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クリフトは、久しぶりにスッキリした心地で目を覚ました。
重い石が圧し掛かっているような、呼吸の度に窒息するような不快感が綺麗に消えている。
そうして身体を起こすと、見慣れない部屋に居る自分に首を傾げさせた。
豪奢な装飾の施された寝室。自分のではない夜着。
「…ああ。目覚めたのだな。」
困惑しているうちに戻って来た部屋の主が、声をかけた。
「…竜の神…」
その姿を見て、現状を把握したクリフトが腑に落ちたよう息をつく。
「気分はどうかね?」
「はい。おかげさまで、大分楽になりました。」
そう答えたクリフトが、ベッドから出ようと足を床に降ろした。
「そうか…。生命の危機は脱したとはいえ、落ちた体力が戻った訳ではない。
しばらくは静養に専念する事だ…」
クリフトの前に立つ神が、顔色を窺うよう近づけて、静かに話す。
「…はい。」
「食事は摂れそうか…?」
「…ええ。そういえば…結構な空腹感覚えてます…」
ベッドに座ったまま、腹部に手を宛てて答えた。
「…儀式から3日過ぎているからな。」
「えっ…そんなに!?」
苦笑を浮かべて返す神に、クリフトも目を丸くした。
とりあえず食事を済ませてから詳しい話をと、2人は場を移す事となった。
竜の神から、このまま神の私室で過ごすか、先日の邸で暮らすか問われた結果、そちらを選択したのだ。
その際また抱き上げられてしまって。遠慮したがったが、涼しい顔で断られ、そのまま運ばれる事になった。
「…あれ? どちらへ向かうんですか?」
寝室の出入り口とは違う方向へ歩き始めた神に、クリフトが首を傾げる。
「近道だ。こちらからは、別ルートがあるのだよ…」
ニッと笑った神がツカツカ壁へと向かう。
大きな全身鏡の装飾に触れると、鏡面が揺らぎ、スウッと消えた。
鏡面の奥には空洞が続いていて、しばらく進むと少し広めの空間へ出た。中央には転移に用いられる陣が敷かれていて、その上に立った瞬間、移動呪文とも違う浮遊感に包まれた。
揺らぎが収まり目を開けると、そこは板の間だった。
横開きの引き戸の外には、先日泊まった広い部屋が広がってた。
「…これは。私が知って良かったのでしょうか?」
城などではよくある、有事の際の脱出ルートの1つではないかと思ったクリフトが、ぽつりとこぼす。
「構わぬ。…他言は無用だがな…」
彼を降ろした神がそう告げて、微笑んだ。
食事が運ばれて来るまで少し時間があったので。クリフトは着替えを済ませてしまいたいと申し出た。いつまでも夜着のままなのは落ち着かなかったのだ。案内されたのは、湯殿の隣にある衣装部屋。そこには数点クリフトが着られるサイズの服が用意されていた。
適当に選んで身に付けたクリフトが、ソファーセットの元へ向かう。
「…お待たせ致しました。」
ソファーに腰掛けている神へ声を掛けると、向かい席を勧められた。
「ふむ…サイズは問題ないようだな。いずれきちんと仕立てた服も完成しよう。」
天空人の普段着とは別に、彼の為に誂えた衣装を準備していると示唆されて、クリフトが微苦笑した。
「…あの。こちらの方は今回の件、納得されているのでしょうか?」
「一部のうるさ型が喚き立ててはいるな…」
クリフトの懸念を肯定した神が苦い顔を浮かべる。
「まあ、こちらへは来させぬから案ずるな。儀式は成った。
それを覆す事など誰にも出来ぬ。
それにな、歓迎の声の方が多いのも事実だ…」
「…そう、なんですか…?」
それはちょっと意外とばかりに、クリフトは首を傾げた。
そんな会話をしているうちに、食事が運ばれて来た。
クリフトの前には粥と飲み物。竜の神の前には飲み物が並べられて、空になった盆を抱えるように持った少年が神の隣へ立った。
「クリフト。この者はグエン。
まだ年若いが、身の回りの世話をしたいと志願して来たのだ。」
「あ…あの、グエンと言います。
至らない所はあるかも知れませんが。精一杯がんばります!
