心が凍る―――ピサロ(ソロ編) それを最初に味わったのは‥ロザリーを失った瞬間だった。 その慟哭は氷を粉々に打ち砕き、防御の術ない身の内を容赦なく切り裂いた。 失った筈の彼女を冥界より取り戻してくれたのは、敵であった勇者一行。 その縁と共に、共通の敵を討ち滅ぼす為在る現在。 あの時の氷はすべて溶けてしまったのだが‥ 「‥オレを殺して?」 虚ろな瞳でそう請われて、すべてが凍りついたような錯覚に見舞われた。 ―――なんだと‥? その時初めて、己の真意を理解した。 いずれ殺さねばならぬ運命… 常にそう言い聞かせてきた己の内に在った真意。 最初からそんな選択など、持ち得ずにいたのだ――― 様々理由を担ぎ上げ、在る事を是としたのは ただ――― |
2007/5/20 |
戻る |