熱いシャワーを頭から浴びて少し落ち着いたオレは風呂を出て恐る恐る様子を伺う。
ますみちゃんは食パンを焼きながら目玉焼きを焼いてくれており、
洗濯機の中ではシーツが回っている。
(オレ……彩の友達に……ますみちゃんに……なんて事を……)
自分のした事に激しい自己嫌悪に陥った。
(初めてだったんだろうな…ますみちゃん。オレみたいな男に無理やり…)
オレは麗菜の事でやけになった事を悔やんだ。
泣きたくなってきた…情けない、麗菜に傷付けられたからって人を傷つけていい訳がない…
しかも一生消えない傷をつけてしまったんだ。
…オレを信頼して友達を連れてきた彩にも面目が立たない。
一体どうすれば償えるんだろう…死にたくなってきた。
ますみちゃんが死ねと言ったら死ぬか?
そうだ、それぐらいしか償える方法なんて無いんじゃないか?
オレは覚悟を決め、ますみちゃんの前に出て行った。
私はシーツを洗濯機に入れて、冷蔵庫を開ける。
中には食パンと生卵に大量のモヤシ、あと肉が少し入ってた。
(う〜ん、料理って得意じゃないのよね…けど静馬さんと最後の食事になるだろからキチンとし
た物作りたいな。こんな事なら彩に習っておけばよかったな。
……ところでなんでモヤシがこんなにあるの?)
結局冷蔵庫の中身で私が作れそうなものと言えば目玉焼き……情けないわね。
トーストを焼き、目玉焼きを作る。これが静馬さんとの最後の食事かと思うと泣きそうになる。
2人分の目玉焼きを作り終えた時、静馬さんが出てきた。
お風呂から出てきた静馬さんはいきなり私に土下座をした。
「ますみちゃんごめん!謝って済む事じゃないのは分ってる。
酒に酔ってたからなんて許されるはずもない!
オレはますみちゃんに許してもらえるんならなんだってする!
…死ねというなら死ぬつもりだ。自分がした事に責任は取るつもりだ」
私は慌てた。だって私が酔った静馬さんを騙して抱いてもらったんだから…
ホントのこと言わなきゃ!けど…なんでもしてくれる…の?
責任取ってくれる?……もしかしたら…また抱いてもらえるかも……
酔っ払いの静馬さんじゃなく、私の好きな静馬さんが、麗菜としてじゃなくますみとして……
どうしよう…静馬さん、私を疑ってない。
けど、これ以上彩を裏切るわけには…どうしたらいいの?
「……分りました。けど今すぐには思いつかないので静馬さんが帰ってきてから…」
結局私は結論を先送りにした…政治家みたいね。
「それより早く食べてください。仕事に遅刻しますよ?」
ふふふ、今のセリフお嫁さんみたいね。静馬さんたら時計を見て慌てて食べだしたわ。
(好きな人に料理食べてもらうのってこんなに嬉しいんだ。今なら彩の気持ち、分かるなぁ)
(ずっとこっちを見てる…生きた心地しないな。仕方ないよな、オレ、レイプ魔だもんな…)
ますみちゃんが作ってくれたパンと目玉焼きを視線にビクつきながら食べる。
正直味は判らない。
(これが最後の朝食かな?最後に彩の作ったカレイの煮付け…食いたかったな)
彩の笑顔を思い出す。最後の一切れを食べ終わり身なりを整えスーツを着込む。
「ますみちゃん…仕事が終わった後どこに行けばいいんだ?」
オレの着替えをジッと見てたますみちゃんに尋ねる。
そんなに見張らなくても…覚悟は決まってるんだ、逃げはしないよ。
「えっ?あ、そ、そうですね。じゃあ、えっと……ここで待ってますので早く帰って来て下さい」
そうか…我が家が最後の場所か。それもいいだろう。
「分かったよ。すぐ帰るよ…家の中のものは好きにしていいから」
死に逝く俺にはもう必要ないからな。
玄関を出ようとするオレに、赤い顔したますみちゃんが話しかけてくる。
「静馬さん、かなえ先輩には…黙っててくださいね」
かなえちゃん?……そうか、昨日かなえちゃんに呼ばれて来たんだ。
…それをオレが無理やり…
「分かったよ。絶対にしゃべらない。約束する」
レイプされたなんて絶対に知られたくないだろうし、仲のいい先輩ならなおさらだろう。
「……行ってらっしゃい」
うつむきながら見送ってくれた。こんないい子をオレは……
……オレは自分自身に殺意が芽生えた……
(男の人がスーツに着替えるのって始めて見る…なんだかカッコイイ…)
静馬さんの着替えをジッと見つめてたら話しかけられて慌てる私。
とっさにここで待つなんて言ってしまった。…どうしよう?
