「茜と水の惑星 第四拾四話」 |
ヒクヒク…。
突然、巫女のひとりが腰を痙攣させました。 彼女は木村を押さえつけている巫女のひとりで、名を”ひかる”と言いました。 ひかるはすぐに木村から離れると、腰を振りながら弥生の元へ走り寄りました。
ひかる「そ…総大主教様。おおお、お電話でございます。」
ひかるは、腰のベルトに付けられたホルダーから携帯電話を取り出すと、弥生へ差し出しました。
ピッ…。弥生は携帯電話を受け取ると、通話ボタンを押しました。
タラーリ…。ポタ、ポタ…。
すると、ひかるのバイブは停止し、アソコからオンナの蜜を滴らせました。 ちなみに、彼女に埋め込まれているバイブは特別製で、携帯電話の呼び出しバイブレーターも兼ねていました。
弥生「私だ。」
槙原「総大主教様、槙原です。緊急事態が発生しましたので、ご連絡申し上げます。」
弥生「緊急事態だと!?」突然のことに、弥生は驚きました。
槙原「左様です。例の宇宙船についてなのですが、船内をくまなく調査した結果、宇宙船と例の巫女との間に何らかの関係があることが明らかになったのです。」
弥生「例の巫女とは…。茜のことか?」
槙原「左様です。総大主教様もご存じかと思いますが、彼女はただ一人、宇宙船に乗って帰ってきました。彼女は水道橋博士の助手を務めていると申しておりましたが、どうやらそれだけではないようなのです。」
弥生「それだけではない?」
槙原「左様です。しかしこれ以上は、直接彼女に問いただしてみないことには分かりません。 なんせ宇宙船はセキュリティが厳重で、これ以上の情報を引き出すのは至難の業ですので。そこで…。」
弥生「茜の刑罰を中止して、尋問にかけたいと申すのか?」
弥生は、槙原の腹が読めました。
槙原「いえ。刑罰の件につきましては、すでに先ほど、私から河原主教殿の方へ中止するようお願いしました。なんせ宇宙船に関する計画は、我がダミアム教団における”最重要計画”ですからね。」
弥生「そ…そうか。」弥生は喜びに打ち震えていました。
茜を過酷な刑罰から解放する、またとない理由ができたからです。 しかし部下たちの手前、表情に出すのは避けました。
また喜びのあまり、槙原の越権行為について咎めることを忘れていました。
槙原「ただし、彼女の刑罰は一時的に中止にするだけです。 尋問が終わり次第、再び更生所へ移送して、刑罰の続きを受けてもらうことになります。」
弥生「な…なんだと?」弥生は焦りました。
槙原「当然でしょう。これで彼女の戒律破りの罪が消えるわけではないのですから。」
槙原は冷たく言い放ちました。
弥生「しかし槙原。実は木村と言う科学僧が茜をおとしいれた疑いがある。つまり、こやつが真犯人であった疑いがあるのだ。」
弥生は、思わず手の内を明かしてしまいました。
槙原「ほお、それは初耳ですね。で…証拠などは?」
槙原は余裕たっぷりに言い放ちました。
弥生「まだない…。し、しかし、じきに口を割らせてみせる。」
弥生は苦しまぎれに言いました。
槙原「ほお、それは楽しみですね。総大主教様のお手並みを拝見したいところですよ。 ところで…。彼女の身柄なのですが、実は今、研究所へ向けて移送中なのです。」
ここへ来て槙原は、ようやく手の内を明かしました。
弥生「なんだと!?」弥生は意表を突かれました。
刑罰を中止したのは良いとしても、すでに研究所へ移送中とは…。 槙原の打つ手の早さに、ただただ驚くばかりでした。
槙原「宇宙船に関する計画は何よりも優先します。それは先代の総大主教様から受け継がれた最重要計画であるからです。違いますか?」
槙原は、弥生に咎められるより先に先手を打ちました。
弥生「た、確かに槙原の言うとおりだ。しかし茜を研究所へ移送するなら、少なくても事前に、 私に一言あっても良かったのではないか?」
弥生は、今更ながらも総大主教らしい権威を示しました。
槙原「これはこれは、大変申し訳ございませんでした。しかし万一、彼女の身に何かありましたら、 大切な計画が水の泡と消えてしまう恐れがございましたので、即刻身柄の移送を指示せざるを 得ませんでした。」
槙原はもっともらしく弁明しました。
槙原「よって万全を期して、彼女には厳重な拘束具をはめ、身柄を拘束した上で移送させております。」
弥生「厳重な拘束具だと!? そこまでする必要があるのか?」
