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「茜と水の惑星 第四拾八話」

研究所の外へ出ると、右手に大きな駐車場がありました。
ザワザワザワ…。なお駐車場の中は、多くの信者たちで溢れ返っていました。
ここは山奥であり、付近には研究所の他には民家はおろか畑すらありません。
信者たちの車は、道路に沿って延々と路上駐車されていました。
茜はただひとり裸にされている上、おまけに後ろ手に手錠をかけられているので、たちまち心細くなって
きました。茜以外の信者たちは、皆一様に例のカンフー服のような教団服に身を包んでいました。
これはデザインこそ全て同じですが、身分によって色が異なっていました。
岡田などの大主教は黄色、槙原などの主教は青、その下の司祭は紫、更にその下の一般信者は白と
決められています。なお、総大主教だけは自由なデザインの服を着ることが認められていますが、
色だけは赤と決められていました。弥生が身にまとっている赤いミニチャイナドレスがまさにそれです。
また、一般信者の更に下に位置する巫女は、すけすけのミニキャミソール一枚だけをまとい、股間にベルト
付きバイブをはめることが義務付けられていました。
しかしこういった場では、その上に黒いマントを羽織ることが認められていました。
なお、集まっている信者たちを見渡すと、紫色の服を着た司祭たちが目立ちました。
教団には、司祭以上の幹部信者は一握りしかいないので、この多さは異常に思えます。
そして、駐車場の一番奥には仮設のステージが設置されていました。
昨晩茜が拷問を受けたステージにそっくりです。きっと、格納庫から運び出したに違いありません。
ステージの上には椅子が並べられ、その上には青色の服を着た主教クラスの信者たちが5人ほど腰を
降ろしていました。
これは一見、幹部信者を一同に集めたように見えますが、主教は全部で13人いますし、そもそも総大主教・
大主教クラスはひとりも見あたりません。
つまり、大主教以上を除く幹部信者の約半数と、研究所の職員全員を集めたと言ったところでした。
その数は、総勢で約300人。
茜にはなぜこれほどの数の幹部信者が集められたのか、皆目見当が付きませんでした。
まさか昨晩のように、茜を”公開拷問”にかけるためとか…。
しかし、それなら昨日の場所…格納庫で行えば済むことですし、大勢の幹部信者を集める意味もありません。
何よりも茜は、すでに星間航行システムの秘密をしゃべってしまったので、もう拷問して聞き出すようなことは
ないはずでした。
信者たちは槙原たちの姿が目に入ると、左右に移動してステージまでの道を開けました。
まるで”花道”のようです。武道僧と2人の受付嬢は、道の入り口付近で信者たちの群に加わりました。
よって、槙原・茜・三沢の3人が、この並びでステージ目指して花道を進んでいきました。
ザワザワザワ…。昨晩の拷問シーンを目撃した研究所の職員たちならいざ知らず、茜の全裸姿を初めて見る
幹部信者たちは皆驚き、茜の美しい裸体に食い入るような視線を送ってきました。
茜「くっ……。」茜は恥ずかしさと屈辱感にまみれ、顔を下に背けて歩いていました。
なんだか死刑台へ向かう罪人のような気分でした。
まさか茜の”公開処刑”を行うつもりでもないでしょうが…。

ステージのところまで達すると、槙原と三沢はステージの上に上がりました。
茜は…と言えば、ステージの上には上げられず、待ちかまえていた西山にステージの右下に集まっている
巫女たちの一群に加えられました。
巫女たちは皆、黒いマントを羽織っているので、端から見ると”可憐なカラスの群”と言った印象を受けます。
きっとステージ上にいる司教たちに仕えている巫女たちなのでしょう。
茜は、弥生以外の幹部に仕える巫女は初めて目にしました。さっそく茜は彼女たちを観察しました。
彼女たちは皆、かなりの美少女でした。もちろん彼女たちは、年齢制限により15〜19歳までの
女の子なのです。また巫女になれるのは、容姿端正・頭脳明晰・性格良好な女の子に限られます。
つまり彼女たちは、茜に劣らない”優秀な美少女たち”なのです。
巫女「ねえ…あなたも巫女なんでしょ?」茜の隣に立っている巫女が話しかけてきました。
茜「え…ええ、そうよ。」茜は彼女に視線を向けました。
彼女は茜同様、幼さを残した美しい顔つきをしていました。髪型はストレートのセミロングです。