「分かったよ。すぐ帰るよ…家の中のものは好きにしていいから…」
好きにしていいって言われても……そうだシャワー浴びたいから着替え借りようかな?
昨日急に先輩に呼び出されたからお風呂入ってないし…私汗臭くないわよね?
……ん?先輩?
「静馬さん、かなえ先輩には…黙っててくださいね」
昨日先輩から言われた言葉
『先輩優しいからエッチしたら絶対責任取ってくれるよ』
この通りにエッチしちゃったのがばれたら何言われるか……
この手の話に先輩うるさいからなぁ。
ばれたら絶対に静馬さんが根掘り葉掘り聞かれるわ。
絶対に言わないと約束したくれた静馬さん。
こんな事でも約束してもらえるのって…うれしい。
会社に行くため玄関から出て行く静馬さん。
「……行ってらっしゃい」
思わず口から出たセリフ。フフ、お嫁さんみたい……顔が真っ赤なのが分かる。
恥ずかしくて静馬さんの顔を見れない。気づかれてないかなぁ。
静馬さんを見送った後、食器を洗いシーツを干す。ベランダの風が気持ちいい。
(私もシャワー浴びよう。着替えどこにあるんだろう?)
寝室のクローゼットを探すと下着類が置いてあった。
(Tシャツ借りよう。…うわっおおきい!)
静馬さんのTシャツを体に合わせ、大きさにビックリする私。なぜかうれしい。
(そうよね。身長かなり違うものね。ん、これは?)
私はクローゼットの中からアルバムを見つけてしまった。
(ど、どうしよう、見てみたい…けど勝手に見ちゃだめよね?
でも『…家の中のものは好きにしていいから…』って言ってたし。う〜ん、まずはシャワーね)
私はTシャツを借りシャワーを浴びる。体の所々が赤くなってる。キスマークだ。
昨日の静馬さんを思い出しキスマークを触る。触るとそこが熱くなる。
首、胸、太もも…自分の手が静馬さんの手のように感じる。
(あ、あ、静馬さん…ダメ、や、ああ…)
まるで静馬さんが私を背中から優しく抱きしめ、愛してくれてるみたい…
頭の中の静馬さんは優しく私を愛してくれる。
静馬さんの手が私の胸の先端をつまみ、そしてねじる。少し痛い…けど気持ちいい。
いつしか私は胸とアソコを触りながら静馬さんの名前を呼んでいた。
「静馬さん…静馬さん…静馬さん…」
静馬さんの手がアソコの小さな突起に触れ動き出す。
クチュクチュクチュクチュ……
私のアソコからいやらしい音が出て浴槽に響く。
「し…ずま…さ…んんぁ!」
静馬さんは胸を揉み、アソコをいじる…そしてアソコの小さな突起を摘み上げる。
…その瞬間小さな白い波が私を襲う…
「や…いっちゃ……しず……ひゃああ!」
膝から崩れる私……降り注ぐ熱いシャワーが私を現実に呼び戻す。
「うっ、うっ、ひっ…静馬さ……静馬さん……」
熱いシャワーは私の心まで温めてはくれなかった…
落ち着きを取り戻しシャワーから出た私は静馬さんのTシャツを着て、
自分の下着を洗濯機で洗濯する。 Tシャツの下は何も着けていない。
そして私はクローゼットで見つけたアルバムの前で正座をしている。
(どうしよう…見ていいのかな?…ここまできたら見てもいいわよね?)
