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「茜と水の惑星 第七拾九話」」

一方、三沢は…。
三沢「畜生! 槙原の野郎、謀りやがったな! うわっぷ…。」
三沢は、怒りの形相でわめきちらしていました。
椅子はあっという間に沈んでしまい、三沢はつかまるモノがなくもがいています。
きっと、椅子は沈むように重りを入れられていたのでしょう。
バシャバシャ…。
三沢「うわっぷ…。お、オレ…泳げないんだっけ! うわっぷ…。」
何と三沢は泳げないのです。
バシャバシャ…。
三沢「くそぉー! ごぼごぼ…。」三沢は力まかせにもがきましたが、次第に力が弱まってきました。
腕力が自慢の三沢といえども、さすがに水中では体力を消耗してしまいます。
三沢「槙原の野郎ぉ! おぼえていやがれ!」
強がってみたところで、負け犬の遠吠えにしか聞こえませんでした。
三沢「ごぼごぼごぼ…。ぶはーっ! し、死ぬぅーっ! 誰か助けてくれぇーっ!」バシャバシャ…。
もはや、なりふりかまっていられなくなりました。
誰も助けてくれるはずがないのに…。叫ばずにはいられないのです。

ド…ドドド…。
しかし空耳か、ボートのエンジン音が近づいて来るのが聞こえました。
三沢「ごぼごぼごぼー…!」頭を水没させつつ、三沢は驚きました。
茜「三沢さん! これにつかまるのよ!」茜の声が聞こえたかと思うと…。
パコ! 頭に何か当たりました。つかんでみると、それは浮き輪でした。
浮き輪につかまって再び水上に頭を出すと、三沢は思いっきり水を吐き出しました。
三沢「オェー!」ジャバジャバ…。
茜「よかった! 無事みたいね。」
見上げると、ボートの上で安堵の表情を浮かべる茜が目に入りました。
ボートは停止しています。
三沢は、”なんでオレなんか助けたんだろう?”と不審に思いつつも、体力を消耗しているので、
とりあえずボートの上に這い上がりました。ザバ…。
三沢「ぜぃぜぃぜぃ…。」ボートに上がると、三沢は激しく息を切らせました。
茜「大丈夫?」茜が心配そうに尋ねました。
三沢「だ、大丈夫なわけねぇだろう! ぜぃぜぃぜぃ…。危うく死ぬかと思ったぜ。ぜぃぜぃぜぃ…。」
茜「うふふ…。でも、三沢さんがカナヅチだったなんて、意外だな。」
三沢の様子がよっぽどおかしかったのか、茜は思わず微笑んでしまいました。
三沢「で…。なんでオレを助けた?」息使いがおさまると、三沢は真顔になって尋ねました。
茜「えっ? なんでって言われても…。」茜は返答に窮しました。
三沢「さては、オレに惚れたな?」三沢は冗談交じりに言いました。
茜「ば、バカ言わないでよ!」茜は激しく否定しました。
三沢「じゃあ、何でだ?」三沢はしつこく聞いてきました。
助かったのだから、理由なんてどうでも良いように思えますが…。
三沢はどうしても知りたいようです。
茜「もー、どうだっていいじゃない!」茜は突き放すように叫びました。

