バトランドの城下町から少し離れた湖を囲むよう点在する別荘地。近くにあった建物へと
ソロの腕を掴みながらツカツカ向かうピサロは、観音開きの扉をバンと勢いよく開けると、
すぐ前に見えたリビングへ向かい、ソファにソロを投げ出した。
「うわ…っ。」
投げ出されたソロは、勢いのまま横に倒れると、そのままくったりと身体を横たえてしまっ
た。急な緊張とズンズン歩かされたせいで、酔いが一気に回ってしまったらしい。
ピサロはそんなソロの様子を怪訝そうに見つめながら、嘆息した。
「…飲んでるようだな。酔いでも回ったか?」
ソロは小さく頷いた。
「‥あの男と飲んでたのか?」
低められた声音で、更にピサロが訊ねてくる。
「‥‥違う…」
それだけ絞り出すのがやっとだった。胃の中をグルグルと不快感が巡っている。
ピサロは一旦場を離れると、水を注いだグラスを持って戻って来た。
「これを飲んでしばらく眠れ。」
小さく丸められた薬草のようなモノと水を差し出され、ソロはのろのろ身体を起こすと口
に含んだ。
苦味のある丸薬だったが、水の勢いを借りてごくんと飲み下すと、そのままソファに身を
委ねる。しばらくすると、すうすうと規則正しい寝息を立て出した。
彼が眠ってしまったのを確認すると、ピサロは彼を抱き、ベッドルームへ向かった。
ソロをそっと横たえたピサロは、その寝顔を見ながら複雑そうに顔を顰める。
つい先だっては、甘えるように別れを惜しんでいたのに。
今宵は不快を露に拒絶してくる。
その心の変化について行けず、知らず知らずピサロは嘆息していた。
普段の彼なら、そういった曖昧な応対に腹を立て、切り捨てるか、手段を選ばず問いただ
すかしている。今夜もそうするつもりで、乱暴にソファへほおったのだが…
気分の悪そうなソロを見ているうち、そんな気も失せ、気づけば薬まで用意してやって
いた。
彼が眠るベッド端に腰を下ろし、顔色の悪いソロの様子を覗う。
月明かりの差し込む青白い光のせいなのか…。ピサロはそっとソロの髪を梳いた。
「う…ん‥」
「…目が覚めたか?」
「ピサロ‥‥。オレ、どれくらい寝ちゃってたの?」
「小1時間といったところだ。気分は…?」
「あ…うん。大分‥いいみたい。」
流石に酔いは残っているものの、胃の辺りのもやもやはすっきりとしていた。
だが‥だんだんと覚醒してくるにつれ、ソロはそもそもの酔いの原因を思い出す。
ふいっとピサロから視線を外すと、ソロは彼に背を向ける形で身体を丸めてしまった。
「お前の行動はどうも理解出来ん。…何があった?」
呆れ混じりにピサロが訊ねる。
「…自分の胸に聞けば? 嘘つき!」
すっかりふて腐れた様子でソロが悪態をつく。
「嘘つき…? なんのコトだ、それは?」
「…あんた。最初に言ってたじゃないか。女の人は嫌いだって!
なのに‥‥。随分可愛い彼女がいるんだな? ロザリー‥っていったっけ?」
「ロザリーだと!? 一体どこでそれを!?」
ピサロがソロの肩口を掴むと仰向けに返し、厳しい瞳で詰め寄った。
「どこだって言いだろ? それよりやっぱり本当なんだ‥。あの人のコト‥‥‥」
そっぽを向くソロの顎を乱暴に掴むと、ピサロが殺気混じりの声で再び問いかけた。
「しっかり聞かせて貰おう。場合に寄っては、貴様を返す訳に行かぬからな。」
「…そんなにあの人が大事なんだ‥」
ソロがぽろりと涙をこぼした。その姿に、きつく締め上げてた手の力が緩む。
「‥‥‥夢で見ただけだよ。…そのロザリーって子が、塔の上からあんたのコトを祈って
た…。…ただ‥それだけだ‥‥‥‥」
「‥‥夢?」
イマイチ納得行かないピサロだったが、ソロが嘘をついてるとも思えず、首を傾げた。
「…どうしてそんな夢見たのか、知んねーよ。けど…真実なんだろ‥?」
ソロがピサロと瞳を交わした。 真実→ほんとう
「…オレ、今日は帰る。そんな気になんかなんねーもん。やりたきゃ、彼女んとこにでも
行ってやればいいだろ?」
「…まるで妬いているようだな?」
せせら笑うようピサロが瞳を細めた。
「や…妬いてなんか‥! …大体恋人が居るのに、オレとこんなコトするなよ!