ですから、私が仕える事をお許しください!」
「一応こちらでも自炊は適うが。当面は静養せねばならぬのだ。
こちらに慣れるまででも良いから、身の回りを世話する者を誰かしら付けるべきと思ってな。
グエンでは不足というなら、他の者を呼ぼう…」
必死な眼差しで訴える少年を、困惑したよう見つめて神へ目線を移すと、そんな風に付け足された。
「…分かりました。
確かにしばらくは食事を運んで頂く事になりそうですし。
よろしくお願いしますね、グエン。」
そう言って微笑むと、グエンは瞳を輝かせ大きく頷いた。
「はい! こちらこそ、よろしくお願いします!」
話が纏まると、夕食まで人払いする旨伝えられて。少年は退出した。
竜の神は、クリフトが食事をしている間、天界の現在の状況を掻い摘まんで彼に語り、公的な部分での進行についても大まかに伝えた。
ただ、竜の神の在位が長かった為、天空城でも前例が探し出せない状態で。初めての事態に、色々混乱しているらしい。
「それは…各方面、色々大変そうですね…」
サントハイムでも。教会のトップをいっぺんに失った事で、様々な儀式の進行等に多大な影響があったのは、そう古い話でもない。
「…まあ。どちらにしても、それらが行われるのは、しばらく先だ。」
食事が済んだのを確認した神が、そう話を切り上げた。
場の空気が変わった事で、クリフトも表情を改め居住まいを正す。
「そう畏まらずとも良い。私的な話だ。」
神妙な顔をするクリフトに、神がフッと微笑んだ。
「まずは状況確認だが…儀式は成ったが、完了した訳でもない。」
「え…?」
「涸れて尽きかけていた生命力を、我の生命を分け与える事が出来る伴侶の儀で補う…そう説明したと思うが。
伴侶の儀は我の生命力を蓄える為の場を築く儀式である。」
コックリ頷くクリフトに、神が更に続ける。
「命を砂時計に喩えるならば、君の砂は落ちきる寸前だった。
そこへ手を加え、砂時計に私の砂を注ぐ道を築いた…と言えば伝わるかな?」
「…砂が注がれないと、結局命が尽きてしまう…という事ですか?」
「そういう事だ。ただそれでは、一時しのぎにしかならない。
そこでもう1つ組み込まれている術がある。
…君は、魔石を知っているかね?」
竜の神は考えるようにしながら、訊ねた。
「ええ…。魔物を倒した時に得られる宝石の事ですよね?」
「そうだ。魔石というのは、命の砂を蓄え凝縮させたものが変化した姿でもあるのだ。
石によって役割は多岐に渡っているが。基本は同じ。
いざという時に砂を補充する役目を持っている。」
「ああ…タフな魔物を相手にする時に、魔石を砕くのはそういった意味合いがあったのですね。」
クリフトはふむふむと納得顔で相槌を打つ。
「通常は生まれた時に、核となる石を内包しているものだが。
伴侶の儀は、それをもたらす事で、長命種の命を分け与える器とする術なのだ。」
「…つまり、私の体内に魔石が生まれていて。それが貴方の命を蓄積する器になる…と?」
自身の身体を見つめながら、クリフトが惑うよう確認した。
「ああ…そうだ。今はまだ欠片にも満たない存在だが。
我が命を注ぐ事で形を得る事になる。」
「それって、貴方の寿命を削ってしまうという事なのでは?」
「まあ、そうなるな。」
「貴方…馬鹿でしょう…」
なんとも言えない想いが渦巻いていたが。ついて出た言葉はそれだった。
口にしてから、失言だと慌てるクリフト。だが、竜の神は寂しげに微笑む。
「…我は元々長命の竜種だった。
そうして長い年月を経るうちに、いつしか、竜の神と呼ばれる存在となった。
神と成った者には、長寿の恩恵が付与される。
ただでさえ長い寿命が、更に引き延ばされたのだ。だが…
神は決して万能ではない。
己の無力さを知るごとに、我の存在する必然を疑い、虚しくなった。
…長い間、我は飽いてたのだ。そこに風が起こった。
勇者誕生という風は、我にも変化をもたらす風となった。そして…」
淡々と語っていた竜の神は、顔を上げてクリフトを見つめた。
「風を運んだ勇者は、クリフト…君という新たな風を我に届けた。」
そう告げると、神は立ち上がって彼の隣に移動する。
「…この邸はな、元々古い友人が来た時に泊まる為の宮だったのだ。
だが、そんな友人が最後にこちらへ来たのは何百年も前…。
対等に語り合う友…そんな存在が我にも在った事を。
あの日、君が思い出させてくれた。」
仄かに微笑んだ神が、そっとクリフトの頬に手を添えさせる。
「ソロの為に、我と対等の立場で交渉ごとを成立させようと挑んで来た姿を好ましく思った。
それ故、少しだが君個人への助言も授けた。」
「ああ…最初に忠告して下さったのは、貴方でしたね…」
