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「茜と水の惑星 第伍拾壱話」

そして放課後…。
茜はひとり校舎を出て、学校の敷地内を歩いていました。
茜「ふぅー…。」茜は思わずため息を付きました。
茜(茜って、やっぱ変な女の子なのかなぁ。授業中にひとりエッチしちゃうし、理恵にキスしちゃうし、
おまけにお尻を出して叩いてなんて言っちゃうし…。)
女の子たち「ファイトー! ファイト、ファイト…。」
茜が物思いにふけている前を、体操着姿の女の子たちが通り過ぎていきました。
きっと体育系の部活の女の子たちが、練習前のランニングをしているのでしょう。
茜「ふぅー…。」茜は再びため息を付きました。
茜(理恵ったら、もっと健全なことをしてストレスを発散させなくちゃダメって言ってたけど…。
まったくその通りだわ。このままじゃ茜、すぐにオバサンになっちゃうかも…。)
茜は、女の子たちの後ろ姿を羨望の眼差しで見つめていました。
女の子「茜ぇー!」すると突然、背後から茜を呼ぶ声が聞こえてきました。
茜「んっ?」茜は振り返りました。
すると、近づいてくる2人の女の子の姿が目に入りました。
茜「智美ぃ! それに舞じゃない。」茜は2人の名を呼びました。
彼女たちは、理恵ほどは親しくありませんが、茜の仲の良い友達でした。
また、彼女たちも茜と同じく帰宅部…つまり部活には入っていませんでした。
智美「ねえ茜、どうしちゃったのよ? なんだか元気ないみたいだけど…。」
茜のそばまで来ると、智美は開口一番で聞いてきました。
茜「えっ? うんーん。茜は別になんともないわ。いつも通りよ。」
茜は力無い笑みを浮かべながら、否定して見せました。
舞「えっ、智美知らないの? 茜ったら、理恵ちゃんと何かあったみたいなのよ。」
智美「理恵ちゃんとぉ? そう言えば…。授業が終わった途端、2人して教室を出ていったわね。」
舞「ねえ茜。理恵ちゃんと何があったの?」好奇心旺盛な舞が追求してきました。
茜「あ、茜は別に理恵とは…。な、何もなかったわよ。」茜は否定しました。
舞「茜ったら、相変わらずウソを付くのがヘタよねぇ。すぐに顔に出るもの。」
舞は、茜の顔を見つめながら指摘しました。
茜「ごめんね、舞。実は、理恵とちょっとケンカしちゃったんだ。でも、すぐに仲直りしたわ。」
舞「ふぅーん。」舞はあっさり納得しました。
智美「でも茜、元気ないじゃない。仲直りしたのに何で?」今度は智美が追求してきました。
茜「その…ちょっとね。理恵に、部活に入って発散…じゃなくて青春を謳歌しなくちゃダメじゃないって、
お説教されちゃったんだ。」
茜は、少しニュアンスを変えて説明しました。
理恵とは違い、彼女たちには、茜の全ての面を見せているわけではないからです。
エッチな下着を着けてきているとか、授業中にオナニーをしていることについては、理恵しか
知りませんでした。
もちろんエッチな下着については、毎日茜のスカートをまくりに現れる健二も知っていますが…。
智美「ふぅーん。確かに理恵ちゃんの言うことにも一理あるわね。あたしたちって何の目的もなく、
ただボーっと毎日を送っているような気がするじゃない。」
舞「ええー、マジィ? あたしは別に、何の目的もなく毎日を送っているつもりはないわよ。
3人で街へ出かけて、けっこう楽しんでるわけだしぃ。」
舞は、智美の意見には否定的でした。
智美「でもそれって、あまり充実していないと思うわ。なんかこう、流されちゃってるってゆーか。」
舞「で、茜はどう思ってるのよ?」ここで茜に振ってきました。
茜「えっ? えーとぉ…。茜は、理恵の言うことはもっともだと思うわ。」
もちろん茜は、理恵の言ったことはまったく正しいと思っていました。
舞「ま、茜は理恵ちゃんと仲がいいからね。もぅー! 2人してどこまでいっちゃったのよぉ?」
舞は冗談半分に聞いてきました。
茜「ま…まだ、え、Aまでよ。」茜は、思わず正直に答えてしまいました。
舞「エーって?」茜は、ほとんど死語同然の表現を使ったので、舞には理解できなかったようです。
