「青葉くん…少し練習に付き合っていただけるかしら?」
退屈な授業が終わり、今日は家に帰ってのんびりとゲーム三昧と考えていたら…まただ。
何で僕なんだ?
「え?いや、その…実は母さんに買い物を頼まれてて」
「あらぁ?おばさまに確認した時はそのような話なかったですわよ?」
うっ…そうだった。この人、母さんと仲よかったんだ。
「うっ…いや、ホントは友達と遊びに行こうかなって…」
「あらあらぁ?それは残念ですわねぇ…そのお友達とはまたの機会にお遊びなさいね?」
うう…ダメだ、嘘だってバレてるよ。
「あ、あの…いや…その…ええと…」
断る言い訳を考えてる僕の手を、ニッコリほほ笑みながら握ってきた。
「相変わらず青葉くんは嘘がヘタですわねぇ…さ、行きましょうか?」
有無を言わさず僕の手を引っぱっていく。
「ちょ、ちょっと待ってよ美里さん!だから今日は嫌なんだって!」
「今日は嫌ですか?…残念ですわね。でもあたしは今日したいのですよ?
…ですから諦めなさいな」
ああ…ダメだ。やっぱりこの人は人の都合なんて関係ないんだ…やりたい放題なんだ。
昔からそうだったんだよな…この西園寺美里さんは。


西園寺美里(さいおんじ みさと)…僕の幼馴染で一つ年上の17歳。
同じ学校に通う高校2年生だ。
成績優秀、頭脳明晰、容姿端麗…おまけに家は古い家柄でお金持ちときたもんだ。
僕が幼稚園の時に、公園で一人で泣いている美里さんがいた。
何を聞いても泣いてばかりだったから僕の家に連れて帰ったんだ。その時からの関係だ。
それ以来よく遊びに来るようになり、今では僕の両親とも仲良くなっている。
クリスマスのプレゼントが僕にはガンプラで(アッガイ)、
美里さんにはブランド物の髪飾りだった。
父さん…母さん…息子にも少しは愛を注いでよ!
「美里さん…練習ってアレですか?」
僕の手を取りながら廊下を歩く美里さん。周りからの羨望の眼差しが僕を刺す。
「んふふふふ…そうですわよ。しばらくぶりですから…楽しみですわねぇ?」
やっぱりそうか…なんで僕なんだ?
金持ちなんだからもっといい男の人でも雇えばいいじゃないか!
っていうか、普通そんな練習しないだろ!それとも金持ちの家では当たり前なのか?
手を引かれながら校門を出ると、美里さんの迎えのリムジンが来ていた。
普段は電車で通学するんだけど(もちろん僕がかばん持ちだ)練習がある日は迎えが来る。
美里さんは僕をリムジンに押し込んで自分も乗ってきた。
外からは見えなくなっているから美里さんには都合がいいみたい。
「ん…んん…んちゅ…ちゅる…ふふふ、やーくんも舌絡めてきなさいよ。
練習にならないじゃない」
僕の唇に吸い付いている美里さん。
ただ吸い付いてるだけじゃなく情熱的な舌の動きを見せている。
まさか外の生徒達はリムジンの中で僕が襲われてるとは夢にも思わないだろうな。
…これが美里さんの言う練習だ。

そう、練習とはエッチな事…つまり『性行為』のことだ。


僕…青葉 裕彦(あおば やすひこ)と美里さんがこうなったのは今から約半年前だ。
僕は…ハッキリ言って美里さんが好きだった。…そう、好きだったんだよ。
何故過去形かというと…美里さんには婚約者がいるらしいんだ。
それを知ったのもこの練習をしようと誘われた時だった。
この練習を誘われた時の言葉がこうだった。
『やーくん。あたし、19歳で結婚しますわ。でも性的知識が不足してると思いますの。
…今のままでは旦那様を満足させれませんわ。
そこでね、やーくん…性行為の練習相手になってもらえます?』
この瞬間、僕の淡い初恋が砕け散ったんだ。
一般人の僕が…おそらく大金持ちであろう婚約者に敵うわけがない!
それに美里さんは結婚になんの不満も感じてないみたいだし…所詮かなわぬ恋だったんだ。
初恋の人からのエッチな誘い…もちろん僕は美里さんの誘いを断った。何度も断った!
僕だってエッチには興味はある!相手が美里さんならなおさらだ。
でも…それが婚約者の為なら話は別だ。
恋敵(僕の惨敗だけどね)の為なんて…絶対に嫌だ!
でも美里さんは一度こうと決めたものは絶対に譲らないんだ。
それに初恋の人にエッチな事をしようと執拗に誘われたら(特に美里さんは美人でスタイルバツ
グン!)健全な男子としては我慢出来ないわけで…つい誘いに乗ってしまったんだ。
けど…僕は後悔した。所詮僕は練習相手でしかなかったんだ。
「やーくん、どうしたのですか?表情が少し優れないみたいですが…
んふふふ、でもこちらは元気ですわねぇ」
ううう…人の気持ちも知らずに…なんでこんなに元気になっちゃうんだよ!
車の中で美里さんに優しく触られて勃起してしまった僕。
し、仕方ないだろ!若いんだから!

