和歌集 (掛→掛詞、上→上の句のみ自作、下→下の句のみ自作、比→比喩)
秋空も 我が身とともに 暮れゆかむ いつしもかれぬ ものにあらむや (掛)
雨(あま)の香よ いまはいづこに ゆかりける 降りゆくものと 言ふべからむや (掛)
雨は凪ぎ ふりゆくものは己のみ 思いださるる 願わぬものを (掛)
何幾の日も 変わらぬ君の その想ひ 夕焼け空より くまなく染まらむ
影法師 今いづこへか 奉る 我の影にや ある由もなき (比)
かたくなに 寒きを恨む 桜の木 まだまだ遠し 春の足音 (比)
茅の音に 立ち出でにけり 紅の 風に染まりし 人知れぬ夢
草枕 旅路の果ての しづけさに 震える星の 歌声を聞く (下)
ここにきて なほ廃れたか 宮崎よ 我らがふるさと なけがしけるそ
たづね来る その人もなき 我が庵は 今もつれづれ 立ちまどひける (比)
涙枯れ 言葉も枯れて 逝く日々に 何をか思ふ 夕闇の月
果てもなく 続きゆく時に 流さるる 今日の思ひ出 止めてしがな
巡るめく 夕凪の風に さらわれし 儚き夢と ともに流れむ
夕闇の 訪れ清かに 来にければ 光り淡きに かがり火ぞ燃ゆる (上)
雪の種 まかば咲かまし 冬寒み 冷たく我が身 今日も打ちひる