拘束具のことを聞くと、弥生は動揺しました。 依然として、茜がひどい目に遭わされていることが明らかになったからです。
槙原「どうかなされましたかな? 総大主教様。なんせ彼女は、神聖な戒律を破った”重罪人”ですので、拘束具をはめて移送するのは、至極当前のことかと思いますが…。」
槙原はすまして言い放ちました。
弥生「それはそうだが…。で、彼女には、着る物は与えておるのか?」
槙原「いいえ、当然裸のままです。彼女には、刑罰が終わるまで”服を着る権利”は与えられません。」
槙原は冷たく言い放ちました。 ふと、弥生の頭の中に、全裸に剥かれ手錠をかけられた茜が、本部から連れ出されたときの様子が よぎりました。刑罰は一時中止になったとは言え、茜の重罪人と言う立場は何ら変わりませんでした。
弥生「………。」弥生は黙り込みました
もう弥生には、悠長に木村を拷問している暇などありませんでした。 ましては、早苗まで疑わしいときては…。
それに、もし茜が重罪人と言う立場のままで槙原の元へ連れて行かれたら、どんなひどい目に遭わされるか分かったものではありませんでした。
弥生「なあ槙原…。木村と言う科学僧の尋問が済むまで、茜への尋問を延期することはできないのか?」
弥生は、ひとつ提案をしました。
槙原「そうは申されましても、ことは最重要計画にかかわる問題ですし。うーむ…。」
槙原はしばらく考え込みました。
槙原「では、こうすると言うのはいかがでしょうか?」
そして、思い付いたように言いました。
弥生「どうすると言うのだ?」弥生はすがるように聞きました。
槙原「つまり彼女には、刑罰を免除する代わりに、宇宙船に関する計画に全面的に協力してもらうと 言うことです。」
弥生「そ…そうか! それは良い考えであるぞ!」
弥生は思わず声を張り上げてしまいました。 今度は、うれしさを隠すことができませんでした。 茜を重罪人という立場ではなく協力者という立場にすれば、少なくともひどい目に遭わされることは なくなるです。
槙原「総大主教様にご賛同いただき、光栄の極みです。またこれで、彼女を再び宇宙船に乗せる必要が生じましも、問題がなくなります。なんせ重罪人を、神聖な宇宙船に乗せるわけにはまいりませんので…。」
槙原は軽く追従しました。 なお槙原の目的は、木村への拷問を中止させることと、茜を己の管理下に置くことにありました。 弥生にわざわざ報告してきたのはこのためでした。 もちろん槙原は、初めから茜の研究所への移送を急ぐつもりはありませんでした。 そんなことは、弥生に認めさせた上で行えば済むことだからです。
また槙原は、弥生との交渉を有利に進めて、弥生へ大きな恩を売ったと言う形をとらせることにも 成功しました。 しかしその一方で、木村が自白すると槙原自身の関与までもが発覚する恐れがあったにもかかわらず、交渉の間、槙原は弱みをまったく見せませんでした。 槙原という男は、交渉にかけてはかなりの手練れでした。もちろん、弥生など足下にも及びません。 槙原「それではさっそく岡田大主教殿より、彼女の罪を赦免(しゃめん)する旨の宣言書を発行して いただいてください。」 ここへ来て槙原は、今更ながら正式な”赦免の手続き”を踏むよう申し入れてきました。 3主教の台頭により形骸化してしまったとは言え、信者の刑罰に関する決定は、教育僧の僧長である岡田が行うことになっているからです。
弥生「分かった。さっそく手配させよう。」
槙原「では、今後彼女には宇宙船に関する計画に協力していただくことになりますが、計画が終了するまで、一時的に彼女の身柄を私の管理下に置きたいのですが…。何か問題はございますか?」
ここで槙原は、交渉の最大の目的である”茜の身柄”を要求してきました。
弥生「えっ? あ…ああ、問題ない。全て槙原に任せる。」
弥生は一瞬躊躇しましたが、槙原の申し出は筋が通っており、また茜の赦免と言う大きな恩を売られた後でもあったので、了承するより他はありませんでした。
槙原「ありがとうございます。総大主教様のお許しをいただけたと言うことで、彼女はこのまま研究所の方へ移送します。また何かございましたらご連絡を差し上げますので…。」
弥生「分かった。」
槙原「それでは、これにて失礼いたします。」
プツッ、ツー、ツー、ツー…。そこで電話が切れました。
時刻は午後11時を回りました。
