愚者にはなれない―――ピサロ(ソロ編)



ずっとそう思ってきた。

プライドを曲げてまで欲しいモノなどなかったから‥


けれど‥


暗闇の果てまで届いた光は、何とも変える事など出来ぬ程、得難くて――



「‥こんなに優しくなんて、なかった‥‥」

惑うように、ソロが呟く。


真実必要なモノを見誤っていたから‥

失う恐怖を覚えずに居た‥愚かな男。

甘さを弱さと考えていたから。

愚者にはなれぬ‥‥そう突っ張ってきた。


だが‥‥


ソロの手を取りその甲へと唇を落とす。

「な‥なに!?」

真っ赤な顔で慌てる姿に、口の端が自然と上がって、ソロはムクレたように

口を尖らせた。

「‥オレの反応で遊んでるんだろう?

優しくなったんじゃなくて、ヒトが悪くなっただけか…」

「私はヒトなどではないからな。お前の扱い方はあの者を見習ったまでだ。」

今留守をしている同室の男を指し述べる。

少し考え込むようした後、ソロがクス‥と笑った。

「変なピサロ。」

そのままクスクス声を立ててソロが笑う。


そうだな‥

こんな時間が得られるならば、愚者も悪くないかも知れぬ。


―――そう申したら、お前はどんな顔を見せてくれるのだろうな‥?




2007/4/18

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