宮叶夏伊サマより戴きましたv   







ぎんいろ



磨きぬかれた黒く輝く闇の城。
幾重にも重なる様々な色の霧が、静かに廊下を流れる。
そのベールを退けるのは、小さな体が押し開く扉から漏れる涼風。
重い扉を全身の体重を掛けるようにして、何とか体を廊下に出す。
隙間から勢いよく逃れた弾みに揺れるのは黒い尻尾。
黒目がちの瞳をしばたたいて、頭を巡らせる。
捜す姿は、辺りには見当たらない。
何かを考えているようなその動きに合わせ、揺れる淡い青灰色の服の裾。
探った記憶に心当たりを見つけ、猫の耳と尻尾をピンと立てて笑みを浮かべる。
床を踏みしめだした足は、真っ直ぐと一箇所へ向う。
銀色の髪が視界に入った途端、勢いをつけて駆け出す。
硬い皮のブーツで覆われた、長い脚に体当たりするようにしてぶつかると柔く抱き上げられた。
緑の髪が柔らかく撫でられ、それを見つめる炎を閉じ込めた深紅の瞳が眇められる。
「転ぶぞ?」
穏やかな咎めと優しい指の動きに照れたように笑い、魔王の首筋へと顔を埋めて額を擦り付ける。
「だってー、お昼寝から起きたら、ピサロいないんだもんー」
しなやかな猫の尾がピサロの肩を軽く叩く。
向かい合って対話をしていた青年の何気ない溜息。それにどこか呆れの色を感じ取って、ピサロは顔を挙げる。
「では、また明日」
「ご苦労」
苦笑いをする瞳に頭を下げると、ピサロナイトはその場を後にした。
「ばいばい、アドン……ねぇ、お仕事終わったの?」
手を伸ばし大きく振りながら、律儀に立ち止まって頭を垂れる男をレイエルは笑顔で見送る。
姿が見えなくなるとピサロにしがみ付きなおし、頭上に生えた獣の耳を小さく震わせる。
無意識のうちにあたりの気配を探るその仕草に、ピサロは低く笑うと少年をそっと床に降ろす。
「ああ。お前が目覚めたからな。さて……何がしたい?」
答えがわかっているかのように笑う佳人の手を引き、レイエルはしっかりと指を絡める。
「ぎゅうってして欲しい。あとね、ピサロもお昼寝しよ」
「……もう夕方だぞ。今眠ると夜眠れないだろう。その提案は却下だ」
「けちー。じゃあね、じゃあっ」
頭を振るピサロを睨みつけながら、言葉を捜す。
思考にゆれる尻尾に目を落とすと、ピサロは遠慮なく握り締め挙がるであろう声に耳を済ませる。
「ゃあ、ん……えっち、したいの?」
「したいのはお前だろう?」
「ちがう、もん……意地悪……」
否定を表し膨らんだ頬を、膝をついてピサロはそっと両手で包む。
かすかに合わさった唇の感触に、レイエルは思わず瞳を閉じる。
遠ざかる緑の輝きにピサロは少年を抱き上げ、自室へと真っ直ぐ脚を進めだした。

「他にしたいことは?」
「ん……だから、ぎゅうってして……」
寝台へ静かに下ろされ、覗き込むように額を合わされてレイエルは答える。
猫耳の先端が伏せられ小さく震える。
からかうようにそれを撫でながらピサロは下肢へと手を滑らせる。
「っ、ん……ちがう、でしょ……」
条件反射的に湧き上がる情欲に、レイエルは声を挙げた。
構わず手が中心へと触れ、柔らかでありながら確実な刺激を与え始める。
「ぁ、っ……ん、ピサロ……ぉ」
手を咎めるように巻きつく尻尾。
その滑らかな感触にピサロは微笑み、更に刺激を続ける。
「ね……ぎゅっ、て、してって、ば……ぁ、ん」
快楽に流されず、更に強請る様にピサロは手の動きを速める。
「逆らうな」
零れる続ける甘い声に、容赦ない刺激を続けあっけなく放たれた白濁を握りこむ。
「ふぁ……っ、ピサロの意地悪……ぎゅって、できな……い……」
達した所為で力なくシーツへ落ちる尻尾。
ピサロの汚れた手を取ると、小さな赤い舌で雫を舐め撮り始める。
「ん……ぅ、きれー、にする……ね」
複雑な味を舌が掬う度、篭りだす熱。
未だ耳の奥へ残った甘い喘ぎに、ピサロはレイエルをそっと押し倒す。
そのまま手で肌を撫で、擽り。
胸先や下肢、滑らかな皮膚の下、感度の高い個所を暴くようにして刺激を繰り返す。
奥深くまで繋がりながら、漸く、強く小さな体を抱き締める。
「っああ、っん……ピサロ、の、おっき……よぉ」
強く存在を示す繋がる熱に、レイエルは声を挙げ、生理的な涙を零しながら震える指先で首元から何かを外す。
懸命に手を伸ばし、ピサロに抱きつき返すようにして首へ腕を回した。
カチリ、という、聞き漏らしそうな音。
閨事の空気とは関係なく響いたそれに、ピサロの動きが止まる。
「……何だ?」
途端胸元へ滑る、銀の鎖。
魔族が好んで使う銀色であって銀で無いその金属は、肌の凹凸に沿うように滑らかに体表を滑り。
光源の豊かではないピサロの部屋であっても、どこか神々しく煌く。
「ソロ、おにーちゃんと、オレから……っ、ん……プレゼント、だよ……」
行為とは違う理由に頬を染め、レイエルはしっかりとピサロに抱きつきなおす。
「プレゼント……?」
「あのね、ピサロの誕生日、わかんないから……勝手に、お祝いしたの」
恥ずかしげな言葉に微笑むと、腕の中のレイエルに柔らかく口付ける。
「っん、ピサロ……っ、続き……欲しいな」
優しく髪を撫でる手に、レイエルは微笑を返す。
正直な言葉に小さな笑みを零すと、瞳を眇め静かに頷く。
「ああ……大事にする」
「ん……っ、うん、大事に、して……っ」
頷くレイエルは頬に掛かる銀の髪に手を伸ばす。
鎖が律動の度に揺れるのを眺めながら、体の奥へ注がれる熱を強く感じた。









【夕星】の宮叶サマより、誕生日祝いにと・・・頂戴してしまいました!!
本当にありがとうございますvv
今度は裏にて公開中の猫耳レイエルくんとピサロさまのお話ですvvv
甘えっ子レイエルくんにベタベタ甘い魔王さまvv いいですよね〜vv(^^
素敵なプレゼント頂戴して、ドキドキしっぱなしです〜(*^v^*
本当に嬉しいよおvv 大感激ですv
私もビックリさせなくちゃ♪”

お預かりした猫耳レイエルくん、しっかり可愛がりますからね〜vv






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