ドキドキしてページを開く…1ページ目には学生服を着たぽっちゃり顔の静馬さん。
横には赤いランドセルを背負った暗い顔でうつむいてる女の子が写ってた。
「わ!静馬さんって昔少し太ってたんだ……けど面影はあるわね」
ページにはマジックで解説書きがしてある。
「なになに…『高校入学式のデブ拓にぃと私』ってこの子彩なの?暗い顔してるわねぇ…」
次の写真は柔道着みたいなのを着込んだ静馬さんね。
「次は…っと『格闘研究会を設立した拓にぃ』……静馬さん……高校で何してたの?」
次は…!顔に怪我してるじゃない!
「『スタンハンセンのブルロープで殴られて喜ぶ拓にぃ』…何故殴られて喜んでるの?
ブルロープって何?」
ん?これは彩の写真。綺麗な人にお尻叩かれて泣いてるわね。
彩の母親かしら?これは静馬さんの字ね。
「『祝ドロップキックで泣かした人数10人突破記念!』……なにこれ?
携帯で写しとこう…パシャ!」
次は…スーツ姿の静馬さんに抱きついてる彩ね。
「『就職のため実家を離れるオレ。泣きじゃくる彩』………」
それからのページのほとんどに静馬さんと彩が写っていた。
私はアルバムを元の位置に戻して乾燥の終わった下着を着る。
ふとテレビの上に置かれた写真たてに目が行く。
(確か…彩が大ファンだっていうプロレスラーね…ここでも2人で写ってるんだ…)
写真たてには『田上明と記念撮影』と書かれている。
嬉しそうな2人…それを見た私の中に黒い感情が生まれる。
(……もういいでしょ、彩。今まで独占してきたんだから…今度は私の番…ごめんね、彩…)
私は着替えて本屋さんに行く事にした。
…私が彩に勝ってる武器を有効利用する手段を学ぶために。
オレはいつもより少し遅れて出社した。なぜか休みのはずの二人が来ていた。
「せ〜んぱい!昨日どうでした?心配で来ちゃいました」
オレを心配して来てくれたのか…池田、かなえちゃん、ありがとう。うれしくて涙が出そうだよ。
「…う〜す。生きてるか静馬…」
その言葉そっくりそのまま返すよ、池田。
まぁオレは明日にはホントに死んでるんだろうけどな…
しかしお前、生気抜かれたみたいなヒドイ顔だな、二日酔いか?
「ますみどうでした?静馬さんのために途中から呼んだんですよ」
つやつやした顔で聞いてくるかなえちゃん。今日は一段と血色いいな。
「…まったく覚えてないよ。起きたら家だったんだ…」
嘘は言ってない。全然覚えてないんだからな…
「初めてだな、お前がそこまで酔うのは…」
まむしドリンクを飲みながら話しかけてくる池田……なんでまむしドリンク飲んでんだ?
二日酔いに利くのか?
「2人とも昨日はありがとうな…お前達にしてもらったこと…忘れないよ…」
オレは2人の手を握り握手する。
「気持ち悪いな…変な物でも飲んだろ?」
まむしドリンク飲んでるお前には言われたくないよ。
「…かなえ。やっぱり俺、今日の夕方にでも麗菜さんに会いに行ってくるわ」
午後1時、かなえと飯を食べながら話す。今日は中華だ。
「……浮気するつもり?昨日4回もしたのに…余裕あるじゃないの。今日は倍の8回ね」
さらっと死刑宣告…こ、怖いよかなえ。そんな蛇がカエルを見るような目で見るなよ。
「違うって、そんなんじゃねぇよ。ただ、気になる事があってな…」
話を誤魔化すために本題に入る俺。
「気になる事って?」
まだ睨んでる…その目はやめて。
「麗菜さんな…あんな事いう人じゃなかったんだ。
…それにな、言ってる事が少しおかしい気がするんだよ」
酢豚を食いながら話す俺。どこがおかしいの?と聞いてくるかなえ。
よし!誤魔化せたか?8回は勘弁してほしいからな。
「あの頃毎日のようにパチンコ屋で働いてたんだぞ?しかも夕方から閉店まで、だ。
家庭を持っていて、しかも子供までいる人がそんなの出来るか?」
餃子を口に入れて話を続ける。
「旦那がいないあいだの暇つぶしって言ってたらしいけど一年もいないってありえるか?
