『鶏と卵と温泉と』―――裏6 「ん…ね、待って‥」 深い口接けを交わしながら、平らな岩の上に組み敷かれたソロが待ったをかける。 「やっぱり‥ベッドでしたいな、オレ。」 濡れた翼が冷えた床につく感覚が慣れなくて、ソロが背を浮かせ願い出た。 「…そうだな。風邪でも引かせたら、保護者達が煩いしな…」 保護者達‥の言葉にソロがくすりと微笑う。最近一番過保護気味なのは、どう考えても目 の前の彼だと思う… 「…ピサロ。今日はね‥ちゃんと付き合うからね。いっぱい‥していいよ?」 ふわりと笑んで、ソロはそっとピサロへ抱きついた。 「あれ…この部屋、なんか変わってるね‥」 脱衣所で髪までしっかり乾かした2人が部屋へ戻ると、ソロが首を傾げさせた。 いつもよりやや広い部屋のベッドは2つ。 1台は普通のシングルサイズで、既にすっかり寝入った様子のクリフトが占領している。 そしてもう1台は…ダブルサイズの大きなベッド。その大きなベッドへ向かうピサロに連 れられて、ソロは広いベッドへと身を乗り上げた。 「家族向け‥と話していたろう。だからではないのか‥?」 不思議顔でベッドを見比べているソロに、ピサロが答えた。 「あ‥そっか。…いろんな部屋があるんだねえ。…ん‥ふ‥‥」 「散々待たされたのだ。これ以上待たせてくれるな。」 組み敷いたソロに口接けて、ピサロが苦く微笑んだ。 「ふふ…そうだね。もう待ったはしないから…ん‥あ‥‥」 もう一度口接けられて、ねっとり絡まってきた舌がソロのそれを吸い上げる。濡れた音が 口内に響くと、ゾクンと躰が粟立った。 紅の差した頬へと唇が移り、耳たぶを甘噛みし、首筋を下ってゆく。 降りた唇が鎖骨をなぞってゆくと、甘い声音がこぼれた。 「ふ…あ‥っ、あ…ん‥‥‥」 「ふ‥お前も随分余裕ないようだな‥」 彼の頭に回した腕に力を込めて来るソロに、ピサロが口元を上げる。 「だ…って。あっ…あ‥それ、ダメ‥っ…ああ‥ん…」 緩く肌を滑っていた指先が、胸の飾りへ辿り着くと、きゅっと摘ままれ躰が跳ねた。指の 腹で押し潰すように捏ね回されて、鼓動が速まる。反り返ったソロのもう片方の胸に唇を 寄せたピサロが、固く尖った蕾を口に含んで舌で転がしてくると、身を大きく捩らせた。 「ピ‥サロぉ…ね、こっちも‥触って‥‥」 彼の腕を掴んで、潤んだ瞳のソロが強求った。 「早く‥欲しい‥からっ…」 既に欲望を誇示する彼自身へ触れて、ソロが懇願する。 「そう煽ってくれるな‥。私だって余裕ないのだぞ。」 「…そうみたいだね。‥してあげようか?」 切羽詰まった彼の表情に、ソロが身を起こすと、彼自身へ手を伸ばした。 熱い欲望に触れると、自身の身内にも熱が渦巻き、鼓動が跳ねる。 「‥ね、させて…?」 目元を染めたソロは、そう呟くと唇を熱塊に寄せた。 「ソロ‥‥‥っ…」 猛る欲望を躊躇いなく口に含まれて、ピサロの呼吸が乱れた。 元々色事など何も知らずに居たソロを仕込んだのは自分だったが。いつの間にか、色香が 自然と滲むようになったものだと気づいて、少々後ろめたさが過る。 「…どうしたの? ‥オレ、まだ下手かなあ…?」 「‥いや。お前の躰をこちらへ寄越せ。私もしてやる。」 「あ‥うん。でも…ちゃんと出来なくなるよ?」 横になったピサロの躰を跨ぐように示されて、従いながらソロが話した。 「まあその時は、こちらで相手して貰うからな。」 「あっ‥ん。それでもいいけど‥いきなりは無理だからね…」 つん‥と指で窄まりを突つかれて、ソロが困惑顔で答える。 小さく吐息をつくと、ソロは手を添えた幹の尖端に再び唇を寄せた。 息を詰めたような吐息が背後から届くのに歓びを感じて、ソロは更に行為を深めてゆく。 樹液が溢れてくる先端に舌を這わせ、ぺろぺろと丹念に舐め上げると、脈打つ熱杭の脇へ と舌を滑らせた。 最初は躊躇ったこの行為も、いつの頃からか、強要されているという意識よりも、自分を 求めてくれている証としての思いの方が強く感じられるようになって。 ―――嫌いじゃないって、思ったんだ。…好き‥かも知れないって‥ 口淫を続けながら、ふとそんな事が思い出される。 「ふ…っ、あ…」 奥の窄まりに差し入れられる指が増やされると、ソロがびくんと背を跳ねさせた。 「もたもたしてると、こちらの準備が先に整うぞ?」 クスリ‥と口元で笑んで、ピサロが内奥を掻き混ぜてくる。 「う…ん、その方がいいかも。‥オレも、早く‥欲し…っ‥あ…?」 最後まで言う前に躰を返されて、組み敷かれてしまった。 「少々性急かも知れぬが…良いか?」 グッと脚を開かれたと思うと、そのままピサロが自身の昂ぶりを押し当てる。 「‥うん。いいよ。来て…」 熱っぽい紅の双眸にふわりと微笑んで、ソロが躰を弛緩させた。 「ふ…ああ…っ、ふ‥ぁ。あ…ん‥‥ああっ‥」 ゆっくり気遣うように押し入ってくる熱塊は、潤滑液の助けもあって、すんなり最奥まで 納まった。その刺激でしっかり遂精を果たしてしまったソロが、呼吸を荒げる。 「…早いな。」 「う‥うるさいな。オレだって‥限界だったんだもん。」 かあ‥と頬を染め上げて、恥じらう様子のソロがむくれた。 「お前だけ満足して、寝てしまうなよ‥?」 「ね‥寝ないよ。まだ全然だもん…」 きゅっと彼の背に回した腕に力を込めるソロに、ピサロが口の端を上げる。 「そうか‥。なら遠慮なく、行くぞ。」 「え‥わ…っん、ち…ああっ‥ん‥あ…ピ‥サロぉ‥‥‥」 膝の裏に入れた手ががっちり脚を掴んで固定したと思うと、抽挿が開始された。 馴染んだとはいえ、いきなり大きく動かれたソロが、ビックリ縋ったものの、その動作に 翻弄されて、吐息が乱れされてゆく。 「ふ‥ああっ…、あ…ん‥あっ…そこ‥ふ‥ぁ‥あっ‥ダメ‥‥」 一番敏感な箇所を抉られて、身を撥ねさせたソロが、ビクビクと腰を震わせる。 「‥相変わらず、悦い声で啼くな。それに‥具合も良い。」 吐息混じりにそう呟いて、ピサロがその内奥を堪能する。 「ん‥? あ‥何…はあっ…ん、ん‥‥‥」 熱杭が打ち込まれる度走る、甘く熱い衝動が、思考を奪い去って、ソロはただただ喘ぐば かりで。2人の躰の間にある屹立も、いつの間にかその高度を取り戻していた。 「あっ‥ああ…っ、ピ‥サロ…ピサロっ、好き…だよぉ‥‥」 「‥‥‥! …ソロ。…私も‥だ…、くっ‥‥」 短く呻いたピサロが、白濁をソロの内奥に叩きつけた。 小説部屋6へ |