眩暈の様な―――ソロ
知らなかった。なにもかも。
村の外の世界を知らない―――その自覚は確かにあった。
けれど。
知らなかったのは、それだけじゃなかったコトを、仇敵であるハズの奴に教えられた。
躰に刻まれた―快楽―という名の底知れぬ美酒。
眩暈のように酔いしれ、すべてを投げ出せてしまう―――不思議な感覚。
訳の解らないうちに慣らされてしまった行為は、いつしか感情を伴ってゆく―――
それは悪酔いして墜ちてく感覚にも似て‥‥
オレは更なる眩暈に見舞われる。
好き―――って。
もっと優しいモノだと思っていた。
恋―――って。
もっと甘いモノだと思っていた。
苦しくて・切なくて‥‥逢えないと寂しくて。
逢えると‥困惑してしまう。
あの女性(ひと)の存在を知ってから。
オレはあいつと逢うひとときが苦しくなってしまった。
なのに。
小さな口づけが躰に焔を灯すと、オレは何も考えられなくなってしまう。
眩暈のような熱い奔流がすべてを支配してしまうから。
このひとときが永遠で在ればいいのに―――
何度そう願ったか知れない。
闇夜の逢瀬は、あいつにとって、単なる捌け口であっても。
オレには――あいつの心に触れる大切なひとときだから。
逢う度カウントダウンされてゆく逢瀬―――
カウントがゼロとなった時、この眩暈の様な感覚から、オレは解放されるのだろうか?
その時オレは―――――
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