普通ないだろ?」
かなえが反論する。
「一年間旦那がいないって…単身赴任ならありえるんじゃないの?」
即答する俺。
「なら、なぜ働く?子供もいるのに夜遅くまで…よく考えたらおかしい事だらけだろ?」
考え込むかなえ。ああ、いい顔だ。この顔に騙されたんだよな。
「俺が思うにな、全部嘘だと思う。俺は当時の2人を見てるから分かる。
あれが演技だとしたら麗菜さん女優になったほうがいいぞ」
俺を尊敬の眼差しで見つめるかなえ。
「言われてみればそうね、確かにおかしいね。それに気づくなんて…さっすがアタシの彼氏ね」
そこまで褒められたら照れるな。
「ご褒美で今夜はアタシがサービスするわね」
ウインクするかなえ。カエルが蛇を見つめる目でかなえをみる俺。
…無事明日を迎えれますように…
仕事を終えたオレは約束通りに真っ直ぐ家へと帰った。
「……ただいま」
玄関を開けるとリビングからますみちゃんの声が聞こえた。
「静馬さんおかえりなさい」
エプロン姿のますみちゃんが出迎えに来た。
(な、なんだ?なんでエプロン姿なんだ?)
「今料理が出来たところなんです。彩の料理ほど美味くないけど…食べてもらえますか?」
料理ってますみちゃん…よく見ると顔が赤い。興奮してるな…そうか毒殺か。
毒って苦しいんだろうな…でもオレが悪いんだからしかたないよな。
「ああ、もちろん。君の望むことならなんでもするよ」
テーブルには器に盛られたカレーが置いてある。食欲をそそる、いい匂いだ。
「たくさん食べて下さいね、静馬さん」
覚悟を決めて食べるオレ。うん甘い、かなり甘口だなこのカレーは。
いや、これが毒の味なのか?…まあいい。最後の晩餐だ、味わって食うか。
「どうですか?少し甘くなっちゃったんですけど…」
不安そうな目でオレを見つめるますみちゃん。毒が効き始めるか観察してるんだな。
「かなり甘いかな?けどおいしいよ」
彩のカレーを食べなれたオレには甘すぎた。
「うそ!ホントですか?そんなに甘いですか?」
そう言ってオレの器にスプーンを入れて一口食べるますみちゃん。
「あっ!ますみちゃん、それには毒が!」
思わず出たオレの言葉に呆然とするますみちゃん。
「毒って。いくらまずいからって毒なんて……一生懸命作ったのに」
みるみる目に涙が溜まっていくますみちゃん。え?毒殺じゃなかったの?
オレは泣きじゃくるますみちゃんの前で訳が分からず、
とりあえず目の前のカレーを食べる事にした。
私は勢いで本屋さんに来たけど目的のものがどこにあるのか判らずに戸惑っていた。
(料理もダメ。顔も彩のほうが綺麗。髪も綺麗な黒髪で勝てないわ。
けど彩にも弱点はある。…彩唯一の弱点は…胸。
彩は背も高く細身のカッコイイ身体をしている。
…ただ、少し胸が小さい。本人も気にしてるみたいだし…
私が彩から静馬さんを奪い取るためには…体を使うしかない。
じゃないと彩が静馬さんと積み重ねた年月は逆転できない!
…彩がいない時に卑怯かもしれないけど…静馬さんを手に入れるためなら…)
雑誌コーナーを歩く。見当たらない。一度かなえ先輩に見せてもらったエッチな本。
どうすれば静馬さんに喜んでもらえるか、それで勉強するつもり…けど見つからない。
先輩、あれをどこで買ったんだろ?ふと棚を見ると、料理の本が置いてある。
(下手でも料理ぐらいはできないと…ダメかな?)
私はエッチな本は諦めて料理本を買って店を出た。
(パソコンで調べたほうが早かったかな)
私は早くも挫けそうになった。近くの公園のベンチに座り本を開く。
(私でも作れそうな物って……あ、カレーが載ってる。これにしようかな?)
スーパーで材料を買ってマンションへ向かう。途中に自販機ばかりが並んでるお店があった。
何気なく店の奥を見たらそこの自販機にあった……エッチな本が。
私は3冊も買い、走ってマンションに向かう。すごくドキドキしてる。
部屋にもどって3時間は読みこんだ。…よし!後は静馬さんに喜んでもらうだけね!
