謀られた自業自得―――ソロ編



「‥本当に良かったのですか?」

行為後の微睡みの中。ふと口を開いたクリフトが、ソロを窺った。

「‥何が?」

ぼんやり聞き返して、彼の方へとソロが体を向ける。

「今更‥ですけど。一応なんとなく‥。」

珍しく言葉を探すクリフトが、どこか申し訳なさげに口を開いた。

ソロから『ピサロだけのモノでいたい』と聞かされてから、最後まで至る行為は

一応控えていたクリフトだ。

それなのに。

つい、求められるまま応じてしまった。

それがふと浮かんだ懸念。

そんな彼の思いに至らないソロが、まじまじと彼を見つめて、きゅっと首に絡ませた。

「‥あのね。クリフトはオレのなんだもん。誰にもあげないの。

女の人にも‥男の人にもね。」

「‥女性はともかく。男などに「あげる」言われても困りますよ?」

「‥そう?」

「そうです。いつも言ってるでしょう? ソロは特別です‥って。」

「‥うん。わかった…。でもね、女の人だってダメなんだよ?」

甘える仕草ですり寄って、ソロが更に念を押した。

「ソロも結構独占欲が強いですよね。」

「‥嫌いになる?」

「いいえ。寧ろ嬉しいですね。」

「本当‥?」

「ええ。それだけ想って下さってる証拠でしょう?」

ギュッと抱きしめられて、ソロがふふ‥と微笑んだ。

「うん、大好きクリフト。」

「私もです‥ソロ…」

啄むようなキスを交わして、それから一呼吸置き、クリフトがポツリと漏らす。

「‥元気になったら、また2人で目一杯愛して差し上げますからね?」

だから今はこれくらいで‥と、額にキスを落として、クリフトが体を起こした。

その意味を正しく理解したソロが、頬を染め俯く。


今朝。ピサロの腕の中で目覚めた時、視線の先にクリフトの姿が見つけられなくて、

酷く心細かった。

彼だけでいい‥そう思っていたはずなのに。

実際はそうではなかった。

必要なのだ。この腕も…


「‥離さないでね。」

俯いたまま、ぽつんとこぼしたソロが、表情を見られないように、彼の腕へ額を預けた。


この旅が終わっても、地上に残れるように。

ふと消えてしまいたくなる衝動…

それが今も燻ってるから。


だから―――





2007/6/18

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