クリフトがキスの合間に答え、更に口接けを深くする。

「ん…」

優しく口腔を巡った舌がソロに絡まってくる。それを受け止め返すうち、接吻は官能めい

たものへ変化していった。

「‥あ…ふ‥っ。ん…はあ‥っ。」

口接けが解かれると、肩口を押されたソロがあっさりクリフトに組み敷かれた。

「…クリフト、あの‥ね、‥‥」

息を少々乱しながら、紅潮した頬のソロがしどろもどろ口を開く。

「その…ふ‥ぁ。あ‥ん、く‥‥」

クリフトは承知しているように小さく笑うと、胸の飾りに唇を落とした。

「あん…、だ‥駄目。ちょっ‥と待‥‥ああっ‥」

一時冷めていた熱が再燃すると、躰の変化がソロにある事を思い出させた。

それを伝えたいのに、肝心な部分は触れられないまま、熱を煽られ言葉が紡げない。

「あ…、クリフト‥っ、これ‥苦し‥よぉ…」

「‥ああ、これですか。」

急き立てられながらも、どうにか自身に施されたままの戒めを指したソロに、クリフトが

なんでもないよう返した。

「もう少し、そのままにして置きますよ。」

「ええっ…!? そんな‥あっ、く…」

変に触ると結びがきつくなるから‥と、サラリ彼を制しながら、クリフトは愛撫を深める。

「ふ…あ。そ‥こは、んっ‥‥‥」

内壁へ沈められた指が緩々蠢く。ソロから滴った蜜をたっぷり含ませたそこは、増やされ

た指も難無く呑み込んでしまった。

「やあ‥っ。駄目…も‥、苦し‥‥ぃ。ね…」

強い衝動が渦巻く躰を持て余し、ソロが焦れたよう腰を動かし解放を強求る。

「…から。」

クリフトがぽそりと何事か呟いた。だが、ほとんど喉にこもった言葉はソロへ届かない。

「‥え…?」

聞き返すソロに、クリフトは口接けで返した。

「ん…ふ‥‥」

「好きですよ…覚えていて、下さいね…」

口接けの後、そう囁いたクリフトは、彼の戒めをやっと解いた。

圧迫感から解放され、ほっと息をついたのと同時にクリフトが秘所を貫く。

その衝撃に、ソロは一気に溜まった熱を放出した。

「あ‥っ、ああ‥‥‥」

最奥まで納まった楔が、ゆっくりと抽挿を開始する。

渦巻く熱流が続々と派生するのを思い、ソロは彼の背にしがみついた。

「ああ…クリフト‥。すごく‥熱い‥よ…」

「私も‥です…」

艶めいた声音からは、先ほどまでの余裕が消えていた。

ソロがそこに確かな愛情を感じ、ふわりと微笑む。

「…好きだよ、クリフト‥」

そう言って口接けを求めたソロにクリフトが応えた。

情熱的な接吻を解くと、クリフトは律動を速めた。熱い内奥がしっかりと絡みついてくる。

始め確かめるよう繰り出していた抽挿も、やがて遠慮のないモノへ移っていった。

熱塊に穿たれる度湧き起こる情動に浮かされたソロが、ぽろぽろと甘い喘ぎを落とす。

「ふあ‥ああっ‥」

最奥に熱い迸りを受け止めながら、ソロは何度目か解らない精を解き放った。

心地よい疲労感と充足感に満たされ、ゆっくり瞼を閉ざしてゆく。

額に舞い降りた羽のようなキスに促されるように、ソロは眠りに落ちていった。

スウスウと安らいだ寝息を立て始めたソロを、クリフトがほっとしたよう見守る。



たった一夜の夢で、危うく見失うところだった――



柔らかなソロの翠髪を撫ぜながら、クリフトは色を失くした彼の姿を憶い出した。

あのまま行かせてしまってたら…

そう考えた途端、ゾクっと冷たいものが込み上げてくる。



――勇者の役目



ソロは何度も、まるで自分に言い聞かせるよう口にする。

確かに‥彼が背負った役割は大きい。

けれど…



「あなたがあなたで居るコト…それがなにより大切でしょう‥?」

静かな眠りを妨げないようひっそりと、クリフトはソロへ語りかけた。

身動いだソロが彼の背に腕を回す。そのまま引き寄せられるよう身体を横たえたクリフト

が、彼の横に並んでゆっくり瞳を閉ざした。



ボーン ボーン ボーン‥



