親密大作戦!

   その2

 

 その日、昼過ぎから降り始めた雨のせいでテニス部の活動は中止になってしまった。

 南が家に帰ろうと昇降口に行くと、空を見上げている壇がいた。

「どうした、カサがないのか?」

「あっ、南部長・・・」

「かなり降っているな。カサがないならそんなに遠くないし、お前の家まで入れていってやろうか?」

 雨はすぐにやみそうもなく、南は大きめなカサを持ってきていた。

「・・・お願いしますです」

 少し迷った後、壇はぺこりと頭を下げた。

「ちょっと待ってろよ。今、靴履き替えてくるから」

 

「もっとこっち寄れよ。ぬれてカゼひくぞ」

 二人で一本のカサに入って昇降口を出る。遠慮をしているのか、肩のあたりがもうぬれ始めている壇にきちんとカサに入るようにうながした。

「明日からはまた厳しい練習メニューが待っているんだから、体調には気をつけるんだぞ」

 

 この後、壇の家まで送っていった南は知らなかった、壇が折りたたみのカサを実は持っていたことを。


(2005/11/8)


 「親密大作戦!」は2本とも短いのに、なんとなくでわけてあげてしまいました。
一応はその1とその2になっているので、こうしたのですが、ちょっぴり後悔です。
短いので、すぐに読み終えられるを長所としている壇南ですが、もう少しはお付き合いしていただくかとおもいます。


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