(あのユウ君に彼女が出来るなんて…ビックリね。先、越されちゃったな…)
一人で取る夕食、食べる気しないな。本当ならユウ君と一緒に食べるはずだったのに…
けどユウ君はあの女と一緒…はぁ、皆先に行っちゃうのね。
私だけね…先に進めずに同じ場所にいるのって。
……けど何よ、あれ。私に見せ付けるように腕組んで。
…だいたい私のほうが胸あるじゃないの!
あんなペチャパイより私のほうがいいに決まってるのに…
あんなのに私、負けたの?…ユウ君、女を見る目無いのね。ガッカリだわ。
…はぁ、やってらんないわ。
ますます胃がムカムカしてきたわ……えっ?なんで私ユウ君に怒ってるの?
私のほうがいいに決まってるのにって、何よ?
あのおとなしいユウ君に彼女が出来たのに…祝福してあげるのが当たり前なのに…
何故かしら?
そうか、これはきっと嫉妬ね。私より先に大事な人ができたユウ君への嫉妬。
……情けないわね。
はぁ、ユウ君もうあの女とキスしたのかな…それとももうエッチな事してるのかな?
あんなペチャパイ、気持ち良くないと思うけどな…
それともユウ君、静馬さんみたいに胸にはこだわらないのかな?…どうなのかな?
……ああ〜もう!私、何考えてるのよ!
なんでユウ君の好みのタイプを気にしなくちゃならないの?
全部ユウ君のせいね!今度あのイタリア料理奢ってもらうわ。
私を嫉妬させた罰よ、文句は言わせないわ。
……も〜スッキリしないな。よしっ!こんな時は飲みに行くに限るわね!
携帯を取出し誘いの電話をかける私。ふふっ、やけ酒ね。
こんなお酒に付き合ってくれるのは一人だけ。
「彩?ますみだけど…今夜暇かな?」
『なに?また飲みに行くの?アタシ無理だからね!』
何よ、私達親友でしょ?そんなつれない態度取るわけ?ならこっちも考えがあるわよ?
「あら、残念ね。…じゃ静馬さんを誘って二人きりで飲もうかしら?今夜は酔っちゃおうかな?
久しぶりの二人きりだから…私乱れちゃうかもね?」
『ぐっ…アンタ性格悪くなったんじゃない?』
誰かさんの親友してたら悪くもなるわよ。
「じゃ彩、今晩静馬さん借りるわね?…明日には返すわ」
『あ〜もう!分かったわよ!付き合うわよ!付き合えばいいんでしょ!』
「ふふっ、相変わらず独占欲強いのね、うれしいわ。
場所はいつもの所、時間は一時間後でいいわね?」
『ああ、あそこね?分かったわ……ねぇますみ、何かあったんでしょ?後で話しなさいよ』
うっ…鋭いわね。さすがに親友……ほんと、うれしいわ。
「…うん、分かった。後で話すわ。じゃまた後でね」
電話を切る私……ふぅ。さてと、着替えようかな?
…彩なら分かるかな?何故こんなにイラつくのか。
何故こんなにモヤモヤしてるのか。胃もたれ…じゃないわよね。
部屋に帰ってきたのは夜の八時過ぎ、ますみ姉さんの部屋、電気ついてないや。
また彩さんと飲みに行ってるのかな?
それにしても…今日はトンでもない目に遭ったなぁ。
でも女の人とするのってあんなに気持ちいいんだ。
ますみ姉さんとだったらもっと気持ちいいんだろうな…
いづみさんは入れてないから大丈夫って言ってたけど…何が大丈夫なんだ?
もっとスゴい事されたんじゃないの?
けどお陰で少し度胸がついた気がする。館長の言ってた場数を踏むってこういう事なのかな?
…よし!まずは勇気を出してますみ姉さんをデートに誘うぞ!
…けど今日は疲れたから寝ようかな。ますみ姉さんいないしね。
……ホントに度胸、ついたのかな?
「ねぇますみ。あんたの話し聞いてたらね、昔のアタシと拓にぃを思い出すのよ」
いつもの居酒屋でお酒を飲みながら今日の事を彩に相談したの。
「あなた達を?どういうこと?あ、焼酎ハーフボトルお代わりお願いします」
「はぁ、やっぱり分かってないんだね」
頭を押さえる彩。一体なんなのよ?