身体で男を落とそうなんて、最低な女ね。けどこうしないと勝ち目がないから仕方ないわよね。
彩、あなたの事今でも親友だと思ってる…けど、静馬さんだけは譲れないの…ゴメンネ。
私は涙が止まらない。苦労して作った…好きな人のために真剣に作ったカレーをその人に毒と
言われたから。
泣きじゃくる私…もうイヤ!料理なんてもう二度と作らないわ!
そんな私の頭を静馬さんが優しく撫でてくれる…
あんな酷い事言われたのに嬉しくて泣き止む私…現金なものね。
「ごめんな…オレのカン違いだったんだな…」
頭を撫でながら謝ってくれる静馬さん。…どんなカン違いなの?
よく見るとカレー全部食べてくれてる…あんなに不味かったのに…うれしい…
「…カン違いってなんなんですか…」
静馬さんの話を聞いたらおかしくってつい笑っちゃった。
だって私が静馬さんを殺そうとするなんて、すごい発想ね。
「それで毒ですか?静馬さんって…カワイイ人ですね」
「けど昨日俺がしたことは…そのぐらいの罰を受けなきゃだめだろ…」
真っ赤な顔で照れてる静馬さん。ホントかわいい。
「昨日の事は…済んだ事ですから。それよりお風呂沸かしてますので入ってくださいね」
私は静馬さんにお風呂を勧める。
ここからが本番…私の心臓が早くなる。上手く出来るかな?
「済んだ事って…だめだ!オレは昨日の事の責任を…」
抱きついて静馬さんの唇をキスしてふさぐ私…こんなことする自分にビックリだわ。
「…お風呂…入ってくださいね…」
赤い顔で頷き浴槽へと向かう静馬さん。私の顔もきっと真っ赤ね。
私は食器を洗いお風呂場へと足を向ける…うまくできますように…
(なんでキスなんか…唇、柔らかかったな…)
オレは動揺している。そりゃそうだ、いきなりキスされたんだからな。
麗菜と別れて以来、こういうことはあまり経験してない。
たまに池田と行く、彩にばれたら殺されるであろうエッチな店でするくらいだ。
(そういや最近行ってないな…池田にはかなえちゃんがいるし次からは1人か…
ってこんな事考えてる場合じゃないだろ!……ますみちゃんどうして?)
考えがまとまらないオレは頭を洗うことにした。
ゴシゴシゴシゴシ……ガチャッ
ん?なんだ?ドアが開いたぞ、きちんと閉めてなかったのか?
泡だらけのオレは目を開けれない。
「…静馬さん、お背中流しますね…」
ぬを!こ、この声はま、ますみちゃん!!何でここに?
ヒタヒタヒタ…シュル、パサッ。足音の後、何かが床に落ちる音がした。
(な、なんだ、何が起きるんだ?)
オレの頭はパニック状態、頭を洗うのも忘れている。その時背中を何かがこする。
ゴシゴシゴシゴシ…
「かゆい所ありますか?…気持ちいいですか?静馬さん」
ますみちゃんは背中を洗ってくれてる。正直気持ちいい、けど何で?
「あ、ありがとう。気持ちいいよ、ますみちゃん。けどなんで…?」
ますみちゃんはなにも答えずお湯で背中の泡を流す…
「この傷、痛くないですか?」
知らないうちに出来た背中の傷をさわるますみちゃん。
酔っ払ってこけた時にでも出来たんだろうな。
けどこんな傷、格闘研究会初代会長のオレには慣れっこだ。
「あ、ああ。こんな傷慣れてるから大丈夫、平気だよ」
オレの言葉を聞いたますみちゃんは急に抱きついてきた!
