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「茜と水の惑星 第四拾話」

時刻は午後8時を回り、辺りはすっかり暗くなってきました。
ジャラ…ジャラ…。
その頃、茜はようやく200メートルの坂を登り切ったところでした。 ちなみに、茜のお尻のあざは3つに増えていました。 途中で何度かもたついてしまい、更に2回、鞭でお尻を打たれてしまったからです。
茜「はぁはぁはぁ…。」茜は激しく息を切らせていました。
たかだか200メートルの坂とは言え、特大浣腸で強制排泄させられた上、重い角材を背負わされて いたのでは、たまったものではありません。たとえ屈強な男でも、根を上げても不思議はないところでした。 しかし、茜は水の惑星で散々歩き回って多少は足腰が鍛えられていたので、何とか登り切ることができました。

ようやくたどり着いた更生所の建物は、茜が最初に連れて行かれた修行所とほとんど変わりない造りをしていました。地上3階建ての鉄筋コンクリート。おそらく地下室も完備していることでしょう。
ウィーン…ガコン。ジャラ…ジャラ…。
茜は鎖の音を響かせながら、正面にあるガラス製の自動ドアを通って中へ入りました。 すると修行所と同じく、入ってすぐのところに受付がありました。 なお受付には、20歳を少し過ぎたくらいの美しい受付嬢が座っていました。 彼女は落ち着いた感じのロングヘヤーで、目鼻立ちは整っており、オトナのオンナそのものと言った 感じでした。また背は高く、胸やお尻の肉付きも良く、腰はしっかりとくびれており、いわゆる抜群のプロポーションの持ち主でした。
この更生所と言う施設は、茜のような受刑者に刑罰を与えるためだけに存在しているわけではなく、主に脱退を希望した信者たちを連れてきて、脱退を思いとどまらせるように教育…とは名ばかりの洗脳を施すために存在していました。美しい受付嬢を置くのも、脱退を思いとどまらせるための手段の一つでした。
ジャラ…ジャラ…。
受付嬢「えっ!」
美しい受付嬢は、全裸でしかも奇怪な拘束具をはめられた美少女が入ってくると、 たちまち驚きの表情になりました。しかし、彼女はすぐに平静さを取り戻し、にっこりと満面に営業スマイルを浮かべながら茜に挨拶しました。
受付嬢「いらっしゃいませ。」
茜「………。」茜は驚きのあまり、挨拶を返すのも忘れてしまいました。
そして、じっと受付嬢の表情を見つめました。もちろん茜には、受付嬢の平静な態度が不思議でなりませんでした。これほどひどい仕打ちを受けている女の子が入ってきたというのに…。 何よりも、茜は厳重な拘束具のおかげで恥部を隠すことができず、その全てを受付嬢の目の前にさらしているのです。それを目の前にして、微笑んでいる美しい受付嬢。端から見ると何とも異様な光景でした。
ところで、先ほどの教育僧たちは、いつの間にか茜のそばから姿を消していました。 おそらく、これだけ厳重な拘束具をはめておけば、逃げようにも逃げられないと判断したからでしょう。あるいは、彼らの任務は茜を更生所の建物まで連れて行くことであって、その任務が完了したので 姿を消したのかもしれません。
カタカタ…。
受付嬢は、さっそく例の画像照合システムを使って、茜のプロフィールを確認しました。
…ピッ。
受付嬢「えーと。あなたは”元”巫女で、今は受刑者となっている茜さんですね。 ついさっき、所長の河原主教様に移管されたとありますわ。罪状は、”超神具の電池切れに伴う、 総大主教様からのお呼び出し無視”ですね。」
茜の身分は、データベース上も、巫女ではなく刑罰を受ける身分である受刑者と変更されていました。 これは受刑者となると、人事上、元の身分が一時的に停止されるからでした。 ひとたび受刑者となった以上は、茜の身柄を管理するのは教育僧でした。 また茜の罪は、正確にはバイブの電池切れにあるのではなく、その後の総大主教である弥生からの 呼び出しに応じることができなかったことにありました。 たとえ電池切れになったとしても、充電すれば問題はないのです。 ただし、主人が呼び出そうとリモコンを操作して電池切れのランプが点いてしまった瞬間に、 ”主人からの呼び出し無視”と言う重罪が確定してしまいます。 このことは、先日早苗に注意されたことでした。
茜「あの…。」茜は、か細い声を上げました。
茜は、すでに疲労のピークに達しており、すぐにでも休みたい衝動に駆られていたからです。
受付嬢「あら、茜さん。勝手に座っちゃだめです。茜さんは、今は巫女ではなく受刑者なのですから。茜さんは、管理者であられる河原主教様の許可がなくては、座ることは許されませんの。」
受付嬢は、相変わらず満面に営業スマイルを浮かべながら、口では残酷なことを言いました。
茜「そ…そんなぁ…。」茜は強い衝撃を受けました。
それは言葉だけでなく、茜と受付嬢の置かれている境遇の巨大なギャップに対してもです。 受付嬢は、ただ自分の仕事さえこなしていれば後のことは全て自由なのです。
一方の茜は、文明人としての最低限の権利である”服を着る権利”を剥奪された上、厳重な拘束具をはめられて体の自由まで奪われていました。これでは奴隷以下。言うなれば”家畜”同然の扱いです。
また、座ることでさえいちいち許可がいるくらいですから、食事や排泄、睡眠などと言った生きていく上で必要不可欠な事柄に関しても、自由を奪われていることは間違えなさそうでした。 何よりも、茜は過酷な刑罰を受ける”義務”を負わされていました。
受付嬢「ですから茜さんは、大変でしょうけど、そのままの姿勢でもうしばらくお待ちくださいね。 今、河原主教様をお呼びしますから。」