「勿体ぶらないで教えなさいよ」
「だからあなたが拓にぃで、綾崎がアタシ」
何を言ってるの?私が静馬さんで…あなたがユウ君?
「まだ分かんないの?何で綾崎が猛勉強したか。何で空手を習いだしたか…
全部アンタに認めてもらうためだと思うよ、きっとね」
私に…認めてもらうため?
「アタシ、あの子の気持ち分かるよ。アタシも拓にぃ認めてもらいたかったから…
一人の女として見てほしいから…頑張ったもん。
きっと綾崎も同じはずだよ。アンタに男として見てほしいんだよ」
彩の言葉に戸惑う私。だって、それじゃユウ君、私の事を…
「知ってる?好きな人に異性として見られないのって…スゴく辛いんだよ。
…泣きたくなるんだよ?…どんなに頑張っても相手にされない。
…好きで好きでたまらないのに、すぐ横にいるのに…アタシを見てくれない。
こんな悲しいことないんだよ?」
彩…泣かないでよ…私まで泣きたくなるじゃない。
「アンタはね、無意識では綾崎の気持ち、分かってんのよ。
その綾崎が他の女と腕組んで歩いてたから嫉妬したのよ、その女にね。
アンタも拓にぃと同じよ。自分の気持ちに気付いてないだけ。アンタ、きっと綾崎が好きなのよ」
私がユウ君を…好き?そんなはずないわ。だってあの子は昔からの弟みたいな子だし…
静馬さんと違ってあまりお酒強くないし、ユウ君には悪いけど…頼りないしね。
男としての魅力は…皆無よね。そんなユウ君を好きなる訳…けどユウ君、純粋でやさしいわ。
いつも真直ぐな瞳で私を見てくれる…いつも私にやさしくしてくれる。
こんな私でも…見つめてくれる。
けどユウ君はあの事を知らない。……知ってるのはアタシと先輩だけ。彩にも言ってない。
ユウ君だけには知られたくない。…あの事を知られたらきっと軽蔑されるわ。
……あ……そうなんだ。やっと分かったわ。
何故静馬さんのこと、忘れられないのか。…好きだからじゃないわ。
あの事への罪悪感なのね。静馬さんを思い続けることは…あの事への償いなのね。
……フフッ、こんな私にユウ君を好きになる資格なんて…やっぱり無いわ。
……やっぱり彩の言う通りなのね。私ユウ君が好き…みたい。
…辛い…辛いわ。こんな気持ちに気がつかなきゃよかった。
明日からいったいどうすればいいの?
「ますみ?どうしたの?なんで泣いてるのよ?」
え?…ホントだ、涙出てきてる。彩に泣き顔見られたの2回目ね。
「ゴメン、アタシあんたの気持ち考えずに言いたい事言っちゃったね…友達失格だよね」
「彩……違うわ、違うわよ」
彩を抱きしめて泣く私。
「あなたがいてくれるから私、ここにいられるの…あなたのおかげで笑っていられるのよ。
あなたが親友でよかったわ。ありがとう…ごめんね、彩」
いつか…いつになるか分からないけど心の整理が出来たら彩には言おう……本当の事を。
それが原因で嫌われても…いいわ。彩には隠し事なんて出来ない…もう少し待ってね彩。
いつか絶対に言うからね。
打ち明けたその後も……出来ることなら友達で。親友でいてね、彩。
彩に相談したことで自分の本当の気持ち―静馬さんに対しての…ユウ君に対しての―に
気づいた私。
けど、どうしたらいいのかは分からなかったわ。
「とりあえずご飯にでも誘ったら?もちろん美味しいご飯だよ」
次の日僕は現状を打破する為、どうやってますみ姉さんをデートに誘ったらいいかを
いづみさんに相談したんだけど…やっぱりご飯かなぁ。
もっとこう、デートって感じがするほうがいいんじゃないのかな?
「最初からガツガツ攻めたらアタシだったら引いちゃうね。何コイツ、必死じゃん、ってね」
そ、そうなのか、知らなかったなぁ。
「それに話を聞いてみると、君はオスとして見られてないしね。
まずはオスとして見てもらうことから始めないとね。
いきなり告白しても粉々に砕け散るだけだよ。まぁ、そっちの方が笑えるけどね」
……笑いはいりません。けどそうだよね、僕って男として見てもらえてないよね。キツイよなぁ。
「な〜にくらい顔してんのぉ?よし!このいづみ姉さんに任せなさいな!
