(はぁ…やっと終わったよ。生活のためとはいえ、こんな時間までバイトするのはキツイよね。
でも…一家の大黒柱としては頑張んなきゃね!
今帰るよ!ますみさんにかなえちゃん!パパを待っててね!)
バイト終わりの深夜一時、僕は家路へと急ぐ。
愛するお嫁さんと生まれたばかりの愛娘が僕の帰りを待ってるんだからね!
僕の名前は綾崎湧一(あやさきゆういち)、二十歳の大学生。
学生でありながらこの春に恋人のますみさんと籍を入れ、夫婦になった。
ますみさん…旧姓森永ますみ(もりながますみ)、実家の隣に住んでいた二歳年上の女性。
僕の姉代わりの人で、僕の初恋の人。そして…僕の初めての人。
僕はますみさんを追い掛けて同じ大学に入学までしたんだ。
…今考えるとちょっとしたストーカーみたいだね。
そんな努力が実ってますみさんとお付き合いできるようになった。
僕達が付き合うようになるまで色んなことがあった。けど今ではいい思い出だ。
そしてますみさんが大学在籍中に妊娠が発覚。
僕達はすぐにでも結婚をしたかったけど、僕達の親がますみさんの大学卒業を結婚の条件に
してきたんだ。
で、ますみさんはこの春に無事に大学を卒業。
卒業後すぐに籍を入れて結婚し、子供も生まれた。
今の僕達は、たくさんの人達に助けてもらいながら生活をしている。
情けないことに親の仕送りにも頼っている。早く卒業して家族のためにバリバリ働きたいよ…
そんな家路を急ぐ僕に、ふとある自販機が目に止まった。
(そ、そろそろしてもいいよね?…一応買っておこうかな?)
僕はその怪しい自販機でコンドームを一つ買い、期待に胸を膨らませながら急ぎ足で我が家
へと向かう。
実はますみさんが妊娠してからは一度もしていないんだよね。
妊娠中にしちゃいけないなんてことはないんだけど、ますみさんは以前に一度流産を経験して
いるんだ。
そんなますみさんに無理させちゃダメだからね。
…まぁ毎日口と胸でしてくれてたから我慢できたってのもあるけどね。
今日こそは…久しぶりのエッチをするぞ!…なんか僕ってガツガツしてるなぁ。
けど若いんだから仕方ないよね?
愛する家族が待つ我が家は、築20年のボロアパート。
収入が少ない僕達にはここが精一杯だったんだ。
僕達の部屋を見てみる。灯りがついている!
ますみさん、僕の帰りを待っててくれてるんだ!
よし、今日こそは久しぶりのエッチをするぞ!夫婦なんだからいいよね?
期待とアソコを少し膨らませながら、ポケットにいれたコンドームを握り締めてドアを開ける。
「ただい……ま?う、なんだ?お酒くさ…うわ!な、なにしてんですか!」
ドアを開けた僕の目に飛び込んできたもの…下着姿の彩さんがシャドーボクシングをしてい
る。
ますみさんは一升瓶を片手にニコニコしてるし…なんなんだよ!
「あ、湧一さんおかえりなさい!お仕事お疲れ様でした」
帰ってきた僕を見てニッコリとほほ笑むますみさん。…いいなぁ、癒されるなぁ。
…その手に一升瓶が無ければ完璧なんだけどね。
「ま、ますみさん、この状況ってなんなんですか?それよりなんで一升瓶持ってるんですか!」
「ん?あぁこれ?彩がお土産で持ってきてくれたの。
久しぶりに飲んだから少し酔っちゃったわ」
そう言って少し頬を赤く染めているますみさん。
かわいいなぁ…ほとんど空の一升瓶を持っていなければね。
「前から言ってるじゃないですか!飲みすぎはダメですって!
ところでなんで彩さん下着姿なんですか?」
彩さん…国生彩(こくしょうあや)、ますみさんの親友で僕達がお世話になっている人の一人だ。
その彩さんを見てみる。
下着姿の彩さんは一心不乱に蛍光灯の紐に対してシャドーをしている。
彩さん、すっごく綺麗な体しているんだ。…スラッとした足なんてモデル顔負けじゃないの?
「あぁ、彩は私に一緒にジムに通わないかって誘いに来たのよ。
私、かなえを生んで少し太っちゃったからね」
けど胸はますみさんの圧勝だね!
「でもね、彩が言うジムってボクシングジムなのよ。
今日連れて行ってもらってビックリしたわ。普通ジムって言えばフィットネスジムよね?
