夢幻と知りながら―――ソロ 初めからわかっていたはずなのに。 あいつの心は、欠片も得られないコトなど… だってオレとあいつは敵同士。 いつかは戦い決着つけなければいけない、村を滅ぼした元凶。 なのに‥‥ 気づいたら‥憎しみが影を潜め、代わりに違う執着が生まれていた。 恋――そう呼ぶのだと知った時には、それはあまりに育ち過ぎていて‥ 捨て去るコトも、ひっそり抱えるコトも辛くなっていた。 束の間の逢瀬は、いつ「終わり」が訪れるかわからない。 だから… 大事にしたかった。 せめて‥そのひとときだけでも、忘れて浸りたかった。 初めての恋心に――― 優しくされると、少しだけ、それがホントに思えて‥ 熱い吐息が「求められている」と自惚れさせてくれた‥ 幾度も躰を重ねさせて… 想いが重なったように錯覚して‥‥ 所詮、ゆめまぼろしでしかなかったのに――― 最初からオレの気持ちなんて‥あいつにはどうでもよかった。 そう、知っていたのに‥ 絆など…生まれようもないのに。 なのに‥‥ ホントの気持ちを伝えるコトも叶わぬままピリオドを打つ。 それが 夢幻と知りながら芽生えさせてしまった恋心の結末。 |
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