「よお、クリフト。遅かったな。」
待ち合わせ場所へ着くと、鷹耶がほっとしたように笑んだ。
「…すみません‥」
「来てくれて嬉しいぜ?」
彼を招くように座らせると、そっと抱き寄せた。
「…本当はさ。心配だったんだ。来てくれねーんじゃないかと思ってさ…」
「鷹耶さん…」
困惑顔を浮かべるクリフトに、鷹耶はそっと唇を寄せると、肩口に甘えるよう頭を預けた。
「…クリフトは、俺のコト‥嫌いになっちまった?」
「え…?」
心細げに投げかけられた質問に、クリフトが意外そうな瞳を彼に向ける。
「…イムルの件では‥随分酷いコトしちまったからな。
‥愛想尽かされても無理ないよな‥‥‥」
「そ‥別にそんなコト! …あの時のコトはもう…。」
「じゃ、どうしてここんとこ、俺を避けてたんだ?」
彼の表情を覗き込むように顔を上げた鷹耶が訊ねた。
「‥‥それは‥その…。…どうしても、ふとした拍子で思い出してしまうから…」
真っ赤な顔でクリフトが俯きながら答えた。
「それって…欲情しちまうってコト?」
嬉しげに鷹耶が訊ねる。
「ちっ‥違いますよ! そんな‥ただ僕は‥‥‥‥」
赤い顔を更に赤らめクリフトが狼狽えた。持て余す感情は、彼自身にも理解出来てない
のだ。
「クリフト…」
「‥んぅ‥‥っ…」
彼の顎を捉えた鷹耶が強引に口づけた。歯列をなぞり、開いた隙間から舌を割り込ませ、
途惑う彼のソレを搦め捕る。奪うような激しさを込めた接吻は、あっと言う間に彼の芯に
焔を灯した。
「あ…はあ‥‥‥」
甘い吐息をこぼし身体を弛緩させるクリフトの耳朶を鷹耶がそっと食む。
「…な。もっと奥へ移動しようぜ? 邪魔が入らねーとこへさ。」
そっと囁くように艶めいた声音で誘いかけると、クリフトは小さく頷いた。
高い岩壁の縁まで移動すると、なだらかな岩の上に腰掛け、お互い熱い口づけを交わし
あった。俺も十分余裕なかったけど、クリフトもそれは同様な様子で、甘い吐息が幾度と
なくこぼれては夜闇に融けていった。
クリフトの服のボタンを外しながら、はだけた合わせから指先を忍ばせる。
ふっくらとした小さな飾りを捉えると、ピクンと躯が悸えた。指で摘まんだり転がしたり
していくと、それはみるみる固くしこってゆく。
熱い吐息がこぼれるのを合図に、俺はそっと彼を岩へ横たえた。
「‥寒くないか?」
すぐ側に温泉が湧いてるとはいえ、夜の冷気に冷やされた岩のベッドは、冷たいかも知れ
ない‥そんなコト考えながら、問いかける俺に、クリフトはフッと微笑んで首を振った。
そんな彼に啄むようもう一度口づけると、その唇を首筋から鎖骨へと移動させてゆく。
「ふ…はあ‥‥っん‥」
唇が胸の突起を捉えると、脇腹を弄っていた手の片方で、空いた突起をきゅっと摘まみ上
げた。途端、しなやかにクリフトの躯が仰け反る。
既に窮屈そうなズボンを下穿きごと一気に引き下ろすと、頭をもたげかけた中心がふるん
と揺れた。そっと手を添え2・3度扱くと、硬度を増し先端から蜜を滴らせる。
「あぁ‥ん‥。んっ‥はあ‥‥‥」
頬を紅潮させ、喘ぐ姿はやけになまめかしくて、俺から更なる余裕を奪ってゆく。
俺は彼の滴りを指で掬いあげると、秘所を暴くように両脚を大きく開かせ、固く閉ざされ
た窄まりを目指した。
ビクッと一瞬躯を竦ませたクリフトだったが、耳元で強求るように「いいか?」と問うと、
小さく頷いてくれた。 内部→なか
指をゆっくり出し入れしながら、内部を丹念に解してゆく。その間にも、チロチロと赤く
色づいた胸の膨らみに舌を這わせ、ねっとりと舐る。
乱れた吐息が絶え間無くこぼれ落ちてゆくのを聴きながら、俺は更に指の数を増やした。
奥まった部分を掠めると、まるで電撃でも走ったかのように、躯が大きくしなる。
「あっああ…! や‥ダメ‥‥っ」
