祈りの歌―――クリフト(鷹耶編)


気がついたら、私はあの人に惹かれていた。

初めは振りまわされてるだけだと、断るタイミングを逸しただけだと、そう信じてた。

けれど。

そうではなかった。

―――私にあの人を癒すコトが出来るのでしょうか?

ひどいコトをされたはずの翌朝。

無意識に訪った村の教会で、祈っていたのは彼のコト。

痛むのは、傷ついた身体よりも、ただ彼の憤りを受けとめるコトしか出来ずにいた

無力な自分。

私には、彼の哀しみは深すぎて。彼が見つめる闇は暗すぎて‥‥

彼の心の中に、暖かな光が射すコトを祈らずにいられない。


願わくば、その光の一筋に、僕がなれればと…

「祈り」は「願い」に変わっていた―――――









2004/6/14
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