束縛

冬樹の独り言

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 オレは春香にコスプレをさせて、えっちするのが大好きだ。
 なぜこんな性癖を持ったのかは自分でもわからないが、自覚のきっかけとなった出来事は覚えている。
 まだ性欲とは無縁の幼い頃、春香がある服を着てオレの家に遊びにきたのだ。

「ふゆきくん、見て。かわいいでしょう?」

 春香が着ていたのは、変身少女アニメのヒロインの衣装だった。
 ピラピラのフリル付きのミニスカート。
 上着には羽を模した飾りやリボンがついていてかわいかった。
 おもちゃ屋で売っていたそれを、親にねだって買ってもらったらしい。
 そのヒロインの変身アイテムだという、コンパクトやステッキを持って、春香はなりきり遊びを始めた。
 オレは倒される怪人の役と、ヒロインを影から助ける王子様の役を忙しくこなす。
 春香は、怪人との戦闘よりも王子様とのラブシーンがお気に入りで、先週の放送であったキスシーンの真似事をするように指示された。

「おうじさま、ありがとう。かならずきてくれるとしんじてました」

 棒読みでセリフをマネながら、雰囲気に酔っている春香。
 そっと唇を触れ合わせて、二人で物語の世界に入り込む。
 オレは何だか、むずむずと変な快感を覚えた。

 その後も何度か変身ヒロインごっこをやったが、番組が最終回を迎えると春香の興味は別の遊びに移ってしまい、オレが誘わないとしてくれなくなった。
 しまいには嫌がられてしまい、春香も成長して衣装が着られなくなったこともあって渋々諦めた。
 その衣装はどういうわけか、オレのクローゼットの奥深くにしまわれている。
 きっとオレの執着ぶりに呆れて、春香がくれたんだろう。
 久しぶりに出して広げてみた。
 安っぽい作りだが、思い出の品だ。
 当時の春香の可愛らしい姿を思い出して、にんまりと口元を緩める。
 もしかすると、コスプレをさせたくなるのは、春香の別の側面を見てみたいからなのかな。

 どれだけ近くにいても、オレは貪欲に春香を求め続ける。
 彼女を束縛しているつもりで、縛られているのはオレの方。
 一生離れられないと思う。
 どうしてここまで惹かれるのかはわからないけど、春香が愛してくれる限り、オレは最高に幸せだ。


 END


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