生死に直接作用させる呪文の代償について、警告くれた事を思い出したクリフトが、苦笑を浮かべた。
「…私は寿命など占いで測れる筈がないと思って来たのですが。
あの話を伺って、腑に落ちたんです。
私が呪文を獲得した意味も、未来の予測についても…」
未来が見えないのだと、母が頼った占い師たちは口を揃えてそう締め括ったという。
「…まあ。私も、これは予想外でしたけど。」
一呼吸あと、すっきりした顔つきでクスリと笑う。
「そうか…。正直、我もまだ、荒波の中あれこれ整理整頓に追われているのだ…」
ここまで感情の揺り幅が大きく翻弄される日が来ようとは、考えもしなかったと竜の神が珍しく惑うように息を吐いた。
「はは…。私も色々混乱しましたけど。貴方もその渦中にあったんですね…」
「長らく感情に振り回される事など、なかったからな…」
クリフトの隣に腰掛けていた神が、ソファーの背に背中を預けこぼす。
「そうですか…。貴方のおかげで、時間は気にせず済みそうなので。
ゆっくり始めましょう…」
そう微笑むクリフトの手を取って、神もにっこり笑う。
「心持ちについてはそれで構わぬが。
命を注ぐ為に一番手っ取り早い行為は、本来の意味での交わり…
そちらは、早めに実行する必要があるぞ?」
いい笑顔から紡がれた台詞に、頬に朱を走らせたクリフトが嘆息する。
「…覚悟はしてましたから、逃げませんがね。
部外者が立ち入らない場所でお願いします…」
「…ふむ。ここも人払いすれば、問題ないと思うが。
ソロが踏み込む可能性は排除しきれぬ‥か。」
天空城へやって来るソロの案内役をドランに命じた所、とても張り切っているとの報告がルーシアから届いていたのを思い出して。神が思案する。
「まあ。今宵も私の寝室へ泊まると良い。君の方からは、何か要望や質問等あるかね?」
「そうですね…」
クリフトが部屋を見渡して、気になってる点を上げた。
大広間のような広い部屋の中に布団が敷かれている訳だが。眠る時にそれだと落ち着かないのだ。それを伝えると、ひとまずの対処として、衝立で寝所を区切ってくれた。
「…これで良いかね?」
「はい、ありがとうございます。」
「夕食まで少し休んでいると良い。つい話し込んでしまったからな。」
布団の位置をずらして、布団を中心にL字に衝立を設置する事で寝所を築くと、しばらく横になるよう神が勧めた。
「何かあれば、これを使っても良いし、先程伝えた呼び鈴でグエンを呼んでも構わない。」
金のキメラの翼は、クリフトの手元に戻っていた。言葉が送れる訳ではないが、呼び出しの意志は届く。それとは別に、使用人への合図を送れる呼び鈴も彼に授けた。
「…それでは、少し横にならせて頂きます。」
「ああ。ゆっくり休みなさい…」
クリフトが布団に横になるのを見届けて、神は席を立った。
正面玄関でなく勝手口の方から出て行く気配を不思議に思いながら、クリフトは眠りに落ちて行った。
随分深く眠っていたようで。クリフトは目覚めた時、知らない場所に居る自分に酷く戸惑った。
しばらく思考に耽って、枕元に置かれた金のアクセサリーに、やっと現状を把握する。
「ああ…そうでしたね…」
こてんと横に身体を向けて、衝立の隙間から見える庭園を眺める。
淡いピンクと紫に染まった庭が、夜の気配を孕んで行く。
クリフトは長い吐息を落とした後、布団から出て窓辺のソファーへ移動した。
大きなガラス張りの窓からは、庭全体がよく見えるのだが。美しく整えられた姿は、紺色に染まり、色々曖昧に見せている。
「もうしばらくすると、光虫が活動始めて美しいのだがね。明かりを灯して良いかな?」
そんな庭の姿をぼんやり眺めていると、声が掛けられた。
「あ…すみません。ぼんやりしてたので気付きませんでした…」
全く気配を感じず、すぐ脇に立たれてたのに驚くクリフトが、そう言って神に席を勧める。
「…先日見た光の乱舞は、虫だったのですか?」
柔らかな光に包まれた室内で着席する神を待って、クリフトが訊ねた。
「ああ…光虫が集まると、精霊の子も寄って来るからな。
そうなると、少しにぎやかかも知れぬな。」
「なかなか不思議な光景でした。この一画は、天空城の雰囲気とは全く違う趣がありますよね。」
「そうだな。こちらへ訪ってくれていた友人の故郷の建築様式だと、聞いている。」
そう答えた神が、スッと視線を勝手口の方へ移す。彼の視線に習って振り返ると、小さな声に続いて扉の開く音が届いた。
「グエンだ。食事を運んで来てくれたのだよ。」
クリフトへ説明している間に、盆に飲み物を乗せた少年がやって来た。
「お食事お持ち致しました。こちらへお運びしてよろしいですか?」
「ああ、そうしてくれ。」
