「じっとしてて下さい」

 頬を染めて囁く顔は真剣そのもの。震える睫毛の下で潤んだ瞳に見つめられるだけで、体の力が抜けていく。

 が。

「ま、待て早まるなディズィーっ!」

 彼の口から出るのは情けない哀願だった。

 無理もない。

 両腕を少女の背から生えた青い肌の女に片手でまとめ上げられ、両脚を同じく少女の背から生えた男によって開かされた間にちょこんと少女が座っているのだから。

「早まるって、何を?」

 ディズィーはきょとんとして首をかしげる。

「だから、その……」

 テスタメントは口ごもった。視線の先にはディズィーの白く柔らかな手と、それに包み込まれて反応を示し始める自身。そして――

「ふふ……ここは私と同じなんですね……温かくて気持ちいい」

「……っ!」

 指先をくい、と沈められるとかすかにそこが濡れた音を立てる。それを聞くとディズィーは心底嬉しそうに微笑んだ。

「や…ディズィ……ッ、やめ……」

 普段意識することの少ない箇所をいきなり触れられ、身を強張らせる。

 ――安請け合いするんじゃなかった。

 ディズィーが今日は自分から責めたいと言ってきたので、軽い気持ちで応じたらこの始末である。

「痛かったら手を上げてくださいね」

 こういうときに言う台詞じゃないだろうとか、そもそもウンディーネが手を押さえているだろうとか、どちらに重点を置いて怒るべきか悩んでいる余裕もなく、彼の狭い『女』の中にディズィーの指が埋まっていく。

「んん……っ、く…ぅ……」

 苦しそうな、それでいてどこか甘さを含んだ呻き声にディズィーの指の動きが止まる。

「いけない、ちゃんと濡らさないと痛いですよね」

「いいから……っ!」

 まるで聞いていない。

 彼の両腕を押さえつけているウンディーネが、空いた手で硬く尖る胸の頂点を軽く爪弾く。触れるか触れないかの距離でひんやりした感触が胸の上をかすめる。

 ネクロの姿がぐにゃりと歪んで無数の蛇の群れへと変わり、白い腿の上を這い回り始めた。敏感な内腿を凶悪な外見からは信じられないほどの優しさで啄ばみ、舐め上げると同時にテスタメントの体が跳ねる。

「ひぁ……っ」

 堪え切れずついに悲鳴を上げた。握り込まれたままの彼の『男』は脈打ち、先端から先走りの雫を滲ませている。

「すごい……」

 責めをネクロとウンディーネに任せきりのディズィーは、時々彼の怒張を確かめるように軽く握る力を籠めながら、ぱっくり開いた割れ目からとろとろと蜜が溢れてくるのを恍惚として見つめていた。

 いつも自分がテスタメントにされているときも、こんな風に肌を上気させて欲情に目を潤ませ、誘っているのだろうか。

 もう一度指で触れてみると、先ほどよりはっきりと濡れた音がする。指に絡んだ温かなとろみを小さな襞や屹立した部分に塗り広げ、丁寧に擦り上げ、再び指を沈ませた。

「それで……えぇと、こうだったっけ」

「っ!」

 テスタメントの中で、くいと指を曲げる。彼がいつも自分にするように。入り口近くで小刻みに指を震わせ、突き入れ、また戻っては同じ動作を繰り返す。その間もネクロとウンディーネが休みなく彼を弄り続ける。

「う……くっ…んん、ぁっ…あぁっ…!」

 次第に声を抑えられなくなってされるがままの彼の様子に、息が荒くなっているのが自分でも分かる。体の奥から熱いものが溢れてくる気がして、無意識にディズィーは太腿を擦り合わせた。

「も……いいから、おいで」

 吐息混じりの言葉に両腕を押さえていた力が緩む。その下から差し伸べられる手を取ろうと身を浮かせると、ウンディーネが耳元で囁いた。

「え、なぁに? ……本当に……うん、分かった」

 一言二言交わして、ディズィーが顔を赤らめうつむく。ウンディーネが手渡したものを受け取ると、気恥ずかしそうに向き直った。

「あのねテスタメント……私の指じゃ奥まで入らないだろうからって、ウンディーネが」

「――っ!!」

 大きい、というよりは太いと言ったほうが近い氷の塊。微妙な形状のそれは、ディズィーの乏しい知識で唯一知りうる人のものと酷似していた。

 思わずテスタメントが身を引こうとするのを、ウンディーネがまた押さえつけ、ネクロの蛇の一匹が頭を擦りつけ濡れた秘部を押し広げる。ディズィーの指が近づくとおとなしく場所を譲り、再び太腿を愛で始めた。

「ぁあ……っ!」

 ぐちゅりと淫猥な音を立てて、蕩けたそこはたいした痛みもなく氷塊を呑み込んだ。その様子を見て取ったディズィーは、間を置かず抽送を開始する。

「く……ぅ……、んっ、……うぅ……っ」

 指とは比べ物にならない圧迫感と異様な冷たさにテスタメントは呻いた。声を堪えようにも堪え切れず、その事でまた煽られる。

 粘着質な音が響く度に溶けていく氷と愛液の入り混じったものが溢れ、ネクロの蛇たちがそれを残らず舐め取った。

 目の前でディズィーの腰が揺れている。無意識に黒い尾を曲げ、脚の付け根に擦りつける姿にお預けを喰らったままの牡が反応する。

「……っは、ぁ……あ、あぁあ……あ、ディズィー……もう、やめ、っあああああっ!」

「あ…っ!?」

 テスタメントの中がきゅっと引き絞られ、何かが折れる鈍い音がした。それと同時にいきり立ったモノが暴発し、彼の腹とディズィーの無防備な顔を白く汚す。

「――っ、すまない……」

「あ……私こそごめんなさい」

 ウンディーネが離れ自由になった手で顔にかかった白濁を拭うと、それを彼女が横から丁寧に舐める。その煽情的な様にまた欲望を掻き立てられて、テスタメントは素早くディズィーの腰を抱いて下から貫いた。

「ふあ…っ!? あ、だめぇっ! 今日は私がする……って、やぁあっ!」

「これだけ濡らしておいて……っ」

 ディズィーのそこは触れてもいないのに既にぐちゃぐちゃに濡れていて、待ちかねたようにテスタメントを受け入れる。突き上げられる度に隠しようもない歓喜の声を上げ、黒い尾がぴしりと跳ねる。

 いつの間にかネクロとウンディーネも翼の姿へ戻り、押し寄せる快楽の波に黙って耐えていた。

「う……っ」

 突き上げる度にテスタメントの中で砕けた氷の塊同士が擦れ合い、内壁を刺激する。そのまま熱で溶けてしまえとばかりに、普段の彼からは想像もつかないほど荒っぽく責め立てた。

「あ、あ、あぁああ……っはあぁ……!」

 ディズィーの絶頂に合わせて二度目の精を放つ。ぐったりして胸に倒れ込んでくるのを抱き留めたテスタメントは、深く息を吐いた。

 彼女に中で折れたままの塊がまだ溶け切らないなどと知られたら、何をしでかすか分からない。

 余計な事を考え出す前にと、彼はディズィーの肉付きのよい尻に手を伸ばすのだった。




END


言い訳

 ディズィーのギアとしてのポテンシャルを、フルに活かしたエロというのを書いてみたい、という衝動に駆られてやってしまったブツです。起承転結はどこへやら(^^;

 せっかくだから尻尾やネクロももう少し活用したかったなあ……(言い残すのはそれでいいのか)




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