逃れるように腰を退こうとしたクリフトだったが、当然それは適わなかった。
「ココ…いいだろ? もうすぐ見つけられるぜ?」
「鷹‥耶さん…。あっ‥はあ‥‥‥」
湿った音を秘所で響かせながら、ひっそりと語りかけると、そそり立つ先端から更に甘い
蜜がこぼれた。それを更に指で掬い、秘所の奥へと塗り込めてゆく。
増やされた指が難無く行き来出来るようになると、俺は彼の秘所から指を抜き出した。
「あ…」
残念そうな声が一瞬クリフトからこぼれる。
俺はそんな彼の声にすら歓びを覚え、猛る塊をもどかしげに取り出し、緩んだ蕾へ押し当
てた。ゆっくりと、出来る限り負担にならないよう慎重に身を沈めてゆく。
熟れた内壁は、まるでそれを助けるように蠢いて、俺を呑み込んでいった。
「くっ‥。クリフトの中‥最高に…いいぜ‥‥」
「鷹耶さん…っ。あっ‥ふう…っく‥」
「…苦しいか‥?」
「大‥丈夫です‥。なんだか…僕‥‥‥っあ。ふぁ‥っん。」
彼の敏感な部分を掠めた時、彼はそのまま呆気なく達してしまった。
吐精した後の弛緩した躯は、微睡みを求めてるかも知れないが、彼の回復を待つゆとりの
ない俺は、そのままゆっくりと抽挿を繰り出した。
達して敏感になった躯が、否応なくその動きに気を取られ、煽られてゆく。
「あっ‥はあ…。はあ‥‥‥」
俺の背に両腕を回しながら、自らもそのリズムに合わせてゆくクリフトが、愛しい。
何も知らなかった無垢な躯を、俺が自らの欲の為に変えて行こうとしている。
それを思うと、刹那の罪悪感が過るが、この温もりを手放すつもりにはなれなかった。
「鷹耶さん…」
キスを強求るような仕草の彼に誘われて、俺は身体を曲げ深く口づけた。
お互いの蜜を交わし合うような濃い接吻。下し切れなかった蜜が彼の口の端からツウ‥と
こぼれた。
俺は唇を離し、それをぺろりと舐めあげると、鎖骨をきつく吸い上げるよう口づける。
ほんのり桜色に染まった証をうっとりと見つめた後、すっかり元気を取り戻した彼の下芯
に手を伸ばした。滴る鈴口に親指の腹を押し付け弧を描く。ビクビクと反応を返した彼が、
きゅっと内壁を締め上げた。元々限界に近かった俺は、思わぬ反撃(?)に、一気に追い
詰められてしまった。
大きくグラインドして、俺は彼の最奥に欲望を叩きつけた。
それを追うようにクリフトも再び飛沫を放つ。
俺はそのまま彼を抱きしめるように身体を横たえた。
乱れたお互いの呼吸と、合わさった身体から感じる逸る心臓の鼓動が妙に心地よい音楽の
ようで。冷んやりした夜の風がさわりと身体を撫ぜてゆく感覚すら愛しく思えた。
いつまでもこうしていたかったけど。
流石に長い時間パーティから離れてる訳にも行かない。
俺は名残惜しい気持ちをどうにか抑えながら、彼の中に沈めたままだった自身を取り出し
た。途端、ぴくん‥とクリフトの躯が悸える。
さっと身支度を整えた俺は、「ちょっと待ってて」と頬にキスを落とし、彼からほんの少
し離れた。
ぼんやりとしたクリフトの視線が俺の動きを追ってくる。
俺は温泉に誰も居ないコトを確認すると、再び彼の元へ戻った。
「クリフト。今温泉には誰も居ねーみたいだからさ。一汗流してから戻ろうぜ?」
クリフトは気だるそうに身体を起こすと、コクリと頷いた。
「ちゃんと内部も洗ってやるからさv」 内部→なか
…と思わず付け足してしまった言葉に、真っ赤になったクリフトが見事なパンチを見舞っ
てくれた。「デリカシーがない」と叱られてしまった訳だ。
…まあ。そんなトコロもまたいいんだけどさv
宿屋でなら、こういうシチュエーションであれこれ愉しむのも一興なんだけど。
流石に馬車での移動中に、無理させられないし…ということで。
極力紳士的に振る舞って、汗を流して湯から上がったオレに、やや上気せ気味のクリフト
はこう宣った。
「しつこい‥」と。
があ〜〜ん!!