美里さんの家に着き、リムジンから降りて美里さんの部屋に直行する。
部屋に入ったとたんにズボンを脱がされ…咥えられた。いわゆる仁王立ちフェラだ。
「ちゅ…未来の旦那様には…はむ…ぜひとも気持ちよくなって…んっん…
いただきたいですからね。…ちゅる…んん…ここはひもひいいでふは?…じゅる…レロ…」
そう言いながら僕のペニスに舌を這わす。
上目使いで僕の反応を見ながら舐め続けている。
時折僕の感じた所をメモに取っている。
…婚約者って奴にしてあげるつもりなんだろうな。
裏筋に舌を這わせながら袋を優しく揉んでくれている。
時折睾丸を咥えて舌で転がす。
……ハッキリ言ってかなり気持ちいい。
でもこれは婚約者の為に練習としてしている事で…
尿道に舌を軽く入れて、チロチロと舐めてくる。
そしてカリ首を咥えて首を回すように動かしてくる。
もちろん唇で締め付けて口の中では舌を激しく使ってきている。
あまりの気持ちよさに一気に射精してしまいそうになる。
「ちょっと待って…ううう…」
僕のうなり声を聞いた美里さんは一気にスパートをかけて来た。
吸い込むように口を窄めて顔を動かす。いわゆるバキュームフェラだ。
唇の締め付けと、口の中の温かさ、舌の柔らかさに性感が一気に高まってきた。
「美…里さ…ん…出ます、もうダメで…うう!」
ビュクッ!ビュクビュク!…ドクン!
美里さんの口内に射精する。憧れていた…初恋の人にまた出してしまった。

「んん〜!んくんくんく…んっく。ぷは!
…ふぅ、やーくん凄い量出しましたね、次は上着脱いでくださいね?」
僕が大量に出した精液を全部飲んでくれた美里さん。
でもこの行為の全てが婚約者の為…所詮僕は練習台なんだ。
その証拠に服を脱ぐのは僕だけで、美里さんはいつも服を着たままだ。
それに僕が美里さんの体に手を触れる事は許されない。
キスをする時だけは抱きしめるのを許してくれるぐらいだ。
無理やり手を出そうものなら…恐ろしい事になる。
美里さんの傍らにはいつも秋山さんがいる。執事兼運転手兼ボディーガードの人だ。
前に一度、我慢できずに美里さんを押し倒したことがあった。
普通我慢出来ないだろ?目の前にナイスなボディがあるのに触れないなんて。
けど美里さんを押し倒した僕は、隣の部屋から飛び込んできた秋山さんに一瞬で取り押さえら
れた。……そのときは左手の小指だった。

『もう、やーくんったら…ダメですよ?あたしは結婚するまで綺麗な体で、と誓っているのです。
綺麗なままバージンロードを歩くんですの。初めての練習の時に言いましたよね?
…秋山、小指やっちゃって』
『かしこまりましたお嬢様……ポキッ!』
『うぎゃぁぁぁぁぁ〜〜!!』