巫女「何か悪いことでもしたの?」巫女は怪訝そうな表情で聞いてきました。
巫女は、股間にバイブをはめられている様子から、茜が巫女であることは分かりました。
しかし茜は、マントはおろかミニキャミソールまで没収され、おまけに後ろ手に手錠をかけられているのです。
よって、なにか悪いことをしてお仕置きを受けているのではないかと考えました。
茜「え…ええ、まあ。」茜は曖昧に答えました。
公式には、茜はすでに無罪になっています。今の茜の格好は、お仕置きを受けているのではなく、
完全の”モノ”として扱われていることを意味していました。
茜は星間航行システムの秘密をしゃべることにより、最も恐れていた”宇宙船の部品”にされてしまったの
です。このことを教えてしまったら、彼女に迷惑がかかってしまうかもしれないので、茜は曖昧に答えるより
他はありませんでした。
巫女「あたし、成美って言うの。あなたは?」巫女はそれ以上追求することはせず、名を名乗りました。
茜が言いにくそうに答えたので、追求するのは悪いと判断したのかもしれません。
茜「茜よ。」茜も名乗りました。
成美「へぇー、茜か。ステキな名前ね。」成美は気さくな笑みを浮かべました。
茜「えっ…そ、そうかな。茜なんて、ありきたりな名前だと思うし…。」茜は照れ笑いを浮かべました。
成美「そんなことはないわ。キレイなあなたにピッタシの名前だと思うわ。」
成美は感じの良いコです。たちまち茜は彼女に好感を抱きました。
茜「ありがとう。」
成美「ふふっ。ねえ、ところでこれから何が始まるか知ってる?」
茜「知らないわ。」
成美「ふーん。やっぱりあなたも知らないのね。槙原主教様といっしょだったから、何か知ってるかと
思ったんだけど…。んっ! んぁっ…。」
話している途中で、突然成美は苦しそうな声を上げました。
茜「えっ!? 成美さん、どうしちゃったの?」茜は驚きました。成美の身に何かあったのでしょうか?
成美「しゅ、主教様からお呼び出しかかったの…。ちょ、ちょっと行って来るわ。」
成美はそう言うと、小走りにステージの上に上がりました。見ると、腰を小刻みに振っています。
成美はステージの袖から、邪魔にならないように前屈みの姿勢をとりながら、主教たちが集まっているところへ
行きました。茜は成美の様子を目で追っていきました。
茜「あっ!」そして成美がひとりの主教の前でひざまずいた瞬間、茜は思わず声を上げてしまいました。
なんと成美の主人は、こともあろうにあの”槙原”だったのです。
槙原は成美に何か指示しているようでした。一方成美は、困惑した表情で聞いていました。
茜は何を話しているのか気になりましたが、茜のいるところからでは周囲の喧噪(けんそう)にさえぎられて、
2人の会話を聞き取ることはできませんでした。
間もなく成美は戻ってきました。先ほどとは打って変わって、暗い表情をしていました。
茜「成美さん、どうしちゃったの?」不審に思った茜が声をかけました。
成美「………。」成美は何も答えず悲しい目で茜を見つめ、すぐに視線をそらしました。
つい先ほどまでの成美とは、まるで別人のようです。
茜・成美「………。」2人の間には気まずい空気が漂っていました。
茜は、ステージ上の椅子に腰を下ろしている槙原に視線を送りました。
槙原は、茜と視線が合うとニヤッと笑いました。
茜(そ…そう言うことだったの…。)茜は一瞬にして、槙原が何を指示したのかを悟りました。
槙原は、成美に茜と話をするなと命じたに違いありません。
茜(せっかく仲良くなれたのに…。)茜は愕然としました。
槙原は、茜を精神的にどこまで追いつめれば気が済むのでしょうか。

西山「皆様。ご静粛に願います。これより、科学僧々長であられる槙原主教様より重大な発表がございます。」
ステージの中央に設置されたマイクに向かって、西山がこの集会の開会を宣言しました。
すると槙原は椅子から立ち上がって、マイクの方へ進み出ました。
ちなみに、ステージの上で腰を下ろしている主教は槙原を含めて7人。
その中央に陣取っているのは、もちろん3主教と呼ばれる実力者たちでした。
槙原「うぉっほん。まずは本日、早急なる招集に応じて集まってくれた主教諸君、司祭諸君、そして研究所の
職員諸君に厚く礼を言う。ここに集まった諸君ならすでに聞いているかと思うが、我がダミアム教団の技術力の
粋を結集して建造した宇宙船が、ついに完成したのだ。」