きっちり2人でご飯食べれるようにセッティングしてあげようじゃないの!
軍艦大和に乗った気でいてよねぇ〜!」
「えっ?ホントですか!ありがとうございます!」
頭を下げる僕、いづみさんに相談してよかったよ。
「あはは、照れるじゃないの。友達…フレンドとして当然じゃないの。
まぁこのセックスフレンドに任せなさいな」
照れながら手をヒラヒラさせるいづみさん。頼りになるなぁ……ってセックスフレンド?
「な、何言ってるんですか!ただの友達です!頭に変な言葉つけないでください!」
はぁはぁはぁ…この人何処まで本気か分かんないよ。あれ?そういえば……
「いづみさんってますみ姉さんと知り合いでしたっけ?」
「うんにゃ、あんな巨乳ちゃん知らないよ。まぁなんとかなるっしょ?」
そういえば軍艦大和って最後は結局は沈むんだよね?なんだろう、この絶望感は…
「森永さん、少し時間貰ってもいいですか?」
大学の帰り道、いきなり声を掛けられたわ。
あら?この人は確か……ユウ君の…彼女、よね?
「……少しなら、いいわよ」
彩に相談してから一週間。情けないことにユウ君に会うのが怖くて…ユウ君を避けてるの。
電話が来れば話すけど、顔を合わしたりはしてないわ。…自分がどうなるか分からないから。
けどなんでユウ君の彼女が話しかけてきたの?挨拶しかしてないのに……
「ここじゃなんだから…喫茶店でも行きましょうか?」
喫茶店に誘う私。こんなところにいたらユウ君に見つかっちゃうわ。
店の奥の席に座りコーヒーを2個注文する。
「佐藤さん…でしたっけ?いったい何の用かしら?」
この女がユウ君を…。こんな女をユウ君が…
「……そんなに睨まなくてもいいじゃないのよ。一応アタシのほうが年上なんだけどねぇ」
…ええ?そうなの?新入生だから年下だと思ってたわ。
「す、すみません。ユウ君とお付き合いされてるので、てっきり年下かと思ってました」
「あはは、そんな頭下げなくていいわよ。照れるじゃないの」
そう言って手を振る佐藤さん。結構気さくな人なのね。……ユウ君こんな性格がいいんだ。
「それに付き合ってないわよ、あんなピュアボーイとはね」
ニヤリと笑いこちらを見る。…何?この女。なんかムカつくわ…え?付き合ってない?
「残念ながら今のところはただの友達よ、友達」
今のところって、なに?…何よ、そのにやけた顔は!
「今のところって…何なんでしょうか?」
この女にだんだんムカついてきたわ…教えなさいよ!
今のところってなんなのよ!あなたもユウ君狙ってるの!
「ん〜?それはねぇ……ひ・み・つよん」
ムカッ!ムカムカッ!
「なによそれ!言いなさいよ!」
バンッ!っと机を叩く私。静まる店内……ああ…やってしまったわ。
そんな私を見てニヤつく佐藤。この女…敵ね。
(巨乳ちゃんのこの反応……姉としての嫉妬じゃないね。女としての嫉妬だね、これは)
軽いジャブのつもりで攻撃したら意外な事実!
なんだ、ピュア君脈アリじゃないの。聞いてた話と少し違うけどね。
「こほん、すみませんでした、佐藤さん。ユウ君の姉代わりとして少し心配になったもので」
頭を下げてニッコリほほ笑む巨乳ちゃん。
残念ながらそんな営業スマイル、通じないんだよね〜。
もっとイジリたいけど…まぁいいわ。
「気にしてないから大丈夫よ。今日時間を割いてもらったのはね、ピュア君。
…綾崎君の事なんだけどね」
「ユウ君がどうしたんですか!何かあったんですか!」
おお!食いつき早いねぇ〜。……もしかして両思いじゃないの、こいつ等?
もしかしてアタシいらなかったんじゃない?