お、恐ろしい…秋山さんって普段は寡黙ないい人なんだけど、
美里さんの命令は絶対なんだよな…
あの時も躊躇することなく僕の小指を折ったんだった。
少しは躊躇してよ!…長い付き合いなんだからさ。
今も隣の部屋にいて何かあったら飛び込んでくるはずだ。
…しかし隣の部屋に人がいるってのにエッチな事をするのは恥ずかしくないのか?
う〜ん…お金持ちってきっとどこかズレているんだろうね。
っていうかなんの迷いもなく小指を折れって命令する美里さんって…やっぱりズレてるよね?
「やーくん早く脱いでくださいな、試したい事があるのです」
そんな事を考えていた僕を急かす美里さん。
どうせ逆らっても無駄なので渋々服を脱ぐ。
「ん〜…やーくん、もう少し鍛え直したほうがいいですわねぇ」
白くて細い指で僕のお腹や胸をさすりながら不満を漏らす。
その微妙なタッチが気持ちいい。
「あら?やーくんこれが気持ちいいんですの?…メモメモっと」
さっそくメモする美里さん。…手が離れてちょっと残念に思っている自分に気づいた。
(なんだよ…最初はあんなに嫌がってたのにな。はぁ、やっぱり僕も男だよなぁ…
この関係がいつまで続くか分からないけど…それでも側にいれるだけでもいいのかな?)
諦めたはずの美里さんへの気持ち…未練タラタラじゃないか!情けないなぁ。

結局その日は体中に舌を這わされて(お尻の穴や足の指まで全部舐められちゃった)
二回も出してしまった。
僕の気持ちよさそうな表情に、美里さんは嬉しそうにメモを取り満足したみたいだった。
で、家に帰れたのは夜8時過ぎ。親には美里さんが連絡済で心配すらされていない。
練習の日は美里さんの家で遊んでいるという事になっている。
遊んでいるというか…遊ばれてるんじゃないのか?


「青葉くん、今度の日曜ヒマ?…だったらさ、遊びに行かない?」
クラスメートの池田さんに誘われた。
愛想が良くてクラスでの人気もあり、しっかり者の委員長だ。
「え?何で僕なの?…日曜日?別にいいけど…どこ行くの?」
これって…デートの誘い?……ま、まさかね。
「OKなの?よかったぁ〜、これでメンツが揃ったわ。5人もなかなか集まらなくてね。
確か青葉くんって前に新しく出来たテーマパークに行った事あるって言ってたよね?」
5人?…ははは、そりゃそうだよね。
人気者の委員長が僕をデートになんて…ありえないよなぁ。
「あそこのテーマパークなら行った事あるよ。日曜そこに行くの?」
以前美里さんに無理やり連れて行かれたテーマパーク。
アメリカ映画のテーマパークで結構楽しかったんだ。
「うん、前から行きたかったの。
あそこって今度の日曜日まで凄い花火を打ち上げてるんだって!
私どうしても見てみたいの!でも私の家ってハッキリ言って貧乏の部類に入るじゃない?
で、お兄ちゃんにお小遣い頂戴って言ったら『ふざけんなクソガキ!』って言われたの。
腹たっちゃったから『お義姉さんにあのこと言うわよ』って言ったらね、
チケット5枚も貰えちゃったの!」
ニコニコとチケットを見せる池田さん。…池田さんって結構ずる賢いんだな。
「青葉くんも一度お父さんに言ってみたらいいよ。
後ろめたいことがあるならきっとお小遣いくれるよ?
そうだ!お小遣いも貰っちゃおう!んっふっふっふ…たっのしみだなぁ〜」
池田さんってたくましいなぁ〜。確か父親は小さい時に交通事故で亡くしてるんだよね。
で、今は母親と二人で暮らしてて…
その母親って言うのが結構ずぼらで苦労してるって話なんだ。
家事がまったくダメで池田さんが炊事洗濯全部を担当してるんだって。
お金も取られるであろうお兄さんってのがかなり年が離れてて(確か40代?)
はたから見ればまるで親子なんだ。
なんでこんなに年が離れてるかっていうと池田さんのお父さんは再婚らしいんだ。
50代後半のおじさんとよく結婚する気になったよなぁ。
で、お兄さんよりお母さんのほうが年下らしい。
しかも池田さんのお母さんはお兄さんの奥さんと同じ高校の出身で後輩なんだって!
う〜ん、複雑だ。何て複雑な人間関係なんだ。
「で、メンバーは僕と委員長、あと他の3人は誰なの?」
よく考えれば僕以外のメンバーが全員女子だとかなりキツイ。
僕だけが浮いてしまいそうだ。
「えっとねぇ…かなちゃんにかなちゃんの彼氏の正平くん。
あと正平くんの友達の……橘くん」
かなちゃんってのは同じクラスの綾崎かなえのことだよな?あとの二人って誰だ?
んん?正平に橘?静馬正平に橘修太のことか?
それって中学時代のラグビー部での後輩じゃないか!
「あいつ等来るの?…ええ!綾崎って正平と付き合ってるの?アイツ…黙ってやがったな!」
後輩のくせに僕より先に彼女を作るなんて…今度しごきに行ってやる!
可愛がっていた後輩の裏切りにショックを受けていた僕はあることに気づいた。
(んん?なんで委員長、顔が赤くなってるんだ?)
よく見てみると目がトロンとしていて何かを想像しているみたいだ。
…まるで恋する乙女みたいだな。
恋する乙女?えええ?このメンバーに委員長の恋の相手がいるの?
誰だ?一体誰…そうか、そうだったのか。僕は本当に人数あわせだったんだな。
多分…いや、きっと委員長の恋の相手は橘だ。
正平は綾崎と付き合っているって話しだし、僕にはこんな顔したことがない。
てことは消去法で残るは橘だけだ。ためしに何か言ってみるか。
「……橘って好きな人いるのかなぁ」
「!!!!!」
僕の言葉にビクッっとする委員長。なんて分かりやすいんだ。
「ははは、委員長に協力するよ。日曜日は橘とうまくいくといいね」
真っ赤になる委員長。ホントに分かりやすいな。


