君はずっと変わらないで―――ヘンリー



初めて出逢ったのは、城の中―――オレの部屋だった。

あいつは人懐こい笑顔で、何のてらいもなく近寄って来た。

王子…という身分などそこにないようで。

まっすぐ向けられた眼差しが、とても印象的だった。



あれから。

あまりにいろいろなコトが一度に起きて。

オレの周辺はガラリと変貌を遂げてしまった。

毎日毎日、朝から晩までの過酷な労働。

子供…という保護される者など、そこにはなかった。

大人同様鞭が振るわれ労働を強いられる。

同じように、こんな場所へと連れて来られてしまった彼が居なければ…

オレはこの地獄を生き抜けずに居ただろう。

絶望に支配されても、誰も非難などしなかったろう環境の中。

オレより小さいあいつが、泣き言言わないから。

オレのせいだと責めて当然なのに。

それをしないから。

オレが投げ出してしまう訳には行かなかった。



優しい瞳は今も変わらない。

その笑顔がどれだけオレを支えてくれたか。

オレは強くなりたい。いつの日か、お前を支えてやれるくらいに。

強く…!!

いつか共に自由の大地を踏み締めるまで‥

どうかそのまま変わらないで居てくれ―――






2007/6/1


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