夢幻と知りながら―――ソロ

初めからわかっていたはずなのに。
あいつの心は、欠片も得られないコトなど…

だってオレとあいつは敵同士。
いつかは戦い決着つけなければいけない、村を滅ぼした元凶。

なのに‥‥

気づいたら‥憎しみが影を潜め、代わりに違う執着が生まれていた。

恋――そう呼ぶのだと知った時には、それはあまりに育ち過ぎていて‥
捨て去るコトも、ひっそり抱えるコトも辛くなっていた。

束の間の逢瀬は、いつ「終わり」が訪れるかわからない。
だから…
大事にしたかった。

せめて‥そのひとときだけでも、忘れて浸りたかった。
初めての恋心に―――

優しくされると、少しだけ、それがホントに思えて‥
熱い吐息が「求められている」と自惚れさせてくれた‥

幾度も躰を重ねさせて…
       想いが重なったように錯覚して‥‥

所詮、ゆめまぼろしでしかなかったのに―――

最初からオレの気持ちなんて‥あいつにはどうでもよかった。
そう、知っていたのに‥

絆など…生まれようもないのに。

なのに‥‥

ホントの気持ちを伝えるコトも叶わぬままピリオドを打つ。

それが
夢幻と知りながら芽生えさせてしまった恋心の結末。










2005/1/23


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