったかい・・・」




先生が頭を撫でてくれた時、仲村くんがお礼を言ってくれた時、

気持ちのどこかで、なにかが灯るような感触がした

あれは・・・この、『あたたかさ』だったんだ・・・

わかるよ・・・うん、わかる・・・

君はきっと、誰より大切な人になる




「東條もあったかいよ」

佐野は再び東條に腕を回しながら、耳元で呟く

「・・・そう?」

「うん、あったけー」

「・・・うん、そっか・・・」




もうすこしだけ、お互いの暖かさをわけていようか

せめて、あのやかんの笛がせまい部屋に鳴り響くまで



・・・ありえねぇッ!
佐野×東條で、この展開はありえねぇッ!!!!(断言)
・・・いやぁ、書きたいお年頃だったんですよ・・・(何言ってんだ、コイツ・・・)
おもえば、ウチのHPで初のカップリングらしいカップリングの小説・・・
・・・手塚で書けよ・・・
つーか、ミッチー(佐野くん)のしゃべり、わかんねぇし・・・
・・・駄目じゃん・・・

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