オレのコトはやたらと束縛してくるようなコト言うクセに!」
「…恋人? ‥ロザリーとはそんな関係などではない。…まあ、女を抱いたコトがない訳
でもないが。彼女はそういった者とは違う。」
ピサロはそう答えると、ソロの首筋に顔を埋め、ぺろりと舐めあげた。
ゾクン‥と躯に焔が灯る。
「や‥ピサロッ、やだってば‥‥!」
身を捩って逃れようとするが、躯は意志に反して、彼の齎す愛撫を敏感に感じ取る。
「あ…っ。や‥ぁ‥。う…ふぅ‥ん‥‥‥」
口づけられると、口腔をこじ開け入って来た舌がじっくりと味わってくる。
飲み下せなかった唾液が口の端から伝い落ちてゆくのを舌先が舐めあげてゆく仕草にです
ら、ゾクリと感じてしまい、躯が悸えた。
いつの間にかはだけられていた上半身に濡れた唇が降りてくる。 舐る→ねぶる
ぽつんと主張始めた果実をねっとり舐ると、弾んだ吐息が甘い色を帯びた。
「あ‥ん‥っ。や‥‥ピサロぉ‥‥‥」
どうにか止めさせたいのに。艶めいた声ではまるで説得力がない。
ピサロは人が悪そうな笑味を浮かべ、更に下肢へと手を伸ばした。
「こちらは先を欲して強求っているようだぞ?」
滴る中心を軽く爪弾くと、下穿きごとズボンを引き下ろした。
「あ…やっ‥。ふう‥‥っ‥はあっ…!」
そそり立つ中心を口に含まれ、ソロの躯が大きく跳ねた。
「あっ‥ああ…。はあ‥ああんっ‥‥」
裏筋を根元から先端に舐めあげるように舌が蠢いたかと思うと、きゅっと唇を窄め強烈な
刺激を齎してくる。同時に根元のまろみをやんわりと刺激してくるので、ソロの理性など
とうに吹き飛んでしまっていた。
促されるまま昇りつめたソロは、躯を弛緩させると、荒い息のまま身体を投げ出した。
そんな彼の脚を開き、秘所を暴き出すと、ピサロが舌を押し当ててくる。
解すように蠢く舌が後孔へ少しずつ出入りを始めると、その刺激に意識をそっちへ持って
行ったソロが、驚いたように目を見開いた。
「ちょ…ピサロッ。なに‥やってるんだ…よお‥‥?」
困惑を露にソロが身を引こうとする。
「解さなければ挿れられないだろ。何を今更…」
「だ‥って。いつもはそんなコト‥‥あっ…はあ‥‥」
恥ずかしさに頬を染め上げながら、身内に渦巻く欲望に身悶えてしまう。
じっくりと時間をかけて出入りする秘孔は、熱く潤んでくるようだった。
「ピ‥サロ。も…いいから…きて。」
内壁が熱い楔を求めてるのを感じると、ソロは素直にソレを求めていた。
ピサロは顔を上げると、前をくつろがせ、猛る塊を待ち侘びる秘所へ導いた。
「あ‥ああっ。ピ‥サロ…熱いよお‥‥‥」
ソロがしっかりと彼を受け止めながら、自らの足を彼に絡ませる。
両腕を伸ばすと、身体を曲げたピサロの背に縋るよう腕を回した。
抽挿が繰り返される度こぼれる嬌声が、いつもにもまして艶を孕ませてゆく。
何度か大きく穿たれると、ソロは彼との身体の間に、白濁したものを放っていた。
遅れてピサロも熱い飛沫をソロの最奥に叩きつける。
そのままソロを抱きしめるよう、ピサロはベッドに身体を沈めた。
ソロが荒い呼吸をする彼を横目で見ながら、彼の銀糸を指に絡め弄ぶ。
―――本当に、あの子は恋人じゃ‥ないのかな?
…じゃなかったら。こんなに頻繁に通って来ない‥よな?
自分と同じ想いを彼が抱いてくれてる‥とまでは思わなかったが、今こういった関係に
あるのは、やっぱり自分だけかも知れない――そうソロは考えた。
もう1つの、最重要と思われる障害が以前立ちはだかっているものの、ロザリーが恋人
じゃない…といった彼の言葉の方が、今のソロを何より安心させた。
「ソロ…」
声をかけた後、そっと身体を起こしたピサロが口づけて来た。
今度はソロも迎えるように薄く口を開き、細い銀糸を梳くように頭を掻き抱きながら
応えた。
ゆったりと舌を絡め合いながら、互いの蜜を交換し合うように貪ってゆく。
甘い余韻の中離れた唇が肩口に降り、胸の周囲に幾つもの花びらを散らしていった。
「あ‥はあ…っ‥」
強求るように胸を彼に突き出すと、色づく突起を指が辿った。
親指の腹で潰すように捏ね回しながら、空いた片方を口に含む。
不思議と優しく感じられる指先は、ソロの肢体をゆったりと滑り、彼の不安を和らげて
ゆくようだった。
―――いつかは戦わなければいけない、敵。
それがはっきりした今でも、彼の腕の中で安らぎを覚えるソロだった‥‥‥
2004/6/22
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