せ、背中のこの感触は…な、なまおっぱい!…や、やわらかい…
オレは頭のネジが緩んでいくのが判った。
私はバスタオルを体に巻きつけお風呂場に入る。もちろん下着は着けてない。
いきなり追い出されたらどうしよう?…不安を抑えて恐る恐る扉を開ける。
静馬さん頭を洗ってて泡だらけ。チャンスね。
「…静馬さん、お背中流しますね…」
そう言って背中に回り込みタオルを取る。ビックリしてる静馬さん。当たり前よね。
わぁ、大きい背中……はっ、見とれてる場合じゃないわ、背中流さなきゃ。
ゴシゴシゴシゴシ……大きな背中には昨日私がつけた傷が。
(私の爪の後…こんな傷がつく位強く抱きしめたんだ…)
うれしくてお湯で背中を流しながら聞く私。
「この傷、痛くないですか?」
フフ、私が傷つけておいて痛くないですか?っておかしいわね。
けど、静馬さんの言葉に頭は真っ白になる。
「こんな傷慣れてるから大丈夫、平気だよ」
慣れてる?えっ?どういうこと?他の人にも付けられてるって事なの?まさか、彩?
…違うわね。彩の訳ないわ。…他にもいるんだわ、静馬さんに抱いてもらえる人が…
イヤ!そんなのはイヤ!この背中は私だけの物。絶対渡さないわ!
私は静馬さんの背中に抱きついた。
「ま、ますみちゃん?な、何を!」
背中の感触に思わず叫ぶオレ。
なんで抱きついて来るんだ?そもそもなんで一緒に風呂入ってるんだ?
泡だらけの頭で必死に考えてるオレの胸をますみちゃんが背中から回した手で洗う。
タオルじゃなく素手だ。
「き、気持ちいいですか?」
うを!せ、背中のおっぱいは柔らかいし、手で触られてる胸も気持ちいい。
「い、いい、気持ちいいよ。ますみちゃん」
おもわずつぶやくオレ、ますみちゃんの手が徐々に下へと降りてきた。
ついにはオレのアソコを握る。
「ま、ますみちゃん!そ、それはだめだよ!」
口ではそう言うも体は止めようとしない。
力ずくでなら止めれるのに頭が快楽に支配され働かない。
シュコッシュコッシュコッシュコッ
背中にはなまおっぱい。前はしごかれてる。泡だらけの頭は気持ちよすぎてしびれてる。
(うう、気持ちいい…)
あと少し…そう思った時ますみちゃんの手は止まる。
(えっ?なんで止めるんだますみちゃん?生殺しか?これが昨日の復讐なのか?)
思わず声に出そうになるオレ。
すると頭からシャワーを掛けて泡を落としてくれるますみちゃん。
そしてオレの前に回りこみ真っ赤な顔でこう言った。
「もっとキレイに洗いますね」
オレのいきり立ったアソコを胸に挟んでしごき出した。
(す、スゴイ…昨日こんなのが私に入ったんだ…)
私は始めてみる静馬さんのを見てビックリしたわ。
(さっき勉強したエッチな漫画では胸で挟んでしごいてたわね…
恥ずかしい…けど他の女には負けたくない!)
「もっとキレイに洗いますね?」
意を決した私は静馬さんを胸で挟みしごきだす。
「ハァハァハァハァハァハァ…」
静馬さん息が荒くなってきた…気持ちいいのかな?私も興奮して頭がボーっとしてきた…
「あ、あぁ…いいよ…気持ちいい…」
上目使いで静馬さんを見上げると目を瞑って呟いてる…気持ちいいんだ。
…フフッこれは彩には出来ない事ね。
私はもっと気持ちよくなってほしくて速度を速める。
私も気持ちよさそうな静馬さんを見てたらだんだんと私も気持ちよくなったきた…
(あぁ、好きな人にエッチな事するだけで気持ちよくなれるんだ…)
息が荒くなる私…ますます速度を速める。
「うう、だ、だめだ!」
え?静馬さん、何がダメなの?気持ちよくないの?…私じゃダメなの?
「で、出る!」
そういった瞬間に静馬さんから熱いものが噴出し私を汚す……これが精液?
静馬さん私でイってくれたんだ…うれしい…泣きたくなってきた。
(あ、漫画じゃこれを飲むんだったわ。たしかおいしいって書いてあったし…私も飲まなきゃ)
私の首から胸に掛けて付いている静馬さんの精液を手ですくい口へ運ぶ…
(……!マ、マズイ…なにがおいしいのよ。あの漫画間違ってるわ!)