竜の神の言葉に頷くグエンが、飲み物を2人の前へ置いて踵を返す。
昼間と違ってソファーに並んで座っていたので、一瞬迷ったが、そのまま彼らの前に配膳するよう決めたらしい。
「貴方が手配して下さったのですか?」
「ああ。君が景色に見入っている間にな。」
「…そんなに長くぼーっとしてました?」
クリフトが罰が悪そうに訊ねる姿に苦笑した神が口を開きかけたが、近づく足音に気付いて、表情を改めた。
「今日は胃に負担かからないものを用意させたが。物足りなければ、言ってくれ。」
グエンの配膳作業を眺めながら、神がクリフトへ声を掛けた。
「はい、ありがとうございます…」
心を配ってくれてる事に感謝を伝えると、配膳しているグエンへ視線を移し、同じように礼を述べた。
「それでは。私は奥で控えてますので、何かあればお呼び下さい。」
何度か厨房とここを往復して、作業を終えたグエンがそう言って退出した。
「…貴方はそれで足りるのですか?」
自分とは別メニューが並んでいるのは当然なのだが。普段自分たちが食べている量より控えめに思えて、クリフトが確認する。
「元々多く食さずとも不都合ないのだが。…君と共に食事してみたくなったのだ。」
どこか照れたよう告げられて。言われたクリフトにも照れが伝染った。
「…そうですか。私も…一人の食事は寂しいので。これからも付き合って下さると嬉しいです。」
ふわりと微笑むクリフトに、神もほっと表情を和らげた。
食事の後はしばらくまったり過ごしていたが。
庭に漂っていた光が半分程減ると、竜の神が立ち上がった。
「大分夜も深まったようだ。そろそろ移動するとしよう…」
そう言って手を差し出され、クリフトは逡巡しながらも、その手を取った。
ゆっくり立ち上がる彼を急かす事もなく待つ様子に、彼の呼吸も整ってゆく。
そのまま神に案内されるまま歩を進めると、勝手口へ到着した。
「私の部屋はこちらからの方が近いのでな。」
神の説明に納得したクリフトが、彼に習ってサンダルを履く。
外へ出ると、3方向へ小径が設けられていて。そのうち庭の中へ続く小径を示され、2人は並んで歩き出した。
星明かりで照らされている事もあって、足下が不案内とならない程度の光源がある庭を散策するようのんびり歩いていると、さわさわと葉ずれの音が届く。
「こうして庭園を歩いていると、天界に居る事を忘れそうですね…」
ふと立ち止まったクリフトが、風に揺らぐ葉へ目を注ぎ、ぽつりとこぼした。
「ああ…地上の風景を模して造られた庭だからな。」
「では、この植物は…」
「地上のものと変わらぬ…本物だよ。」
「…地上とは大分環境変わると思うんですけど…」
「宮を含めて庭園全体が、結界に覆われて…温室のようになっているのだよ…。
だから地上の植物も育つし、基本的に許可のない者は入ることも適わない。」
足を止めていたクリフトを促して、神が歩きながら説明する。
「ああそれで、人の気配がしなかったのですね。」
天空人の姿をほとんど見かけない理由が判明して、納得したようクリフトが頷いた。
「…ソロはともかく。アレが出入りしているのを公にするのも面倒なのでな…」
「その辺は、彼も同様かと。」
くすっと笑ったクリフトに、神も微苦笑浮かべ息を吐いた。
しばらく歩くと神の私室がある建物の側面へ到着した。
凹字になった場所に神が立つと、壁に扉が現れる。ドアノブ位置に嵌まった宝玉に手を翳すと、スウっと扉が水面のように揺らぎ、室内への道が開いた。
中へ入るとすぐに行き止まりとなっていて。左右の壁にそれぞれ扉があった。
「こちらが応接室。こちらが寝室に繋がっている…」
それぞれの扉を開けて見せて、神が説明する。
「あちらから移動するルートは、今通った道が最短となる。」
寝室の方へ案内されたクリフトがベッド端に腰を降ろすと、正面に立った神が話を纏めた。
「あの扉は、私にも開けられるのですか?」
「ああ。後で鍵を渡すので問題ない。」
そう返した神がクリフトの髪に手を伸ばす。
「…まだ説明が足りてない事もあるだろうが。
一辺に詰め込まずとも良いだろう…それよりも…」
すっと髪を梳って頬を滑った指先が、顎を捉える。
「…そうですね。あの…お手柔らかに、お願いしますね…?」
真っ直ぐ眼差しを向けて微笑んだクリフトが、目線を彷徨わせて続けた。
「善処しよう…」
疑固地ない口接けから始まった行為は、躊躇い触れていた肌がうっすら汗ばむ頃には、熱い吐息が混ざるようになっていた。
あまりに丁寧に触れられて、自分自身でも知らなかった感覚に、躯が跳ねる。
熱っぽい瞳に晒されて、心が騒つくのを思う。
ほんの数日前までは、考えもしなかったのに――
それでも。どこかで望んでいたのだろうか…?