ドルンッ! ドッドッドッド…。
すると突然、ボートが動き出しました。
三沢「おわぁ、急に発進させるな!」三沢は大きくのけぞりました。
茜「茜、何もしてないよ…。」
三沢「何だと!?」何と、ボートは勝手に動きだしたのです。
三沢「どけっ!」茜「きゃあっ!」
三沢は茜を押しのけて、椅子のない操縦席に飛びつきました。
カチャカチャ…。レバーやボタンを押しても、まったく反応しません。
自動操縦のようですが、解除できないのです。
三沢「どうなってるんだ!」三沢は叫びました。
茜「き…きっと、槙原主教が…。」
茜は、三沢の表情をうかがいながらつぶやきました。
三沢「槙原が…? 槙原の野郎が何かしやがったのか?」
三沢は怒りの形相で、茜を睨みました。
茜「たぶん、何か仕掛けをしたんじゃないかな…。」
三沢「槙原の野郎! 小細工をしやがってぇ…。このーっ!」
バキッ! 三沢は操縦パネルをぶっ叩きました。
茜「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ!」ガシッ。
焦った茜は、三沢の腕にしがみついて、やめさせようとしました。
三沢「離しやがれ!」
茜「嫌よ! それを壊したら、元も子もなくなるじゃないの!
まったく…。あなたってホントにバカなんだから!」
茜は遠慮無く言いました。
三沢「何だとぉ…。」三沢は怒りの形相で茜を睨みました。
茜「ふーんだ!」しかし茜は屈せず、逆に三沢を睨み返しました。
腰に手を当てて、いかにも挑戦的なポーズを取っています。
筋肉モリモリの大男と、華奢な美少女…。
どう見ても、三沢に分がありそうですが…。
三沢「すまん…。」しかし、三沢はあっさりとあやまりました。
茜「えっ? ……ええーっ!」
三沢の意外すぎる反応に、茜は思わず驚きの声を上げてしまいました。
珍しいものを見るような目付きで三沢を見つめています。
三沢「そ、そんなに驚くことないじゃないか…。」三沢は赤面しました。
茜「だってぇ…。」茜は混乱しました。
今までの三沢なら、即暴力に訴えてきたのに…。
この変わり様は、どうしたことでしょうか?
三沢「うぉっほん。そ、それに何だ…。いつまでもオマンコを見せびらかしてるんじゃねぇぜ。」
そう言うと、三沢は無毛のアソコを見つめました。
茜「あ…。ああーっ! み、見ないでよ、エッチ!」
茜は、全裸でいることにまったく違和感を感じなくなっていました。
しかし、あらためて三沢に指摘されると急に恥ずかしくなり、慌てて手でアソコを隠しました。
三沢「ほら。」ボテ…。三沢は、茜の足下にあるモノを投げました。
茜「何よ、これぇ…。」茜は、不満そうに拾い上げました。
三沢「ナニって、神具に決まってるだろうが。」
三沢がよこしたのは、例のベルト付き肉棒型バイブでした。
茜「なんで茜、こんな時にこんなモノを穿かちゃならないの!」茜はプンプンでした。
展開から言って、もう少しまともなモノを渡してくれても良さそうですが…。
三沢「なんでって、おまえ巫女だろ? 他に穿くモノなんてないぜ。」
三沢は当たり前のように言いました。
茜「………。」茜は、自分の置かれている立場をすっかり忘れていました。
茜は巫女…常にアソコを極太バイブで串刺しにしなければならない立場なのです。
ここで三沢とそのことを議論しても、らちがあくはずもないし、これ以上アソコをさらすことに
耐えられそうもないので、茜は覚悟を決めました。
ぴちょ…。茜は、バイブの先端を口に含んでひとナメすると、おもむろにアソコに突き立てました。
ズニュ…ヌズズズ…。
茜「んっ…んんーっ…。」茜は目を薄く閉じ、喘ぎ声を漏らしながらバイブを挿入しました。
ギシ…カチャカチャ…。挿入し終えると、きつく固定用ベルトを締めました。
三沢「………。」三沢は、無言でその様子を観察していました。
茜「あっ…。ちょ、ちょっとナニ見てんのよ!」三沢の視線に気づくと、茜は動揺しました。
三沢「ふっ。オレに見られて感じちゃったのか?」三沢は冗談交じりに言いました。
茜「ば、バカ言わないでよ!」茜は激しく否定しました。
ぷしゅ、ポタポタ…。
しかし、言葉とは裏腹に、アソコから愛液を滴らせてしまいました。
茜「………。」たちまち、茜は羞恥で顔を赤く染めました。

ドドドド…。
2人のやりとりをよそに、ボートはいずこへと進んでいます。
茜はボートの端に寄りかかって、ぼんやりと海を見つめていました。
三沢は、そんな茜の後ろ姿…ベルトがきつく食い込んだお尻を見つめていました。
一見すると、Tバックのパンティを穿いているように見えます。
また、外からは何ごともないように見えますが、その中では、突き出した肉棒型の極太バイブが
アソコを深々と貫いているのです。
茜(茜、これから先…どうなってしまうの…。)茜の心は不安で満たされていました。
三沢を助けたことにより、博士の救出は再び絶望的になってしまいました。
しかもボートは操縦不能であり、どこへ向かっているかさえ分かりません。
槙原の陰謀だとしたら…。