ブオーン、キキッ…。
茜を載せたワゴン車は研究所へ到着しました。 今回も前回と同じく全裸での移送でしたが、前回とは違いあたりは真っ暗な上、マジックミラーによって車内が見えないようになっているので、茜はいくらかは安心することができました。
しかし、まだ弥生と槙原との交渉の結果を知らされていない茜は、なぜ研究所へ連れて行かれるのか、また連れて行かれた後で何をされるのかは全く知りませんでした。 おまけに、厳重な拘束具をはめられて身体の自由を奪われているのでは…。 よって茜の心の中には暗雲が立ちこめ、けっして晴れることはありませんでした。
ガッチャン。
男「おらっ、降りろ!」
外から勢いよく後部ハッチを開けられ、武道僧らしい屈強な男が降りるよう指示してきました。
茜「は…はい。」茜は力無く返事をすると、ふらふらと荷台から降りました。
ジャラ…。乗るのとは違い、降りるのはそれほど困難な作業ではありませんでした。 荷台から降りると、茜は研究所の建物の中へ連れて行かれました。
武道僧「ほおー、しっかり食い込んでるな。」
建物へ入って明るくなると、武道僧は茜の股間をしげしげと観察し始めました。
茜「み…見ないで下さい。」
そう言われると、茜は急に恥ずかしくなってきました。 依然として茜は拘束具で両手を拘束されたままなので、手で股間を隠すことなどできませんでした。
武道僧「ふん。何を今更恥ずかしがっているんだ? ええ。」
武道僧は、無骨な顔を近づけながら言いました。
茜「くっ……。」
茜は顔を背けました。茜の格好は、これ以上ないくらい屈辱的なものだからです。 角材型の拘束具のおかげで、常に茜は強制的に全ての恥部をさらした状態にある上、依然として股間の2穴には超極太バイブを埋め込まれたままになっているからです。
キュッ! 茜「ひぃっ!」不意に武道僧は、茜の乳首を摘みました。
武道僧「ほおー、ガキっぽい顔をしているくせに、なかなかの”モノ”を持っているじゃないか。」
モミモミ、キュッ、キュッ。そう言うと、武道僧は茜の豊満な乳房をいじり始めました。
茜「や、やめてくださいっ。いやんっ、いじらないでぇー!」
茜はたまらず、悲鳴を上げました。 茜は、拘束具で拘束されているのでまったく抵抗できず、それこそ武道僧にされるがままでした。
武道僧「感度もいいみたいだな。おらっ!」
ギュッ! そう言った瞬間、武道僧は力一杯乳首を摘みました。
茜「ぎゃーっ! 痛いっ痛いっ痛いーっ!」すると茜は絶叫を上げました。
武道僧「でっへっへっへ。痛かったか?」
武道僧は悪びれた様子もなく言い放つと、ようやく茜への加虐を中止しました。
茜「はぁはぁはぁ…。」茜は激しく息を切らせました。
ジロッ。そして武道僧の顔を睨み付けました。
武道僧「ふん。おまえ、まだ自分の立場ってもんが分かっていないようだな。」
武道僧は、満面に笑みを浮かべながら茜を睨み返しました。
茜「ふん。負けるもんですか!」
茜は、思わず思っていることを口走ってしまいました。
武道僧「はっはっはっは。威勢のいいことだな。で、お遊びはこれくらいにして、そろそろ本題に入るぜ。おまえはつい先ほど赦免された。つまり、晴れて無罪になったってわけだ。」
茜「えっ? ……ええーっ!?」
事情を全く知らない茜は、突然の”無罪宣言”に驚きました。
茜(無罪って…。いったいどういうことなの?)
茜の心の中は、たちまちこの疑問で埋め尽くされました。 もしかして、弥生の活躍で茜の無実が晴らされたとか…。茜は淡い期待を抱きました。 しかし…。それにしては様子が変です。 そもそも無罪になったのなら、研究所ではなく、弥生のいる教団本部へ移送されるはずです。 また、”服を着る権利”が回復するはずでしょうし、厳重な拘束具で身体の自由を奪われることも ないはずです。 しかし現実は、いまだ服を着る権利を奪われている上、厳重な拘束具で身体の自由を奪われています。
茜「………。」
しばらくの間、茜は、今現在自分がおかれている状況について考えました。 しかし、茜の優秀な頭脳を持ってしても回答は得られませんでした。
武道僧「ほおー。まーだ、自分の立場ってもんが分からないようだな。うっへっへっへ。」
武道僧は満面に笑みを浮かべながら、茜を馬鹿にしました。
茜「くっ…。」(いちいち癇(かん)にさわる人だわ!)