受付嬢はそう告げると、放送で河原を呼び出しました。
ピンポンパンポン。
受付嬢「河原主教様、河原主教様。新しい受刑者の方がお見えになりましたので、至急受付の方まで お越し下さい。繰り返します。河原主教様……。」
茜「………。」
なんとも間が抜けた光景でした。なんだか、その辺にあるオフィスのようです。
ざわざわざわ…。
茜「あっ!」
すると、ようやく茜は受付嬢の他にも信者がいることに気づきました。
見ると、受付の先にはかなり広めのロビーがあり、更生中と思われる大勢の信者たちで溢れかえっていました。信者たちは、皆一斉に受付の前で立たされている全裸の美少女に視線を送っていました。 美少女は、厳重な拘束具のおかげで恥ずかしい部分を隠すことができず、その全てを彼らの目の前に さらしているのです。
信者1「おい、見ろよ。あのオンナ…素っ裸じゃないか。」
信者2「何か変なモノをはめられているぜ。あれじゃまるっきり、”奴隷”じゃないか。」
信者3「アレって、噂に聞く”巫女”なんじゃないのかな?」
信者4「やっだぁー。きっとあのコ、悪いことをしたんでお仕置きされているのよ。」
信者5「あんな格好で、恥ずかしくないのかしら。」
信者たちは、口々に勝手なことを言って騒いでいました。 なんだかここは、脱退希望の信者たちを洗脳する施設と言うより、保養所と言った方が正解な雰囲気が漂っていました。 ちなみに巫女と言うのは、教団の上級幹部以外にはあまり目に触れる機会のない存在でした。 まれに目に触れる機会があったとしても、普段は黒いマントを羽織って卑猥な装束を隠しているので、一般信者が、巫女の本来の姿を見る機会は全くと言っていいほどありませんでした。 よって、巫女はどんな仕事をしているのか、粗相をするとどんな罰を受けるのかなども、もちろん知れ渡っていませんでした。よって、彼らの反応は至って”普通”と言えました。
なお、例外として、修行所の受付嬢のような極一部の好奇心旺盛な信者は、巫女に関することなど教団の内部情報をいくらかつかんでいるようでした。また、茜は岡島によってマントも着けずに修行所内を連れ回されたので、修行所に出入りする信者たちは、巫女の本来の姿を見る機会を与えられました。
更に、茜は教団本部内を全裸で連行されたので、教団本部に勤める信者たちは、粗相をした巫女に与えられる罰の一部始終を見る機会を与えられました。 しかし、それらの例外を除けば、教団内は今ロビーにいるような無知な信者がほとんどを占めていました。
チーン…ガラガラー。
間もなく、受付近くにあるエレベーターが到着し、中から主教を示す青い宗教服を着た男が降りてきました。この男が、所長の河原であることは間違えなさそうです。ちなみに、河原は槙原などと同じ階級である主教とは言っても、役職はたかだか更生所の所長なので、”格”ははるかに下でした。
河原「どうもお待たせしました。私がこの更生所の所長を務めております河原と言う者です。本部からの通達により、受刑者である茜さんの身柄を預かることになりましたので、どうかよろしくお願いします。」
河原は、非の打ちどころのないほど丁寧な自己紹介をしました。 名刺を差し出してこないのが不思議に思えるほどです。 ”服を着る権利”を剥奪された…つまり常に全裸でいることを義務づけられた上、厳重な拘束具で体の自由まで奪われている美少女に対する河原の対応は、滑稽(こっけい)としか言いようがありませんでした。しかも目の前の美少女は、厳重な拘束具のおかげで、河原の目の前に全ての恥部をさらしているのです。
茜「わ、私は巫女…じゃなくて、受刑者の茜です。こちらこそ、よろしくお願いします。」
茜も自己紹介をし、お辞儀をしました。重い角材を背負わされたままでのお辞儀は、少々つらいものがありました。茜は顔を上げると、さっそく河原を観察しました。 河原は、背が高く顔立ちも整っており、ダンディな中年男と言ったところでした。 しかも中年にしてはお腹は出ていないことから、スポーツなどをして鍛えているようでした。 このような男が、これから茜の管理者となるとは、いまいち実感がわきませんでした。 これは、茜がこの教団に入ってからというもの、それなりの男からしかひどい目に遭わされていなかったせいもありました。茜は、思わずじっくりと河原を見つめてしまいました。
河原「どうかなさいましたかな、茜さん。」
河原は茜の熱い視線に気づき、にっこりと微笑みました。
茜「い…いえ、何でもありません。」茜は思わず赤面してしまいました。
茜は、恥部をさらすにはだいぶ慣れて…と言うよりずっと裸にされっぱなしなので、羞恥心が麻痺してきていました。しかし河原が微笑んだ瞬間、一瞬にして羞恥心がよみがえってしまったようでした。
プシュー! ポタポタポタ…。
その証拠に、アソコから勢いよく愛液を分泌させてしまい、乾ききっていた股間を再び濡らしました。
河原「なら結構。これから茜さんはお部屋の方へご案内しますので、私のあとに付いてきて下い。」
河原は、愛液の分泌に気づかぬ振りをしながらそう告げると、茜に背を向けて階段の方へ歩き始めました。
ジャラ…ジャラ…。
茜は言われるままに、そのあとに続きました。 ここまで河原は、茜の格好については、さも当たり前のように振る舞っていました。 それこそ、その辺のTシャツやミニスカートのようなごくまっとうな格好をした少女と、なんら変りない態度で接していました。しかし、鎖を引きずって歩きずらそうにしている茜の歩みに配慮してか、ゆっくりと歩いていました。