鈍い音が遠く響くのを聴き、ソロはゆっくり意識を浮上させた。

ぼんやり目を開けると、部屋は闇に包まれている。

その闇の意味を自覚したソロは、がばっと起き上がった。

「…ソロ、どうしたんですか?」

彼より先に目を覚ましていたクリフトが、同じように身体を起こしながら訊ねた。

「クリフト。オレ、ミーティングすっぽかしちゃった!?」

「‥ああ。ミーティングでしたら、明日以降に‥と女性陣の強い要望がありまして。」

「そうなの?」

「ええ。他の皆さんも、負の気に当てられたのか、消耗しきった様子でしたし…」

「…そう。」

ソロがふっと顔を俯かせた。

「…今何時くらいなのかな?」

彼は思いを振り払うよう小さく首を振ると、すっかり闇に染まった窓へ目を向けた。

「先程時計が10時を告げてました。」

「そっか‥。夕飯食べ損なっちゃったね…。」

「宿の食堂は終わってしまいましたが、外へ出れば店もあるでしょう。出掛けますか?」

お腹を押さえぽつんとこぼすソロに、クリフトが提案した。

「うん。行こうか。」



2人は部屋の浴室でさっとシャワーを済ませると、夜の町へ繰り出した。

大都市エンドールは、夜も眠らぬ町らしい。大通りへ出ると、街灯が明るく道を照らし、

飲み屋らしい看板を掲げた店からは、にぎやかな騒めきがもれて来ていた。

「‥すごいね。こんな時間なのに、開いてる店が随分あるんだ。」

「そうですね。

 ‥まあ、我々もこうして出歩いているのですから。他人の事言えませんが。」

「それもそうだね。」

ふふ‥とソロが微笑んだ。そんな彼にクリフトも笑んで返す。

すっかり落ち着いた様子の彼に、クリフトは密かに胸をなでおろしていた。

賑やかな店を避け選んだのは、2〜3組の客がまばらに座るバー。

ソロとクリフトは、カウンターから離れた奥のテーブル席へと落ち着いた。

メニューを見ると幾つかの食事も揃っているらしい。

「ん‥と、オレはスパゲティでいいや。クリフトは?」

「では‥私はカルツォーネを。ソロはそれだけで足りるのですか?」

「うん‥あ。これ…前に飲んだ甘いヤツだ。」

カクテルメニューに目を移していたソロはそう言うと、クリフトに見せるよう指さした。

「ああ‥そうですね。…ソロ。‥別に飲むなとは申しませんよ。」

じい〜っと物言いたげに見つめられて、クリフトが苦笑した。

「私も少し飲みたい気分ですしね。お付き合いしますよ。」

そう答えると、ソロが破顔しウエイターを呼んだ。



「甘〜い。」

先に届いたカクテルを、ソロはくぴっと煽るとにんまり笑んだ。

「ソロは本当に甘いのが好きみたいですね。」

「うん、美味し〜もんv」

昼間とは全然違う彼を眺め、クリフトが安心したと微笑む。すると、昼間の事と比べてる

のだと気づいたソロが、ふと表情を落とした。

「…昼間はごめんね。せっかくクリフトがオレの好物頼んでくれたのにさ…

 あの昼食、オレ‥全然味が判らなかったんだ。…勿体なかったな‥」

「…随分思い詰めてたみたいでしたからね。」

「‥うん。全部捨てなきゃ‥って、そればかりグルグル考えてたから…。」

「ソロ…」

「でも‥さ。1回頭が真っ白になったら、なんかちょっとすっきりした。」

えへへ‥とソロが微笑った。丁度到着した料理を見ると、「すごくお腹減った〜」と早速

ぱくぱくほおばり始める。しばらくそんなソロの様子を眺めていたクリフトも、注文した

カルツォーネが届くと酒の合間につまむよう食べ出す。

大分遅い夕飯が終わる頃には、濃いめの水割りを3杯空けてしまっていた。

「うわあ‥クリフト早いね。それ3杯目だったろ?」

まだ2杯目を飲み干してないソロが、自分のより数倍強そうな酒を次々空けてしまったの

を見ながら感心した。

「これくらい大した事ありません。…ソロ、ちょっと失礼しますね。」

