着いた場所は、どこかの林の中。

半分草に覆われた古そうな石畳を歩いて行くと、ピサロは細く枝分かれした道を辿り、先

にある石をずらす。現れた隠し階段を下ると、そこはちょっとした空間になっていた。

「…ピサロ。ここは…?」

彼に続いて階段を降りたオレは、ベッドや本棚、机が配置されてる[部屋]らしき場所を

ぐるりと見回した。

ランプの明かりで照らされた室内は、どう見ても誰かの部屋にしか見えない。

「…私の隠れ家の1つだ。古くから使用しているな‥。」

「あんたの? へえ〜。‥‥随分本があるんだね。みんな読んだの?」

物珍しそうにきょろきょろ見回した後、本棚の前に立ったオレは、手近な本を1冊取った。

「書物とは読む為に入手するのだと思うが。」

「ふ〜ん‥‥‥って? …なにこの字?  全然読めないや…」

よく見ると本棚に並ぶ背表紙は、半分以上訳解らない文字のものだった。

装備品を外したピサロが、オレの背後に立ち、手にしていた本を取り上げる。

無言でそれを本棚へと戻すと、そのまま後ろから抱きしめて来た。

「…お前はここに何しに参ったのだ?」

低い声音が耳をくすぐる。細い指が髪をそっと撫であげて離れていった。

「…ピサロ‥オレ‥‥‥」

心臓の鼓動があいつに伝わってるかも知れないくらい、大きく脈打つ。

あんなに心待ちにしてたのに。どうしていいか判らなくて。オレはその場に立ち尽くして

しまった。



悸えるソロの首筋に唇を這わせる。びくん‥と躯が反応するのを確認しながら、ピサロは

上着の裾から手を滑り込ませた。

「あ…ん‥。はぁ‥‥ピ‥サロ…ぉ‥」

突起を軽く引っ掻かれると、すぐに甘い声がこぼれ始めた。

「…だいぶ余裕ない様子だな? …随分とお待ち兼ねだったようだぞ?」

「ふ‥っぅん‥。ああ…ダメ‥っ…」

揶揄しながら空いた手で下芯を掠めると、躯が大きく跳ね上がる。

ピサロは彼のズボンを下穿きごと一気に降ろした。

蜜を滴らせながら上向く中心が露になると、彼は蜜を指先で掬い上げ、後孔へ滑らせた。

「あ…っ。あっ…ん‥‥」

ぐるりと弧を描きながら侵入するソレは、半ば強引に指を増やすと、抽挿を繰り返し奥へ

と入り込んでくる。伝い落ちる蜜を更に塗り込めながら、ピサロは内壁を広げていく。

やがて。いきり立った自身を取り出すと、彼の脚を持ち上げ秘孔を貫いた。

「ひ…あっ‥ああ―――!!」

少々乱暴に捩り込まれた塊は、一気に最奥まで穿つとそのまま律動を開始した。

「あっ‥や…。痛…っ‥ああ…」

不安定な片足で支える身体を揺さぶられ、縋るモノを求めるソロ。ピサロが身体を横に向

けると、それにつられて身体の向きを変えたソロが、正面にあるベッドへ上体を預けた。

「あ…あ‥っ‥やぁ‥‥ん‥ピ‥サロ‥」

艶めいた声音で不満そうにソロが訴える。ピサロは動きを止めると、怪訝そうに彼を見た。

「…いつもの体勢で、して‥?」



向き合った姿勢がいい…と訴えたオレの言葉は、すぐ受理された。

繋がったままオレを反転させたピサロが、上体を沈めながら声をかけてくる。

「…これでもう文句ないな?」

「うん…。ピサロ…キスしたい。」

彼の首に腕を回しながら強求ると、薄く口の端を上げ、唇が重ねられた。

ずっと待ち望んでいた接吻が降りてくる。溢れかえる甘い蜜を飲み下しながら、オレは絡

みつくあいつの舌を味わった。

一頻り貪った後、唇は解放され、再び激しい抽挿が繰り出された。

広い背に両手を伸ばし取り縋る。…ああ。やっぱりこの方がずっと安心する‥

「あ…ああっ‥。はあ―――!」

幾度か一番弱い所を抉られると、オレはあっさり昇り詰めてしまった。

そして。そんなオレの後を追って、あいつもオレの内部に熱い飛沫を叩きつけた。

「あ‥ああっ‥‥ピサロ…!」

「…っく、ソロ―――!!」



―――え? …今‥なんて‥‥?