その頃、総大主教の間では…。
弥生「許す…。」弥生は一瞬の沈黙の後、岡田に発言の許可を与えました。
これ以上悩んでいても、らちがあきそうになかったからです。 それに、こう言った捜査には、専門家の意見を聞いてみる必要性も感じていました。 岡田はそれほど有能な人材ではありませんが、事件の捜査などに関しては一応専門家なので、素人の弥生よりはましにこなすことができそうでした。
岡田「発言の許可をいただき、恐悦至極(きょうえつしごく)に存じます。」
岡田は、仰々しい言葉を使って礼を述べました。
岡田「これまでの総大主教様の捜査から私が思いますに、いかにして超神具の電池がなくなったかと 言うことが、最大のキーポイントになると思われます。」
岡田は、弥生が悩んでいることをそのまま言いました。その程度のことなら、弥生にも予想が付いていました。そもそも、ことの発端はバイブの電池切れなので、さも当たり前な発言です 弥生「で…。」弥生は、発言の続きを促しました。
岡田「はい。つまりフル充電されたはずの電池が、一夜にして電池切れになってしまった。 ここが最大のキーポイントです。ところで総大主教様におかれましては、茜なる巫女の超神具を ご使用になられたことはございますでしょうか?」
弥生「いや。まだ一度も使っておらん。」
岡田「ふむふむ。なるほど。」
岡田はそう言うと、弥生の回答もいちいち手帳に書き込みました。

