誰もがみんな、一人ぼっち―――5王女 そんなコト、ふと思った。 お父さんとお兄ちゃんの後ろ姿を眺めながら。 真っ赤な太陽が森の向こうに沈んでゆく。 そんな後ろ姿だから。寂しく見えたのかな? お兄ちゃんとは、生まれる前からずっと一緒で。 ずっと2人が当たり前なんだと感じていた。 けれど――― そうじゃないんだって。 お兄ちゃんは、選ばれた伝説の勇者で。 私は‥ただの女の子で。 それを確認させられる度、淋しくて。 特別じゃない自分の居場所が、どこにもないような心細さを覚えたけれど。 でも‥ね。 お父さんが教えてくれた。 私にしか出来ないコト。 伝説の勇者じゃなくても。私にしか出来ない大切な役目があったコト。 そして‥ お父さんも、お母さんも‥私たち双子が同じように愛しい存在なのだと。 そう話してくれた。 お母さん。生まれてすぐに離れ離れになったから。顔も声もわからないけど‥ でも。 お父さんがね、聞かせてくれるお母さんは、とても温かくて素敵なヒト‥だから。 きっと、ホントだと思うの。 お父さんと同じに、優しくて、ほんわり甘いの。 でも――― 今はまだ、お母さんの行方は知れなくて。 時々とっても淋しそう‥ お兄ちゃんも、伝説の勇者さま‥って呼ばれるの、ホントは好きじゃないみたいだし。 私は大好きなお兄ちゃんが、時々嫌いで‥ そんなコト思い出すと、ホントはみんな、独りぽっちで。 それが淋しいから、大好きなヒトと居たくなるんじゃないかな‥なんて。 大好き‥って。 素敵なコトだよね…って。いつかお母さんに逢えたら、たくさんお話したいな。 |
2007/9/11 |
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