茜は声にこそ出しませんでしたが、思わず表情に出して、怒りを露わにしてしまいました。
武道僧「なんだ、そのツラは? へっへっへっへ、分からなくて悔しいのかなぁ?」
武道僧は調子に乗って、更に茜を挑発してきました。
茜「くっ……。」
(こらっ、茜。挑発に乗っちゃダメじゃない。ここは絶対に隙を見せたらダメよ。)
茜は自分自身を叱咤(しった)して、怒りで支配されかけた心を何とか押さえ込みました。
武道僧「うっへっへっへ。なんならこのオレ様が、この”イヤらしいカラダ”に教えてやろうか?」
ムキッ!
そう言った瞬間、武道僧は茜の股間へ素早く指を這わせて、茜の最も敏感な肉芽の皮を剥きました。
茜「嫌っ、やめてよ! エッチっ、スケベっ、変態っ!」
プリプリ…。
茜はありったけの侮蔑の言葉を投げつけると、腰を振って指を振り払おうとしました。
ガシッ! 武道僧「いつまでも調子こいてんじゃねえぞ!」
すると、突然武道僧は怒りだし、茜の前髪を鷲掴みにしました。
茜「痛いっ、離してよっ! 離してったら!」
ガブッ!
茜は半狂乱になり、唯一自由が利く”口”で武道僧の腕に噛みつきました。
武道僧「ぎゃーっ! このアマぁ、離しやがれ!!」
武道僧は悲鳴を上げると、噛まれていない方の腕を振り上げて、茜の顔に殴りかかろうとしました。
男「これっ! レディに乱暴を働くものじゃありません。」
武道僧が今まさに殴りかかろうとした瞬間、背後から制止の声がかかりました。 茜にも聞き覚えがある声です。 制止の声がかかると、武道僧は上げた手を止め、茜も思わず噛みついた口を離してしまいました。 そして武道僧は振り返り、茜も声の主へ視線を走らせました。
男「お久しぶりです、茜さん。おっと、そう言えば昼間、本部でお会いしたばかりでしたね。」
男は、満面に人好きの良い笑みを浮かべていました。
茜「槙原…主教様。」茜は無意識に男の名を呼びました。
男の正体は槙原でした。茜の最も嫌っている男、槙原…。
再び宇宙船に乗って博士を助けに行きたいと言う茜の弱みにつけ込み、茜を”巫女”と言う奴隷同然の身分におとしいれた張本人。何よりもあの本部での出来事…。
全裸に剥かれ手錠と猿ぐつわで身体の自由を奪われ、本部内を連行されている茜に対して、屈辱的な乳首責めと屈辱的な言葉を浴びせた張本人。 茜の心の中では、槙原との悪夢のような思い出が走馬燈のように駆けめぐっていました。 また茜は、今回の陰謀の黒幕もこの槙原ではないかと疑っていました。 教団を事実上支配している3主教。 少なくとも、黒幕はこの3主教の内のひとりであることは間違いなさそうなのです。
槙原「これ、工藤。ぼーっとしてないで、すぐに茜さんの縛め(いましめ)を解いてあげなさい。」
武道僧「ははっ。」挨拶に引き続いて、槙原は意外な指示を発しました。
茜「えっ!?」茜は驚いて、思わず目を見開いて槙原を見つめました。
カチャ、カチャ…ドシンッ。
武道僧は、手際よく茜の両手両足を縛めている枷を外し、角材型の拘束具を床の上に転がしました。 その間、茜は呆然としながら作業を受け入れました。 また作業が終わった後も、自由になった手で恥部を隠すことすら忘れていました。
茜(どういうことなの?)茜の心の中は、新たなる疑問で埋め尽くされました。
”あの”槙原がなぜ茜を自由にしたのか?
今までが今までだっただけに、茜には信じられませんでした。 槙原が現れた瞬間、きっとまたひどい目に遭わされると思ったのに…。 まさに拍子抜けした感じでした。