うさみみ魔王さま降臨!! 〜ソロ編・番外編〜
「ピサロ。オレはあんたを仲間に迎えたけど。すべてを許した訳じゃない。
それなりに償いはすべきだと、そう思うんだ。」
すべての戦いを終えた後、ソロがピサロに告げた。
ピサロが神妙な面持ちで、続く言葉を待つ。
すると、ソロが背後に置いてあった風呂敷包みをつい…と彼に差し出した。
「…これはなんだ?」
緑地にスライム型のスタンプの押された風呂敷包みを怪訝そうに魔王が眺める。
「とにかく受けとって。」
もう1度差し出されて、ピサロが憮然としつつ受け取った。
基本的にソロには敵わぬ魔王さまだ。
「…で。一体なんなのだ?」
「正義の味方グッズv」
にっぱりと、ソロが宣った。
「―――――!!?」
「助けを求める声に応えて、人助けするんだ♪」
「返す。」
頭痛が痛いと唸りつつ、ピサロがツッケンドンにソロへ戻す。
が…。どうした事か、手から離れない!!
―――呪われてるのか?
ピサロが眉間の皺を更に深めた。
「あのね。うさみみ仮面になって、人助けをちゃんとしないとね、ダメなの。
早く変身して!! スライムになっちゃうよ?」
―――変身? スライム? うさみみ…仮面?
なにがなにやら。ますます頭痛の痛いピサロだ。
「ソロ。貴様の言ってる事は全然解らんぞ?」
「だから〜。それを受け取ったらね、”うさみみ仮面!”って叫んで変身するんだよ!?
じゃないと…ピサロ、スライムになっちゃうんだから!」
早く早く!―――――とソロが急かす。
「…そのうさみみ仮面とは…っ―――――!!?」
何なのだ…そう訊ねようと言葉を発した刹那、ピサロは眩いピンクの光に包まれた!!
なんと。
黒に身を包んだ銀髪美丈夫魔王さまが、ピンクのウサギに衣装変え!!(大笑)
可愛いサーモンピンクの全身タイツに濃い目のピンクに赤のラインの提灯ぶるまー。
長〜いピンクのお耳の帽子をピッチリ被って。
紅の双眸を隠した黄色のアイマスクがきらんと光る。
後ろから姿を見れば、もちろん、可愛いふさふさ尻尾もついている。
「ヤッタ――――!! うさみみ仮面だ―――!!」
ソロがバンザイと手を挙げた。
「ソロっ!! 貴様っ…!!」
すぐ戻せ!!と魔王が詰め寄る。
「あのね…。人助けしないと戻んないよ、それ。」
―――――!!?
ぽつっと語られた一言に、魔王さまが項垂れる。
うさみみ仮面魔王さま、元に戻れる日は来るのだろうか…?(爆)
――さて。
ソロの策略?により、見事うさみみ仮面へと変身した魔王さま。
ソロは満足そうにその姿を眺めると、いそいそなにやら取り出した。
項垂れていたうさみみ仮面魔王さま(略してうさみみ魔王)が、
それをぼんやりみつめる。
取り出したのは、ソロの髪と同じ翠の頭巾。(うさみみ仕様)
ソロは迷わずそれを被る―――と、ぽむっと白い煙が彼を包んだ。
――何事!?
ピンクの長〜いお耳がぴくんと跳ねる。
果たして。
煙の中から現れたのは、なんとなんと…!!
翠の頭巾を被った小さなウサギ姿に変化した、ソロだった。
「…っ!? ソロ…なのか!?」
「うん。オレもね、一緒に人助けするんだよ!」
惑い訊ねる魔王さまに、にっぱりとうさみみソロが答える。
肩に乗せたら丁度良さそうな大きさの、ちんまりサイズのソロが
ちょっと話辛そうに、ぴょんぴょん跳ねて。
魔王さまは仕方なく、手を差し伸べ抱き上げた。
「…その姿で、何をどう手伝う? というよりも。根本的にズレてないか?」
唸る魔王さまに、うさみみソロが蒼いお目目をきょろんとさせる。
小首を傾げる仕草は可愛い―――が、今の問題は当然そこにはない。(笑)
「…あのね。困ってる人助けるとね、ピンクのハートが貰えるの。
このスライムポシェットにいっぱい貯まったら…オレ達元の姿に戻るんだって。」
ソロが肩から斜めにかけてる小さなポシェットを指し、にっぱり微笑んだ。
「だからね…がんばろ〜!!」
―――やはり呪われたアイテムだ。
はりきるミニうさソロに、魔王さまは大きく項垂れた。
がんばれうさみみ魔王!!
正義の味方、うさみみ仮面魔王さまの明日はどっちだ!?(爆)
―――さてさて。
ピンクの衣装を身に纏ったうさみみ魔王とミニうさソロ。
彼らは見晴らしのよい草原から、切り立った断崖の麓へ移動した。
崖の上には青々とした森が広がっている。
獣やら鳥やらの囀りが高低差のある麓まで届いていた。
「…それで? お前の説明は要領得んのだが? 詳しく話してみろ。」
岩の上に腰を下ろした魔王さまが、「はあ」と重い溜息を混ぜ訊ねた。
「だからね。困ってる人をいっぱい助けて、ハートを貯めるんだ!
うさみみ仮面は正義の味方なんだからさ!!」
魔王さまの手のひらの上で。
ぴょんぴょん跳ねながら、うさ耳ソロが身体いっぱい使って話す。
「…私は仮にも魔族を束ねる王なのだぞ?」
「うん。でも‥変身すれば誰も魔王なんて思わないでしょ?
ピサロはいっぱい酷いコトしたんだもん。
いっぱい良いコトしてくれたらね、オレ、ピサロの願い事きくからさ。
だから…ね、お願い?」
両手を合わせて小首を傾げ、強求ってくる。
こぼれ落ちそうな蒼い瞳に見つめられ、魔王さまはもう一度溜息を吐いた。
「…なんでもか?」
「え‥?」
「その願い事とやら、なんでもきくか?
私の望みは判っているだろう…?」
眼前に運ばれたミニうさソロが、ほんのり頬を染め上げた。
こくん…と頷き、「いいよ」と答える。
魔王さまはしばらく彼を見つめた後、ぽむと小さな彼の頭に手を置いた。
「‥いいだろう。付き合ってやる。そのふざけた戯れにな。」
「ホント‥?」
ぱあっと瞳を輝かせ、ソロがぴょんと跳ねた。
「わあ〜いv 正義の味方、がんばろうねっ!」
とりあえず。
正義の味方ごっこ(笑)の始まりです♪
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