まぁ彩らしいといえば彩らしい……湧一さん?どうしたの?」
肌は色も白くてスベスベしてそう…ゴクリ。
「……湧一さん、なに鼻の下伸ばしながら彩を見てるの?…浮気する気ね!」
お尻から足にかけてのラインなんてすっごく綺麗だよ…さすが彩さんだね!
「………もしもし、静馬さんですか?ますみです、こんな遅くにすみません」
うわ!そんなに足を開いたら…見えちゃいますよ?
「……ええ、お酒に酔った彩が下着姿で暴れてるんですよ。
それを見た湧一さんが彩に欲情しちゃって」
頭を振るたびに揺れる髪も綺麗だし…こんなに綺麗な人が知り合いなんて鼻が高いよね!
「………ええ、死なない程度になら好きにしていいですよ。
私の彩にイヤらしい目を向けるなんて…絶対に許せないですから!」
けどやっぱり僕はますみさんのほうがいいな、愛するますみさんが一番だよね。
彩さんの下着姿を堪能した僕はますみさんを見る。
あれ?ますみさん、携帯片手に怒った顔をしてる。ど、どうして怒ってるんですか?
「ま、ますみさん?僕、何かしましたか?」
「……何か、ですって?浮気する気でしょ!私の彩に手を出すつもりなんでしょ!
…見損なったわ湧一さん!」
「ええ!そ、そんな事ないですって!浮気なんて絶対にしま……」
ますみさんの突然の怒りに焦った僕は、必死の言い訳をしようとしたんだ。
…けど出来なかった。
「浮気だぁ〜?綾崎!ますみを裏切ったのかぁ〜!死ね!」
という彩さんの怒鳴り声が聞こえてきたんだ。
その瞬間……ヒュン!ゴッ!……ドサ。
「う…んん…い、いててて。こ、後頭部が痛いよぉ…あれ?部屋じゃない?ここって…」
後頭部に衝撃が走り、気を失っていた僕が目を覚ました時には何故か空手道場にいた。
僕が週に3回、バイトで入っている池田道場だ。
「やっと目を覚ましたか。…さ、やろうか」
へ?声のした方向を見てみると静馬さんがいた。
彩さんの婚約者で二人は6月に式を挙げる予定なんだって。…やろうかって何?
「し、静馬さん?やろうかってなんなんです?…なんで道着を着てるんです?」
「彩に色目を使うとは…死ねクソガキ!」
「い、色目?そんなの使ってませんよ!誤解ですってば!うわぁ!」
……それからの一時間、静馬さんは僕をいたぶりにいたぶった。
ありとあらゆる関節技で僕を締め上げる。
失神しそうになっても失神させてくれない。
僕は拷問ってこういうことを言うんだろうな、って思った。
そしてもう二度と彩さんに対し、いやらしい目を向けないと心に誓った。
「た…ただい…ま」
静馬さんにボロボロにされた僕は、お昼すぎにやっと我が家に帰りついた。
「湧一さん、お帰りなさい。…これで少しは懲りたでしょ?」
そんな僕をニッコリとほほ笑みながら出迎えてくれるますみさん。
…少しどころじゃありません。
「私の彩に手を出そうとするからよ。もう二度としないでね、分かった?
…じゃないとまた静馬さんを呼ぶわよ」
……ますみさんが静馬さんを呼んだんですね。
「湧一さん、返事はどうした…」
『おぎゃ〜!おぎゃ〜!』
元気よく泣き出した娘のかなえに慌てて駆け寄る僕達。
「大きな声出してゴメンね?お腹がすいたのかな〜?今おっぱいあげますからね〜」
そう言って胸を出し、母乳を与えるますみさん。
あぁ…これが家族ってものなんだなぁ。…頑張るぞ!
ますみさんが母乳をあげてる姿を見ていたらなぜかやる気が出てきた。
よし!二人のためにも頑張るぞ!…かなえちゃん、パパはがんばりまちゅからね〜。
「お〜よしよし。かなえ、もうお腹一杯になったのかな?…じゃ、次は湧一さんね」
かなえにげっぷをさせながら僕にほほ笑むますみさん。
……僕もお腹一杯にさせてください。
そのあと、ますみさんの母乳を堪能した僕。
エッチもしたかったんだけどバイトの時間になっちゃった。
くそ〜!今夜こそは絶対にエッチをするぞ〜!
ポケットに忍ばせたコンドームを握り締めながら誓う僕。
けど今夜も邪魔が入るような気がするなぁ〜。
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