ダンナンのススメ


 都大会・対青学戦の後、山吹マネジャー壇太一は南部長に入部届を渡した。

 

  ―数日後―

「南部長、この後練習に付き合って下さい」

 その日の部活が終了して、後片付けをしている南の所へ近づいてきた壇が、声をかけた。

「少しでも早く強くなるです。だから南部長と一緒に練習して、教えてほしいです」

 一生懸命に訴えかける壇の態度に、もともと部員思いの部長である南は心を動かされた。

「俺でいいなら練習くらい付き合うけど、千石じゃなくていいのか?いつもは千石と練習しているだろ?」

 入部届を受け取ってから毎日、部活後に壇が千石と居残り練習をしていたことを南は知っていた。

「千石先輩は今日、用事があるみたいです。それで練習の相手は南部長に頼んでみたらと言われたです」

 練習相手なら自分より千石の方がいいと思っている南だったが、千石に用事がある今日は壇の練習相手になることにした。

「そういうことなら始めるか」

「はいっ!」

 

 一、二時間ほどして、居残り練習を終わらせた二人は後片付けと着替えをして、最後にコートに忘れ物など無いか見回りをしていた。

「南部長、足元にまだボールがあるです」

 壇の指摘したボールを取ろうとかがんだ

その時…

チュッ

そんな音と一緒に南の頬に柔らかい何かが触れた。

「えっ…」 

 呆然とする南に、壇は照れくさそうだった。

「練習に付き合ってもらったお礼です。ありがとうございました」

 そう言うと、壇は「お先に失礼します」と頭を下げ、校門の方に走っていった。

 残された南はしばらくそこから動けなかった。

 
(2005/10/29)


 壇南の話です。 
灯屋的には、この2人の組み合わせ・身長差など非常に珍しいモノです。
でもまあ、書いたもん勝ちかな、と思っています。

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