すぐ戻ると中座した彼を見送ったソロは、コクコク半分程残ってるカクテルを口に含んだ。

一人ぽつんと残されると、急になんだか不安が広がってくる。

クリフトは用を足しに立ったのだと、ちゃんと理解している。だから、すぐ戻ってくると

解っている‥なのに…

ソロはカクテルを全て飲み干すと、頬杖ついて、彼が歩いて行った方を眺め待った。

少し薄暗い店の奥から待ち人の姿が見える。ソロはほっと安堵の吐息を漏らした。

「‥ソロ。お待たせしました。…? どうかしましたか?」

席へ戻ったクリフトは、じっと見つめてくる彼の表情が、ひどく不安定になってるのに

気づいた。

「‥ううん。あのさ‥お酒、宿に戻ってから飲もう?」

「ええ、構いませんが。ソロ‥?」

スッと立ち上がったソロがクリフトの袖を遠慮がちに引く。揺らぐ瞳を安心させるよう微

笑んで返すと、そっと肩を抱き寄せた。

ほっとしたよう微笑むソロを促して、会計に向かう。そこでソロが飲めそうな果実酒をつ

いでに購入し、2人は店を出た。



「はい、ソロ。さっきの分も考えて、薄く作りましたよ?」

「あ‥うん。ありがとうクリフト。」

宿の部屋。ベッド端へ腰掛けるソロに、買って来たばかりの酒を開けたクリフトが、

たっぷりの水で薄めたそれを手渡した。

受け取った彼がそれを口に運ぶのを眺めながら、クリフトも隣へ腰を下ろす。

それを待っていたかのように、ソロはこてんと彼にもたれ掛かった。

「‥私が席を離れてる間に、何かありましたか?」

心配そうに訊ねられて、ソロは小さく首を振った。

「ううん‥ただ‥ね。…こーやって、飲む方がいいな‥って、思ったの。

 この方が体温感じて、安心するから。」

「‥そうですね。でも‥‥」

ふわっと微笑んだクリフトが、瞳を眇めるとソロの肩を抱いていた手をそっと上げた。

意図を持った指先が、ソロの猫っ毛を擽り、耳の後ろを這う。掌の中で転がされた耳飾り

をそっと引かれると、ビクンとソロが身動いだ。

「ゆっくりは飲めないかも知れませんね‥?」

クスクス‥とクリフトが彼の耳元の悪戯を続ける。

「‥ん、いいよ。別に…。」

ゾクゾク走り抜ける感覚に身を委ねながら、ソロが上ずった声を返した。

つう‥と首筋を指先が辿ると、それに促されるようソロが顔を上げる。

ほんの少し色の滲んだ瞳がそっと綴じるのを待って、クリフトは口接けた。

「…ん‥。ふ‥‥」

しっとり重なった唇は幾度か角度を変え、その感触を愉しんだ後、舌が名残惜しむよう触

れ、離れていった。

「‥ソロ。その…躰の方は大丈夫ですか?」

「え…? ‥あ、うん‥‥平気‥だよ。」

熱っぽい瞳で見つめられ、その意味を察したソロが顔を真っ赤にしながら答えた。

「では‥これは後で、という事で。」

クリフトが半分程空いた彼のグラスを預かると、サイドテーブルへ置いた。

一口程残ってた自分のグラスを空にし、それも隣に置く。

その様子を目で追っていたソロは、クリフトが戻って来ると、両手を彼の背に回し、抱き

寄せた。



「‥あっ。ああ‥クリ‥フト、も‥いいっか、ら‥来て…」

先刻のように意地悪く焦らされはしなかったが、それでも緩々とした愛撫が丁寧に、全身

へ施されると、ソロはすっかり熱に浮かされてしまった。

彼の指の形を記憶してしまいそうなくらい、ゆっくりとそこを出入りされて、ソロは焦れ

た思いに身を捩る。時折敏感な場所を掠めさせては、はぐらかすよう別のポイントを唇が

指先が這う。点々と灯る焔があちこちで暴れ、決定的なモノを求めさせた。

「ね‥クリフト。お願‥っい…」

きゅっと腕に力を込め、ソロが彼に縋りつく。潤んだ瞳で懇願する姿があまりに可愛くて、

クリフトはふ‥と瞳を眇めた。

「ソロ…大好きですよ。」

額が触れ合う程近くで、クリフトがそっと囁いた。ゆっくり唇を近づけると、ソロから先

に口接けてくる。すぐに深くなったソレは、貪るよう互いの蜜を交換しあい離れた。