そう錯覚するような、焦燥感を孕んでゆく――
「…はあっ…はあ……」
「…無理させたかね?」
行為の後、乱れた呼吸を整えるよう息を継ぐクリフトに、神がそっと訊ねた。
「…流石にこれ以上は無理ですが。大丈夫です…」
「そうか…。余力があれば風呂に案内するが。動くのも億劫なら、このまま休んでも良いぞ?」
ぐでっと横になった彼へ飲み物を差し出した神の言葉に、クリフトが身体を起こした。
「風呂…使っても良いんですか?」
「ああ。身体に負担がなければ構わぬ…」
クリフトは受け取ったグラスの水を飲み干して、案内を乞う事にした。
「うわ…露天風呂ですか。」
寝室を出て案内された部屋風呂…と思ったそこは、そこそこ広めの岩風呂だった。
「風呂はいつでも入れるようになっている。
ここを使っても良いし、あちらの宮の風呂でも、好きに使って良いぞ。」
「ありがとうございます…。それにしても、広いですね…」
クリフトと共に湯船へやって来た神へ、素直な感想を伝える。
本当は一人でのんびり浸かりたい所だったが。本調子でない事を指摘されると無理も通せず、共に入る事が確定してしまった。
正直まだ、この状況にある自分が不思議だったりするのだが…
それでも、湯船に浸かって、降るような星空へ目を移すと、地上とは違う場所に在る事を実感する。
「…本当に、見事な星空ですね…」
隣へ腰を降ろした神へ、クリフトがぽつりとこぼした。
「ああ…そうだな。今宵は特に輝きを増しているようだ…」
感慨深げに語る神の横顔が、とても上機嫌に映って、クリフトも目を細めさせた。
逆上せる前にと早めに切り上げて、脱衣所へ戻ると。先日ソロが話していた通り、着て来た服を入れた駕篭が空になっていた。
「ああ…新しい着替えはこちらだ。」
タオルで身を包んだ神が示す方を見ると、折り畳まれた衣類が置かれた棚があった。身体を拭き終えたクリフトが、勧められた着物を手に取る。
「これは…ソロが着ていた服と同じ仕立ての夜着ですね。」
色や柄は違うが、作りは同一らしい。神もまた別の色の着物を身につけていた。
「ああ、先程まで君が着ていた型とこちらとが、こちらの夜着の主流だな。」
「そうなんですね。ソロがとても着心地が良いと言ってましたが…確かに、楽ですね…」
ささっと着付けたクリフトが、身体を締め付けない作りだと微笑んだ。
「よく似合っている…」
「あ…ありがとうございます…」
じっと見つめられて。ぎくしゃく返すクリフト。神は苦笑を浮かべると、寝室へ戻るよう促した。
「これを君に渡しておこう…」
ベッドに腰掛けたクリフトへ神が差し出したのは、宝石の嵌まったリングだった。
「先程話した鍵だ。認証が必要な扉に我の加護を翳すことで鍵と為す。」
「なくしたら、大変なことになりそうですね…」
「君にしか扱えないから、問題ない。…嵌めても良いかね?」
すっと手を取った神が、戸惑いを見せるクリフトへ訊ねた。
「…はい。お願いします…」
そう答えて指を開くと、薬指へリングが納まった。
「…なんだか。照れますね…」
こういうリングを嵌める時が来るとは、全く考えてなかったので。妙に気恥ずかしい心地で、クリフトがこぼす。
柔らかな表情に安堵したよう息を吐いた神が、彼の髪を撫ぜた。
「さあ…もう夜も深い。休むとしよう…」
「クリフト…元気になったかなあ?」
パレスのピサロの部屋。ベッドの上に腰掛けたソロが、天井を見上げてぽつんとこぼした。
「そうだな。どれだけ回復してるかは判らぬが。命の危機は脱したろう?」
天空城へクリフトを残して地上へ帰ってから3日が過ぎると。妙にそわそわしたソロが、毎日パレスへ訪れるようになった。
午後のお茶の時間頃にやって来て、ピサロを相手に心配ごとを吐き出してくのだ。
あれからピサロは毎晩村へ泊まるようにしているのだが。
あちらでは、天界に居るクリフトについては口にしないので。ここへ来て思う存分心配を語るのだろうとは思う。
「むー。ピサロの応対が、なんか雑。」
机に広げた書類に目を通すピサロに、ソロが不満顔を浮かべる。
「…同じやり取りが続いたからな。」
「だって…気になるんだもん。本当に、ちゃんと元気になるよね?」
苦笑したピサロが肩を竦めると、ソロがクッションに顔を埋めて上目がちに彼を見つめた。
「奴がきっちり請け負ったのだ。問題あるまい。
それより。こうも度々こちらへ顔出していて。村の方は大丈夫なのか?」
「あーうん…。色々ぽかやっちゃうから、少しのんびり過ごしたら‥って。
…村のことはさ。オレ達が留守しても問題ないようにって、昨年くらいから調整始めてたからね。レンもよくやってくれてるし…」