「ねぇ青葉くん、このアトラクション行ってみませんか?前に来た時は行けませんでしたからね」
日曜日、行きの電車でテーマパーク特集の雑誌を開き、嬉しそうに話す美里さん。
もちろん秋山さんも一緒だ。
(ねぇ青葉くん、なんで西園寺先輩が来てるのよ?)
(僕も知らないってば!今朝いきなり家に来て『さぁ行きましょうか』なんだから!)
(知らないじゃ困るってば!あんなのが来てたら橘くんの目がそっちに行っちゃうじゃないの!
それになに?あの怖そうな人…もしかして殺し屋?)
(委員長、それシャレになってないよ)
「あらあらぁ?なにを仲良く話されてるんですの?あたしも仲間に入れてくださいな?
…仲間はずれは嫌ですわ、ねぇ青葉くん?」
な、なんか知らないけど怒ってる。…怒ってるよぉ〜。
「なんでもないです先輩!…そうだ、かなちゃ〜ん、ちょっと話があるんだけど〜」
うわ!委員長逃げてったよ!
最初から僕達と席を離れて座っていた綾崎さんと正平の所へと逃げていった。
橘が僕に助けを求める視線を放つ。僕は無言で頷く。
それを見た橘は委員長を追って席を移動した。
委員長は橘が自分を追ってきたのかと嬉しそうな顔だ。
僕はそんな委員長に向かい親指を立てる。
何故か綾崎さんが親指を立て返してきた。
「あらあらあらぁ?楽しそうですわねぇ〜。…秋山、親指いっちゃって」
「ちょっと美里さん!なんでなんですか!って秋山さん、親指持たないでぇ〜!」
美里さんは何故か朝から不機嫌で、場の空気を悪くしている。
そもそもなんでここにいるんだ?
「そんなに慌てて…冗談ですわよ。秋山、まだしなくていいわよ」
……まだ?確かに今、まだしなくていいって言ったよね?
まだって事は…いつかはあるって事?
「青葉くん、青い顔されていったいどうされたんですの?
せっかく遊びに来ているんですから楽しみましょうね?」
「…どうして今日遊びに行くって知ったんです?なんでついて来たんです?」
僕の問い掛けにニコリとほほ笑み答えてくれた。
「どうして遊びに行く事を知ったかというと、おばさまに聞きましたの。
で、何故ついて来たかというと青葉くんのためですわ。
今日のデートははっきり言って青葉くんがお邪魔虫ですの。
綾崎さんに静馬くん。池田さんに橘くん。このカップリングに青葉くんはお邪魔ですわね?
で・す・か・ら!あたしが青葉くんのお相手をしてあげようと思い、来てあげましたの。
納得されました?」
う…確かに僕はお邪魔虫だよな。
その証拠に他のメンバーはもう僕のことなんか忘れたかのように話し込んでいる。
…委員長って案外冷たいんだ。あんなに嬉しそうな顔しちゃって…いいなぁ。
……チクショウ!なんでこんな空しい気持ちになるんだよ!
…後輩二人には体育会系特有の理不尽な説教確定だ!
「青葉くん、そんなに池田さん達を羨ましそうに見ていたら…みっともないですわよ?」
まるで僕の心の中を覗いたかのような美里さんの言葉にかなりアセってしまった。
「う、羨ましくなんかないやい!…なに笑ってるんですか!
ああ!秋山さんまで!ひ、ひどい…ひどいわ!」
こんな事を話しながらの電車は意外と楽しかった。
美里さんも機嫌が直ったみたいでよかったよ。
そういえばなんで機嫌悪かったんだ?ま、いいや。
それよりせっかく遊びに来たんだから楽しまないと!
それに…よく考えたら美里さんと二人きり。
これっていわゆる…トリプルデート?になるのかな?