智美「………。」一方、智美は黙っていました。
実は、智美は茜と理恵がかなり親密な仲であることを知っていました。
茜「で、今日は部活の見学でもしようかなぁーって、思ってるのよ。」茜はさり気なく話題をそらせました。
舞「ふぅーん。でもあたしぃ、部活なんて全然興味ないから、今回はパスさせて欲しいんだけど…。」
舞は、部活のような拘束される活動は好まない性格でした。
智美「舞がそう言うんなら、あたしもパスしたいな…。ねえ茜、どうする?」
智美も、部活にはあまり興味がない様子でした。
茜「じゃあ茜、ひとりで見学するわ。智美や舞に、無理に付き合って欲しいなんて言えないもの。」
いつもの茜なら、妥協して2人に合わせていたところでしたが、今日は妥協する気にはなりませんでした。
舞「じゃあ、あたしたちは遊びに行くわ。」智美「また、今度ね。」
2人は手を振って茜と分かれました。茜も手を振って、2人を見送りました。

茜「ふぅー…。」再びひとりになると、茜はため息を付きました。
何て薄っぺらな友情なのでしょう。それに比べて、理恵は、親身になって茜に気を遣ってくれています。
彼女たちとは雲泥の差です。まあ、理恵のような友達…つまり”親友”は、2人も3人も必要ありませんが…。
男の声「あっかねちゃん!」すると突然、男の声が聞こえてきました。
茜によく聞き覚えのある声です。茜は、キョロキョロと辺りを見回しました。
男「ふふーん。まだまだあまいねぇ。」男は、すでに茜の背後にピッタリとくっついていました。
茜「健二ぃ!」茜は男の名を呼びました。男の正体は健二でした。
健二は、茜に悟られることなく”間合い”に入ることに長けた男の子でした。
もちろん、その目的は茜のスカートをまくることにあるわけですが…。
健二「茜ちゃん、今日はまた、ずいぶんと短いスカートを穿いてるね。」
健二は、短いスカートの裾にかろうじて隠された、茜の肉好きの良いお尻を眺めていました。
茜「また、茜のパンティを見るつもりなのね?」茜は、背後の健二に問いかけました。
健二「いや。今日のヤツは朝見せてもらったから、今は見る気がしないな。」
茜「えっ!?」茜は驚きの表情になりました。あの健二が、現れた瞬間に茜のスカートをまくらないことは
まずあり得ないからです。
ササ…。健二は、茜と向かい合う位置に移動しました。実に無駄のない動きです。
そして、頭1個分高い位置から茜を見下ろしました。
健二「実は茜ちゃんに、折り言ってお願いがあるんだけど…。」健二は、微笑を浮かべながら言いました。
茜「お願いって…。健二が?」茜は、怪訝そうな表情で健二を見上げました。
実は、健二が茜に頼みごとをするのは、今回が初めてだからです。
健二「じゃーん!」健二はかけ声と同時に、茜の目の前に手のひらサイズの小さな紙包みを掲げました。
茜「何…それ?」茜は興味津々と言った表情で、紙包みを見つめました。
健二「これはボクから茜ちゃんへのプレゼントなのさ。」健二は、満面に笑みを浮かべながら説明しました。
茜「えっ! 健二が茜にプレゼントをくれるの?」茜は、一瞬にして嬉しい気分になりました。
健二「もちろん。」健二はそう言うと、包みを茜に差し出しました。
茜「えへっ。ありがとう。」茜は心からお礼を言って、包みを受け取りました。
茜「んっ?」茜の予想に反して、いやに軽い包みです。
茜「じゃ、さっそく開けちゃっていいかな?」茜はすぐにでも包みを開けたくなりました。
健二「ダメダメ。それは、ボクが見ていないところで開けて欲しいんだ。」健二はキザったらしく言いました。
茜「うふっ。分かったわ。健二ったら、茜に目の前で開けられるのが恥ずかしいんでしょ?」
茜は茶目っ気たっぷりに言いました。
健二「ま、まあ、そんなところかな。で、お願いなんだけど…。」
茜「えへへ…。」茜はワクワクしながら聞いていました。
それこそ、健二がキスしてくれと言えば迷わずキスしてしまいそうでした。
健二「さっそく明日、それを”着て”きて欲しいんだ。」
茜「…着る? 着るって、どういうことなの?」茜は怪訝そうな表情で、包みを見つめました。
着るということは、中には服でも入っているんでしょうか?