「…そうか。ならば、気分転換も兼ねて、今夜はこちらへ泊まるというのはどうだ?」
書類を纏めて席を立ったピサロが、ソロの元へ向かって隣に腰掛けた。
「変に溜め込むから、同じ所をグルグルするんだろう。
今夜はとことん付き合うから、気が済むまで話せ。」
肩を抱いたピサロがソロを引き寄せ語る。
「…うん、そーだね。そーしよ、かな…」
「うわあ…なんか豪華だね!」
普段の食事は食堂で済ます事の多いピサロだが。今日は部屋の応接室へと運んで貰った。
テーブルに並んだ品々は、明らかにソロの為に用意されたものも多くあって、料理人の気合いの入り具合が伺えた。
酒の肴も兼ねた選択だろうに、ケーキの類も数種類混ざっているのだ。
「美味しそう。こっちの夕食って、いつもこんな感じなの?」
ソファーに座ったソロが、瞳を輝かせ訊ねた。
「まさか。今夜は特別だ。
お前が泊まって行く事を伝えたら、やけに張り切ってたらしいからな…」
「そーなんだ。あとでちゃんとお礼伝えないとね。」
甘そうな品をピックアップして皿に盛ったソロがにこにこと話す。
「…それと合うかは微妙だが。」
言って、ピサロはグラスを差し出し、もう片方の手にある瓶を示した。
「あっ。オレの好きなやつ。品薄でなかなか手に入らないんだよね…」
極甘ワインのラベルに、ソロが笑みを深めさせる。
早速グラスを受け取り注いでもらうと、テーブル奥に置かれたピサロが好んで飲む銘柄の酒のボトルを手に取った。
「ピサロはこれでしょ。はい…」
スッと差し出されたグラスにトクトクと、ソロは酒を注いだ。
互いにグラスを合わせて、一口煽る。
「ふあ…やっぱり美味しいな。ふふ…そういえば、こうして飲むのも久しぶりだね?」
ここの所慌ただしかったのもあるが。村ではこういった料理は特別な日のものとなっているので。日常から離れた時間を過ごすのも悪くないとソロは微笑んだ。
美味しい料理に美味しい酒。機嫌良く過ごしていても、アルコールに強くなれる訳ではない。
グラス2杯空にする頃には、歯止めが効かなくなって来た。
「ソロはもう、こっちにした方が良いのではないか?」
お代わりを求めたソロに、ジュースの瓶を手にしたピサロが提案する。
「えー、まだだいじょーぶだもん。
ピサロが言ったんじゃん。とことん付き合うってー」
「話に付き合うと言ったんだが…。
二日酔いでスッキリするならば、それも良いかも知れんが…」
ポンと頭に手を乗せて、静かに語りかけると、ソロがむくれた顔のまま唸る。
「うーじゃあ、いつもので。それなら、大丈夫…だよね?」
果実酒をジュースで割って飲むと言い出したソロに、ピサロは肩を竦めて嘆息した。
そのまま立ち上がった彼が、酒が収納された棚へ向かう。
それをしばらく見送ったソロは、ソファーの背に身体を預け天井を見つめた。
「…クリフト。ちゃんと元気になるよね…?」
「ああ。連絡がないのは、不測の事態も発生せずにある証だろう…」
ソロにグラスを差し出して、隣に着席したピサロが答える。
「うん…そうだよね…」
ありがとうと受け取ったソロが、こくんと一口含んで頷いた。
「…竜の神はさ。
クリフトが天界に残る選択をしたら、地上との絆がなくなる…みたいに言ってたけど。
オレ、よく分からなくて…」
手元をじっと見つめたまま、ソロはぽつりぽつりと語り出した。
「地上で暮らすことが無理…っていうのは、降りることも全く駄目なのか。
ちょっとは大丈夫なのか。…オレ達は天界へ行けば会えるけど。
村のみんなとはもう会えなくなっちゃったの?」
村の人間には、クリフトが遠方の地で病気療養していると説明してあるけれど。彼の病を知っていた少女は、その説明に納得してないようだった。
「私も天界の掟はよく判らぬからな。なんとも言えぬが…。
恐らく奴自身も、実際どこまで許容されるか、把握してない可能性もある。」
ソロに静かな眼差しに晒されたピサロが、考えつつ返した。
「竜の神も判ってない? え…どうして?」
目を丸くしたソロが、バッと身体を横に向けて詰め寄る。
「…ってか。なんか、ピサロ、隠してない?」
思わず「しまった」という顔つきを浮かべた彼を、ソロは見逃さなかった。
「知ってるなら、教えて!」
すうーっと目を細めさせて、幾分低くなった声音でソロが追及する。
「単なる可能性の話だ。言ったろう? 天界については詳しくないと…」
「ううん。そーいうんじゃなかったもん。絶対知ってるもん!」
ずずずいっ‥っと、更ににじり寄られて、ピサロが勢いに負けたよう上体を反らす。
