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―――彼の欲望の証をココで受け止めないと、この戒めはあなたを苛み続けるわよ。
そう嘲って、解いたロープの替わりとばかりに尖端を光の輪で戒めた。
魔力による戒めの輪だ。
女はルークの窄まりに光るスティックを侵入させた後、そう彼に囁いた。
だからこそ。恥ずかしさを覚えながらも、アルフレートを求め、その身を開いたのだが‥
貫く熱塊がこれ程の悦楽を齎すとは想像外で。アルフレートの艶帯びた表情が、こうも
色っぽく心を騒めかせるとは、全く考えていなかった。
「あっ…ああっ…熱い‥よ‥‥」
「ああ…俺もだ‥‥‥」
「おね‥い…苦し…っから‥早く…ああっ…」
汗ばむ躰を反らせて、ルークが切羽詰まった声で喘ぐ。
悸える肌に、ふと彼の欲望の証を目に止めたアルフレートが、張り詰めたその熱棒をそっ
と握り込んだ。
「あっ‥ああっ。ダ‥メ。苦‥し…っ、ああ‥‥‥」
グッと躰を仰け反らせて、ルークが嫌々と首を左右に振る。苦しげなその様子に、アルフ
レートは手を離した。いつ迸りを放っても不思議ない程張り詰めているのに、達せらない
状態を強制されてるのか? そんな事をふと考えて、彼は女の台詞を思い出した。
『彼の身を軽くする唯一の方法はね、契りを交わす事だけよ。』
『‥溜め込んだ欲望を解放する術は、それしかないの。
だから‥あなたがしてあげなさい。』
赤い唇が言い含めるようアルフレートへと囁き、女はうっそりと笑った。
(俺もルークもあいつらの手の中って事か‥)
この状況をそう判断したが、今更途中下車は出来ないし‥と、アルフレートは開き直った。
「ふっ‥あ、あ…んっく…はあっ‥‥‥はあ…」
抽挿を再開させると、ルークがぽろぽろ甘い喘ぎを落としてゆく。
「とりあえず、このまま出すからな‥」
そう宣言すると、すっかり色に染まったルークがコクンと頷いた。
その姿が妙に艶めかしくて、アルフレートの気が逸ってしまう。
幾度か抽挿を繰り返して、彼はその欲望の証をルークの内奥に叩きつけた。
「ふあっ…ああっ‥はああ〜〜〜〜っ!」
その飛沫を身内に浴びて、ルークは甲高い嬌声を上げ、自らも白濁を解き放った。
「ああっ…はあっ‥はあっ‥‥」
ビクビク躰を痙攣させて、乱れる呼吸が胸を大きく上下させる。
「はあ…はあっ‥。こんな‥はあっ‥、こんなの‥‥はあ…っ、く‥」
「…よくなかったか?」
彼の脚を深く曲げさせて、顔の側へと躰を曲げたアルフレートが、神妙に訊ねた。
ズイ‥と間近に迫った顔に、ルークが赤い顔を更に茹立たせる。普段知る彼とはまるで
違う男の色気を感じて、酷く落ち着かなくなったのだ。
「急ぎ過ぎだったか?」
なんか辛そうだったから‥と呟くアルフレートに、手の甲で顔を隠したルークがブンブン
と首を振った。
「早く解放させて欲しかったから。大丈夫…」
「ああ‥派手にぶちまけたよな、お前。」
クス‥と笑ったアルフレートが、ルークの放った飛沫が飛び散っている躰に手を滑らせた。
「ひゃ‥ぁ。あっ…ち、ちょっと‥アルフ…?」
赤く熟れたような胸の先端を指の腹で転がすようにした彼が、指に掬いとった白濁を口元
へと持って行き、ぺろりと舐めた。
「アルフ〜〜〜。何やってんだよ?」
あまりの行動に、ルークが赤い顔を顰め呆れ声を出した。
「ん? いや、やっぱり相当溜めてたんだな‥って。もう少し絞った方がいいか?」
一度達したくらいでは足りないだろうと、アルフレートが問いかけた。
「アルフ…あ? あ‥ん、やっ、バカ‥そっ…んん〜〜〜!」
ツンと彼のまだ硬度を保つ屹立を弾いた後、グイと腰を打ち付けられて、ルークがまだ身