「なんかさぁ〜、好きな人に避けられてるって落ち込んでて鬱陶しいんだよね〜。
これだからイヤなんだよね童貞って。森永さん、お姉さんみたいなものなんでしょ?
話を聞いて慰めてやってよ」
「……けど、私……」
…なんだ?この巨乳ちゃん、辛そうな顔して。
…ピュア君の気持ちも知ってるみたいな反応だねぇ。
それで最近会わないようにしてるの?
けど巨乳ちゃんもピュア君の事、嫌いじゃないと見てんだけどなんで会うの嫌がるんだろ?
ま、いいや。とりあえずご飯に誘ってだねぇ……
「今夜綾崎を励ましてやろうとご飯食べる約束してるんだけど、アタシと2人なんだよねぇ。
何かイヤじゃん?凹んだ童貞の相手を1人でするのって」
「……」(ギロリ)
「うっ……じょ、冗談じゃないのぉ。そんな目で睨まないでよ」
な、なによこの迫力は…怖いじゃないの!
「……分かりました、ご一緒します。あなたと2人きりだとユウ君、心配ですからね」
「あはは、安心してよね。もう手は出さないつもりよ」
「……『もう』?」(ギロリ)
「あ、ははは……心は広く持とうよ、森永さん。じゃないとしわ増えるよ?」
だからなんなのよ!この迫力は!
「余計なお世話です!……ところで質問なんですがいいでしょうか?」
ふぅ、向こうから話題変えてくれた、助かったぁ。
「ん?いいわよ。勉強の事は勘弁だけどね」
「この間、レストランから腕を組んで出てきてましたけど…
付き合ってないならなぜあんな事を?」
……何このジェラシー全開な質問は?
「あ、あれね。ご飯奢ってもらったからサービスしただけよ」
今、一瞬明らかにホッとした表情したわね。…これ確定ね。
こいつピュア君に惚れてるわ。
「ということで今晩お願いね?あ、そうだ。携帯の番号教えてくれる?」
番号を交換して分かれるアタシ達。……この番号、高く売れそうだわ。…くっくっく。
……ってちがうっしょ!
とりあえずピュア君に電話するアタシ。う〜ん、アタシっていい人ね。
『あ、ピュア君?とりあえず今夜、巨乳ちゃんと3人でご飯食べる事になったから。君、場所探し
といてね』
「えっ?本当ですか!有難うございます!」
『あはは、お礼は君の、ど・う・て・いでいいからね。おいしく頂くね』
「い、いいいづみさん!」
『あっははは。冗談よ、冗談。巨乳ちゃんにはアタシから場所教えるから決まったらメールして
ね』
「分かりました。どうもありがとうございます!」
『いいって、いいって。あ、そうだ。アタシ適当な理由つけて行かないからね』
「ええ!そんな…来て下さいよ、不安ですよ」
『あんたはトイレに行けない小学生か!まぁ頑張んなさいよ』ピッ
切られちゃった……どうしよう?
ますみ姉さんとはこの間イタ飯屋さんから出るとこ見られてからまともに喋ってないんだよね。
やっぱり怒ってるんだろうな……なんで怒ってるんだろ?
あ、電話だ…あれ?またいづみさん?…ピッ
『そうそう言い忘れたんだけど……君、脈有り!だよ。頑張んなさい、ピュアボーイ』ピッ
切られちゃった。…み、脈有り?う、うををををを〜〜〜〜!
高速に近い速度でグルメ雑誌をめくる僕。……破けてしまった。
結局はこの間のイタ飯屋に決めた。あそこ美味しかったもんね。
いづみさんにメールするとすぐにOKと返事が来た。
こ、これでいわゆる一つのデ、デートというやつができるんだ。
ま、ますみ姉さんとデート……緊張してきた。
午後6時30分、約束の7時に近づいてきたわね。
はぁ…こんなに緊張するなら断ればよかったわ。
けど久しぶりにユウ君と食事…できる事なら2人で行きたかったわね。
けど…こんな気持ちのままじゃ……
電車の中で憂鬱な私。はぁ、ため息が出てくるわ。
(ん?メールね。佐藤さん?なにかしら……ええ!佐藤さん来れないの?)
ど、どうしよう……企画した人が来れないってどういうことなの?