「落ち着け。お前が知りたい事の答えなど、私は持っておらんのだ。」
ぐいっと頭を押しのけたピサロが、グラスに手を伸ばし酒を煽った。
「どうしても回答を得たければ、奴に直接問えば良いのではないか?」
嘆息混じりにそう続けたピサロに、ソロが眉を下げる。
「だって‥一ヶ月見舞い禁止だって…」
ソロも自分のグラスに手を伸ばすと、不満を飲み込むよう酒を煽った。
「まだ…ずっと先じゃん…」
コクコクと更に煽って、ぽつんとこぼす。
「クリフトへの見舞いは禁じられたが。
天界へ行く事も、奴に会う事も止められてはいないではないか。」
ピサロの指摘に「あっ!」とソロが目を開いた。
「そっか…。竜の神に直接訊ねに行けばいいのか!」
クリフトの様子も聞けるのではと、ソロの瞳が輝き出す。
「見舞いを持って奴に言付ければ、手紙を届ける事も適うかもな…」
そんな台詞にソロはいっそう瞳をキラキラさせて。ピサロに抱きつくのだった。
その日。ソロは早速認めた手紙と見舞いの品を持って、天空城へとやって来た。
竜の神への謁見を申し出ると、案内されたのは玉座の間だった。
「…ソロか。約束の時は、まだ先だと思ったが…」
ドラゴンの姿をした竜の神は、人型をしている時よりもずっと重い迫力があった。
「あ…えっと。いつも突然ごめんなさい。クリフトに会えないのは判ってます。
今日は竜の神に訊きたい事があって…。
あと、これ…クリフトへのお見舞いなんですけど…」
すっと差し出された駕篭をじっと眺める竜の神。中身は作物と手紙らしい。
「…見舞いは後ほど届けよう。それで、訊ねたい事とは?」
ソロは初めて謁見した時の緊張に似たものを思い出しつつ、確認したい事柄を丁寧に訊ねた。
「…ふむ。確かに地上へ降りるのは難しいが。
幾つかこちらへ移したい荷物があるとも聞いている。
彼の状態が安定した後になるが、その時に村の者への別れを伝える間も得られよう…」
「…別れ…」
「地上の者とのだ。」
「…はい。あの…クリフトは、もう大丈夫…なんですよね?」
「ああ。生命の危機は脱した。
体力を戻すにはまだ時間が必要だが。元気に過ごして居る…」
心配顔のソロに、神は柔らかな口調で説明した。
「それ…野菜と果物、それから手紙が入ってます。
クリフトが収穫を楽しみにしてたので…。あの、食事はちゃんと摂れてますか?」
ほう…と安堵の息を落として。ソロは持参した駕篭へ目を移し、中身を説明した。
「ああ。見舞いの品は間違いなく届けよう。きっと喜ぶだろう…」
ソロはこっくり頷くと、暇をしようと立ち上がった。
「よろしくお願いします。お邪魔しました…」
「ソロ。」
深々と頭を下げた後、踵を返したソロを神が呼び止めた。
「これを…持って行くが良い。」
振り返ったソロに、神が淡い光に包まれた何かを飛ばす。
ふわふわと彼の元まで移動してきたソレは、手のひらを広げて待ちかまえるソロの手に触れると、光が解け中身が露わになった。
金のキメラの翼のアクセサリー。クリフトが持っていたものと同じもの。
「使い道は知っていよう。手紙の返事を預かったら、それで知らせよう。」
「あ…ありがとうございます! 連絡くれたら、すぐ飛んで来ますね!」
手紙の返事が貰えるかも知れない…と。ソロは満面の笑みで礼を伝え、天空城を後にした。
「クリフト。」
昼食は宮で摂るのが日課となった竜の神が、午前中にやって来たソロからの見舞いである駕篭を手に訪れた。
「それは?」
つい…と差し出された駕篭を不思議そうに眺めて、クリフトが受け取る。
「ソロからの見舞いの品だ。」
「ソロから? こちらへ来たのですか?」
「ああ。執務中だったので、謁見の間へ通したがな。」
ソファーへ腰掛けた神に飲み物を差し出して、駕篭を持ったままのクリフトも隣に腰を降ろす。
「会えずとも、君の様子が知りたかったのだろう?」
「心配…させてしまいましたものね…」
言いながら、クリフトが覆いの布を外す。野菜と果物の間に手紙が差し込まれているのに気付いて、目を細めさせた。
「君の好物かね?」
「ええ。夕食の時にでも頂きましょう。」
「それで。ソロとはどんな話を?」
グエンが昼食の配膳を始めたので、しばらく他愛のない会話を交わしていたのだが。少年が厨房へ引っ込むと、クリフトが謁見の間の様子を知りたいと話題を振った。
「うむ…ソロはもちろんだが。村の者も君のことを案じているようでな。
彼らと会うことはもう適わないのかと、訊ねられた。」
「それは…」
「基本的に、こちらの住人となった以上、気軽に降りる訳には行かぬが。