「ではここで三組に別れましょうか?綾崎さんは静馬くんと。あたしは青葉くんと秋山の3人で回
りますわ。
ですから池田さんは橘くんと行動してくださいね?」
入場したとたんに美里さんが仕切りだした。
委員長はいきなり橘と二人になれと言われて軽くパニくってる。
まぁ今回の目的は委員長と橘をくっつけるって話だから(綾崎さんとは打ち合わせ済み)
この組み合わせにはなんら問題はない。
それに美里さんの仕切りだからみんな文句も言えない。
美里さんの我が侭っぷりは学校中に響いてるからだ。
我が侭というか…自分の意見を決して曲げない気の強さというか…
まぁだいたいは美里さんの言う事が正しいんだけどね。
「じゃ、じゃあ橘くん一緒に行きましょうか?し、仕方ないよね?
かなちゃんの邪魔しちゃ悪いし、先輩の意見だもん。…仕方ないよね?」
委員長は仕方ないと言いながら橘と二人で歩いていった。
委員長ってすぐに顔に出るなぁ…真っ赤だぞ。
「う〜ん、あれじゃうまくいかないかもね?じゃ、あたし達も行くから。青葉くんも楽しみなさいね」
そう言いながら正平の手を握り歩いていく綾崎さん。
さっき気がついたんだけど…正平からは僕と似た匂いがする。
現に正平は僕に助けを求めるような眼差しを向けている…気がする。なんか哀れだ。
そういや綾崎さんって正平の幼馴染だって言ってた。僕と美里さんみたいなものなのか?
だから同じような匂いがするのか?…一度腹を割って話そうかな?
「さぁ青葉くん、あたし達も行きましょうね?夜になると花火が凄いんですって!
楽しみですわねぇ〜」
そう言いながら強引に僕の手を握り歩いていく美里さん。
…正平とは親友になれる気がしてきた。

「秋山、練習が出来そうな場所どこかにないかしら?」
色々なアトラクションを楽しんで少し休憩をしていた時、
美里さんがとんでもない事を言い出した。
「な、何言ってるの!こんな所で練習って…美里さん!」
「お嬢様…こういう場所ではやはり人が多くて練習は無理かと…
帰りにリムジンを手配いたしますので、リムジンの中でするのがベターと思われますが…」
秋山さん…少しは止めようとしてよ!
「う〜ん…あたしは今すぐしたいのですが、秋山がそう言うなら仕方ないですわね」
美里さん、秋山さんの言う事なら聞くんだよな。
「やーくん、残念ですわね〜?けど車の中でというのも趣があっていいですわ。
楽しみですわね〜」
ニコニコと嬉しそうな微笑を浮かべてる美里さん。
周りの人はまさかこんな美人が僕のを咥えるのを我慢してるなんて思いもしないだろうな。
ニコニコ顔の美里さんは僕の腕に手を回し、胸を押し当てるように腕を組んできた。
おおお〜!腕を組んでくれるなんて初めてだ!っていうか胸の感触が…柔らかいなぁ。
綾崎さんには負けるけど美里さんのだってかなりの胸をしている。
綾崎さんは走っているのを見たら思わず『バインバイン!』と言ってしまう様な巨乳だから仕方
がない。
僕は全神経を左腕に集中して胸の感触を楽しんだ。
「もう、やーくんったら…みっともない顔しないでくれます?…今日は特別サービスですわ」
そう言ってさらに腕をギュッと抱きしめてきた。こ、これは…まずい!
眠れる巨人が目覚めてしまう!(巨人って言うのは言いすぎだけどね)
と、取りあえず落ち着かないと…こんな所で目覚めたらヘンタイ扱いされてしまう!
精神集中だ!
落ち着け…落ち着け…ギュッ…お、落ち着けぇ…ふにっ…お、落ち着こうね?
…むにゅ…落ち着いて感触を…

巨人の目覚めを不屈の精神で乗り切った僕は、英雄として称えられてもいいんじゃないかな?
それよりなんで美里さんはこんなにご機嫌なんだろ?




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