パチパチパチ…。槙原が宣言すると、割れんばかりの拍手が上がりました。
茜「う…ウソよ。」茜は思わずつぶやきました。
槙原は、博士の研究の成果である宇宙船を教団の功績と称えているのです。
茜は、悔しくて悔しくてしかたがありませんでした。
茜(ようーし。こうなったら…。)たちまち茜は、槙原の宣言を否定したい衝動に駆られました。
しかし、すぐに思いとどまりました。今の茜は身体の自由を奪われているので、ステージへ上がる前に
取り押さえられてしまうのがオチです。それにこの場で茜が何を言っても、相手にされるはずもありません。
事情を知らない信者たちの目には、茜は”お仕置きを受けている巫女”にしか映らないのです。
槙原「うぉっほん。なお宇宙船の名は、我らが唯一神の名を冠して”ダミアム号”と命名する。」
信者たち「ダミアム様、バンザーイ! ダミアム様、バンザーイ!」
槙原が宣言すると、あちこちからダミアム神を称える歓声が上がりました。
宇宙船開発の成果に続いて、宇宙船の名前までもが教団に奪われた瞬間でした。
茜「………。」茜は、黙って耐えるより他はありませんでした。
ザワザワザワ…。槙原「それではここで、ダミアム号を披露する。」
興奮が冷めやまぬうちに、槙原は次の宣言を行いました。
ゴゴゴゴ…。宣言と同時に地響きが上がりました。
研究所の背後にそびえている山が真っ二つに割れているのです。
もちろんこの山は、宇宙船の格納庫をカムフラージュする人工山でした。
ガコン。そして間もなく山は完全に開き、宇宙船が白日の下にさらされました。
信者たち「おおーっ!」宇宙船が現れると、信者たちは口々に歓声を上げました。
研究所の職員以外の信者にとって、初めて目にする宇宙船でした。
発射台に垂直に固定された宇宙船は、陽光を浴びて黒光りしていました。
パチパチパチ…。歓声に続いて、割れんばかりの拍手が上がりました。
茜「………。」茜は宇宙船を正視することが出来ず、ひたすら下を向いて屈辱に耐えていました。
茜(こんなんじゃ茜、助手失格だわ…。博士の宇宙船を守ることができないなんて…。)
茜は自分の無力さが悔しくてなりませんでした。
何よりも、”略奪者たち”にいいようにだまされてしまった自分が…。

槙原「本日、諸君らに集まってもらった目的は、我らの宇宙船ダミアム号の披露の他にもう一つある。」
ザワザワ…シーン。槙原の演説が再会すると、信者たちは再び静まり返りました。
そして、三沢、柏田の両主教も席から立って、ステージの中央へ進み出てきました。
槙原「これより我ら3名はダミアム号に乗り込み、試験飛行を行う。」
3主教がステージの中央に並んだところで、槙原は次の宣言を行いました。
信者たち「おおーっ!」一瞬の沈黙の後、信者たちは再び歓声を上げました。
宇宙船を披露したと思ったら、今度はいきなり試験飛行を行うとは…。信者たちは度肝を抜かれました。
槙原「無論、試験飛行にはかなりの危険が伴う。打ち上げに失敗すれば、命を落とすやもしれない。
しかし、我ら3名はあえて危険に立ち向かうことを決意したのだ。我らが唯一神ダミアム様のご加護を!」
信者たち「ダミアム様、バンザーイ! ダミアム様、バンザーイ!」
パチパチパチ…。槙原が宣言した瞬間、再び彼らの神を称える歓声が上がり、歓声に混じって割れんばかりの
拍手が上がりました。
茜「………。」茜はいい加減うんざりしてきました。ようやく、この集会の目的が分かったからです。
この集会は、3主教の権力を誇示するためのいわば”政治ショー”なのです。
彼ら自らが宇宙船の試験飛行を行うことにより、教団に置ける立場を確固たるものにしようと企んでいるの
でしょう。もちろん大勢の幹部信者を集めたのは、その証人となってもらうためでした。
また、茜は知らないことですが、弥生が今日研究所へ視察に来ることになっていました。よって、彼らとしては
事を急ぐ必要に迫られていました。茜をひどい目に遭わせたことが弥生にバレる前に、試験飛行を済ませて
しまう必要があるからです。試験飛行さえ無事に済めば、彼らは絶対的な発言力を得ることになり、茜に対して
行った数々の仕打ちに対してでさえ、弥生は口出しできなくなってしまうでしょう。
なお槙原は、”試験飛行にはかなりの危険が伴う”と言いましたが、試験飛行は博士がすでに済ませて
あるので、それほど危険ではありませんでした。
そのことを知らない信者たちは、彼ら3主教の勇気と功績を称えることになるでしょう。
