白に埋もれる―――シンシア(緋龍編)
真っ白な夢を見た。
瓦礫の山が無造作に積まれた無機質な場所で。
その頂きにひっそりと佇む黒いマントをはおった銀に近い髪の男の人。
しんしんと降り積む雪が、灰の空から白の世界へ変えてゆく‥‥‥
佇む彼の姿に粉雪が少しづつ積もってゆく。
身動ぎ1つしない身体は、まるで足元の瓦礫と変わらぬようで。
私は知らず、泣いていた。
勇者を狙い、私の村を滅ぼしてしまった魔族の王。
けれど私は知ってしまった。
ロザリーと出会って。共に過ごして。ピサロ様の訪れを一緒に待つ。
この身は白のオウムと変えられてしまったけれど。
私が緋龍のために命を投げ出すコトを躊躇わなかったように。
きっと、ピサロ様もロザリーのためなら、なにもかも投げ出せるのだろう。
その結末には、ただ孤独が待ってるだけかも知れないのに。
それでも、彼は音のない白い世界に独り佇む。
全ての醜悪すら隠してしまう真っ白な雪が降り続く世界の中で、唯独り―――
|