オレの躯に折り重なってきたピサロの横顔をこっそりと覗う。

じっとりと汗ばむ躯。荒い呼吸。こいつが1回でこうまで呼吸を乱すのも珍しいけど、

なによりさっきの言葉…。



―――オレの名前呼んでた。



あの瞬間に名前呼ばれたなんて…初めて‥かも知れない。

それが…ひどく嬉しい。



「航海中さ…」

オレは奴の長い銀髪を指に絡めながら、そっと呟いた。

「よく…あんたのコト‥思い出してたんだ…」

「…躯が夜泣きでもしたか?」

ピサロは少し上体を起こすと、意地悪く笑んで来た。

「‥‥‥! ち‥違うもん。…そーゆうんじゃなくて‥‥」

…なぜだかその先を言うのが躊躇われて、オレはそのまま口を噤んだ。

「…しなかったのか?」

なおも訊ねてくるピサロ。オレは赤面しながら小さく答えた。

「‥‥‥した。‥でも1回だけだよ‥?」

「1回…?!」

意外な答えにピサロが目を丸くする。そんな彼に気づかないまま、ソロが続けた。

「‥‥だって。…つまらなかったから。」

「つまらない‥?」

「…あんたが‥いないの、身に染みるだけだもん。」

「‥‥‥‥‥」

「あ…! あの‥もしかして、怒った?」

無表情なまま黙ってオレを見つめる奴に、慌てて取り繕う。

「怒る‥?」

「…独りでえっちなコトしちゃったからさ。」

悪さを白状した時の気分で、ハラハラしながら訊いたのに…

「ク‥クックック‥。ソロ…可愛いな、お前は…」

柔らかく細められた紅の双眸。耳元で睦言めいてひっそりと呟かれ、オレはかあっと耳を

染めた。…今夜のこいつ‥なんだか妙に機嫌いいよな?

「ピ‥ピサロ? なんだよう? オレ、なんか変なコト言った?」

「‥さあな。それだけ禁欲してたなら、まだ足りぬであろう?」

耳朶を甘噛みすると、ピサロはそのまま耳に舌を這わせてきた。

「あ…ん‥‥」



その後は。もう勘弁してくれ‥と言いたくなるくらい、目一杯励まれて。

ようやく解放された時は、かなりドロドロな状態になってしまった。

ピサロがベッドから出ると、隣室へ向かった。オレはぐったりと躯を投げ出したまま、音

だけを追う。‥やがて。水音が響いてきた。

(…あっちは風呂なんだ‥)

ぼんやりと思いながら、うとうとしてたオレだったが‥

「風呂…!」

オレは上体を起こすと、よれよれとベッドから抜け出した。

…うう。‥結構キてるかも…☆

「‥ピサロ。オレも後で風呂貸して‥。」

隣室は貯蔵庫に使ってるのか、入り口に立つと左に瓶類の収まった棚と樽が。その反対の

奥まった場所は衝立が置かれ、水音はその奥から聴こえていた。

オレはその向こうに居ると思われる奴に声をかけると、側に置かれてあった木の丸椅子に

腰掛けようと部屋に足を踏み入れる。2〜3歩歩いたところで、衝立が一部開かれた。

「来い。」

「え…? …オレは後でいいよ?」

差し出された手に躊躇するオレ。ピサロはあの有無を言わせぬ双眸でオレを射貫くと、指

招きでもう一度促した。

不承不承、オレはそのまま歩を進め、彼の元へ向かう。

衝立の先には、岩風呂みたいな湯船があり、その外で身体を洗っていたらしい彼が立って

いた。

「…随分と、回復が早くなったではないか。」

オレを引き寄せ腰を抱いた彼が、にやりと笑う。

「少しは体力がついてきたか?」

…もしかして。船でしてたアリーナとの特訓の成果?

「…ついでだ。貴様も洗ってやる。」

曖昧な笑みを浮かべたオレに、ピサロは愉しげに言い切ると、低く平らな岩に座らせて来

た。

「え‥いいよっ。自分で洗えるもん…ぶ‥ぁっ‥ちょっとお…」

言い終わらないうちに、奴がいきなり頭から湯をかけて来たから堪らない。

乱暴な奴の手が、ふりかけたシャンプーを泡立てるように、わしゃわしゃと髪をかき回す。

(ふぇ〜ん。犬猫じゃないんだから〜。)

泡が嫌で目をつむったが最後。オレは妙に大雑把な、奴の洗髪を甘んじて受ける羽目に‥。



「ぷ‥はあ‥っ。」

さっき同様、遠慮なく湯をかけられたオレは、シャンプーが流れたコトを確認した後、ぷ

るぷると頭を振った。

ようやく広がる視界にほっとしたのも束の間。今度は身体に泡状の塊を落とすと、それを

手のひらで広げるように弄ってきた。

「ちょ…やだ‥よぉ。くすぐったいってば…!」

自分で洗ってもなんともないのに、他人の手で触れられると、なんでこんなにくすぐった

いんだろ?