しかし、こんな小さな包みに入る服なんてあるんでしょうか?
健二「じゃっ、頼んだよ!」健二は念を押すと、風のように走り去っていきました。
茜「ちょ、ちょっと待ってよ。健二ぃ!」茜は、走り去る健二の背中へ制止の声をかけました。
しかし、健二は一度も振り返ることなく、校門の外へ消えていきました。
茜「もう、健二ったら! えへ。でも、健二が茜にプレゼントだなんて…。」茜は、幸せ一杯でした。
ガサゴソ…。茜は、さっそく包みを開けてみました。
茜「えっ!? な、何よコレ…。」茜は、中味を見て驚きました。
茜(コレって…。ひょっとしてパンティじゃ…。)なんと、健二のプレゼントはパンティだったのです。
茜は、パンティをじっと見つめました。
茜(それにしてもスゴイパンティだわ…。こんなんじゃ、さすがの茜でも穿けるかどうか…。)
健二のくれたパンティは、茜が今穿いているスーパーTバック以上に過激なパンティでした。
茜「もう! 健二ったら。いったいどういうつもりなのよ!」
思わず茜は、声に出して不平を漏らしてしまいました。
女の子たち「ヒソヒソ…。」すると、茜の近くにいた女の子たちがヒソヒソ話を始めました。
過激なパンティを片手に独り言を言っている女の子なんて、端から見れば異常でした。
茜「あっ…。」茜は女の子たちの視線に気づくと、慌ててパンティを鞄に押し込みました。
そして、大急ぎでその場を立ち去りました。

そして、次の日の朝…。
茜「ふぅー…。」茜はため息をつきながら、いつもの通学路を歩いていました。
茜と並んで、理恵も歩いています。
茜(そう言えば…。今日が夢で見た”あの日”だったわね。夢の中のあの日、茜はパンティのことで理恵と
ケンカして…。)
茜は回想にふけっていました。
茜(そう…。最後はパンティを脱ぎ捨てちゃったんだっけ。結局それがきっかけで、博士と知り合うことに
なったんだけど…。)
理恵「うふふ。茜ったら、あたしとの約束を守ってくれて、とっても嬉しいわ。」
理恵はいつになく上機嫌でした。
茜(現実の今日は、理恵との約束を守って”こんなスカート”を穿いてきちゃったんだし。)
今朝の茜は、約束の上限ぎりぎりの膝上10センチのミニスカートを穿いていました。
理恵が穿いているのと、ほぼ同じくらいの長さです。
茜(こんなんじゃ、とてもパンティを脱ぎ捨てるなんて展開にはならないわ。
だから博士と知り合うことも…。)
理恵「ねえ? 茜ったら、さっきからずーっと黙り込んじゃって、どうしちゃったの?」
理恵は、怪訝そうな表情で茜を見つめていました。
茜「えっ? ええ…。ちょっと考え事をしてたの。」茜は正直に答えました。
理恵「茜、元気ないね。どうしちゃったのさぁ?」理恵は心配そうに聞いてきました。
いつもの活発な茜と違って、今朝の茜は明らかに元気がありませんでした。
茜「うんーん。そんなことはないわ…。」茜は説得のない返事をしました。
茜(そうよ。結局、博士は夢の中の人…。たとえここでパンティを脱ぎ捨てたって、現実には存在しないん
だから、知り合うこともないのよ。)
茜はそう結論付けると、博士の影を頭から振り払いました。
理恵「ひょっとして、あたしが悪いのかな。無理言って、茜に短いスカートを穿くなとか、エッチなパンティを
穿くなとか、ブラを着けてこいとか、言いたい放題言っちゃったわけだし…。」
理恵は申し訳なさそうに言いました。
茜「そ、そんなことはないわよ。実を言うと茜、まだ”長いスカート”に慣れてなくて、戸惑っているの。
でも、そのうち慣れると思うわ。」
茜は、理恵に気を遣って、心にもないことを言いました。
理恵「ふぅーん、そうなの。でも茜、そのスカートだって決して長くはないわよ。
うふふ。茜のスカートの長さの基準って、いったいどうなってんのかしら?」
理恵は、元気を取り戻したみたいです。
