束縛

クリスマス番外編

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 冬樹くんの誕生日は十二月二十四日、クリスマスイブだ。
 クリスマスと誕生日を同時に迎えるせいで、プレゼントをもらえる機会が一回減ると、彼はいつもぼやいていた。
 だからわたしは、プレゼントをあげて、一日だけ何でもお願いを聞いてあげることにしている。
 お願いといっても、一緒に過ごしたいとかそういうことばかりなので、わたしもイブを楽しみにしていた。




 十二月の中頃、我が家にやってきた冬樹くんは、わたしにこう言った。

「春香、今年のオレへのプレゼントだ。受け取ってくれ!」

 ずいっと差し出された紙袋を見て困惑する。
 それに日本語がおかしいよ。
 自分へのプレゼントをどうしてわたしに渡すの?

 不思議に思って、渡された紙袋から中身を取り出す。
 白いふわふわの縁飾りのついた真っ赤な服。
 サンタの衣装みたいだけど、ミニスカートだ。
 わたしは服から冬樹くんに視線を移した。
 彼はキラキラ瞳を輝かせている。期待で振られている尻尾の幻覚まで見えるようだ。

「これを着てプレゼントを届けろって?」
「うん!」

 乗り気ではなかったけど、何でも聞く約束だからと了承した。
 よく見ればかわいい服だし、クリスマスらしくていいか。
 今年は冬樹くんのサンタさんになってあげよう。




 クリスマスイブの当日。
 冬樹くんの両親は、泊まりで出かけていった。
 何年経っても新婚さんみたいでいいな。
 わたしは両親から許可をもらって冬樹くんの家に泊まることになった。
 うちの両親も今夜は二人っきりで過ごしたいみたい。
 お隣に行く前に、お母さんからコンドームを渡された。
 ちゃんと避妊はしてもらいなさいよと、今さらな注意と共に。
 心配しなくても冬樹くんの部屋にも常備されているよ……とは言えなかった。

 夕食は二人で作った。
 ケーキをテーブルの真ん中に置いて、チキンにサラダ、パスタを並べて、ワインの代わりにぶどうジュースを用意した。
 キャンドルに火をつけて雰囲気もばっちり。
 ジュースで乾杯して晩餐を楽しんだ。
 ここで、冬樹くんからのクリスマスプレゼントをもらった。
 かわいいハートの飾りがついた銀のネックレスで、前にもらった指輪とお揃いでつけてもいい感じのデザインだった。

「ありがとう、冬樹くん」

 嬉しくて、彼に抱きつく。
 頬をすり寄せて、甘い時間を楽しんだ。
 恋人の時間はこういうのが理想的。
 冬樹くんはすぐに体を触りたがるけど、たまにはくっつくだけのスキンシップもいいと思うんだけどな。




 夕食後、冬樹くんが後片付けをしている間にお風呂に入った。
 入れ替わりに冬樹くんが浴室に消えると、リビングでサンタに扮装開始。
 ミニスカートは屈めば下着が見えそうだ。
 もう、何でこんな服ばっかり着せたがるんだろう。
 コスプレえっちを好む性癖を暴露してからは、冬樹くんはバイト代でわたしに着せる衣装を買っている。他にもナースやOL風の制服に、猫耳尻尾の変な着ぐるみまで着せられた。
 うう、昔の普通の触れ合いが懐かしい。
 キス一つでドキドキしていた初々しいあの頃にはもう戻れないのね……。

 まあ、これはこれで新たな刺激なのかもしれないと、いい方向に考えて服を着替えた。
 仕上げに真っ赤なサンタの帽子を被る。
 家の中なのでブーツは無し。赤色のハイソックスで代用した。
 白い袋に誕生日プレゼントを入れて準備完了。
 プレゼントは手編みのマフラーだ。
 でも、開けてもらえるのは、明日なんだろうな。

 お風呂から上がった冬樹くんが、階段を上っていく。
 部屋のベッドにもぐりこんでわたしを待っているはずだ。
 わたしは戸締りと火の元を確認して一階の明かりを落とし、そうっと二階に上がっていった。




 冬樹くんの部屋のドアを静かに開けた。
 中は薄暗く、足下を照らすためのフットライトが置いてある。
 ベッドに入っている冬樹くんの傍までいって、袋からプレゼントを取り出す。