「ちょ‥っあ…やん‥‥‥」

身を捩った時、泡で滑った手が、さっきまでの行為ですっかり熟してしまった果実に触れ

た。途端、艶を帯びた声がこぼれる。

「‥なんだ。まだ足りぬようだな?」

ピサロがにんまりと覗き込んで来る。

「ち‥違う! もう十‥分…ん‥っ‥‥」

唇が重ねられると、熱い舌がすぐに差し入れられる。ねっとりと絡まってくるソレは、

燻ってた躯をいともあっさり点火させた。

泡で滑る指先がもたらす感覚に、ぞくぞくと躯が粟立ってしまう。背から腰へ、脇腹から

脚の付け根へ‥悪戯に滑らせてくと、ピサロがオレを膝の上に導いた。

「はあ…っん‥。」

後孔にすんなり侵入を果たされ、オレは大きく背を反らせた。

「も…勘弁して‥‥」

「こちらは大分気を良くしているようだが‥?」

ピサロはそう応えると、すっかり元気なオレ自身を軽く爪弾いた。

「や‥ん‥‥。」

「気が乗らぬなら、やめるか?」

そう言って腰を引くピサロに、オレは焦ってしまう。

「や‥抜いちゃ‥ダメ。‥‥最後まで‥して?」

本当にやめかねない奴に縋ると、オレはそのまま口づけた。

「‥ね、お願い‥‥。」





「はあ…。」

結局。ここでも戴かれてしまったオレは、その後本来の目的の汗を流し終えると、湯船へ

と浸かった。宿でたまに見かける部屋風呂より大きめな岩風呂。足を投げ出し岩に寄りか

かると、そのまま意識まで投げ出してしまいたくなる。

「…ソロ、寝るなよ?」

岩に腰掛けたピサロが、オレの頭にくしゃりと手を乗せた。

「‥うん。」

応えながらもうとうとしかけるオレ。

‥‥覚えていたのは、そこまでだった。





「…じゃ、おやすみなさい。」

ハバリア。宿の屋上。

ピサロに送って貰ったオレは、呪文の風が止むと彼から離れた。

…あの後。すっかり寝入ってしまったらしいオレは、気が付くとベッドの上だった。

奴に起こされたオレは慌てて着替えを済ますと、そのままここまで送って貰ったのだ。

まだ夜明けまで大分ありそうだけど。すっごく遅い時間なんだろうな‥。

静まり返った町の空気のせいか、突き刺さるような冷気が周囲を包んでいた。

「送ってくれてありがと。」

一度離した身体を奴に寄せ、ほんの少し背を伸ばし、顎のよこに口づける。

ピサロはそんなオレの顎を捉えると、そのまま唇をふわりと重ねさせた。

「…またね?」

「ああ‥またな。」

微笑んだオレにピサロが瞳を細め返してくる。

オレは半歩下がると、小さく手を振って身体を翻した。



―――久しぶりの逢瀬は。不思議に暖かい想いに満たされ、オレは充足していた。



このキングレオで、オレに突き付けられる現実の1つを知るまで。オレは奴との逢瀬に不

思議な安らぎすら自覚するようになっていったのだ。

そう…オレは知らなかった。あいつの正体も。あいつがやろうとしている事も。

キングレオと対峙するあの時まで‥‥

オレにとってあいつは…村を滅ぼした張本人の‥ただ‥魔族――でしかなかった‥




2004/3/30









あとがき
すっかりピサロサマに夢中なソロくんです(^^;
・・・が。甘甘ムード、そろそろ返上でしょうかね☆ 

今回あんまり「えっち」場面がノらなくて、たいした描写してないんですが・・・
結局こちらのー晦ーにUPさせていただきました。(期待外れだった方、ごめんなさい)
表と裏・・・微妙なラインで使い分けてます(^^;

船の部屋割>今回は初めて設定を「個室」でなく「相部屋」としてしまいました☆
宿の部屋割りも、ほぼツインの場合は、ソロとクリフトが同室・・・となるんでしょう(^^;
マーニャがクリフトを安全・・・と見てるから☆(アリーナを想ってるの、バレバレなんで)
今の所。そんな彼の想いに変化などありませんが。精神的にアンバランスなソロを
側で見続けて、変わるか否か・・・(笑)←大方の人間は変わると見てそう(^^;

ソロの様子に、クリフトが「判りやすい」とこぼしてましたが。
ぴーサマも、大変判りやすいお方なようです(^^
ロザリー&ピサロナイトの2人には、彼がソロと会った日が丸わかりだし・・・☆
(・・・もっとも。ピサロが何かの動物に入れ込んでると勘違いしてますが)

そんなぴーサマの最近の愛読書は「小動物の接し方」やら「その飼育法」etc・・・
気を利かせた(?)ロザリーから貰った本が、意外に役立った(らしい☆)ので、
妙にはまりこんでます(^^;
多分。一番最近読んだのは、「犬の飼い方」なんでしょう。
(でも。本当の犬は、あんなシャンプー、絶対逃げ出しちゃうだろうけど☆)

方向性が微妙〜にずれちゃってるのは、自分の中の感情を認められないからでしょうね。
それはソロにも当てはまって・・・・
これからしばらくは、迷走するんだろうなあ・・・・とゆーコトで。

次回はキングレオ戦後。

そろそろ路線変更かな・・・・?


ここまでお付き合い下さった方、ありがとうございました!!(^^/

by月の虹









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