茜「うーん…。そのままでもパンティが見えるくらいが短くて、じっとしていれば見えないのが普通かな。」
茜は、大まじめに”茜なりの基準”を述べました。
理恵「あはは。やっぱ茜って”変”だったんだね。でも、今日からはその長さが普通なのよ。分かった?」
理恵は微笑みました。
茜「はぁーい…。」茜は気のない返事をしました。
理恵「で、パンティなんだけど…。茜、今日はどんなパンティを穿いてきたの?」
理恵は次の話題に移りました。
茜(ドキッ!)その瞬間、茜は動揺しました。
しかし、何とか表情に出さないように努め、口に出してはこう言いました。
茜「り、理恵ってアブノーマルよねぇ。オンナの茜のパンティに興味を持つなんて…。」
茜はまじまじと言いました。
茜(あれれ? このセリフ…。前にもどこかで言ったことがあったような…。)
理恵「もう! ただ確認するだけよ。とりあえずスカートの約束は守ってくれたけど…。
肝心なパンティはどうなのよ?」
理恵は追求してきました。
茜(茜、ピーンチ! ど、どうすれば…。)茜は必死になって、打開策を考えました。
茜(あっ! そう言えば…。)そして、何かに気づきました。
茜「ねえ、理恵ぇ?」一転して、茜は余裕たっぷりな表情になりました。
理恵「な、なによ。」理恵は茜の豹変ぶりに驚きました。
茜「昨日の約束の中で、”スカートをまくり上げちゃダメ”って言うのがあったでしょ?」
理恵「そうよ。それがどうしたのよ?」理恵は怪訝そうな表情で聞きました。
まだ、茜の意図するところを理解していないようです。
茜「だ・か・ら、茜、スカートをまくり上げるわけにはいかないでしょ? えへ。」
茜は茶目っ気たっぷりに言いました。
理恵「あっ…。」ようやく理恵は、茜の意図するところを理解しました。
理恵「じゃ、じゃあ言葉で説明してよ。」
茜「うふふ。もっちろん茜は、約束通りエッチなパンティなんて穿いてないよ。」
茜は自信たっぷりに言いました。
理恵「じぃー…。」理恵は、茜の表情をじっくりと観察していました。
こうなってしまったら、表情を見て、茜がウソを付いているかどうか見極めるより他はないからです。
茜「あぁーん、理恵ったら。そんなにジロジロ見つめないでぇ。」
茜は両の頬に手を当てながら、イヤイヤしました。
理恵「ま、いいわ。パンティについては、茜の言うことを信じてあげるわ。」
とりあえず理恵は、茜を信じることにしました。と言うより、信じざるを得ませんでした。
茜「やったー! 理恵に信じてもらって、茜うれしいわ。お礼のしるしに…。んー…。」
そう言うと、茜は理恵に顔を近づけていきました。
理恵「ちょ、ちょっと茜、何考えてんのよっ! キスもしちゃいけない約束じゃなかったの?」
理恵は動揺しつつも、約束のことを持ち出しました。
茜「ちぇっ、つまんないな。」茜は本気で残念がりました。
理恵「…やっぱ茜って、レズだったの?」理恵は、警戒の眼差しで茜を見つめていました。
茜「ち、ちがうわよっ! これは友達同士の”スキンシップ”ってやつなのよ。理恵の方こそ、
何考えてるのよ。」茜は大まじめに言いました。
理恵「キスがスキンシップだなんて。はぁー…。あたし、もう茜にはついていけないわ…。」
理恵はため息まじりに言いました。
茜「じゃあ、茜が理恵についていってあげるね。うふふ。」茜はニコニコしながら言いました。
理恵「………。」すると、理恵は黙り込みました。
茜「あれ? 理恵ったら、何で黙ってるの?」茜は怪訝そうに聞きました。
理恵「…ま、いっか。茜は、ちゃんと約束を守ってくれたんだし。」
茜「じゃあ、理恵! 仲直りのしるしに…。」
理恵「キスはダメよ!」理恵は警戒しました。
茜「ふふふ。はい。」茜は手をさしのべました。
ガシッ。そして、2人は固い握手を交わしました。

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