テスタメントの言葉通り、ディズィーのそこは与えられ続けた刺激に蕩かされ更なる快感を求めしきりに収縮していた。
「は……あ……ぁんっ、だめぇ……」
拒絶の言葉と裏腹に無意識に動く腰。指が蠢く度に響く水音。
優しく抱き寄せられ入口にいきり立ったものをあてがわれた時には、既に抗う気力も失せていた。
「おいで、ディズィー」
「あぁ……っ」
翼と尾が生えている為に、ディズィーが上になっているような体位になる事が多い。
奥までテスタメントを呑み込んだ彼女自身が、ぐちゅぐちゅと歓喜の悲鳴を上げる。
「だめぇ……せ……かく、作ったのに……っ! あぁんっ!」
お互い散々焦らしあった末の結合に、経験の浅いディズィーは早々に音を上げてしまう。
「どうした、もう降参か?」
内心安堵の溜息をつきながら、テスタメントが問う。下から突き上げながら充血した陰核を優しく擦り、小さく鳴いたディズィーの背が仰け反った。
「……んんっ、……くぅっ……ぁ……」
「無理はしないでいい――どうせ大した事を望む訳でもないし」
「ふあ……ぁ、ああんっ! ――や、ぁあっ!」
喘ぎながら必死に首を振る。彼が自分を困らせるような事など望むはずもないと分かり切ってはいるのだが、それとこれとは別問題なのだ。
湧き上がってくる快感に目も開けられず、このまま果ててしまうかと思ったその時。
「――?」
下からの突き上げが不意に止まる。
「……ディズィー……お前、それ……は……反…則……」
翼の先に温かさを感じて、ディズィーはふと我に返った。テスタメントの白い肌に、緑色の縄が無数に絡みついている。それはまるで蛇のように、彼の肌の上を好き勝手に這い回り、蹂躙していた。
いや、『蛇のような』ではない。
「ね……ネクロォ――っ!?」
「早…く……止め……っ、――っ!」
つんと立った胸の尖りを咥えられ、テスタメントの体が跳ねると同時に蛇の内の一匹が振り向いて舌を出した。
『サッキハ押サエツケルダケダッタカラナ』
「あ、あの……何、えっと……」
本体が不測の事態に目を白黒させているのをいい事に、ネクロはテスタメントの体を侵食する。舐め回し、這い、時に見た目の凶悪さからは信じられないほど優しく噛んで。
「――っ……ふ……ぅ……」
「ひゃうっ! う、動かないで、あぁっ!」
ネクロから逃れようと身を捩る度にディズィーの中のテスタメントが跳ね、中を抉る。
「……くぅ…、ネクロ……止めろ……離せ……離せと言うのに……や、ぁあっ! 噛むな、吸うな、舐めるなああっ!!」
普段から本体であるディズィーの言う事を聞かない彼が、テスタメントの言う事など聞くはずもない。
『少シウルサイナ』
「――――!!」
蹂躙する蛇の一匹が、喚き立てる口の中に捻じ入った。どうやらテスタメントの口の感触が気に入っているらしく、じゅぶじゅぶと困った音を立てながら抽挿を繰り返す。
「ダ……ダメ、ネクロ……お願いだから」
ディズィーも必死に口腔を犯す蛇を引っ張る。だがその力はどこか頼りない。
『何故ダ?俺ハ協力シテルノニ』
「あの……そうじゃなくて……えっとね、…………」
自分でも説明がつかずに彼女は黙り込んだ。確かに、このままネクロが押し切れば賭けは彼女の勝ちとなり、お揃いのセーラー服を着てもらえるのだ。
「でも、テスタメントが嫌がってるのに」
半ば涙目のテスタメントがそれを聞いて激しく頷く。
『到底嫌ガッテイルヨウニハ思エンガ』
一斉に振り返った蛇達が、その時二人には笑っているように見えた。
「……んん――っ!」
テスタメントの身がまた跳ねる。突き上げられ達してしまいそうになるのを堪えながら、ディズィーは背中に意識を集中させた。