信者たち「槙原主教様、バンザーイ! 三沢主教様、バンザーイ! 柏田主教様、バンザーイ!」
その証拠に、いつの間にか信者たちの歓声は、彼らの神を称えるものから3主教を称えるものに
変化していました。もちろん各々の配下の僧たちが主導しているのでしょうが。
茜(やつらの思い通りにはさせないわ! 逃げるのよ、茜。)ここへ来て、茜は意を決しました。
茜はこのまま彼らに利用されるよりは、望みは少ないとは言え、逃げた方が得策だと判断しました。
茜は、素早く周囲を観察しました。見ると、信者たちは興奮冷めやまぬと言った状態で、取りつかれたよう
に歓声を上げていました。
茜(逃げるなら今よ!)ヒタヒタヒタ…。茜は、来るときに通ってきた”花道”を走り出しました。
先程とは違い、花道は信者たちが移動して崩れかかっていましたが、茜は信者たちをかわしながら、
駐車場の外…道路へ向けて走り続けました。
茜は後ろ手に手錠をかけられているので、あまり速くは走れませんでした。
タップン、タップン…。おまけに、白日の下にさらされている豊満な乳房が大暴れしてしまい、余計に走り
にくい状態にありました。道行く信者たちは、全裸の美少女が走り寄ってくると、皆驚きの表情になりました。
しかし茜は必死の形相なので、立ちはだかろうとする信者はなく、むしろ道を開けて茜を通しました。
ガシッ。茜「あっ!」しかし、道路まであと少しと言うところで、茜は何者かによって、背後から抱きつかれて
しまいました。
茜「嫌っ、離してよ!」茜は必死になって、抱きついている信者の腕をふりほどこうとしました。
信者「茜さん! おとなしくしてください。」すると、信者が声を発しました。
声から見て、女性信者のようです。茜は驚き、抵抗をやめました。すると、女性信者は腕を放しました。
そして振り返って女性信者の顔を見た瞬間、茜は愕然としました。
茜「ええっ! そんなぁ…。」
成美「あ、茜さん。ごめんなさい。私には、こうする他はなかったの…。」
なんと、女性信者の正体は成美でした。成美は茜の顔を正視できず、申し訳なさそうにうつむいていました。
茜「な、成美さん。なぜ…。あっ!?」成美にわけを聞こうとした瞬間、成美の背後からやって来る武道僧たち
の姿が目に映りました。その数は総勢で3人。とても茜のかなうような相手ではありませんでした。
ぐずぐずしていると、茜は捕らえられてしまいます。
成美「はっ!」成美は茜の表情に気づき、振り返りました。
成美「ら、乱暴はしないでください。茜さんは、もう逃げたりしません。」
すると意外なことに、成美は両腕を左右に開いて、茜の前に立ちはだかりました。
茜にはチンプンカンプンでした。茜を捕らえにきた成美が、今度は茜をかばおうとしているなんて…。
もちろん成美が茜を捕らえにきたのも、槙原の指示なのでしょうが…。
しかし、これはまたとないチャンスです。
ヒタヒタヒタ…。茜は再び走り出しました。
武道僧「邪魔だ! どけ。」
成美「きゃあ!」武道僧は、その力強い腕で軽々と成美を押しのけてしまいました。
ドサッ。押しのけられた成美は、地面に倒れ込んでしまいました。
茜「成美さん!」成美の悲鳴を聞いた茜は、立ち止まって振り返りました。
見ると、倒れ込んでいる成美と、成美にかまわず茜の方へ走り寄ってくる武道僧たちの姿が目に入りました。
茜「ごめんなさい…。」もちろん茜には、成美をかまっている余裕などありませんでした。
よって、再び彼らに背を向けて走り出しました。
ヴィンヴィンヴィン…。茜「あっ!?」
ドサッ。しかし少し走ったところで、突然股間に振動が走り、茜は倒れ込んでしまいました。
茜「やっ! なんで、よりによってこんな時に…。あぁーんっ。やめてぇーっ!」
茜は倒れ込んだまま起きあがれず、腰を振り出しました。
茜はうかつでした。アソコに埋め込まれているバイブの存在を、すっかり忘れていたのです。
武道僧1「へっへっへっへ。手間をかけさせやがって。」
たちまち茜は、3人の武道僧たちに取り囲まれてしまいました。
ヴィンヴィンヴィン、フーン…。バイブの震動は、武道僧たちの到着にあわせて停止しました。
しかし茜はいまだ起きあがることができず、ただ快楽の余韻に浸った下半身を痙攣させているだけでした。
ピク、ピク…。

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