あの村は少々特殊である事、ソロとの縁…等々加味して。
引っ越し荷物を取りに行くくらいならば、良い…と、結論だけ伝えた。」
神妙な顔つきで言葉を待つクリフトに、神がつらつら答えた。
「よろしいのですか…?」
なんだかとってつけたような理由で許されるものなのかと、色々曲げてないか不安に思うクリフトが確認する。
「もちろん、君がしっかり回復した後の話だ。」
「結構回復したと思うんですけど…」
「こちらで過ごす分には、不足はないと思うが。地上へ向かうには、まだ足りぬな…」
じっと全身見渡して、神がそう診断する。
「ソロ達をこちらへ招いて過ごす程度なら、もう問題ないと思うが…」
「ありがとうございます。その辺は体調以外の準備が整ってから、考えさせて下さい。」
続いた神の言葉に微笑みながら、クリフトが返した。
昼食を終えると、神は執務に戻って行き、グエンも器類を城の厨房へ戻しに向かったので。宮はクリフト一人きりとなった。
特に用事がない時は、食事時以外はこちらでのんびり過ごさせてもらっているクリフトだ。
午後は大抵読書をして過ごしているのだが。今日はソロから届けられた見舞いの品がある。
クリフトはテーブルにある駕篭をじっと眺めて、ゆっくりした動作で手紙を取り出した。
「…そういえば。こういうのは、初めてかも知れませんね。」
旅の道中は、基本的に共に過ごしていたし。ここ最近遠出が増えていたが。出先から手紙を出しても、届く前に自分が帰っているし、ソロからは送りようもなかったから。こんな風にソロが手紙を寄越すとは、全く考えもしていなかった。
「ふふ…」
文面からは、ソロが随分苦心して綴ったのが伝わってきて、クリフトは目を和ませた。
内容は、クリフトの体調を心配している事、こちらでの暮らしに足りないものがないか。入りようなものがあれば、すぐ届ける…というような事が記されていた。時々話が脱線してるのも、彼らしい。
直接的な言葉はなかったが、「会いたい」という想いも真っ直ぐ伝わって来た。
(…私だって、会いたいですよ。でも……)
ソファーの背もたれに身体を預け、ふうーと長い吐息を落とす。
竜の神は何も言及しなかったが。
次に会う時。それは、これまでの関係を終わらせる時でもある。
そう考えると、どうにも決断の鈍るクリフトだった――
2021/6/17
あとがき
お久しぶりです。月の虹です。
今回久しぶりのソロ編本編新作となります。
7章の話は、もう10年?程前から予定していたクリフトのお話からスタートです。
竜の神との話。ピサ勇チャットで毎晩のように熱く語らっていた頃から、温めてたエピソードだったりします。
なので。こんな展開望んでなかった~と仰る方には申し訳ないのですけど。
突っ走らせて頂きました。
ついて来て下さる方、いらっしゃいますでしょうか?
本当はもうちょっとBL表現盛り込むつもりだったのですが。
ここ数年の自分の愛読書が、異世界ファンタジーもの中心になったのと。
私自身が、あの2人の生々しい場面綴る勇気がなくて、こんな仕上がりとなりました。
伴侶の儀――これは脳内で散々シュミレーションしたものとは、全く違うものとなりました。
予定としては、ここで契らせてしまうつもりだったんですよ。
けど。実際物語がそこへ到達した時には、魔法の儀式っぽい部分がより濃くなってしまいました。
因みに。ここで行われた儀式は、緋龍編でシンシアがアルの一族に迎えられてた場合の儀式とは別物です。
そして、ピサロはその後者の方のやり方に準じる手法が存在するのは知ってたので。
竜の神も似た方法用いたのかと推測してたりします。
流石の魔王さまも、竜の神自身の魂削ってまで、彼の延命するとは考えてなかったでしょう。
離宮――なんちゃって和風な建築物です。玄関入ると回廊の向こうに畳の大部屋がでんとあるんですが。
時々訪れた友人が、竜だったので。本性に戻っても大丈夫なように造られました。
そんな広間に布団敷かれても、妙に落ち着かなかったので。
真っ先に寝所を整えて貰っちゃいました。(衝立設置は竜の神自ら働きましたw)
そのうち、クリフトが使いやすいように色々改造されて行くことでしょう。
さてさて。
ソロが知らぬ間に、竜の神の伴侶となってしまったクリフト。
彼がそれを知るのも時間の問題。
クリフトは3人関係の終わりを予感してますが。
ソロがどう動くのか。私にも分かりませんw
――とゆー感じで。自分も続きワクワク待っているので。
続きのお話も、あまりお待たせせずにお届けしたいと思います。
ここまで、お付き合い下さりありがとうございました!