――本当に蕩けているのは自分の頭の中だろう。
頭の片隅でそんな事を思いながら、絡み付いてくる襞を撫でるように抉るように、不規則に指を揺り動かす。中で彼の指が蠢く度に、止めどなく溢れる蜜が零れて指と共にシーツを濡らした。
「……や…ぁ……、もぅ……だめぇ……」
頭の中に霞がかかっていくような感覚。このまま身を任せてしまえればどんなに気持ちいいだろう。
そんな考えを見透かしたかのように、ぐちゅぐちゅと蜜壷を撹拌する長い指。
「――ああぁあ……っ!」
意識が真っ白になって、ディズィーはテスタメントの背に一瞬痕が残るほど爪を立てしがみついた。
「せ……かく、作……たの……に……」
ようやく敗北宣言が出て、テスタメントは小さく溜息をついた。
「それはまた……別の機会にしてもらおう、か」
中へ刺激を与え続けながら獣の親がするようにディズィーの頬を舐める。
気持ちは嬉しいのだが、やはりそれとこれとは別問題である。
「一応、賭けには勝った訳だし……その」
困ったように眉を寄せてテスタメントは口篭もった。
「はい」
ディズィーはテスタメントを見上げ次の言葉を待つ。
自分を困らせるような事を彼が望む訳もないけれど、やはり多少の不安はあった。
「どんな事をしたらいいんですか?」
「そうだな……」
肩口に頭を埋めてくるのを撫でて、ふと考え込む。セーラー服が着たくないあまりに賭けを持ち出してみたが、自分は何を望むのかまるで考えてはいなかったのだ。
「テスタメント?」
顔を上げたディズィーが不思議そうに訊ねる。
「私は……あなたが望む事なら……何でも……」
「――いや」
紅潮した頬を更に赤く染めて囁くのに強く抱き返す。
「とりあえず続きをさせてくれ」
困ったような笑みを浮かべて、ディズィーはテスタメントの牡を自分の牝にあてがい腰を下ろした。
「んん……っ、くぅ……ああ……」
揺さぶられ、浅く突かれたと思えばまた奥まで突き進まれる。
テスタメントが上体を倒すと、更に奥まで突き上げられる形となって嬌声と共にディズィーの背が弓なりになった。
「あ、ぁあっ!」
両手を掴まれ前に手がつけない。自重と突き上げの激しさにまた意識が飛びそうになる。
せめてもの反撃に中を締めつけようとするのだが、その度に脆い箇所を責められて力が抜けてしまう。
「……熱いの……、テスタメント……凄く熱いの……」
繋がった部分から融けていくような熱に浮かされて、何度もうわ言を繰り返す。自分から秘部を擦り付けるように腰を使い、力が抜けた体で必死に相手の動きに合わせて律動する。
「……あ……んんっ、あぁああ……っ!」
再び昇りつめた時、ディズィーは今度こそ気を失いテスタメントの胸に倒れ込んだ。
意識が途切れる寸前に耳元に息を吹きかけられ、吐き出された熱で満たされていくのを感じながら。
ディズィーが目を覚ますと、テスタメントは彼女の髪を撫でながら小さく寝息を立てていた。
「……んっ」
頬を抓ると、くすぐったそうに首を振って赤い目が開かれる。
「――どうした?」
眠たそうな声で訊ねてくるのに頬を摺り寄せた。
「何でもないです、ちょっと考え事」
視線の先を追えば壁にかかったセーラー服。
「もう時効だから話すんですけど、テスタメントが寝てる間にこっそりサイズ測って……みんなに色々教えてもらいながら作った服だったんです」
「…………」
「でも、テスタメントが嫌なら仕方ないですよね」
「………………」
「驚かそうと思ってこっそり作ったんですけど、今度はちゃんと聞いてからにします」
「……………………」
長い長い沈黙。
深くため息をついた後テスタメントが力なく呟いた。
「せめてリボンは外してくれ」
END
言い訳
どちらに転んでもお馬鹿な展開ですが、こちらは比較的まともな方……でもなかった。結局着てるし。
段々テスタが変態オヤジ化してるなあと色々反省、しつつもまだ何か考えている罠(苦笑)