私は飲み込むのを断念して口から吐き出す。
静馬さん、気分悪くしたかな?そう思って見上げたら静馬さん目が虚ろだわ。
(そんなに気持ちよかったんだ…私で気持ちよくなってくれたんだ)
私は体に付いた静馬さんの精液を洗い流す。
「先に上がってますね」
そう告げてお風呂場を出る。
体を拭き静馬さんのTシャツだけを着てクローゼットに隠しておいたエッチな本を再度チェック
する。
私が出来そうなところは前もってページを折り曲げペンで印をつけておいた。
(次はどうしよう?この口でくわえるのがいいのかな?……彩ならどうするんだろ?)
どれにしようか迷っているとお風呂場の扉が開く音がした。
私は慌ててエッチな本をアルバムの下に隠してクローゼットを閉めた。
見つかったら恥ずかしいしね。
オレは突然のことにボーゼンとする。
ますみちゃん、手でしてくれるだけじゃなく胸でも…パイズリしてくれている。
オレは止めさせようとは考えられなくなった。
(うう、気持ちいい。…彩にこれは出来ないだろうな)
彩、胸あまりないもんな…そんなことを考えてたら速度が速くなった。
(イカン、このままじゃ秒殺だ!秒殺は初期の頃のパンクラスだけでいい。耐えなくては)
頭の中でお経を唱えようとする。
(ナンミョーホーレンゲキョー……いかん、続きがわからん!まずい!まずいぞ!)
ますみちゃんはさらに速度を上げた。もう無理だ、耐えられない。
「うう、だ、だめだ!」
ゴメン彩、我慢できない!
「で、出る!う、うう!」
ドピュッドピュッビュクッ……
大量に射精したオレは快楽でボーゼンとする。頭が働かない。
「先に上がってますね」
ますみちゃんの言葉に我に返る。
(オレは、彩の友達に……なんでこうなったんだ?…すまん、彩…)
俺の頭の中は、彩への罪悪感でいっぱいになった。
(なんで電話してこないのよ〜。ますみ、拓にぃにちゃんと言ってくれたのかな…)
ホテルのベットの上で携帯とにらめっこ。ここに来てからの日課になった。
もう4日も話してない。こんなに話してないのは拓にぃが引っ越した時ぐらいだ。
あの時は一週間ぐらいだったかな?
アタシが元気ないって聞いて毎日電話くれるようになったんだよね。
…嬉しかったなぁ。あの時気づいたんだよね、拓にぃが好きって……
最初は拓にぃから電話もらってたけどそのうち待ちきれなくなって、
アタシから掛け始めたんだった。
電話代が高いってお母さんによく怒られたっけ…懐かしいなぁ。
そういえば一時期夜遅くじゃないと電話つながらない時期あったんだよね。
拓にぃがパチンコハマってた時だった。
遊びに行ってもなかなか帰ってこなかったんだよね。
拓にぃアタシが高2になるぐらいまでハマってたもんね。
……思い出したらなんかムカついてきた。
こんなけな気な娘をほったらかしにしてパチンコってなによ! どういうことよ!
普通早く帰ってきて『待ってたよ、会いたかった』とか言うでしょ、バカ拓にぃ!
…レコーディング終わったら罰としてゴハン奢らせよう。文句は言わせないわ。
ハァ…はやくアタシの気持ちに気づいて欲しいなぁ。
けど拓にぃ、アタシの事恋人にしてくれるのかな…
もしかしたら恋人にしたくないから気づかないフリしてるのかな?…それはないかな?
高校時代結構人気あったのにまったく気が付かずに彼女いなかったモンね。
今までいたことあるのかな?
アタシが知らないだけかな?もしかしたら今も誰かと付き合って……
そんな事ないか、あの拓にぃだもんね!
はぁ〜、声が聞きたいよ〜、拓にぃの声聞かないとやる気が出ないよ。
…もうアタシから電話しよっかな?
けど…電話したら負けよね。これからのこと考えたら主導権は握らなきゃ。
拓にぃちゃんと食べてるのかな?またモヤシばっかりなんだろうな…
そんなことを考えながら携帯片手にベットの上を転がるアタシ…さみしいよ、拓にぃ……
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