「オレも‥好き‥っ…あ‥っ、はあ‥‥」

乱れた息を整えながらも、言葉を紡いだソロは、グッと押し入ってくる熱塊に躯を撓らせ

た。

「あっ‥あ…。クリフト…クリフト…っ‥」

貪欲に彼を呑み込んだソロが、更なる温もりを求めるよう彼の背に腕を絡める。

クリフトは汗で額に張り付いたソロの前髪を掻き上げると、額にキスを落とし大きく突き

上げた。

「あっ‥ん。は‥‥‥」

「動いても大丈夫そうですね。」

「‥ん。‥平‥気。いっぱい‥感じさせて‥‥‥」

「ソロ‥あんまり、煽らないで下さい…」

そう苦笑すると、クリフトは本格的な律動を開始した。





チュンチュン‥

朝の陽光がカーテンの隙間から入り込む。

その光がベッドで泥のように眠っていたソロの顔へ差し込んだ。

「ん‥‥。」

ぼんやりと目を開けたソロは、しっかりと彼を抱くよう眠るクリフトの横顔が間近にある

のを見て、「ああ‥」と昨夜の事を憶い出した。

昨晩は体力の限界まで躯を重ねて、そして果ててしまったのだと。

心地よい疲労感に包まれ、そのままぐっすり眠り込んでしまったのだ。

腕枕にドキドキしながらも、ソロはそっと頭をずらし、彼の胸へ寄り添ってみる。



トクン‥トクン…



脈打つ確かな鼓動は、ひどくソロを安心させた。

「‥おはようございます、ソロ。」

ふわり‥と彼の柔らかな髪を撫ぜ、クリフトが彼に声をかけた。

その声は、まだ昨晩の余韻を残しているのか、どこか甘く響いた。ゆっくりと髪を梳る動

作すら、優しく染みる。                        
梳る→くしけずる

ソロはふるふると身体を悸わせると涙を落とした。

「ソロ…どうかしたんですか?」

頭だけ起こしながら、クリフトが彼を案じるよう訊ねた。

「…ううん。なんでもない。ただ‥さ‥‥‥」





――オレはこんな風に、あいつと朝を迎えてみたかったんだ。



デスパレスで囚われてた時。

目を覚ました朝に感じた寂しさの理由をやっと実感し、ソロは涙をこぼした。



「…ね、クリフト。あの‥さ…」

ソロは身体を起こすと、同じように半身起こしたクリフトの肩に寄りかかった。

「あの‥ね。あいつのコト…ちゃんと過去にするから。だから‥

 あの…いろいろ話しても、いい‥?」

途惑いながら、ソロが遠慮がちに問いかける。

「ソロ‥」

「‥そういうの、嫌?」

ソロは顔を上げると、上目遣いに彼の様子を窺った。

「構いませんよ。寧ろ‥知りたいと思ってましたし。」

心配そうな彼に笑んで返したクリフトが、彼を抱き寄せた。

「ホント‥?」

「ええ‥。あなたが辛くないのなら、話して下さい。」

ソロはコクコク頷くと、正面からぎゅっと抱き着き、キスを強求った。

望むままに口接けられて。ソロがうっとり返す。



――ピサロ。



本当に‥・・さようなら…



労るような口接けは、どこまでも優しく温かで。

彼の温もりに愛おしさを覚えながら、ソロは触れ合う心地よさに身を委ねていった‥




2005/12/3

あとがき

久々に裏への文UPですv   
最初はなんだか違和感あったクリフトとの描写も、すっかりなれてしまいました★
ピサ勇からクリ勇へ…ってシフトしてしまいましたが、今の所暖かい感想が多くてほっとしてます。
…まあ。今までなんだかんだと辛かったので、ちょっとの間和ませてやって下さい、ソロくんを(^^;
6章前後でいろいろ大変だと思われますしね。(鬼)

しかしまあ。ここまでクリフトが本気モードになるとは。
ソロも予測つかない子だけど。クリフトの変化にもびっくり★
6章入ったら、大変なコトになりそうv(ワクワク)←すごく愉しみな奴★

ここまでお付き合い下さった方、ありがとうございました!

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