償い

鷹雄の独り言

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 オレの女はまだ小学生だ。
 高校生のオレからすれば、性の対象にもならないお子様だが、大人になるまで待つつもりなので問題はない。

 雛はケーキが大好物で、屈託なく笑うかわいい女だ。
 出会った頃のオレ達の関係は、親同士の再婚で出来上がった義理の兄妹だったのだが、オレが家を出て実母の再婚相手の養子となって籍を移したので、今では完全な他人となった。
 そのことを知らない雛は、今もオレを「お兄ちゃん」と呼んで慕っている。
 雛にそう呼ばれることは嫌いじゃない。
 ただ、妹とだけは絶対に認めない。
 だって、こいつはオレの女だから。




「お兄ちゃん、一緒にお風呂に入ろう」

 週末になって、泊まりに来た雛が無邪気に誘ってくる。
 まな板に欲情することなどないと高をくくっていたオレだが、雛が小五にもなると、そうも言っていられなくなった。
 最近のガキは発育がいいのか、うっすらと胸が膨らみ、尻にも丸みがでてきた。
 月のアレもきたらしい。
 理性で押さえる自信がなくなってきたので、一緒に風呂に入ることをやめた。




「お兄ちゃん、一緒に寝てもいい?」

 中学生になっても、雛は枕を持ってオレのベッドに入ってきた。
 色気もそっけもない犬柄のパジャマを着ているのに、大人の女の裸より魅惑的で、オレを煽ってくる。
 反応してしまうのは、オレがロリコンだからではない。
 この年頃の女を女として見ているのは雛だけだ。
 共に眠るのさえつらくなってきたので、ついに寝室も別にすることにした。




 それほど大事にしてきたのに、オレはあいつの初めてを無理やり奪った。
 どれだけ償おうとも、その事実が消えることはない。

 両思いとなり、正真正銘オレの女となった雛は、昔と変わることのない無邪気さと温かさでオレを癒してくれる。
 今この時も、隣で寝息を立てている。
 無防備な寝顔に口付けを落として、柄にもなく優しく微笑む。

「鷹雄……、お兄ちゃん……」

 むにゃむにゃと、寝言が聞こえた。
 どちらもオレのこと。
 雛の心を占めるのは昔も今もオレだけだ。
 その事実に喜びを噛みしめて、オレも雛の隣に横たわり、瞼を閉じた。


 END


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