電車を降りて落ち着くために1カップ酒を一気飲みする私。
(いまさら断るのはダメよね……私まで行かないとなるとユウ君1人だしね)
考えをまとめる為1カップ酒をまた飲む。
(今まで通りに普通に接すればいいんだわ。でもそれが出来るかどうか…
うまく乗り切るしかないわね)
気合を入れるために1カップ酒を一気飲みする私。
お願いだからユウ君、変な事言わないでよ……
午後6時50分、僕は店の前でますみ姉さんを待っている。
…好きな人を待つって意外といいもんだね。
ちなみにここには1時間ぐらい前からいるんだ。早く来すぎだよね。
(とりあえずこの間の、いづみさんとココに来てたことを謝って…)
ぶつぶつ言ってたら声かけられた。
「ユウ君お待たせ!佐藤さん来れないんですって?いろいろ話聞きたかったんだけどなぁ」
ふお!ま、ますみ姉さん!久しぶりに見るますみ姉さんは、やっぱりかわいい!
…でもなんでお酒の匂いするんだろ?
「ユウ君、何ビックリしてるの?……さ、お店入りましょう。もうお腹ぺっこぺこなのよ」
手を引かれて店に入る僕、ますみ姉さん、何か慌ててない?
初デート?は食事だけで終わったんだ。
最初はどうなるかと思ったけど上手くいった……のかな?
料理はいづみさんと食べた時より遥かに美味しかった。
好きな人と食べると美味しくなるんだね。
久しぶりのますみ姉さんとの会話もはずんだ。いづみさんとの事は……秘密だけどね。
ただ……ますみ姉さん、少し様子が変だったんだ。なんていうんだろ、空元気って感じかな?
うん、あれは無理やり明るく会話してる感じだ。
会話の内容も、最近大学はどうだった?とか、彩さんがまた彼氏を殴ったとか、
ますみ姉さんの先輩の彼氏(館長の息子さん)がその先輩から逃げ出したのを捕まえたとか、
ほとんどがますみ姉さんの話だったんだ。今までこんな事はあまりなかった。
いつもは僕の話を嬉しそうに聞いてくれてたんだよ。
今日は僕が話そうとしてもさえぎる様に話してきたんだ。
それに…うん、そうだ!あのますみ姉さんがお酒頼まなかったんだ!
ありえないよ、これは!朝一番にビール飲む人だよ?
彩さん曰く『ますみは水分をアルコールで取る』だからね!
何かあったのかな?……だから最近会えなかったのかな?
…電話してみようかな?直接会って話したいけどもう遅いからね。まだ起きてるかな?
ふぅ、危なかったわ……少しでも酔っていたらユウ君に好きって、打ち明けてたかもしれない。
理性が勝ったわね。目の前で見たら抱きしめたくなるなんて……
やっぱりしばらく会わないほうがいいわね。
……はぁ、なんでこんなことになったのかな?私のせい、よね。自業自得ってやつか……
この壁の向こうにユウ君がいるのに…好きな人がいるのに…
あれ?涙出てきた。う、うう…ユウ君…つらいよ、ユウ君…寂しいよ…会いたいよユウ君…
しばらく悩んだけど結局電話するのは止めた。
やっぱり夜遅くに電話かけるのは迷惑だしダメだよね。明日の朝にでも話をしよう。
けど、何かがあったのは間違いないと思うんだけどな…
今までは僕が守ってもらってばかりだったからこれからは僕が守るんだ!
じゃないとなんで体鍛えたか分からないよね。
ピンポーン
……だから夜遅くは迷惑でダメだと思うんだけどな…誰だろ?こんな遅くに。
ドアを開けるとますみ姉さんが立っていた。
「あれ?どうしたんです?ますみ姉さ……」
泣い…てる?ますみ姉さん泣いてる!え、なんで?何があったんだろ?
「ユ…ヒッ…君…わ…たし、ウッ…私ね…」
「とりあえず部屋に入ってください、何があったんですか?」
泣きじゃくるますみ姉さんを部屋に招き入れる僕。こんなの始めてみたよ。
……う!お酒の匂いが。かなり飲んでるなこれは。やっぱり何かあったんだ、ますみ姉さん。
「何かあったんですか?ますみねえ…ムグッ!」
ドアを閉めたらいきなり…キスされた。え、ええ?何で?
