痛み―――クリフト



ソロの抱える闇は、どこまで深いのだろうか?

静かに眠る彼を見守りながら、そんなコトを思い嘆息する。

初めて会った頃のあの笑顔…それは――

彼自身の心の闇など気づかせもしなかった。

けれど。

一度触れてしまったあの時…知ってしまった。

痛みに悲鳴を上げている、その心奥を。

それはただ‥恋ゆえでもないコトを

眠る彼をみつめ、ぼんやりと思う。

「クリフト…どうしたの?」

気配に目を覚ましたのか、ソロが眠そうに瞼をこすりながらこちらを伺った。

「いいえ。すみません、起こしてしまいましたね。
 
 夜はまだ長いですから、ゆっくり休んで下さい。」

「‥うん。クリフトもね。明日寝不足してたら、また揶揄われちゃうよ?」

「くす‥。それもそうですね。」

ソロと深い関係になった時、それを隠さずいたせいで。

聡い仲間達は我々の関係に気づいてしまっている。

逸早くそれを察知したマーニャ辺りは、度々それをネタにソロを揶揄ってる日々だ。

まあ、そんな日々も悪くないだろう。

ずっと隠し続けてきた想いに疲れたソロだから。

優しい日々が、その痛みを和らげてくれたなら…それでいい。

寄り添い眠る彼をそっと抱き寄せ、瞳を閉ざす。


彼の痛みの深さを、私はまだ知らずにいた―――





2006/8/18

ゴットサイドに着く前の話。



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