ところで、岡田は槙原の陰謀については全く知らされていませんでした。 そもそも陰謀について知っているのは極少数の人間だけであり、槙原の他は、残りの3主教である三沢・柏田の両主教と、実行犯である早苗のわずか4名だけでした。これは、陰謀が絶対にバレないようにするための配慮からでした。早苗については、弥生を深く憎んでいることは確認済みなので、3主教たちから”絶対に裏切らない手下”として、絶大な信頼を寄せられていました。
なお、他の手下たちも、実に手際よく茜を”料理”していきましたが、これは陰謀のことを知らなくても、うまく動けるようにあらかじめ用意されていたからでした。つまり槙原たち3主教は、弥生が総大主教になった直後から、秘密裏に陰謀のための”手駒”を用意していたのです。
ところで、手駒の一つであるガラス張りの護送車については、実はあれは特殊なガラスでできていて、これに電流を流すと中から外は見えても、外から中は見えないようになっていました。 いくら何でも、全裸の美少女を鎖で縛った上、見せ物にしながら町中を走り回ったら、たちまち警察が駆けつけてしまいます。 あの時、外の人々の反応がいまいちだったのは、もともと中にいる茜の姿が見えないからでした。 なお、全裸護送の目的は茜を精神的に追いつめることなので、しっかりと目的は達成されていました。そうとも知らない茜は、繁華街の大勢の人々が見ている前で、豪快にウンコを漏らしてしまったと思い込んでいます。

弥生「………。」弥生は、岡田がメモを取る様子をじれったそうに見つめていました。
こうしている間にも、刻一刻と茜に危機が迫っているからです。
岡田「ふむふむ。なるほど…。」岡田は、メモを見返しながらつぶやきました。
弥生「くっ…。」弥生は、岡田を急かしたいのをじっとこらえました。
あまり頼りにならないとは言え、今や頼れるのはこの男しかいないからです。 下手に急かせて、彼の機嫌を損ねるようなまねは絶対に許されませんでした。

ところで、岡田が急に弥生に協力的になったことには確固たる理由がありました。 そもそも3主教に陰謀について知らされていなかったこともありますが、よくよく考えてみると、3主教の内のいずれかが次期総大主教となったとしても、岡田にはあまりメリットがないように思われました。 岡田は利用されるだけ利用されて、最後はゴミのように捨てられる可能性が高いように思われます。 そう思えるのは、岡田自身も、自分の能力については現実的な低い評価しか下していないからです。
また、3主教の内のいずれに付けば良いのかという難題もありました。 この選択を誤ると、岡田は一瞬にして排除されてしまいます。 それならば、いっそのことこのコムスメ…弥生に付いた方が利口のように思われました。 このコムスメは指導者たる能力はほとんどなく、おまけに性格は折り紙付きに良いので、陰で操るにはもってこいの存在だからです。
岡田は打算の末、まずは弥生の正当な権力を回復させ、それを陰で操ることにより、自分こと岡田が権力を握る道を選ぶことに決めました。 いかにも三流の指導者らしい考え方ですが、実質的には、今現在3主教が行っていることも岡田と何ら変わりはありませんでした。一言で言って岡田のもくろみは、3主教に取って代わることでした。

一方、早苗は弥生の御前でひざまづいたままでした。
さっさと先ほどの明日香と同じく、ミニキャミソールとバイブを剥奪して、自室にて謹慎するよう命じて欲しいところでした。いつまでもたっても捜査の対象から外してもらえないので、気が気ではありませんでした。もちろんこれは、早苗が疑われていると言うより、単に弥生が処理を忘れているだけのことでした。
早苗「………。」
ここで、無理に自分に対する処置を急かすと逆に疑われてしまう可能性が高いので、 早苗は黙って待つより他はありませんでした。
岡田「…なるほど。そう言う訳か。」
しばらくの思考の末、岡田は何かに気づいたようでした。
弥生「な、なんだ。早く申せ!」弥生は、思わず岡田を急かしてしまいました。
その瞳は、期待に満ちて輝いていました。
岡田「うぉっほん。ではさっそく申し上げます。今までの捜査結果から総合しますと…、 何者かが何らかの方法を使って、超神具の電池から電気を抜き取った可能性がございます。 誰がどう言った方法を使ったのかは、私には専門外ですので分かりかねますが…。」
岡田は、急かされたことなど気にせずに、自信満々に言い放ちました。
弥生「な…るほど。」
弥生は落胆しました。この程度のことなら、別に岡田でなくても予想が付きそうでした。 と言うか、強引に推理を進めて行けば、岡田と同じ方向へ行かざるを得ないように思われました。
弥生「何者かが何らかの方法を使ってか…。」
弥生は、岡田の言葉をそのまま繰り返しました。
弥生「専門外だから分かりかねるか…ふんっ…。んっ? 専門…専門…。」
ここで弥生は、”専門”と言う言葉が引っかかりました。

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