「メリークリスマス。それからお誕生日おめでとう、冬樹くん」

 頬にキスをして、枕元にプレゼントを置いた。
 冬樹くんは目を開けて、嬉しそうに笑った。

「ありがとう、サンタさん」

 抱き寄せられて、あっと言う間にベッドの上に乗っていた。
 彼の右手がお尻を撫でて揉みながら、ショーツの中に入ってくる。

「あ、だめ。いい子にしてないと、プレゼントあげないっ」

 抗議したけど、冬樹くんの手は止まらない。
 上の衣装のボタンが外されて、白のブラに包まれた膨らみが露わになった。
 その上から、ふにゅふにゅと強弱をつけて揉んでくる。

「やぁ、ふあぁん……」

 気持ちよさについフラフラと冬樹くんの上に倒れこむ。
 冬樹くんは体の位置を入れ替えて、わたしの上に跨り、さらに胸を触り始めた。
 ブラのフロントホックを外された途端に、膨らみが戒めを解かれて、彼の目の前でぷるんと弾んだ。
 帽子は脱げてどこかに行ってしまったみたい。

「来てからあげないは通用しないの。プレゼントは二つともちゃんともらうからな」

 もう一つのプレゼントはわたし。
 冬樹くんはむき出しにした乳房を揉み解して、ぺろぺろ舐めた。
 起き上がった乳首が彼の舌でくすぐられて、甘い痺れが体を襲う。

「やぁん……」

 ぐったりと力の抜けた体を冬樹くんは遠慮なく責め立てた。
 胸の膨らみがくにゅくにゅ形を変えてこね回されて、お腹の辺りに舌が這ってる。
 ゾクゾクと背筋に快感が走った。
 ショーツを脱がされると、こぼれ出た愛液が糸を引いていて、恥ずかしいほどだった。

「ああんっ、ふぁ……ああっ」

 冬樹くんの指が、秘所の敏感な突起を刺激して、愛液で満たされた泉をかき回す。
 何度も達して、狂わされる。
 今のわたしは、冬樹くんがくれる快感しか受け付けなくなっていた。
 意識の全てが彼に集中している。

 ミニスカートがウエストの辺りまでまくりあげられた。
 足を開かされて、硬くなった冬樹くんの先端が当てられて入り口を圧迫してくる。

「サンタさんにもプレゼントだよ。欲しいだろ?」
「…ぅん、欲しい…欲しいよぉ……」

 もうすっかり彼のペースにはまっている。
 誘導されて、お願いをするように仕向けられる。
 入ってくる彼自身を受け止めて、わたしは声を上げて抱きついた。

「……ああっ、あんっ、う…はうぅ……」

 つながりながら夢中でキスをした。
 舌を絡めて吸い付き、昂りに煽られるままに貪りあう。
 冬樹くんの手が胸の膨らみを愛撫して、わたしの腰を引き寄せる。
 触れている肌が温かくて、ホッとした。
 冬樹くんもそうなのかな。
 品物よりもお互いが最高のプレゼントなんて、とっても素敵なことだよね。

「イク、イッちゃうよぉ……。冬樹くん、う…くぅ、ああっ!」
「春香、オレも……っ!」

 一緒に上り詰めて、終わりを迎える。
 呼吸を整えながら抱き合って、キスを交わした。

「気持ち良かったよ。最高のプレゼントだ」

 満足している冬樹くんを見て、わたしも嬉しくなった。
 サンタさんのプレゼントは喜んでもらえたようだ。

「じゃあ、サンタさんは帰ります。また来年ね」

 頬にキスをして、ベッドから出ようとした。
 そしたら冬樹くんはわたしを捕まえて、サンタの衣装を脱がせてしまった。
 裸に剥かれて、抱きしめられる。

「サンタさんからはプレゼントもらったけど、春香からのは受け取ってないぞ」
「え、ええっ!?」

 戸惑って悲鳴を上げている間に、ベッドの中に引きずりこまれてしまう。
 むちゃくちゃだよう。
 胸を掴まれてやわやわと揉まれると、すぐ体に熱が戻って来た。
 ああん、気持ちいいよぉ。
 ふにゃんと蕩けてしまい、抵抗もできずに足を開かされて、好き放題に体をいじくられる。
 冬樹くんが一回でおとなしく終わるはずなかった。
 その後も何だかんだと理由をつけては、離してもらえなかった。

 だけど、今日だけは許してあげる。
 今夜のわたしはサンタさん。
 そして冬樹くんが生まれた日。
 お祝いに、どんなお願いも聞いてあげる特別な日だから――。


 END


■あとがき。
クリスマス番外編ということで、掌編でラブラブものを書いてみました。
時期的には、春香が大学一年の冬ぐらいの話です。
サンタコスプレは外せないネタでした。

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