内に納まったままだったアルフレートに感じ、喘ぎをこぼした。その色っぽい返答に気を
良くしたアルフレートが口接けて来て、絡まってくる舌に翻弄されてしまう。
「んっ‥‥む、‥ふ‥ぁ。あ‥‥‥ん‥」
まだ慣れない口接けに、未だ燻る熱が刺激され、肌が騒めき情動を膨らませて。思わず腰
が揺らめいてしまう。
「ふあ…っ、ん…あ‥」
「な‥いいだろ?」
唇を解放すると、アルフレートが間近に顔を寄せ乞うた。
「ばっ…。‥もう‥‥‥。訊くなよ‥そんなコト‥‥‥」
続きを求め来る彼に、カッと耳まで染め上げて、目を泳がせたルークがぽそりと返した。
「‥可愛いな、お前。」
真っ赤な耳たぶに唇を寄せて、そっとアルフレートが囁いた。
更に顔を真っ赤に染めるルークに、機嫌良さそうに笑って、彼の脚を持ち直した。
「はっ…あ、ああっ‥ん、あっ‥ああっ‥‥‥」
上体を起こしたアルフレートが、本格的な抽挿を再開させる。
彼が放ったものが良い潤滑となり、その動きをよりスムーズにさせて。突き上げる度に
ルークの唇から甘い喘ぎがこぼれた。
「お前の中…すげ‥いいぜ…」
「ふあっ…あ‥ん…。あっ‥? あ‥そこっ…や‥ん‥‥はあっ‥」
ビクンと躰を跳ねさせるルークに、強く反応を示した箇所を探るべく腰を動かすと、敏感
な箇所がある事にアルフレートが気づいた。
「ふうん‥ココ、いいんだ?」
「あっ‥バカ、そんなしたらすぐ…っ、くああっ…!」
その場所を舐ぶるように貫かれて、ルークが堪らず白濁を放った。
「はあっ…はあっ…。あっ‥こら、ち‥ちょ…っ、アルフっ…ああっ‥‥」
達した余韻に浸る間もなく、容赦ない突き上げをしてくるアルフレートに、抗議しようと
したルークだったが、それは適わなかった。内壁から派生する熱が、みるみる欲望に集積
されてくのを感じ、ルークは飛んで行きそうな意識を止めるかのように、シーツを強く握
り込んだ。
「あっ‥ああっ…」
◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆
「フフフ‥。すっかり熱中してるわね。」
壁を隔てた次の間で、ベッド端に腰掛けた女がニッと口元で笑んだ。
「みたいね。あんなに私を拒んだ癖に、ローレシア王子にあっさり許しちゃうなんて。
本当、失礼な王子よね。」
ベッド脇に置かれた机に腰を下ろしたエリスと名乗った娘の面差しを残す女が、プンと口
をへの字に曲げた。エリスよりも少々幼く見える娘は、清楚な雰囲気などどこにもない、
小悪魔チックな印象の、露出の高い服を纏い、スラリとした白い脚を組み上げて、頬杖つ
いて壁の向こうへ目を注ぐ。
エリスの姉と名乗った女も、その漆黒の髪は変わらぬものの、鋭く切れ上がった眸に薄く
赤い唇は、冷たい印象を齎して。豊満な肉体を強調させるような薄手の服を纏っている。
「クスクス。随分警戒されてしまったようだものね。あの状況でよく、あそこまで耐えた
ものだわ。まあ、それくらいでないと、遊びがいがないというものだけどね。」
「ふふ‥そうねえ。まあ予定とは大分違ってしまったけど。これはこれで、姉様の手を煩
わせずとも済みそうで。悪くないわよね。」
「そうね。これだったら、アナト一人でも管理出来るでしょう?
私はあの玩具があるから、しばらく退屈せずにいられそうだし。」
ふっと宙を見て、クスクス愉しげに唇を歪めさせた。
「ああ。姉様本当にお気に召したのね。アルラウネ姉さまも、あの子に入れ込んでるって
言うし‥。」
「あなたもじゃない。この状況、酷く愉しんでるでしょ?
実は。」
最初に話を受けた時よりも瞳を輝かせている妹に、姉がクスクス笑った。
「ええ―――」
そんな姉に妹は、冷たい微笑を浮かべて頷くのだった。
2010/2/13 |