ザザー…。
槙原「三沢のバカ…。今頃は、海に落ちて頭を冷やしてる頃だろう。」
柏田「我らを出し抜くから、こういうことになるのじゃ。」
二人の主教は、大海原のまっただ中を漂流していました。
ことあることを予想していた二人は、救命胴着を身に着けていました。
今はそれを膨らませて、プカプカと水面に浮かんでいます。
槙原「ま、私とヤツでは、頭のつくりが違うからな。ヤツは腕力だけが取り柄の能なしだ。」
柏田「で…。これからどうするつもりじゃ。」そう言うと、柏田は槙原を見つめました。
三沢は排除した。(と彼らは思っている。)
残った邪魔者はお互いのみ。
槙原「次期総大主教には、もちろんこの私が就任します。」
槙原はすました顔で宣言しました。
柏田「何じゃと!」その瞬間、柏田の表情が険しくなりました。
槙原「当然でしょう。私の見事な作戦が功を奏して、三沢のバカを始末することができたんですから。」
柏田「だからといって、おぬしが総大主教になるなどと…。絶対に承服できん!」
柏田は、鋭い眼光で槙原を睨みました。
槙原「三沢がいなくなったことで、私は武道僧を配下に加えることになる。科学僧、教育僧、武道僧。
私は3つの勢力を掌握する。一方、あなたはどうでしょう。掌握してるのは医療僧と財務僧のみ。
私の方に分があるとお考えになりませんか?」
槙原は、優越感に浸った表情で言いました。
柏田「うぬぅー…。じゃが、まだ武道僧がおぬしに組みすると決まったわけではない。
三沢を陥れたのがおぬしだと分かれば、絶対におぬしなどに組みするものか!」
柏田は叫びました。
槙原「それはそうでしょうが…。もしそうなったら、あなたも困るんじゃないでしょうか?」
柏田「なぜじゃ?」
槙原「このまま二人仲良く地球へ帰れば、武道僧の単細胞どもは、絶対にあなたも共謀していたと
思うでしょうな。」槙原は、余裕たっぷりに言い放ちました。
柏田「じゃ、じゃが…。だからといって、武道僧がおぬしなどに組みするものか!」
槙原「私は、武道僧への根回しは忘れてませんよ。主だった幹部は、すでに金とオンナで
十分手なずけてあります。私が武道僧を部下同然に使っているのは、あなたも良く知ってるでしょう?」
槙原は全く動じませんでした。
柏田「………。」柏田は、これ以上言い返せなくなりました。
槙原と武道僧の癒着ぶりは、彼の知るところだからです。
いや武道僧だけではありません。
彼の配下たる医療僧や財務僧に対しても、槙原は密かに手を回しているようです。
教団随一の陰謀家だけのことはあります。
槙原「柏田さん…。別に私は、あなたを排除しようなどとは思っていません。
いやむしろ、新体制を築くにあたって、お互いに協力しあおうと思っているのです。」
槙原は恥じらいもなく、ヌケヌケと言い放ちました。
柏田「協力ではなく、利用しようと考えておるんじゃろ…。」
柏田は苦虫をかみ殺すように言いました。
槙原「ふっふっふ…。まあ、何とでも言ってください。」
もちろん槙原は、柏田に権力を与えるつもりはありませんでした。
大主教くらいには昇格させてあげるつもりでしたが、息のかかった者たちも大主教に昇格させ、
柏田と同列に並べるつもりでした。
組織にナンバー2は必要ないのです。
圧倒的上位にいる槙原と、その下で手足のように働くナンバー3たち。
それが、槙原が描く教団の未来図でした。

ドドドド…。
そこへ、ボートのエンジン音が響いてきました。
槙原「やっと戻ってきたな。」
槙原は、水平線の彼方から近づいてくるボードへ視線を送りました。
柏田「………。」敗北感に打ちのめされた柏田は、無言でした。
ここで一発逆転を狙うとすれば、三沢のように力ずくで敵対者を排除するしかありませんが、
用意周到な槙原がそれを許すはずがありません。
逆に、三沢のように返り討ちにあってしまうでしょう。
槙原「ん…? ボードに誰か乗ってるぞ。」槙原は目を凝らしながらつぶやきました。
柏田「何じゃと!?」柏田も目を凝らしました。
ボートの上には、腕組みをして直立している大男が…。
槙原「み、み、み…三沢だぁ!」槙原は驚きの声を上げました。
作戦は完璧だったはずなのに…なぜ…。
その瞬間、槙原の心は敗北感で打ちのめされました。
柏田「ふふ…。ふっはっはっは…。」すると、柏田は声高々に笑い出しました。
槙原「な、何がおかしい!」槙原は声を荒立たせました。
柏田「所詮、おぬしは浅はかだったのじゃ。三沢を見くびりすぎたのじゃ。これが笑わずにいられるか。
ふっはっはっは…。」
槙原「黙れ! 私の作戦は完璧だった。三沢ごときに…。ん…?」
ようやく槙原は、三沢の他にも人が乗っていることに気づきました。
三沢の存在があまりにも衝撃的だったので、すぐにはもうひとりの存在に気づかなかったのです。
柏田「裸のおなごが乗っておる…。」
柏田が説明するまでもなく、槙原は理解しました。
この惑星にいる女の子など、茜以外に存在しません。
槙原「あのオンナ…。なんで、三沢とボートに乗ってるんだ?」
そう言うと、柏田と目を合わせました。
柏田「わしゃー、知らんぞ。」柏田の方こそ知りたいくらいでした。
槙原「三沢のヤツが、宇宙船に戻って連れてきたのか…? いや、そんな時間はなかったはずだ。」
柏田「その前に、おぬしが仕掛けた罠が作動するはずだったというわけか?」
柏田は、疑心に満ちた目で槙原を見つめました。
槙原「罠は完璧だった…。それに、もし仮に罠が作動しなかったのなら、
三沢がここへ来る道理がないではないか?」
柏田「たしかに…。」

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