5

「ちょっと待っててね・・・・・」
 恋は風呂椅子に心を凭せ掛け、手早く衣服を脱ぐ。
 心を抱え上げて膝の上に座らせる。
「目を閉じててね、髪を洗うから」
 そう言って、髪に付いた泡を流す。壊れ物を扱うように。
 (母・・・さん?・・・・・母さんみたいだ・・・)
 不意にそう思う。
 とうに失われた母の、忘れかけていた温もり、心地よさ。
 うっとりと、恋の豊かな胸に凭れる。
 いまの心を見れば、まるで子猫の様だと誰もが思うだろう。
 目を閉じて、恋の為すがままに身を委ねていると、
 恋の手が心の胸に触れ、下から上へ撫で上げた。
「ッ!・・・お姉・・ちゃん?」
「どうしたの? しっかり流さなきゃ、お肌に悪いでしょう?」
 小さな乳房をスッポリ掌で包み込み、円を描く様に撫で回す。
 五本の指が、それぞれ別個の生き物の様に胸の上を滑り、
 ときおり思い出したように乳首をつま弾く。
 抵抗したかったが、まだ思う様に身体が動かない。
 イヤイヤをするように首を振る。
 先ほどの余韻が残る身体は、あっという間に再び火照りだしていた。
 小さな乳房が痛いほど充血し、乳首が立ってしまう。
 堪らず抗議の声を上げようと口を開きかけた時、あっさりそれが止んだ。
 ほっとしたのも束の間、
「ひぅッ?!」
 今度は、いつの間にか太腿の間に割り入っていた恋の左手の指先が、
 心の秘裂をなぞり上げる。
「あらあら・・・ここにもすっかり泡が流れ込んじゃってるわ。
 ここは女の子のとっても大切な、デリケートなところですからね。
 特に念入りに、しっかり、綺麗にしないと・・・・ね」
 言いつつ、左手の人差指と薬指で器用に割れ目を押し拡げてくる。
「イヤだ、駄目・・・駄目だよ・・・・そこは・・・姉さん・・・そこ・・・・やめて!!」
 手足をバタつかせ必死で抵抗する。恋の膝上から転げ落ちそうになる。
「危ないわ・・・・。大丈夫、大丈夫だからね。何もいけないコトなんてないの・・・・」
 言い聞かせながら再び心を抱え上げ、今度は向かい合って自分の両太腿を跨がせる。
 恋が太腿を開けば、心も開かせられる形だ。
「これだとキチンと洗い流せたか、あまり見えなくなってしまうけれど・・・・・仕方ないわ」
 言葉とは裏腹に、正確に心の秘所を探りあて、押し広げてシャワーの水流を当ててくる。
「んぅ・・・駄目・・・お姉ちゃ・・・イヤぁ・・・あぁ・・・・んん・・・ん・・・・」
 (ああ、まただ。また・・・・・来る)
 再び、頭の奥底で闇が蠢きだす。
 恋は人差指と薬指で心の割れ目を押し拡げ、空いた中指を滑らせる様にラビアを弄り、
 ときおりクリトリスをつま弾く。同時にシャワーを浴びせる。
「さあ、キレイキレイ。綺麗にしましょうね」
 囁きながら拡げる指を親指と小指に代え、空いた人差指と薬指でクリトリスを完全に露出させる。
 そのクリトリスを中指でうにうにと捏ね繰りつつ、人差指と薬指で左右のラビアをそれぞれ弄り、
 摘んで閉じ、開く。さらには、
「あら、そうだわ。お尻も綺麗にしなくっちゃ・・・・」
 シャワーを持つ右手で、アヌスをほぐす様に弄り始める。
 これだけのことをその繊細な指先で行いながら、
 心の処女を決して傷つけぬように細心の注意を払って愛撫をつづける。
 女の身体を知り尽くし、さらにその上をいくような恋の手際。
 もはや人の業とも思われない愛撫を受けて、
 心は何をされているのか、もうまるで訳が解らなかった。
 ただイヤイヤをするように、恋の豊満な胸に顔を埋め、しがみ付いた腕に力を籠める。
「んぁ・・・ン・・・いやぁ・・・・いやぁ・・ん・・・・んんふ・・・・んふぅ・・・いぁ・・・・いや」
 うわ言のように繰り返す。
 (どうして・・・なんでだよ・・・姉さん・・・ダメだ・・・こんなの・・・・ダメだ・・・・)
 涙が溢れる。悲しいのか、悔しいのか、何だか解らない。
 頭が闇でいっぱいになる。
 自分が誰なのか、何をしているか、分らない。それが心地よい。
 (溶けて・・・・しまいそう・・・・気持ちいい・・・・・)
「はぁ・・・ぁあ・・・・ふぁ・・・ぅあ・・んんぁ・・・・ぅん・・・んあぅ・・・ふぁ・・・・ん・・・ンン!!」
 きゅうっと、しがみ付いた腕に一際強く力が籠もる。
 心の身体が反り返り、ぴくんと痙攣する。瞳孔が開ききって、光が失われた。
 くたりと恋に凭れ掛かり、動かなくなる。
「可愛い・・可愛いわぁ・・・・心ちゃん。私の心ちゃん・・・・大事な大事な、私の・・・・・。
 絶対に離さない・・・・ずっと、ずうっと一緒よ」
 ぺろりと心の涙を嘗め取り、そのまま深いキスをする。
 舌を絡め、心の口内を味わい尽くすように、たっぷり三十秒ほど。
「ぷぱぁッ」
 湿った音と共に、二人の間に涎の糸が架かる。
 それすら愛しむように、ちゅるんと嘗め取り、もう一度唇を合わせる。
 優しく抱き締めて、心が夢から醒めるのを待ち続ける。

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