「…もしかして。怒ってる?」
ちゃんと自制して挿れなかったのに‥。やっぱり達かせちゃったのが不味かったかな?
思案していると、クリフトが頬を染め視線を反らせた。
「…鷹耶さんばかりのせいじゃありませんけど‥。
でも‥‥とりあえず、もうどこかの街へ入るまでは、節制しましょうね。」
一旦言葉を切ったクリフトは、こちらを向くと、きっぱりにっこり言い放った。
―――やっぱりもっと自制すべきだったか‥
クリフトは今晩の当番は一番最後‥という事もあって、こっそり馬車の所へ戻ると、既に
眠りに着いてるブライやライアンの側で眠るよう彼に促した。
俺はそのまま焚き火を囲んで話し込んでるマーニャとアリーナの側まで行くと、彼女らの
近くに腰を下ろした。
「おかえり鷹耶。随分のんびりしてたのね?」
「そうか? まあ、この辺はあんまり魔物の気配もしないからな。
たまには独りでのんびりするのもいいもんさ。」
「ねえねえ。クリフトには会わなかった? 彼も散歩に行くっていったままなんだけど。」
アリーナが少し心配そうに訊いてきた。
「クリフト? 馬車の所で寝てたぜ? いつ戻ったかまでは知んねーけどさ。」
しれっと答えると、アリーナは「なあんだ」とほっとしたように笑んでみせてたが、
マーニャが物言いたげに瞳を眇めた。
「ふぁ〜あ。私もそろそろ休むわ。じゃ、マーニャに鷹耶、見張りお願いね。」
アリーナは欠伸をした後、立ち上がると、そのまま馬車の方へとぽくぽく歩いて行った。
「…で。実際の所、どうだった訳?」
アリーナが去ってしまうと、小枝を火にくべながら、興味津々マーニャが問いかけて来た。
「実際‥って?」
「ふふ…惚けなくてもいいじゃない。どうせ、一緒だったんでしょ?」
―――鋭い。
「…ほんの少しだけな。」
「少し‥ねえ。ま、そういうコトにしときましょうか。」
―――一体どこまで把握してるやら。本当、彼女だけは侮れないゾ☆
翌日。
ガーデンブルグへ向けて再び馬車を走らせた俺たちだったが…
クリフトは時々大欠伸をしては、こっそり俺を睨んできていた。
俺はその度罰の悪い顔を浮かべ謝る仕草を返していたけど。
実際この馬車の旅が長引いたら、同じ事繰り返すんだろうな‥と、密かに思ってたりして。
宿や船の部屋とは違った趣が、結構クセになりそうだ‥と、本音を言ったら、クリフトは
どんな顔する?
鷹耶が自分の思考に没頭してる中。
不埒な視線を感じたクリフトが、ざわりと総気立てていた―――――
|