震える内腿を無数の蛇が伝っている。その内の一匹が胴体の方に向かい前進し始め、脚の付け根の辺りで止まった。
「あ……テスタメント……」
指摘されて、彼の頬が羞恥で染まる。ごくごく一部にしか知られていない彼の秘密の場所。ディズィーのそれと比べれば未発達で狭い彼の『彼女』を、蛇の舌が這う。
「……っふ……う……、んん……」
砂漠で水を見つけた旅人の如く、蛇が溢れる淫蜜を啜っている。わざと聞かせるかのようにぴちゃぴちゃと音を立て、愛おしげに頭を入り口に押しつける。
「ネクロぉ……ダメだってば……」
ウンディーネだけでなくネクロとも感覚を共有している為か、ディズィーの制止は最早形のみ。
――もっと奥まで欲しい。もっと奥まで――
「――っ!?」
全身を責められ、飛ばされかけていたテスタメントの意識が戻る。血の気が引く時というのは、本当にさあっと引いていくものだと彼が考えたかどうかは分からないが。
「……んう――っ!」
「ば…馬鹿っ! ああああ……私……何て事を……」
明らかに何か裂いた感触がして、その後熱く絡みついてくる柔らかいものに包まれる。
与え合う快楽に酔って、そのまま彼の処女を破ってしまったのだ。
「テスタメント……痛いの? ごめんなさい……私、私……」
反射的に転がり落ちた涙を見て、気の毒なくらいにディズィーがうろたえている。
「違う」と頬を撫でてやりたかったが、腕も押さえつけられているのでそれもできなかった。
痛覚が鈍い分、破瓜の痛みはそれほどでもないが精神的なショックも大きい。体はどうあれ意識は男である為、正直受け入れがたい事実でもある。しかし。
――気にするな。
ゆっくり首を振ってから、口中のネクロを甘噛みして舐め上げる。
――お前に泣かれる方が、ずっと辛い。
動揺を隠すために目を伏せたまま、蛇の顎に舌を押しつけて強く吸った。
「ごめんなさい、ごめんなさい……」
しゃくりあげるディズィーの背に、蛇達が戻っていく。のろのろと、上の口を犯していた一匹が戻って、再び黒の翼が現れた。
「もういいから……泣くな」
鈍痛を堪えながら上体を起こし、背中を撫でるとディズィーがしがみついてきた。
「だって、だってテスタメントのそこ凄く狭いのに……最近やっと指二本入るようになったばっかりなのに、私……」
「………………」
お互いに顔が見えていなくて正解だと、テスタメントは思った。
「気にするな……そんなには痛くない」
「でも」
「お前だって最初は痛かっただろう?」
無茶苦茶な事を言いながら、下から揺さぶり上げる。半端な所で放り出され、全身が疼いてどうにもならない。
早くこの熱から解放して欲しい。
「あっ、あぁっ、あああっっ!!」
急激な責めにディズィーが身悶える。もう勝負なんてどうでもいい。
――早く、私を満たして欲しい。
貫いて、締めつけて、抉って、包み込んで。
「ふあ……、いいの……もういいの、だからもう…来てぇ……っ!」
ディズィーの中でテスタメントが脈打つ。その先にあるものを誘って激しく腰を上下に振る。
「――く……ぅ……っ!」
耳元に熱い息がかかり、ディズィーの中が満たされていく。搾り出すように締めつけた所を最奥まで突かれて、彼女の意識もまた弾けた。
ディズィーがすやすやと寝息を立てるその横で、テスタメントは頭を抱えていた。
顔を上げた先にはあのセーラー服。
勝負に負けた以上、最早何も言えはしない。
一度着たら諦めもつくのだろうか。
足音を立てぬようベッドを降りて、テスタメントはハンガーに手をかけるのだった。
END
言い訳
長さから見てお分かりのように、最初考えてたラストはこちらです。自分で書いてて笑っちゃったのでもう一つのラストを考えたのですが、どちらも色物……いや、話の最初から色物なのですが(爆)