ん…んん…んちゅ…チュチュッ…チュパッ…チュル…ジュル…んん!
し、舌が…ますみ姉さんの舌が入って来て…ええ!
あ、あそこを触ってきた!う、うわ!気持ちいいよ…
ますみ姉さん、キスで僕に舌を絡めながら左手でズボンの上から僕のを触ってくる。
…はぁはぁ…気持ちいい…ますみ姉さん気持ちいいよ………けどダメだ!こんなのダメだよ!
「ますみ姉さん!どうしたんですか、止めて下さい!」
僕はますに姉さんを突き放した。だっていきなりだよ?こんなの絶対おかしいじゃないか!
絶対何かあったんだ…ますみ姉さんに何かあったんだ!
「ゴメンね、ユウ君ゴメンね……」
「どうしたんです?何があったです!」
泣きじゃくるますみ姉さんを抱きしめて落ち着かせる。僕がいます!…落ち着いてください。
しばらくすると落ち着いてきたみたい。僕に話しかけてきた。
「…ユウ君に謝らなきゃいけないの。ユウ君、私のこと好きでしょ?
けど答える事できないの…」
いきなり交際を断られた……ショックだ。
けど僕とのことなんていい、大事なのはますみ姉さんなんだ!
「…何があったんですか。何かがあったんですよね?だからこんな事したんですよね?
だから僕と付き合えないって言ってるんですよね?何があったんですか、ますみ姉さん!」
きつく抱きしめながら問いただす僕。力になりたいんだ…好きな人の力に!
「私ね、前に一度だけ…好きになった人を騙して、抱いてもらったの。
…お酒に酔ってた静馬さん騙したのよ!
彩の想い人って知りながら…友人の好きな人って知りながら…
彩から奪い取るためにこのいやらしい体を使ってね!
親友を、彩を裏切ったのよ!私は最低な…汚い女なのよ!」
!!……正直ショックだった。ますみ姉さんがそんなことしたなんて……
「うふふ…私ね、どうしても静馬さん、手に入れたかったのよ…けど無理だった。
彼、彩を選んだの…」
「……ますみ姉さん……」
「けどね、彩はね、許してくれたの。…こんな汚い私を…親友だって言ってくれたの!
この裏切った私を!」
ますみ姉さんまた涙流してる…
「だから私、静馬さんあきらめたの…あきらめたはずなの!」
ますみ姉さんも僕を力いっぱい抱きしめてきた…つらいんだろうな。
「たった1回だけだったのよ?私が抱いてもらえたの…1回だけだったのに」
ますみ姉さん震えてる…そんなにつらいんだ。抱きしめる事しかできないのがもどかしいよ…
「ふふふ…笑っちゃうでしょ?好きな人にたった1回抱いてもらっただけで…
妊娠して…その好きな人の子供を生む事もできずに流産して…殺してしまうなんて!」
に、妊娠?…流産?頭の中が真っ白…だ。
「あの子が生きてたの…たった1ヶ月よ?私のお腹に1ヶ月しか生きれなかったの!
あの人の…静馬さんの子供、私が殺したのよ!
かなえ先輩はしかたないって言ってくれたけど、私が汚い事しなければ…
私になんて宿らなければ、死ななくてすんだのよ!」
ま、ますみ…ねえ…さん…
「最近まで静馬さんをまだ諦められずに好きだって思ってたの…けど違ったの。
静馬さんを想う事は…生まれる事の出来なかったあの子への償い…
あの子を忘れないためだったのよ!」
ますみ姉さん…僕を離した…あれ?いつのまにか…僕、抱きしめるの辞めてた。
「ふふ…私、すごく汚いでしょ?汚れてるでしょ?
ユウ君のこと好きだけど…愛してるけど、こんな私ときれいな…
凄くきれいなユウ君、付き合えないよ。
けどね、こんな汚れた私でもユウ君の性欲処理には使えるよ?」
ほほ笑みながら僕のアソコを触ってきた。…こんな笑顔、見たくないよ。
「ユウ君…遠慮しなくていいよ?どうせ汚れてるから気にしなくていいよ?」
ベルトを外そうとするますみ姉さん……僕はそんなますみ姉さんを……
突き飛ばして逃げ出したんだ。……最低だ僕って……何が力になりたいだよ……
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